ラストレター

ハジメユキノ

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Extra edition~撮影旅行~

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「ごめんな。ほんとは海外でも連れていってやりたかったんだけど…」
「いいよ。忙しいんだし、それはお互い様だろ?」

芹は報道カメラマンに戻り、仕事の合間に優作が好きな風景写真を撮るようになっていた。

「それにしても、何で九州?」
「あんまり来たことなかったし、自然が凄い所だろう?ここなんか太古の神様の地だ。来たかったんだ…」

ここは天孫降臨の地だ。ここを選ぶとは、見た目のイメージとは違う優作の別の顔を見たように思った。
そそり立つ崖の間を流れる清流。その先に滝が見える。

「不思議だ。何だか懐かしい感じがする」

一緒にこの滝の前に立ったことがあるような、不思議な感覚。

「こんな所で手なんか繋いで、誰かに見られたら恥ずかしいかな?」

恥ずかしい?この男が?

「でも、俺も不思議な感覚がしたよ。一緒にこの滝の前に立ったことがあるような…」
「だろ?俺も思ったんだ」

滝の透明な飛沫を浴びていると、世俗の垢が洗い流されていくような気分になる。

「ここの写真飾ったら、空気まで綺麗になりそうだな(笑)」
「空気清浄機(笑)」

ふざけて笑う俺に、優作がふと呟いた。

「芹、最初に俺が気に入ったあの写真。あの人と一緒に行ったところなのか?」

優作はこちらを見ずに、滝に向かって視線をおくっていた。

「昔ね…」

芹がポツリと言った。

「それを聞いても、俺はあの写真が好きだよ。あれが芹を好きになるダメ押しだったからな(笑)」

芹を見て、優作が笑う。芹はカメラを離し、優作の手を握った。

「神様に見てもらおう」
「何を?」
「ここで愛を誓うので、証人になって下さいってね」

いい年をした男二人が真剣に愛を語る姿は滑稽だろうか?でも…。

「いいね。神様に誓えば芹も俺の気持ちが本物だってわかるだろ(笑)」

神様に誓わなくも、もう知ってる。
真剣に滝に向かって目を閉じて祈る優作の横顔を、芹は自分の脳裏に焼き付けた。
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