イケメンに育った甥っ子がおれと結婚するとか言ってるんだがどこまでが夢ですか?

藤吉めぐみ

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 体を包み込むような温かさと同時に感じる心地よさに目を覚ました巽は、すぐに見えた灯希の顔をぼんやりと見上げた。すると、灯希と目が合い、起きたの? と聞かれた。
「ん……ん……?」
 巽が頷いてから肌寒さを感じて視線を自身の体へと向ける。着ていたはずのシャツははだけていて、スラックスも下着すら付けていなかった。それだけではない。その脚の間には灯希が座り込んでいた。状況が飲み込めず、巽が怪訝な顔で灯希を見やる。
「まだ寝てて良かったのに」
 灯希が少し残念そうに眉を下げ、巽の脚を抱える。その瞬間に感じた下半身の違和感に、巽が思わず、あ、と声をあげた。尻にある異物感は以前も感じたことがあるものだ。
 その時もこうして灯希を見上げていた。
「と、き……何、して……」
「んー……お仕置き?」
 すでに灯希の熱は巽の後孔に深く潜り込んでいて、巽も柔らかく受け入れている状態だった。灯希に抱かれている――そう理解するまでに時間は掛からなかった。
「またこんな……どうして……」
 こうして灯希にいつの間にか抱かれているのは二度目だ。とはいえ、前回も今回も灯希の気持ちが全く分からない。しかもお仕置きとか、前回よりも意味不明だ。
 ため息を吐いた途端、灯希の腰が動き、巽の体の奥からじわりと快感が広がっていく。それに眉をしかめながら巽は灯希を見つめた。
「巽さんは、あの人に気を許し過ぎ、もっと警戒してよ」
 じゃないといつか危ない目に遭うよ、と灯希が巽の奥をえぐるように腰を打ち付けた。巽の顎が上がり、思わず声が出る。自分のものとは思えない、甘ったるい声だった。
「ん……き、なみ、は……そんな……灯希、あ、止まって」
 話ができない、と訴えるように灯希を見上げるが、灯希は止まることなく、こちらに近づいて巽にキスをした。深く舌を繋ぎ、そのまま上顎を撫でて離れていく。
「俺は巽さんが好きだから、心配なんだよ。次にまたこんなに酔って帰ってきたら、俺、巽さんのこと、監禁するからね」
 覚えておいて、と灯希が腰の動きを早める。
 巽は、灯希の言葉に、どういうことだよ、と若干の恐怖を感じながらも、灯希がくれる刺激に抗えず、白濁を自らの腹に散らした。段々と白んでいた頭もはっきりとしてくる。
「監禁って、灯希……おれとお前は家族で……」
 眠気なんかいつの間にか飛んで、興奮も収まった巽は、ようやく冷静になり、灯希の胸を押しながら、体を起こした。ずるり、と灯希の中心が自分の中から出ていく。
「家族だから恋しちゃいけないってことはないよ、巽さん」
「でも、おれってことはないだろう……」
 灯希は叔父の自分から見てもカッコよくてでも可愛くて性格も穏やかで頭もいい。そんな誰でも恋に落ちて貰えそうな灯希の相手が自分みたいな冴えないおじさんというのは、やっぱりおかしいと思うのだ。
「巽さんは俺の中で、一番素敵な人なんだよ」
 灯希が巽にキスをしてからそっとベッドを降りる。
 シャワー浴びてくる、と寝室を出て行った灯希の背中を見送った巽は大きなため息を吐きながらベッドに再び転がった。
「……もう寝てしまおう」
 これは夢だったかもしれない、朝起きたら何もなかったかもしれない、そんなことを願いながら巽は目を閉じた。

 朝起きると、いつも通り灯希は既にベッドを出ていて、巽は大きく伸びをしてからベッドを降りた。裸のままで眠ってしまったのにパジャマを着ているのはきっと灯希が着せたのだろう。
 そんなに甲斐甲斐しいことをするくせに、あんなふうにわけのわからない理由でこんなおじさんを組み敷くなんて、灯希には何か悩みでもあるのかもしれない。ちゃんと話を聞いてあげる時間を最近は作っていなかったし、すっかり灯希に甘えてばかりだったから、きっと巽が気づいていない何かがあるのだろう。
 灯希と話をしなくてはいけない。
 まずはパジャマを着せてくれた礼でも言うかと思いリビングに出ると、ソファに座る灯希は、巽のスマホを手にしていた。それから巽の気配に気づいたのか、こちらを振り返る。
「おはよう、巽さん」
「あ、ああ……スマホ、着信とか来てた?」
「いや、何も」
 灯希は特に慌てる様子もなく立ち上がって、手にしていたスマホを巽に渡した。すぐに画面を見てみるが、待ち受けが実家の犬になっているいつもの自分のスマホだ。
「巽さん、朝ごはん出来てるから、食べてね。俺、今日ちょっと早く出かけなきゃいけなくて」
 ちゃんと時間見て用意してよ、と立ち上がった灯希が上着をはおり、いつものカバンを手にする。
「何かあるのか?」
「うん。今グループ研究大詰めで、講義の前に集まってやろうってなって」
 大学生もなかなか忙しいらしい。昨日あんなことをしたわけをちゃんと聞こうと思っていたけれど、それは難しいようだ。
 巽は玄関へと急ぐ灯希の後についていった。
「気を付けて」
「うん、見送りありがと、巽さん」
 靴を履いた灯希が顔を上げ、框に立ったままの巽に微笑む。それから、いってきます、と爽やかな笑顔を残して家を出て行った。
 昨日自分を見下ろしていた顔とは全然違うそれを見て、やっぱり昨日のことは夢だったのでは、なんて思ってしまう。けれど、自分の体がきしむこの感じが、間違いなく昨夜灯希に抱かれたと告げている。
「……訳が分からん……」
 巽は廊下の壁に体を預け、大きくため息をついた。
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