僕の背中

ハジメユキノ

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可愛い激おこ

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「ただいま~…。」

智也の返事がない。僕が家に帰ると、智也は眠ってしまったらしく家の中はしんとしていた。
リビングの灯りは点いていたけれど、キッチンは暗くすっかり片付いて食洗機にも食器は入っていなかった。
明日の朝食べるように買ってきたのか、いつものパン屋さんの食パンが一斤、カウンターに載っていた。

「随分早寝だな…。疲れたのかな?」

寝室を覗くと、しっかりと眠っている気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。

これは…何しても起きないな(笑)。

智也の眠りを妨げないように気をつけながらベッドに近づき、揺らさないように腰掛けた。
智也が僕に気を遣って授賞式のパーティーに顔を出さなかったのは分かっていた。

「でも、僕は大事なパートナーがいる事を話しちゃったよ。智也に許可取らなくてごめんね…。」

髪を優しく梳いた。こうすると、智也はいつも気持ちよさそうにニコッと微笑む。

「もう、智也を泣かせるような事はなくなるよ。大体、お見合い話なんて脅されたって受けるわけないのに…。」

確かにもっと大きな仕事を回してくれるような事を言われたけど…。僕は自分の仕事は自分の力で勝ち取ってきた。もし、妨害されるような目に遭ったって、智也を手放す理由にはならない。

「賞なんて獲ったからって、僕のスタンスは変わらない。僕は事務所を維持して、みんなにきちんとお給料を払う。そして、その上で時々僕の好きな仕事が出来ればいいんだから。」

僕を心配していた智也の必死な顔が浮かんだ。自分のせいで不利な目に遭わせたくないって、僕の事ばかり考えて…。

「それよりも、僕が話してしまったことで智也になにか迷惑がかからないといいんだけど…。」

*******

朝起きると、端正な寝顔がすぐ目の前にあった。
奥二重の切れ長の目はしっかりと閉じられて、睫毛が下まぶたに影を落としていた。すっと通った高い鼻、軽く閉じられた唇は薄いのに触れると柔らかい。
俺の大好きな人は…朝が弱いんだよね(笑)。

昨日は授賞式やらパーティーやらで、気を遣ってきっと疲れたに違いない。せっかくの一緒の休日だけど…少し多めに寝かせてあげよう(笑)。

*******

鼻をくすぐるいい匂い…。これは…僕の好きな卵サンド?
コーヒーの香ばしい香りと、煮込んだトマトのような香り。スープかな?
パリパリとレタスをちぎるような音。手慣れた何かを刻む包丁の音が耳に心地いい。
お腹がぐうぐう鳴って、智也が僕に向ける笑顔を思ったら…眠気が吹き飛んだ。シーツをパッと剥がして起き上がった。
枕元の眼鏡を掛け、僕の大好きな可愛い子の元へ(笑)。

「あれ?早いね。おはよ(笑)」

さっき思い描いた通りの笑顔が眩しくて、僕は頬が緩んだ。

「おはよ…。お腹空いた。」
「昨日はご馳走だったんじゃないの?」
「緊張してたし、挨拶ばっかりしてたから…小鳥くらいしかつまんでない(笑)」

智也は可笑しそうに笑って、僕の頬にキスをした。

「お疲れ様。今日は疲れてるだろうから、ゆっくり家で過ごす?」
「いいの?」

僕の頭を抱き寄せて美味しいキスをくれた。
僕は腰を抱き寄せて、さらに深いキスを返した。
智也の腰が砕けそうになってる(笑)。グッと僕の胸を両手で押し返し、無理やり僕を剥がした。

「あとでね。お腹ペコペコなんでしょ?食べよ!」

*******

フワフワのパンに、荒く潰したゆで卵にマヨネーズ、マスタード、粗挽き胡椒を混ぜた具とパリパリのレタスをタップリ挟んだ卵サンド。
トマトの香りはミネストローネだった。僕が苦手なセロリも細かく刻んで、たっぷりの玉ねぎにじゃがいもとキャベツ、ズッキーニに人参、ベーコンが入ってる。しっかり炒めた野菜が甘くて、智也の作ったミネストローネしか僕は食べられない(笑)。

