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本編
40. この頃になると
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この頃になると、ルビウスは昼間も成人男性の姿を保っていられるようになった。
――おまえと交合したおかげで、魔力が充分に回復した。
ということだそうで。
ありがたいことに、診療所も手伝ってくれている。
言うまでもなく、術の技量も魔力量もライラよりルビウスのほうがはるかに上だ。なので、手伝うどころか即戦力だったし、ライラより頼れる存在であり、あっという間に診療所の屋台骨となった。
「はぁ~。ルビウス先生、いつ見ても、どの角度から見ても、ほんっとにイケメンよね~。見てるだけで日頃の疲れが吹き飛ぶわぁ~」
ヒルダはうっとりとため息を吐いている。
わかっていたことだけど、女性患者は年齢を問わず、皆ルビウスにメロメロだ。日を追うごとに、診療所を訪れる女性患者は増えつつある。
「ほんとですね~。あの麗しきご尊顔を拝むだけで頭痛が治りそう……」
待ち合いエリアでヒルダの隣に座っている若い女子がうなずく。
「そうなのよね~。神秘的というかミステリアスというか……美しくかつ透明感があって、嗚呼……語彙力! 穏やかで寡黙なところも推せるわぁ~!」
ヒルダと若い女子はキャーキャー盛り上がっている。
カーテンの隙間から、ライラは面白くない気持ちでその様子を眺めていた。
なんなのよ、もう。ヒルダさんまでデレデレしちゃってさ。私のほうが付き合い長いのに。そもそも、隣の女子なんて初診だし初見じゃないのさ。まったく。
患者たちをルビウスに盗られたような、ルビウスを患者たちに盗られたような、どちらにせよ不愉快なのは間違いない。
とにかく! ルビウスを拾ったのは私だし、ルビウスは私を妻に所望してるんだから。ルビウスが番いとして認めてるのは、私だけなんですからね!
二人の間に割って入って声を上げたくなる。単なるやきもちだと自覚しているけど。
ライラは体を傾け、診察エリアのほうに視線を遣る。黒のジャケットをまとったルビウスが、老爺の手を取ってヒールしているところだった。ルビウスの美貌は慈愛に満ち、さながら天使のように見える。まさか彼の正体が魔王デスアトラムだなんて、誰も気づくまい。
……顔がいいってズルいよね。なにしても高評価されるし。イケメン無罪だし。
ライラの心は妬みでいっぱいだった。
不思議なことに、ルビウスは光術も使えるのだ。闇術とは対立するエレメントであるにもかかわらず、である。これを「双極術」と呼ぶが、このこともライラの嫉妬心に拍車をかけていた。
なんなのさ。術世界の常識をひっくり返すそのチートスキルは。容姿端麗だけでなく、双極術が使えるだなんて、ずるい! 卑怯だ! 反則だ! 不公平だ! 神は二物を与えすぎだ!
ライラが内心で呪詛を唱えていると、患者の老爺がルビウスの手をギュッと握った。
「ルビウス先生。痛みがすっかりなくなりました。見ての通り、指もすべて動かせるようになりました。ありがとうございますっ……!」
老爺は感極まった様子で瞳を潤ませた。彼は指を骨折してから長らく、うまく指を動かせなかったのだ。
「ルビウス先生はまさに神です。貴方のような人を聖人君子と呼ぶのでしょう。本当にありがとうございます」
感謝が尽きない老爺を、ルビウスは穏やかな眼差しで見つめ返す。
そして、それを妬ましく眺めるライラ。
ぜんぜん聖人君子なんかじゃないっての! あんな虫も殺さないような顔して、夜になるとすっっっごいんだから! 激烈エロ大魔王なんだから! 昨晩だって、ほとんど寝ずに一晩中エッチしまくって……
突きまくられた感触がありありと蘇り、ライラは密かにドキドキする。結局、明け方まで腰を振られ、気絶するように眠りに落ちた。しかも、起きたらライラは立てなくなっていた。
エッチしすぎて腰をやられるなんて……。なんたる不覚……
そのあと、ルビウスが朝食を作り、こう言った。
「午前の診療は我に任せよ。おまえはゆっくり眠るといい」
