倫理観の叩き直しが必要です!

ハジメユキノ

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リオネル社

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「榊くん。この前の話なんだけど…。進んでる?」
……………………………………………………………………
影山部長に資料室に来るように耳打ちされ、私は斎生と美月にイヤフォンを付けておいてと頼んでおいた。二人が使うのは、外からは全く見えない骨伝導タイプの高性能のイヤフォン。私は極小のマイクを仕込んでいる。マイクに取り込まれた会話は、自動的にボスの元に保存されている。どちらもボスが用意してくれたものだ。
「榊さん…。僕も一緒に行きます!」
「ダメに決まってんでしょ!」
美月に怒られてる斎生を見て、私は知らず知らず顔がニヤけていたみたい。私…。めっちゃ愛されてる♡
「玲児…。その顔何とかしてから行ってよね!」

資料室には影山部長が私を待っていた。
「おお!榊くん。会いたかったよ…」
「部長…」
やらしさの中に、愛おしさを秘めた目で私を見てる!寒さ倍増なんですけど!
「榊くん。この前の話なんだけど…」
「ええ、先方にその旨伝えてあります。それでですね。このリオネル社って…。すみません。私、勉強不足で名前を存じ上げないのですが…」
「ああ。小さい会社だからね」
「コンプライアンス上、確かめておきたいことが…」
「ん?何だね?」
何だね?じゃないわよ!ヤクザな会社だったら困るでしょうが!
「このリオネル社なんですが、その…。反社が関わっているかどうかの調査は…?」
影山は余裕綽々に笑った。そこ、笑うとこなの?
「それなら大丈夫だよ。…内緒だけど、俺の友人の会社なんだ。奴はいいとこのボンボンでね。遊んで暮らしてる男なんだよ。俺がお願いしたら、名前貸してやるよって…。その友人が取締役になってくれてるんだ」
「では…。貴方には危険は無いんですね?」
影山がすごく嬉しそうな顔をした。な、何?
「榊くん♡そんなに俺のこと心配してくれてるんだね…。嬉しいよ」
私の手を取り、撫で撫でし始めた!や~ん!やめて!
「君にも手当…必要だよな?」
お手当下さるの?嬉しいわって…。いるか!
「部長?私、貴方のお役に立てるだけで…幸せです♡」
ん?どうしたのかしら?
影山は私の肩に手をかけ、下を向いて肩を震わせていた。
「部長?大丈夫ですか…?」
って言うか言わないかの瞬間、私、部長の腕の中。
「俺、君に本気になってしまいそうだ…」
私ってば罪な男♡でも…。後で斎生に上書きしてもらわなきゃ♡
「あっ!大変!そろそろ出ないと…。私、これから取引先に行かなきゃならないんです…。寂しいですけど♡」
「ああ、すまない。気を付けていってらっしゃい…」
と、ここで影山のとどめの一言。
「俺も離れたくないよ♡」
斎生聞いてる?また、やきもち爆発しちゃうかしら♡

「え!抱きしめられた?!」
斎生が拳を握り締め、いつもは少し垂れ気味の目がつり上がった。
わっ!怖~い♡でもこれは私が誘ったわけじゃなくて、不可抗力なのよ。
「ごめんなさい…。心配?」
「…。当たり前じゃないですか!」
美月が聞こえるように大きなため息をついた。
「私は何を見せられてるのかしら💢イチャつきたいなら帰ってからにしてほしいわ…」
「いや、そういう訳じゃなくて、僕は榊さんが心配だったから」
「玲児の顔見てみなさいよ!すっかり溶けてるわよ💢」
玲児はデスクに両肘を突き、手にあごを乗せて斎生を嬉しそうに見ていた。
「私、愛されてる♡」
「ほらね」
僕はホントに純粋に心配したのに…。
「榊さん?部長のこと、煽りすぎです!」
あっ!やきもち♡
「ふふっ♡」
「あんなに好かれなくたっていいのに…」
これは…。今晩お仕置きかな♪
「玲児」
「あ!ボス(笑)」
「ご機嫌だな(笑)」
「はい♡」
ボスは僕を見て笑った。
「斎生くんがいるだけで玲児が幸せそうだよ(笑)」
西さんが遠くでクスクス笑っていた。でも、ちゃんと手は止まらない。さすがそば店店主!仕込みの手は止めませんね(笑)。
「美月にしっかり食べてもらえるように、ヘルシーだけど食べ応えのある優しいカツ丼作ってるからね。待ってて!」
「え~!カツ丼大好きなんだけど、カロリーがね~…」
「大丈夫なんだよ。あのテレビでもやってたお豆腐使ったカツだから」
「お豆腐!嬉しい(笑)」
お父さんが二人。ボスと西さん。美月さんが心配なんだな…。
「斎生?何?嬉しそうにして」
「え?何だかボスと西さんが美月さんのお父さんみたいで(笑)」
「そうだよ(笑)」
ボスと西さんが同時に認めた(笑)。
「パパが二人なんて、私大切にされてる♪」
「そうさ!大事な大事な娘だからね」
ボスがウインクした。こんなに心配してくれてる人達がいれば美月さんは大丈夫だ。
「さ、美月。たんとお食べ(笑)」
「ありがと~!パパ♡」
「玲児も斎生くんも食べて!今日も一日大変だったでしょう?」
「いただきます!」
お豆腐の間に甘辛に味付けされたひき肉がたっぷり入ったカリカリに美味しく揚がったカツを、お蕎麦屋さんの美味しい出汁でタマネギと煮てフワフワの卵でとじてある…!
「柔らかっ!」
「パパ♡美味し~!」
美月さんの顔がほころんだ。二人のお父さんが可愛い娘の喜ぶ顔にデレデレになっていた(笑)。
「斎生。後でちゃんと消毒と上書き…。してね♡」
消毒と上書き?何を消毒?何のデータを上書きするんだろ?
僕が怪訝な顔をするのを見て、榊さんは可笑しそうに笑った。ボスも西さんも美月さんも笑っていた。僕だけ分かってない感じ?

食事が終わるとみんなでテーブルを囲んだ。
「今日、玲児が影山から情報を引き出したリオネル社なんだけれど、二年前に作られた会社だったよ」
二年前…。紗江子さんが亡くなったのが一年前だから、その前から水増し請求は始まってたのか?
「会社の定款にはコンサルティング、企画制作、インターネット関連、広告…」
「要するに何でも出来ると?」
「そうだね。でも事業実態はないようだ」
「何が来ても対応出来るように登記してるって事ですか?」
「その通り。代表者や従業員にウチの会社の人間の名はない。ただ、影山の友人が代表になっているのは確かだね」
「影山の懐にどうやって入っているか。あとは佐川と…」
「これだけの事をするんだ。最低でも上にもう一人必要だろう…」
一也さん…?いや、でも…。会社をもてあそぶようなことするだろうか?父親に反抗するにしたって、母親を悲しませるようなこと…。
「まだまだ情報が足りないって事ね」
「少し泳がせましょうね…」
一体誰が黒幕なのか…。まだ榊さんを危ない目にあわせなきゃいけなさそうで、僕はやだなぁと思っていた。
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