49 / 55
16-5★
しおりを挟む
朱莉はそっと手を口から避けるが、眉を下げて、でも、と言葉を返した。
「ぼくも、聞いたことない、声で……」
正直気持ち悪いのではないかと思って怖い。経験がないわけじゃないのに、秋生の指や唇が自分の肌を掠める度に肌は震え、信じられないほど甘い息が漏れてしまうのだ。
「だったら、他に誰も聞いたことがないってことだよね。そんなの、絶対聞きたいよ」
もう口を塞げないようにと思ったのか、秋生が朱莉の手をシーツに縫い留めるように指を絡めて繋ぐ。それを見てから朱莉はそっと秋生を見上げた。
「……変な声でも、笑わないでくださいね……」
「ニヤニヤはしちゃうかもしれないな、嬉しくて」
既に笑顔の秋生が空いた手でそっと朱莉の内腿を撫でる。突然敏感な部分に触れられて、朱莉か思わず、ひゃっ、と小さく声が出る。
「やっぱり可愛いよ。もっと聞かせて」
秋生が朱莉の首筋に唇を押し当てながら、腿を辿っていた手をするりと動かしていく。双丘の狭間にたどり着くと、ふと秋生が手を止めた。
「……もう濡れてる?」
人工子宮を入れたとしても、体の機能が変化するわけではないから、男の朱莉は当然勝手に濡れたりはしない。それは、医師である秋生も知っているはずだ。ということは、ここで朱莉が準備してきたことがすっかりバレていることになる。恥ずかしい気持ちももちろんあったけれど、それだけ秋生に抱かれたかったという主張にもなりそうな気がして、朱莉は小さく頷いた。
「準備、しました……」
「そっか……でも、次からはしないで」
秋生が少し眉を下げる。それしか考えていないようで嫌だったのかなと思い、不安で秋生を見上げていると、秋生は優しく笑み、朱莉にキスを落とした。
「全部僕がしたいんだ。僕を受け入れるために少しずつ蕾を開いてくれる朱莉くんが見たい」
秋生は唇を離すと同時に指先を朱莉の中へと埋め込んだ。秋生の長い指は、自分でした時よりも奥に届き、朱莉は快感に打ち震えた。中をかき混ぜるように秋生の指が動く。その度に来る波のような悦は、朱莉から言葉を奪い、ただ秋生が聞きたいと言っていた声だけを部屋に響かせていた。もう何も考えられない。
「こっちもトロトロだね。一回いったほうが楽かな?」
秋生が朱莉の中心を優しく握る。その刺激で朱莉は少し白を吐き出してしまったが、嫌だ、と首を振った。
「あ、きおさ、と……いっしょ、に……」
上がる息の隙間から懇願し、秋生に手を伸ばすと、秋生はそれを捕まえ、指を絡めて握ってくれた。
「じゃあ、入れるよ」
秋生の言葉と同時に朱莉の中に熱が入り込む。想像していたよりも何倍も熱くて苦しかったけれど、何倍も嬉しかった。やっと、秋生と身も心も繋がれた。
「ここに、注ぐけど……いい?」
秋生がゆっくりと腰を動かしながら、朱莉の腹の傷を撫でる。愛しそうに触れるその指は優しくて、何も怖いと思わなかった。
「はい……たくさん、ください……」
朱莉が繋いでいた手をぎゅっと握る。秋生はそれを感じて握り返してくれた。それから優しく微笑んで、朱莉をベッドに押しつぶすように抱きしめた。
「一生、大事にするから」
耳元でささやかれた愛の言葉に、朱莉は少しだけ涙を零して、大きく頷いた。
「ぼくも、聞いたことない、声で……」
正直気持ち悪いのではないかと思って怖い。経験がないわけじゃないのに、秋生の指や唇が自分の肌を掠める度に肌は震え、信じられないほど甘い息が漏れてしまうのだ。
「だったら、他に誰も聞いたことがないってことだよね。そんなの、絶対聞きたいよ」
もう口を塞げないようにと思ったのか、秋生が朱莉の手をシーツに縫い留めるように指を絡めて繋ぐ。それを見てから朱莉はそっと秋生を見上げた。
「……変な声でも、笑わないでくださいね……」
「ニヤニヤはしちゃうかもしれないな、嬉しくて」
既に笑顔の秋生が空いた手でそっと朱莉の内腿を撫でる。突然敏感な部分に触れられて、朱莉か思わず、ひゃっ、と小さく声が出る。
「やっぱり可愛いよ。もっと聞かせて」
秋生が朱莉の首筋に唇を押し当てながら、腿を辿っていた手をするりと動かしていく。双丘の狭間にたどり着くと、ふと秋生が手を止めた。
「……もう濡れてる?」
人工子宮を入れたとしても、体の機能が変化するわけではないから、男の朱莉は当然勝手に濡れたりはしない。それは、医師である秋生も知っているはずだ。ということは、ここで朱莉が準備してきたことがすっかりバレていることになる。恥ずかしい気持ちももちろんあったけれど、それだけ秋生に抱かれたかったという主張にもなりそうな気がして、朱莉は小さく頷いた。
