10 / 17
再開
しおりを挟む
奏はすっかりごちそうになってお腹も心もいっぱいだった。
「ごちそうさまでした。ご家族も皆さん素敵で楽しかったです」
深々とお辞儀をすると、三人は「また来てね」とそっくりな笑顔を見せた。
「お邪魔しました」
奏が帰ろうとすると、周作が駅まで送ると言ってくれた。
駅までの道すがら、周作は奏と話した。
「俺、あなたに会えて良かったです」
「…。本当に私、来て良かったんでしょうか…」
「もちろん!あなたと話してみて俺はやっとあの人を許そうと思えたんだ」
奏は泣きそうだった。
「!許してくださるんですか?私…彼にその事を告白されて、一緒にいてもいいのか悩みました。許せないと思いました…。でも、雪さんは私に離れないでいてと、誰にも気兼ねなく一緒にいられるならば、一緒にいて幸せになってって…」
こらえきれず涙を流してしまった。
「すみません!外で泣いてたら迷惑なのに」
周作は優しく微笑んでいた。
「そんなに泣くほどあの人が大切なんだね」
「…。ここで、はいって言っていいのか…」
「いいんだよ。あなたはまっすぐあの人を好きでいて…」
「…はい!」
「あはは(笑)素直だね!」
「はい(笑)」
二人は駅まで雪の話で盛り上がった。
「うちの奥さん可愛いでしょ?」
「ほんとに(笑)私、雪さんのファンになっちゃいました」
「あはは(笑)雪に言ったら喜ぶよ!」
周作も素敵だと思った。二人はすごく素敵なご夫婦…。私たちもこんな素敵な夫婦になれるのかな…。
「雪はすごく優しくて、そしてすごく強い。気が強いとかではなく、芯が強いひとなんだ」
周作は頭の中に雪を思い浮かべているんだろう。幸せそうに笑った。
「君にも同じ匂いを感じるよ(笑)」
「ほんとですか?私、うれしいです(笑)」
二人は顔を見合わせて笑った。気を付けてねと周作は駅まで送ると帰って行った。
電車に乗り、浩介のいる家に向かった。この所ずっと帰るのがつらいなって思っていた家に、今は早く帰りたいと思っていた。早く帰って浩介に会いたいと…。
家が近づくと、奏は早足になった。早く早く!と気がせいた。家が見えると、門の前を落ち着かない様子でうろうろしている浩介が見えた。
「浩介さん!」
奏が声をかけると、浩介はちょっと泣きそうな顔になった。その表情を見て、奏は泣きそうになった。
「奏…。帰ってこないかと思った…」
「浩介さん…ただいま(笑)」
奏の笑顔に、浩介も笑顔で応えた。
「おかえり!良かった…帰ってきてくれた…」
奏は浩介の手を掴んで家の中に入った。
「ただいま、浩介さん…」
奏は浩介に抱きついていた。浩介はこらえきれなかった涙が頬を濡らした。自分の持ってる全てを伝えようと、奏の体を抱きしめた。
「俺、奏を失うのかと怖かった。全部自分が招いた事だけど、どんなことをしても奏を失いたくないって…」
奏は浩介の頬に優しく触れ、唇を塞いで最後まで言わせなかった。奏も泣いていた。
「私、雪さんに会ってきたの。会えば何か掴めるかもって…。浩介さんが大好きで、でも許せなくて…。一緒にいていいのか分からなくなってしまったの。もう一人では決められない、あなたが愛した人に会って決めようって思ったの」
「…会ってどう思ったの?」
「雪さんはあなたから離れないでって…。誰にも気兼ねなく一緒にいられるならば、一緒にいて幸せになってって…」
奏は再び浩介に抱きついた。
「浩介さん。雪さんも雪さんのご主人も、浩介さんを許してくれたよ…」
浩介は言葉にならない想いを感じた。俺のしたことを許すなんて…。
「俺は許してくれなくても、ずっと恨まれててもいいと覚悟していた。奏にもずっと怒られててもいいから、それでも一緒にいてほしいと思っていたんだ…」
浩介は人前で初めて泣いた。奏は泣いている浩介を優しく抱きしめた。
「ずっと怒ってるなんてイヤです。一緒に笑っていたいのに(笑)」
奏は明るい笑顔で浩介を見つめた。
「私はあなたが何よりも大切なんです。ずっとずっと一緒にいたいんです。だからもうひどい事はしないで下さい」
「するわけない。奏を傷つけるようなことは絶対にしない。約束する」
奏を優しく抱きしめて男泣きに泣いた。奏は浩介の頭を優しく撫で続けた。
「ごちそうさまでした。ご家族も皆さん素敵で楽しかったです」
深々とお辞儀をすると、三人は「また来てね」とそっくりな笑顔を見せた。
「お邪魔しました」
奏が帰ろうとすると、周作が駅まで送ると言ってくれた。
駅までの道すがら、周作は奏と話した。
「俺、あなたに会えて良かったです」
「…。本当に私、来て良かったんでしょうか…」
「もちろん!あなたと話してみて俺はやっとあの人を許そうと思えたんだ」
奏は泣きそうだった。
「!許してくださるんですか?私…彼にその事を告白されて、一緒にいてもいいのか悩みました。許せないと思いました…。でも、雪さんは私に離れないでいてと、誰にも気兼ねなく一緒にいられるならば、一緒にいて幸せになってって…」
こらえきれず涙を流してしまった。
「すみません!外で泣いてたら迷惑なのに」
周作は優しく微笑んでいた。
「そんなに泣くほどあの人が大切なんだね」
「…。ここで、はいって言っていいのか…」
「いいんだよ。あなたはまっすぐあの人を好きでいて…」
「…はい!」
「あはは(笑)素直だね!」
「はい(笑)」
二人は駅まで雪の話で盛り上がった。
「うちの奥さん可愛いでしょ?」
「ほんとに(笑)私、雪さんのファンになっちゃいました」
「あはは(笑)雪に言ったら喜ぶよ!」
周作も素敵だと思った。二人はすごく素敵なご夫婦…。私たちもこんな素敵な夫婦になれるのかな…。
「雪はすごく優しくて、そしてすごく強い。気が強いとかではなく、芯が強いひとなんだ」
周作は頭の中に雪を思い浮かべているんだろう。幸せそうに笑った。
「君にも同じ匂いを感じるよ(笑)」
「ほんとですか?私、うれしいです(笑)」
二人は顔を見合わせて笑った。気を付けてねと周作は駅まで送ると帰って行った。
電車に乗り、浩介のいる家に向かった。この所ずっと帰るのがつらいなって思っていた家に、今は早く帰りたいと思っていた。早く帰って浩介に会いたいと…。
家が近づくと、奏は早足になった。早く早く!と気がせいた。家が見えると、門の前を落ち着かない様子でうろうろしている浩介が見えた。
「浩介さん!」
奏が声をかけると、浩介はちょっと泣きそうな顔になった。その表情を見て、奏は泣きそうになった。
「奏…。帰ってこないかと思った…」
「浩介さん…ただいま(笑)」
奏の笑顔に、浩介も笑顔で応えた。
「おかえり!良かった…帰ってきてくれた…」
奏は浩介の手を掴んで家の中に入った。
「ただいま、浩介さん…」
奏は浩介に抱きついていた。浩介はこらえきれなかった涙が頬を濡らした。自分の持ってる全てを伝えようと、奏の体を抱きしめた。
「俺、奏を失うのかと怖かった。全部自分が招いた事だけど、どんなことをしても奏を失いたくないって…」
奏は浩介の頬に優しく触れ、唇を塞いで最後まで言わせなかった。奏も泣いていた。
「私、雪さんに会ってきたの。会えば何か掴めるかもって…。浩介さんが大好きで、でも許せなくて…。一緒にいていいのか分からなくなってしまったの。もう一人では決められない、あなたが愛した人に会って決めようって思ったの」
「…会ってどう思ったの?」
「雪さんはあなたから離れないでって…。誰にも気兼ねなく一緒にいられるならば、一緒にいて幸せになってって…」
奏は再び浩介に抱きついた。
「浩介さん。雪さんも雪さんのご主人も、浩介さんを許してくれたよ…」
浩介は言葉にならない想いを感じた。俺のしたことを許すなんて…。
「俺は許してくれなくても、ずっと恨まれててもいいと覚悟していた。奏にもずっと怒られててもいいから、それでも一緒にいてほしいと思っていたんだ…」
浩介は人前で初めて泣いた。奏は泣いている浩介を優しく抱きしめた。
「ずっと怒ってるなんてイヤです。一緒に笑っていたいのに(笑)」
奏は明るい笑顔で浩介を見つめた。
「私はあなたが何よりも大切なんです。ずっとずっと一緒にいたいんです。だからもうひどい事はしないで下さい」
「するわけない。奏を傷つけるようなことは絶対にしない。約束する」
奏を優しく抱きしめて男泣きに泣いた。奏は浩介の頭を優しく撫で続けた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
傷痕~想い出に変わるまで~
櫻井音衣
恋愛
あの人との未来を手放したのはもうずっと前。
私たちは確かに愛し合っていたはずなのに
いつの頃からか
視線の先にあるものが違い始めた。
だからさよなら。
私の愛した人。
今もまだ私は
あなたと過ごした幸せだった日々と
あなたを傷付け裏切られた日の
悲しみの狭間でさまよっている。
篠宮 瑞希は32歳バツイチ独身。
勝山 光との
5年間の結婚生活に終止符を打って5年。
同じくバツイチ独身の同期
門倉 凌平 32歳。
3年間の結婚生活に終止符を打って3年。
なぜ離婚したのか。
あの時どうすれば離婚を回避できたのか。
『禊』と称して
後悔と反省を繰り返す二人に
本当の幸せは訪れるのか?
~その傷痕が癒える頃には
すべてが想い出に変わっているだろう~
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる