別冊 用心棒な家政夫

ハジメユキノ

文字の大きさ
2 / 5

着物デート〜散策篇〜前編

しおりを挟む
二人一緒の休日はを取るのは実は中々難しい。拓馬は消防署勤務だから土日休みってわけにもいかないし、伊織はイベント事が無い時は大抵土日休みだ。なので、伊織が拓馬に合わせて有休を取った。

「棗叔母さんに、もっと有休取りなさいって言われてたんです(笑)。だから、拓馬が恐縮することないですからね?」

棗叔母さんとは伊織の母きょうの妹で、伊織の勤め先であるフラワーアレンジメント会社の経営者だ。姉である杏とよく似た風貌だが、会社を経営してるだけあって性格は正反対。美人だけど…おっとりとした母と違ってちょっと怖い。

「伊織は真面目だからな(笑)。これからは俺の休みに合わせて、もっと有休取ってくれる?」

拓馬が琥珀色の瞳を輝かせて僕を見ていた。

「伊織が帰ってくるの待ってるのって…寂しいんだよ?」
「拓馬…。ごめんなさい。僕、仕事楽しくって……。」

そんなに寂しい思いをさせてしまっていたなんて…。
伊織が反省してる!可愛いなぁ…♡

「嘘だよ、嘘!帰ってくるまでに伊織の好きなご飯作らなくちゃだし、どうせ待ちきれなくて迎えに行っちゃうし(笑)」

午前中にトレーニングを終わらせて、午後は食料品の買い出し。帰ってきて作り置きのおかずを沢山用意して、夕方4時位に伊織の職場近くまで出かけて、デパートで伊織に似合いそうな服を見てたりしてる…。よく考えたら、ほぼ一日中伊織のことばっかり考えてるな(笑)。

「だから、大丈夫。伊織がイキイキしてる方が俺も嬉しいし!」
「よかったぁ……。」

本当にホッとしている様子の伊織を見て、ちょっとからかい過ぎたと反省。

「ごめんごめん!伊織、ご飯にしよう?明日は朝から鎌倉までドライブだよ(笑)」
「そうですね!二人で旅行なんて…楽しみすぎて眠れなかったどうしよう(笑)」

それなら大丈夫!ちゃんとぐっすり眠れるように可愛がるから♡

「拓馬?今晩はゆっくり休みましょうね?明日長距離ドライブでしょ?」
「ゔ………。はい。」


バレてる……。

「さ!ごはんごはん!今日のおかずは何ですか?」
「今日は肉じゃがだよ!朝作って冷ましておいたから、味…シミシミ(笑)」
「わぁ!僕、拓馬の肉じゃが大好きです!!」
「だろ?この前職場でもらったジャガイモが美味しそうだったからね(笑)」

早く早く!とテキパキ食卓を整え、肉じゃがの盛られた大皿を見つめる伊織のワクワクとした可愛い顔♡
俺はこっちが食べたいのにな(笑)。

+++

「運転中は帯の結び目が当たらないように、片ばさみにしておきますね。」

朝ごはんを食べ終え、伊織に着物を着付けてもらっていた。
姿見に映る伊織の背中は、さすが小さい頃から着物に慣れ親しんだだけ合って、着付けてくれている手元に迷いがない。自分で着ることが出来たらもっと一緒に楽しめるんだろうなと、俺は鏡の中の伊織を見て思っていた。

「やっぱり…似合う。」

僕はいつも拓馬を見ていて、着物を着せたら格好いいだろうなぁって想像して…ワクワクしていた。仕事柄逞しく鍛え上げられた体は、着物に包まれてもその片鱗が見て取れた。胸板が厚くて腰の位置が高く、お尻がキュッと引き締まっている。着物を着ていると、それがやたらと色気を醸し出す。

「格好いい…。」
「ありがと♡」

俺の伊織も、相変わらず着物を着ると更に…色っぽい。華奢な体を包む着物から出ている細い首筋や手、足先まで品があって美しかった。

「デニムだから…ちょっと抱きしめていい?」
「へ?」

ちょっと硬めの生地が僕の頬に押し付けられた。着物を通しても拓馬の体温と匂いに包まれて、僕は力が抜けていくのを感じた。

「シワを気にしなくていいって…嬉しいね♡」

それは…僕を抱きしめられるから?
そんな考えが頭に浮かんで、顔が沸騰するのが分かって……。真っ赤な顔を見られたくなくて拓馬の腰に腕を回して強く抱きついた。

「伊織…耳、赤いよ(笑)」
「だって…拓馬が……。」
「だって相変わらず着物の伊織は色っぽくて…(笑)」

僕はこのままだと出かけられない!と無理やり体を引き剥がした。

「もう行こう!せっかくお昼も予約してるんだし…。」

まだ赤い顔の僕の頬に、拓馬はわざとリップ音高くキスをした。

「はいはい(笑)。行きましょ♪」

クスクスと笑う意地悪な拓馬に、僕はほんの少しだけ頬を膨らませた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...