「コーヒーは?」
「僕はカフェオレがいいな♡」

起きたての秀人は、相変わらず目が線みたいに細くて可愛い。

「何?ニコニコして(笑)」
「うん…。朝の秀人はやっぱり可愛いなって思ってさ(笑)」

あっ!ムッとした(笑)。仕方ないでしょ。本当にそう思うんだから。
ムスッとしたまま卵サンドをパクリ。細かった目が大きくなった(笑)。

「美味しっ!今まで食べた中で一番!!」

僕の最大の賛辞に智也が笑う。

「大げさ(笑)」
「だってホントに美味しい!」
「はいはい。ありがと(笑)」

点数が甘すぎ(笑)。お店のと違うと言ったら…プラス愛情ですかね(笑)。
秀人の前に並べた卵サンドは、ものの3分ほどで消えた。そんなに美味しかった?まぁ…空腹は最高の調味料ですけどね(笑)。

ミネストローネには苦手なセロリ入れちゃったけど、ちゃんと完食してる。カフェオレもお代わりした。あまりの食べっぷりに、俺の分の卵サンドを一切れあげた。

「ごめん。食べ過ぎだよね(笑)」
「作った甲斐がありました(笑)」

俺はふと、気になったことを口にした。

「秀人?何でそんなに緊張したの?人前に立つこと…苦手だった?」

この人が人前で緊張することは滅多に無い。いくら授賞式だからって、これが初めてではなかったはず。
じゃあ…何で?

「えぇっと……。」

何故か口ごもる。これは…何か隠してるな?
俺は秀人の目をまっすぐ見つめた。眼鏡の奥の瞳が揺らいでいた。

「秀人?俺に何か言うことあるんじゃないの?」

さすが…智也には敵わない。
僕はでも、別に浮気してきたわけでもなく、愛してるのはこのちょっと怒ってる可愛いこの子だけ。
ただ、勝手に発表してきちゃったけれども。

「あのね…。」
「はい。」
「だからね。」
「ええ。どうぞ?」

どうぞだって!何だか怖いな…。

「ごめん!みんなの前で話しちゃった!!!」
「えっ?」

俺に向って手を合わせて拝むような姿。ぎゅっと目をつむり、まるでこれから俺に雷を落とされるのを予感して許しを請うような…。
まっ!まさか…!!

「挨拶してって頼まれた時、最後に僕には男性のパートナーがいますって。なんて思われても僕は凄く幸せですって…。」
「…!」

秀人は俺を抱きしめた。

「ごめん。泣くほど嫌だった?」

どうしても止められない涙が後から後から零れ落ちてしまう。嗚咽で揺れる体は、秀人の大きな体にすっぽりと覆われていた。フルフルとかぶりを振る俺の髪に、秀人の唇が優しく触れる。

「な、なんでそんな事…。ダメでしょ…。」
「なんでダメ?本当の事だよ?」
「ダメだもん…。」
「ダメじゃない。僕の大事な人は一人しかいないんだから…。」

秀人は俺の頬を両手で挟んで、強引に自分の方に向けた。

「良いの。僕は幸せなんだから…。」

泣き止まない俺をベッドまで運んだ。

「可愛いんだから♡」
「ダメだもん…。」
「良いの。僕がいいっていうんだから良いの。」

イヤイヤをする幼子のように僕の胸に顔を埋め、僕のシャツを湿らせていた。この可愛い子をどうしてくれよう♡

玉ねぎを剥くように、智也の服を脱がせていった。智也は僕の首にかじりつくように抱きついて、頬に濡れたまぶたを擦りつけてくる。

「まだ泣いてる(笑)」
「仕方ないでしょ!」

僕はさっきからずっと怒られてる。
でも何故かとても可愛くて、グズグズになるまで甘やかしたくて仕方ない。体中に唇を当てて、可愛い全てをペロッと舐めたい。
僕は自分がしたいと思ったことを全部やった。僕の欲が白い肌を薄桃色に染めていく。
とても…可愛い。

「ひでと…。」

僕の名前を呼ぶ声が、甘さを増していく。この甘い声は僕を欲しがってるサイン。
僕は軽く開いた智也の唇を食み、メリメリと智也の中を拡げていく。
体がビクンと跳ねた。そのまま可愛いお尻を持ち上げ、奥へ奥へと挿し込んでいく。
ダメだと怒られるけれど、カラダは僕を絞って離さない。甘い声は高く、言葉にならない愛を叫んでいた。

壊してしまうんじゃないかな…。
キュウキュウと締め付けるソコは、僕の理性も壊していく。叩きつけるように僕に擦りつけられるソコを攻め続けた。

僕はこんなにこの子が好きなんだ。
僕に揺さぶられ、掠れた喘ぎ声を出すこの子。
いくら怒られても…僕は離してあげられないよ?
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