「準備、しました……」
「そっか……でも、次からはしないで」
秋生が少し眉を下げる。それしか考えていないようで嫌だったのかなと思い、不安で秋生を見上げていると、秋生は優しく笑み、朱莉にキスを落とした。
「全部僕がしたいんだ。僕を受け入れるために少しずつ蕾を開いてくれる朱莉くんが見たい」
秋生は唇を離すと同時に指先を朱莉の中へと埋め込んだ。秋生の長い指は、自分でした時よりも奥に届き、朱莉は快感に打ち震えた。中をかき混ぜるように秋生の指が動く。その度に来る波のような悦は、朱莉から言葉を奪い、ただ秋生が聞きたいと言っていた声だけを部屋に響かせていた。もう何も考えられない。
「こっちもトロトロだね。一回いったほうが楽かな?」
秋生が朱莉の中心を優しく握る。その刺激で朱莉は少し白を吐き出してしまったが、嫌だ、と首を振った。
「あ、きおさ、と……いっしょ、に……」
上がる息の隙間から懇願し、秋生に手を伸ばすと、秋生はそれを捕まえ、指を絡めて握ってくれた。
「じゃあ、入れるよ」
秋生の言葉と同時に朱莉の中に熱が入り込む。想像していたよりも何倍も熱くて苦しかったけれど、何倍も嬉しかった。やっと、秋生と身も心も繋がれた。
「ここに、注ぐけど……いい?」
秋生がゆっくりと腰を動かしながら、朱莉の腹の傷を撫でる。愛しそうに触れるその指は優しくて、何も怖いと思わなかった。
「はい……たくさん、ください……」
朱莉が繋いでいた手をぎゅっと握る。秋生はそれを感じて握り返してくれた。それから優しく微笑んで、朱莉をベッドに押しつぶすように抱きしめた。
「一生、大事にするから」
耳元でささやかれた愛の言葉に、朱莉は少しだけ涙を零して、大きく頷いた。
47
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
聖獣は黒髪の青年に愛を誓う
午後野つばな
BL
稀覯本店で働くセスは、孤独な日々を送っていた。
ある日、鳥に襲われていた仔犬を助け、アシュリーと名づける。
だが、アシュリーただの犬ではなく、稀少とされる獣人の子どもだった。
全身で自分への愛情を表現するアシュリーとの日々は、灰色だったセスの日々を変える。
やがてトーマスと名乗る旅人の出現をきっかけに、アシュリーは美しい青年の姿へと変化するが……。
【完結】名前のない皇后 −記憶を失ったSubオメガはもう一度愛を知る−
社菘
BL
息子を産んで3年。
瀕死の状態で見つかったエリアスは、それ以前の記憶をすっかり失っていた。
自分の名前も覚えていなかったが唯一所持品のハンカチに刺繍されていた名前を名乗り、森の中にひっそりと存在する地図上から消された村で医師として働く人間と竜の混血種。
ある日、診療所に運ばれてきた重病人との出会いがエリアスの止まっていた時を動かすことになる。
「――お前が俺の元から逃げたからだ、エリアス!」
「本当に、本当になにも覚えていないんだっ!」
「ととさま、かかさまをいじめちゃメッ!」
破滅を歩む純白竜の皇帝《Domアルファ》× 記憶がない混血竜《Subオメガ》
「俺の皇后……」
――前の俺?それとも、今の俺?
俺は一体、何者なのだろうか?
※オメガバース、ドムサブユニバース特殊設定あり(かなり好き勝手に詳細設定をしています)
※本作では第二性→オメガバース、第三性(稀)→ドムサブユニバース、二つをまとめてSubオメガ、などの総称にしています
※作中のセリフで「〈〉」この中のセリフはコマンドになります。読みやすいよう、コマンドは英語表記ではなく、本作では言葉として表記しています
※性的な描写がある話数に*をつけています
✧毎日7時40分+17時40分に更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
運命の相手 〜 確率は100 if story 〜
春夏
BL
【完結しました】
『確率は100』の if story です。
本編は現代日本で知り合った2人が異世界でイチャラブする話ですが、こちらは2人が異世界に行かなかったら…の話です。Rには※つけます(5章以降)。「確率」とは違う2人の関係をお楽しみいただけたら嬉しいです。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる