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開かれた扉
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駅まで奏を送ってきた周作が戻り、雪はハルに奏がハルの実の父親の恋人だと告げた。
「え!奏さんがあの人の恋人なの!なんで言ってくれなかったの!」
「だって言ったらそういう目で見ちゃうでしょう?」
「それは…」
「それに、奏さんはお母さんのお友達だから」
ハルはそうなんだけどさ…と納得のいかない顔をした。
「お父さんは知ってたの?」
「もちろん!」
ハルは何だかだまし討ちにあったような気持ちになり、
「僕だけ知らなかったんだ…。そんなのずるい!」
「そう言うのもわかるけどな」
周作はハルの目を見て言った。
「ハルは奏さんのことどう思った?」
「優しくて可愛い、いい人だったよ」
ハルはさっきまでの奏さんを思い出していた。お母さんと一緒に夕飯作りをしてくれて、一緒にごはんを食べてるとき、美味しい美味しい!って嬉しそうだった。帰りもきちんと挨拶してくれて、すごく楽しかったって言ってた。
「僕は奏さん好きだよ」
「俺もすごくいい子だと思ったよ。駅まで送ったとき、俺彼女の中に雪に似たところがあるなって思ったんだ」
雪はふるふると頭を横に振って、
「奏さんの方がしっかりしてて、全然違う!」
と申し訳なさそうな顔をした。
「俺は雪の優しくて芯の強い所が似てるなって思ったよ」
周作はハルに向き合って言った。
「ハル。自分の目で見て話してみて判断することは、これから先も必要なんだよ」
「判断を間違えたら?」
ハルが不安そうに言うと、
「間違える事なんて誰にでもあるんだ。間違えない人なんていない。俺だって間違ってばっかりだよ」
「お父さんは何で間違えたの?」
「俺?捕まえた犯人殴り倒した…」
「えっ?」
「あっ!一回だけだよ!クビになりかけたし、ナベさんに迷惑かけたからもうやんない」
「当たり前です!」
周作は雪に叱られた。
「お父さんて…」
「だから、大人でも間違えるし、間違えたらまたやり直せばいいの!」
「…。僕は僕の目で見たことを判断すればいいんだね」
ハルは一人考え込む様子で、周作と雪はそんなハルを黙って見守っていた。
奏は雪に時々連絡をくれるようになった。先にラインをよこして、電話出来そうならかけてくるというなんとも律儀な方法で…。
「奏さんってえらいわね~…」
「えっ?何でですか?」
雪はほとほと感心した様子で、
「だって私、取引先でもないのに、ちゃんと様子を伺ってから電話してくるんだもの」
奏は電話の向こうで笑った。
「取引先って!ただ、忙しい時に束縛してしまうのがイヤなだけです(笑)」
「でも、優しいね」
「照れますよ…。やめて下さい(笑)」
そんなことより…と話を戻した。
「ハルくん怒ってなかったですか?私、嫌われちゃったかな…」
奏はもうハルが可愛くなってしまっていたので、雪から父親の恋人なんだよと話したと聞いてビクビクしていた。絶対もう会ってくれないなと落ち込んでいたのだ。
「ん~?そうでもないかもね」
「えっ?」
奏の声が明るくなった。
「奏さんの事は全然悪く言ってなかったの。周作さんがね、自分の目で見たことを判断しなさいって言ったの。それからずいぶん長い間考え込んで…。そのあとは何だか吹っ切れたような…」
「何か言ってました?」
「僕は自分の目で見たことを信じるって」
「…それって?」
「僕が見た奏さんは優しくて可愛い良い人だって。僕は奏さんの事は好きだって!」
「そうですか…」
そう言ったきり、しばらく奏は電話の向こうで黙ってしまった。
「奏さん?」
「はい!すみません!ほっとして喜びをかみしめてました(笑)」
「電話なんだから喋って(笑)」
雪はそれから奏にある提案をした。仕事をしている浩介の姿を遠くから見せたらどうかと…。奏はちょっとハルの精神面を心配していたが、周作と雪はハルは何かしら自分の答えを出すんじゃないかと考えていた。
「え!奏さんがあの人の恋人なの!なんで言ってくれなかったの!」
「だって言ったらそういう目で見ちゃうでしょう?」
「それは…」
「それに、奏さんはお母さんのお友達だから」
ハルはそうなんだけどさ…と納得のいかない顔をした。
「お父さんは知ってたの?」
「もちろん!」
ハルは何だかだまし討ちにあったような気持ちになり、
「僕だけ知らなかったんだ…。そんなのずるい!」
「そう言うのもわかるけどな」
周作はハルの目を見て言った。
「ハルは奏さんのことどう思った?」
「優しくて可愛い、いい人だったよ」
ハルはさっきまでの奏さんを思い出していた。お母さんと一緒に夕飯作りをしてくれて、一緒にごはんを食べてるとき、美味しい美味しい!って嬉しそうだった。帰りもきちんと挨拶してくれて、すごく楽しかったって言ってた。
「僕は奏さん好きだよ」
「俺もすごくいい子だと思ったよ。駅まで送ったとき、俺彼女の中に雪に似たところがあるなって思ったんだ」
雪はふるふると頭を横に振って、
「奏さんの方がしっかりしてて、全然違う!」
と申し訳なさそうな顔をした。
「俺は雪の優しくて芯の強い所が似てるなって思ったよ」
周作はハルに向き合って言った。
「ハル。自分の目で見て話してみて判断することは、これから先も必要なんだよ」
「判断を間違えたら?」
ハルが不安そうに言うと、
「間違える事なんて誰にでもあるんだ。間違えない人なんていない。俺だって間違ってばっかりだよ」
「お父さんは何で間違えたの?」
「俺?捕まえた犯人殴り倒した…」
「えっ?」
「あっ!一回だけだよ!クビになりかけたし、ナベさんに迷惑かけたからもうやんない」
「当たり前です!」
周作は雪に叱られた。
「お父さんて…」
「だから、大人でも間違えるし、間違えたらまたやり直せばいいの!」
「…。僕は僕の目で見たことを判断すればいいんだね」
ハルは一人考え込む様子で、周作と雪はそんなハルを黙って見守っていた。
奏は雪に時々連絡をくれるようになった。先にラインをよこして、電話出来そうならかけてくるというなんとも律儀な方法で…。
「奏さんってえらいわね~…」
「えっ?何でですか?」
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奏は電話の向こうで笑った。
「取引先って!ただ、忙しい時に束縛してしまうのがイヤなだけです(笑)」
「でも、優しいね」
「照れますよ…。やめて下さい(笑)」
そんなことより…と話を戻した。
「ハルくん怒ってなかったですか?私、嫌われちゃったかな…」
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