憎らしいことに、一晩中やりまくったにもかかわらず、ルビウスはまったく疲れを見せない。恐ろしいほどタフな男である。
体力オバケだけど……。まぁ、頼りになるっちゃなるし、ありがたいっちゃありがたいか……
お言葉に甘えるしかなく、こうしてライラはカーテンで隔てられたベッドでのんびり横になっている。
昨晩は「好きだ」だの「愛してる」だの「我が魂の番」だの、聞くのも恥ずかしい愛の言葉を熱っぽく連呼され、思い出しては身悶えている。
なんか……。私、もうルビウスに骨抜きにされてるのかも……
魔族って情熱的な種族なんだろうか? 愛というより激愛、恋というより灼恋、という感じだ。信じられない熱量でこれでもかと愛情を注がれ、もはやお腹いっぱいである。こんなに熱烈に愛された経験がなく、戸惑ってしまう。
人間のソレとは桁が違う気がする……
とはいえ、嫌な気持ちはまったくなく、エッチは最高に気持ちいいし、女としての自尊心は満たされるし、いいことずくめだ。日頃のスタミナ不足を感じる以外は。
ぬるま湯に浸かるみたく、底なしに溺愛され、とことん甘やかされ、毎日幸せだった。
もはや子作りエッチも抵抗なく受け容れている。
ただ、私もルビウスのことどんどん好きになって、すごくヤキモチ焼きになった気がする。
私だけのルビウスなんだから、って思ってしまって……
こういうの、独占欲っていうのかな? よくない気がする……
「あら、本気の恋はダメよ~。ルビウス先生はライラ先生の婚約者なんだから」
ヒルダの声は丸聞こえだ。
「ほんとよ、ほんと。本人が『我はライラの婚約者だ』って言ってたもの。嘘じゃないわよ。この耳でちゃんと聞いたんだから!」
実際、婚約者みたいなものだし、否定する必要もない。
ヒルダはさらにペラペラしゃべり続ける。
「あとね、ルビウス先生の弟さんたちが、以前ここによく来てたのよ~。ちっちゃい子とね、あと十二、三歳ぐらいの子かしら? 二人ともルビウス先生そっくりでね、めちゃめちゃ可愛いのよ~。私、子供服提供したんだから」
という設定で通している。まさか三人が同一人物だなんて気づかないだろうし、説明する必要もない。
ヒルダのこの勘違いは、ライラにとっては都合のいいものだった。
患者に対し、「婚約者」とルビウスが名乗ったときはびっくりしたけど、結果、これでよかったと思う。婚約者ということにしておけば、女性除けになるし。
私がもっと美人で頭もよくて自信があればなぁ……。こんな余計な心配もしなくて済むのに……
ライラはひっそりため息を吐くのだった。
――おまえと交合したおかげで、魔力が充分に回復した。
ということだそうで。
ありがたいことに、診療所も手伝ってくれている。
言うまでもなく、術の技量も魔力量もライラよりルビウスのほうがはるかに上だ。なので、手伝うどころか即戦力だったし、ライラより頼れる存在であり、あっという間に診療所の屋台骨となった。
「はぁ~。ルビウス先生、いつ見ても、どの角度から見ても、ほんっとにイケメンよね~。見てるだけで日頃の疲れが吹き飛ぶわぁ~」
ヒルダはうっとりとため息を吐いている。
わかっていたことだけど、女性患者は年齢を問わず、皆ルビウスにメロメロだ。日を追うごとに、診療所を訪れる女性患者は増えつつある。
「ほんとですね~。あの麗しきご尊顔を拝むだけで頭痛が治りそう……」
待ち合いエリアでヒルダの隣に座っている若い女子がうなずく。
「そうなのよね~。神秘的というかミステリアスというか……美しくかつ透明感があって、嗚呼……語彙力! 穏やかで寡黙なところも推せるわぁ~!」
ヒルダと若い女子はキャーキャー盛り上がっている。
カーテンの隙間から、ライラは面白くない気持ちでその様子を眺めていた。
なんなのよ、もう。ヒルダさんまでデレデレしちゃってさ。私のほうが付き合い長いのに。そもそも、隣の女子なんて初診だし初見じゃないのさ。まったく。
患者たちをルビウスに盗られたような、ルビウスを患者たちに盗られたような、どちらにせよ不愉快なのは間違いない。
とにかく! ルビウスを拾ったのは私だし、ルビウスは私を妻に所望してるんだから。ルビウスが番いとして認めてるのは、私だけなんですからね!
二人の間に割って入って声を上げたくなる。単なるやきもちだと自覚しているけど。
ライラは体を傾け、診察エリアのほうに視線を遣る。黒のジャケットをまとったルビウスが、老爺の手を取ってヒールしているところだった。ルビウスの美貌は慈愛に満ち、さながら天使のように見える。まさか彼の正体が魔王デスアトラムだなんて、誰も気づくまい。
……顔がいいってズルいよね。なにしても高評価されるし。イケメン無罪だし。
ライラの心は妬みでいっぱいだった。
不思議なことに、ルビウスは光術も使えるのだ。闇術とは対立するエレメントであるにもかかわらず、である。これを「双極術」と呼ぶが、このこともライラの嫉妬心に拍車をかけていた。
なんなのさ。術世界の常識をひっくり返すそのチートスキルは。容姿端麗だけでなく、双極術が使えるだなんて、ずるい! 卑怯だ! 反則だ! 不公平だ! 神は二物を与えすぎだ!
ライラが内心で呪詛を唱えていると、患者の老爺がルビウスの手をギュッと握った。
「ルビウス先生。痛みがすっかりなくなりました。見ての通り、指もすべて動かせるようになりました。ありがとうございますっ……!」
老爺は感極まった様子で瞳を潤ませた。彼は指を骨折してから長らく、うまく指を動かせなかったのだ。
「ルビウス先生はまさに神です。貴方のような人を聖人君子と呼ぶのでしょう。本当にありがとうございます」
感謝が尽きない老爺を、ルビウスは穏やかな眼差しで見つめ返す。
そして、それを妬ましく眺めるライラ。
ぜんぜん聖人君子なんかじゃないっての! あんな虫も殺さないような顔して、夜になるとすっっっごいんだから! 激烈エロ大魔王なんだから! 昨晩だって、ほとんど寝ずに一晩中エッチしまくって……
突きまくられた感触がありありと蘇り、ライラは密かにドキドキする。結局、明け方まで腰を振られ、気絶するように眠りに落ちた。しかも、起きたらライラは立てなくなっていた。
エッチしすぎて腰をやられるなんて……。なんたる不覚……
そのあと、ルビウスが朝食を作り、こう言った。
「午前の診療は我に任せよ。おまえはゆっくり眠るといい」
憎らしいことに、一晩中やりまくったにもかかわらず、ルビウスはまったく疲れを見せない。恐ろしいほどタフな男である。
体力オバケだけど……。まぁ、頼りになるっちゃなるし、ありがたいっちゃありがたいか……
お言葉に甘えるしかなく、こうしてライラはカーテンで隔てられたベッドでのんびり横になっている。
昨晩は「好きだ」だの「愛してる」だの「我が魂の番」だの、聞くのも恥ずかしい愛の言葉を熱っぽく連呼され、思い出しては身悶えている。
なんか……。私、もうルビウスに骨抜きにされてるのかも……
魔族って情熱的な種族なんだろうか? 愛というより激愛、恋というより灼恋、という感じだ。信じられない熱量でこれでもかと愛情を注がれ、もはやお腹いっぱいである。こんなに熱烈に愛された経験がなく、戸惑ってしまう。
人間のソレとは桁が違う気がする……
とはいえ、嫌な気持ちはまったくなく、エッチは最高に気持ちいいし、女としての自尊心は満たされるし、いいことずくめだ。日頃のスタミナ不足を感じる以外は。
ぬるま湯に浸かるみたく、底なしに溺愛され、とことん甘やかされ、毎日幸せだった。
もはや子作りエッチも抵抗なく受け容れている。
ただ、私もルビウスのことどんどん好きになって、すごくヤキモチ焼きになった気がする。
私だけのルビウスなんだから、って思ってしまって……
こういうの、独占欲っていうのかな? よくない気がする……
「あら、本気の恋はダメよ~。ルビウス先生はライラ先生の婚約者なんだから」
ヒルダの声は丸聞こえだ。
「ほんとよ、ほんと。本人が『我はライラの婚約者だ』って言ってたもの。嘘じゃないわよ。この耳でちゃんと聞いたんだから!」
実際、婚約者みたいなものだし、否定する必要もない。
ヒルダはさらにペラペラしゃべり続ける。
「あとね、ルビウス先生の弟さんたちが、以前ここによく来てたのよ~。ちっちゃい子とね、あと十二、三歳ぐらいの子かしら? 二人ともルビウス先生そっくりでね、めちゃめちゃ可愛いのよ~。私、子供服提供したんだから」
という設定で通している。まさか三人が同一人物だなんて気づかないだろうし、説明する必要もない。
ヒルダのこの勘違いは、ライラにとっては都合のいいものだった。
患者に対し、「婚約者」とルビウスが名乗ったときはびっくりしたけど、結果、これでよかったと思う。婚約者ということにしておけば、女性除けになるし。
私がもっと美人で頭もよくて自信があればなぁ……。こんな余計な心配もしなくて済むのに……
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