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「ねえ、ついさっき言ったこと、もう忘れたの? 俺はずっと巽さんが好きなの」
「けど……」
「それに、随分前だけど話したよ? 大学の論文発表の合宿で一週間いないよって話」
「え……」
驚く巽に灯希がくすくすと笑う。そんな話、完全に忘れていた。巽は、じゃあ、と灯希に手を伸ばした。灯希がその手を掴む。
「家出じゃない、のか?」
「じゃないよ。いつもなら家を空ける時、カレンダーに書いていくのを今回書かなかったのは巽さんが寂しがってくれたらいいと思ったからだけど」
寂しかった? と掴んだ手にキスをしながら灯希がこちらを見つめ微笑む。
灯希は巽のスマホから全部見ていたはずだ。そんなこと聞かなくても巽がどれだけ灯希を必要としていたか分かっているはずなのだ。それでもあえて聞くということは、巽の口からそれを聞きたいのだろう。
「寂しかったに、決まってるだろ……あんな思い、二度としたくない」
灯希をまっすぐ見上げ、言葉にすると、巽の目の端から雫が零れ落ちた。
灯希がいないというだけで、帰ってこないかもしれないというだけで、あんなに自分が不安定になるとは思っていなかった。それだけ、巽の中の灯希の存在は大きくて、もう手放せないものになっているのだろう。
それが灯希の思惑通りだとしても、術中にはまったのだとしても、何も後悔はない。
「じゃあもう二度と、距離を置くなんて言わないで」
灯希が巽の頬を指先で拭い、優しく微笑む。巽はそれに頷いた。
「お前の言う通り、ゼロ距離でいい」
巽が同じように微笑むと、灯希は巽の手を離し、ぎゅっと巽の体を抱きしめた。そのままキスをして首筋に、胸にと唇の痕を付けていく。強く吸われたそこからじんじんと熱を持って、肌全体に広がっていく。もうどこに触れられても熱くて気持ちいい。
「巽さん、俺に触られるの好きそうだよね。いつもとろけた顔してくれる」
灯希が巽の胸の先に触れ、それを捏ねるように指先で愛撫する。その刺激に巽は喉の奥から声を漏らした。それだけで達してしまいそうなほど気持ちいい。
「あ、ん……灯希、の手……好き、だから……」
大きくて固いその手は巽に触れる時はとても優しくなる。年下だからとか甥っ子だからとか、そんな理由でずっと我慢していたが、灯希に触れられると自分が安心することを随分前から分かっていた。これまでは分からないフリをしていた。
「そうだったんだ。じゃあいっぱい触るよ」
灯希がもう片方の手を巽の背中から尻へと撫でおろし、そのまま後孔へと指先を潜り込ませた。乾いた指のはずなのにそれはとても簡単にするりと巽の中へと入っていく。
「巽さん、いっぱい蜜零してくれてるから、こっちまで濡れてる」
灯希が耳元でささやき、巽はその言葉に驚いて自身の体を見下ろした。直接触れられていないのに、巽の中心は嬉しくて泣いているようにとろりと蜜を零していた。
「灯希、見るな」
巽が恥ずかしさから、灯希の頭を抱き寄せ、胸に付ける。灯希とこうして抱き合えることは嬉しいけれど、それを体が表現していることは、やっぱり視覚的に恥ずかしすぎる。
素直に胸に顔を埋めてくれた灯希だったが、次の瞬間、巽の乳首がべろりと舐められ、巽はびくりと肩を揺らした。
「や、灯希……」
「もったいないから、よく見せてよ。それだけ俺が好きってことでしょ。体が、ちゃんと俺に抱かれたがってるなんて、俺はめちゃくちゃ嬉しい」
灯希は巽を見上げて微笑んでから、再び唇と舌で乳首を愛撫し、後ろの蕾を開かせていく。巽は自分の甘ったるい声を聞きながらこのまま灯希にばかり翻弄されたくないと思い、灯希、とその名を呼んで視線を向けた。
「もう、いいから……挿れたいんだろ、それ」
巽は脚を開き、自分から差し出すように少し腰を浮かせ、灯希の下半身をじっと見つめた。履いている下着は既に色を変え、中の形をくっきりと浮かび上がらせている。
これで誘えているのか分からなかったが、灯希の中心が脈打ったところを見れば、いくらかは効果があったのかもしれない。
「巽さん、どこで覚えてきたの? そんな煽り方……今日は巽さんのことちゃんと抱ける初めての日だから優しくするつもりだったのに」
灯希は少し眇めた目を巽に向けてから、巽の腰を抱え上げた。後孔にぴたりと自身の中心を付けたかと思うと、そのまま一気にそれを奥まで穿つ。
巽がその衝撃と刺激に息をのみこんだ。
「巽さん、今度は体も俺じゃないといけないようにするから……期待してて」
耳元で灯希が楽しそうにささやく。
そこは『覚悟して』じゃないのかよ、なんて思いながらも巽はそっと灯希の背中に腕を廻した。
「けど……」
「それに、随分前だけど話したよ? 大学の論文発表の合宿で一週間いないよって話」
「え……」
驚く巽に灯希がくすくすと笑う。そんな話、完全に忘れていた。巽は、じゃあ、と灯希に手を伸ばした。灯希がその手を掴む。
「家出じゃない、のか?」
「じゃないよ。いつもなら家を空ける時、カレンダーに書いていくのを今回書かなかったのは巽さんが寂しがってくれたらいいと思ったからだけど」
寂しかった? と掴んだ手にキスをしながら灯希がこちらを見つめ微笑む。
灯希は巽のスマホから全部見ていたはずだ。そんなこと聞かなくても巽がどれだけ灯希を必要としていたか分かっているはずなのだ。それでもあえて聞くということは、巽の口からそれを聞きたいのだろう。
「寂しかったに、決まってるだろ……あんな思い、二度としたくない」
灯希をまっすぐ見上げ、言葉にすると、巽の目の端から雫が零れ落ちた。
灯希がいないというだけで、帰ってこないかもしれないというだけで、あんなに自分が不安定になるとは思っていなかった。それだけ、巽の中の灯希の存在は大きくて、もう手放せないものになっているのだろう。
それが灯希の思惑通りだとしても、術中にはまったのだとしても、何も後悔はない。
「じゃあもう二度と、距離を置くなんて言わないで」
灯希が巽の頬を指先で拭い、優しく微笑む。巽はそれに頷いた。
「お前の言う通り、ゼロ距離でいい」
巽が同じように微笑むと、灯希は巽の手を離し、ぎゅっと巽の体を抱きしめた。そのままキスをして首筋に、胸にと唇の痕を付けていく。強く吸われたそこからじんじんと熱を持って、肌全体に広がっていく。もうどこに触れられても熱くて気持ちいい。
「巽さん、俺に触られるの好きそうだよね。いつもとろけた顔してくれる」
灯希が巽の胸の先に触れ、それを捏ねるように指先で愛撫する。その刺激に巽は喉の奥から声を漏らした。それだけで達してしまいそうなほど気持ちいい。
「あ、ん……灯希、の手……好き、だから……」
大きくて固いその手は巽に触れる時はとても優しくなる。年下だからとか甥っ子だからとか、そんな理由でずっと我慢していたが、灯希に触れられると自分が安心することを随分前から分かっていた。これまでは分からないフリをしていた。
「そうだったんだ。じゃあいっぱい触るよ」
灯希がもう片方の手を巽の背中から尻へと撫でおろし、そのまま後孔へと指先を潜り込ませた。乾いた指のはずなのにそれはとても簡単にするりと巽の中へと入っていく。
「巽さん、いっぱい蜜零してくれてるから、こっちまで濡れてる」
灯希が耳元でささやき、巽はその言葉に驚いて自身の体を見下ろした。直接触れられていないのに、巽の中心は嬉しくて泣いているようにとろりと蜜を零していた。
「灯希、見るな」
巽が恥ずかしさから、灯希の頭を抱き寄せ、胸に付ける。灯希とこうして抱き合えることは嬉しいけれど、それを体が表現していることは、やっぱり視覚的に恥ずかしすぎる。
素直に胸に顔を埋めてくれた灯希だったが、次の瞬間、巽の乳首がべろりと舐められ、巽はびくりと肩を揺らした。
「や、灯希……」
「もったいないから、よく見せてよ。それだけ俺が好きってことでしょ。体が、ちゃんと俺に抱かれたがってるなんて、俺はめちゃくちゃ嬉しい」
灯希は巽を見上げて微笑んでから、再び唇と舌で乳首を愛撫し、後ろの蕾を開かせていく。巽は自分の甘ったるい声を聞きながらこのまま灯希にばかり翻弄されたくないと思い、灯希、とその名を呼んで視線を向けた。
「もう、いいから……挿れたいんだろ、それ」
巽は脚を開き、自分から差し出すように少し腰を浮かせ、灯希の下半身をじっと見つめた。履いている下着は既に色を変え、中の形をくっきりと浮かび上がらせている。
これで誘えているのか分からなかったが、灯希の中心が脈打ったところを見れば、いくらかは効果があったのかもしれない。
「巽さん、どこで覚えてきたの? そんな煽り方……今日は巽さんのことちゃんと抱ける初めての日だから優しくするつもりだったのに」
灯希は少し眇めた目を巽に向けてから、巽の腰を抱え上げた。後孔にぴたりと自身の中心を付けたかと思うと、そのまま一気にそれを奥まで穿つ。
巽がその衝撃と刺激に息をのみこんだ。
「巽さん、今度は体も俺じゃないといけないようにするから……期待してて」
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