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遺された愛
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俺が優作のマンションに帰ると、優作はまだ帰っておらず家の中はしんと静まり返っていた。
ダイニングの椅子に脱いだ上着を掛け、冷蔵庫から水を出して飲んだ。冷たい水が喉から胃に流れ込み、背筋をブルっと震わせた。
「優作…。陸玖が帰ってきた。幸せになれって手紙を遺してくれてた…。」
テーブルに突っ伏して泣いている内に、いつの間にか眠ってしまっていた。
「芹、せり…」
肩を揺すっているのは…優作?
「どうしたんだ?泣いてたのか?」
ぼんやりとした視界が次第にはっきりとしてくると、目の前に優作の心配そうな顔が見えた。
「あっ…。おかえり」
「うん。ただいま、芹。どうしたんだ?何かあったのか?」
「…あった。」
「なに?」
俺は優作の腰にしがみついた。
「芹?」
「優作…。りく、りくの手紙が昼間届いたんだ…」
「りくって…。お前の恋人だった人?」
「一緒に取材してたアメリカ人が送ってくれた…」
それだけ言うと、あとは言葉にならなかった。
椅子に腰掛けたまましがみついて泣きじゃくる俺を、優しく包み込んで背中をさすっていた。
しばらく経ってようやく落ち着いて来た頃、優作が言った。
「何て書いてあったんだ?」
俺はまだ嗚咽が止まらなくてつっかえつっかえ答えた。
「幸せに…幸せになれって」
「うん。そうか…」
「なんだか…遺書みたいだった」
「うん」
「怒っても泣いてもいいからって。忘れても怒らないからって…」
愛してたんだな。芹のこと、本当に大事にしてたんだ。
「俺、優作を愛しちゃって…。本当はずっとごめんって思ってた。陸玖を忘れたら非道い人間になるって思ってた」
「うん…。そんなの一緒に背負ってやるさ(笑)」
優作は芹の頬を優しく撫でた。その優しい手を掴んで、芹は目をつぶってじっと悲しみに耐えていた。
泣き疲れて、芹はベッドに入るとあっという間に眠りに落ちた。固く閉じられた瞼は、泣きすぎた為か少し腫れていた。
「敵わないな。お前をこんだけ動揺させるんだから…」
芹、芹…。愛してる。
「そんなに愛されたら、そりゃ置いていかれたらおかしくなるな…。」
時々閉じられた瞼から漏れてくる涙を指で優しく拭った。
「芹…。俺でいいのか?お前の傍にいるのは、俺で足りるのか?」
そんな風に思っても、俺が傍にいなくなったらこいつはまた寂しくて同じ事をするだろうな…。
「俺じゃ役不足だって言われても、俺には芹しかいないんだ」
前髪を指で撫で上げて、皺の寄った眉間に優しくキスをした。ふっと緩んだ眉間を指で伸ばした。厳しい顔からやっと力が抜け、安らかな寝顔になった。
ベッドを揺らさないようにそっと潜り込んだ。芹の頭をそっと抱えて目を閉じた。
こいつのことは俺に任せてくれ。間違っても連れていったりしないでくれ。誰にも触らせたくない…。
そんなことを思って抱き締めていると、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
ダイニングの椅子に脱いだ上着を掛け、冷蔵庫から水を出して飲んだ。冷たい水が喉から胃に流れ込み、背筋をブルっと震わせた。
「優作…。陸玖が帰ってきた。幸せになれって手紙を遺してくれてた…。」
テーブルに突っ伏して泣いている内に、いつの間にか眠ってしまっていた。
「芹、せり…」
肩を揺すっているのは…優作?
「どうしたんだ?泣いてたのか?」
ぼんやりとした視界が次第にはっきりとしてくると、目の前に優作の心配そうな顔が見えた。
「あっ…。おかえり」
「うん。ただいま、芹。どうしたんだ?何かあったのか?」
「…あった。」
「なに?」
俺は優作の腰にしがみついた。
「芹?」
「優作…。りく、りくの手紙が昼間届いたんだ…」
「りくって…。お前の恋人だった人?」
「一緒に取材してたアメリカ人が送ってくれた…」
それだけ言うと、あとは言葉にならなかった。
椅子に腰掛けたまましがみついて泣きじゃくる俺を、優しく包み込んで背中をさすっていた。
しばらく経ってようやく落ち着いて来た頃、優作が言った。
「何て書いてあったんだ?」
俺はまだ嗚咽が止まらなくてつっかえつっかえ答えた。
「幸せに…幸せになれって」
「うん。そうか…」
「なんだか…遺書みたいだった」
「うん」
「怒っても泣いてもいいからって。忘れても怒らないからって…」
愛してたんだな。芹のこと、本当に大事にしてたんだ。
「俺、優作を愛しちゃって…。本当はずっとごめんって思ってた。陸玖を忘れたら非道い人間になるって思ってた」
「うん…。そんなの一緒に背負ってやるさ(笑)」
優作は芹の頬を優しく撫でた。その優しい手を掴んで、芹は目をつぶってじっと悲しみに耐えていた。
泣き疲れて、芹はベッドに入るとあっという間に眠りに落ちた。固く閉じられた瞼は、泣きすぎた為か少し腫れていた。
「敵わないな。お前をこんだけ動揺させるんだから…」
芹、芹…。愛してる。
「そんなに愛されたら、そりゃ置いていかれたらおかしくなるな…。」
時々閉じられた瞼から漏れてくる涙を指で優しく拭った。
「芹…。俺でいいのか?お前の傍にいるのは、俺で足りるのか?」
そんな風に思っても、俺が傍にいなくなったらこいつはまた寂しくて同じ事をするだろうな…。
「俺じゃ役不足だって言われても、俺には芹しかいないんだ」
前髪を指で撫で上げて、皺の寄った眉間に優しくキスをした。ふっと緩んだ眉間を指で伸ばした。厳しい顔からやっと力が抜け、安らかな寝顔になった。
ベッドを揺らさないようにそっと潜り込んだ。芹の頭をそっと抱えて目を閉じた。
こいつのことは俺に任せてくれ。間違っても連れていったりしないでくれ。誰にも触らせたくない…。
そんなことを思って抱き締めていると、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
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