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4. 清良は深く息を吸い込み
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清良は深く息を吸い込み、シートに深くもたれた。
シートの表皮は柔らかく、身体が包み込まれるような感触だ。
うわぁ……。この、人類の叡知が結晶した座り心地、最高……!
シート開発にも最先端の技術が駆使されている。人間工学や素材工学の調査、データ解析、官能評価など、それぞれの道のスペシャリストたちが情熱を注いできた。座面の体圧分散と体幹保持が極限まで追究され、揺れない、疲れない、リラックスできるシートが具現化している。
感激しまくっていた清良だが、怜一郎から見られていることに気づき、はっと我に返った。
「あっ、すみません……。私、ろくに挨拶もせずに車の話ばかりして……」
清良が改めて「こんばんは」と頭を下げると、怜一郎はにこりともせず「こんばんは」と返した。
「で、詐欺師の疑いのある男の車に乗ることに抵抗はないんですか?」
怜一郎は皮肉っぽく口角を上げて言う。
「あ、いえ、あの、さっきネットで日向野ホールディングスについて調べたんです。あなたが副社長なのは間違いないみたいで……」
清良は申し訳ない気持ちでうつむく。
日中、オフィスにうずたかく積まれた郵便物を漁り、例の遺贈通知書を二通発見した。内容は怜一郎が説明した通りだった。二通目の封筒の表には『内容証明』と朱書きされていた。
さすがに本物か。けど、悪質な詐欺に内容証明が使われるケースもあるらしいから、油断はできない。
作業の合間にスマホで『日向野ホールディングス』を検索した。公式サイトの企業情報には役員たちの顔写真が載っていた。年配の男性ばかりの中で、若く眉目秀麗な怜一郎はひときわ目を引いた。
Wikiによると、代表取締役社長の日向野素彦が怜一郎の父親だそうだ。先日亡くなったのは、会長の日向野尊。名前からわかる通り、日向野家は日向野製茶の創業家一族なのである。
ふーん、なるほどね。同族会社か……
典型的な家族経営だ。御曹司といえば聞こえはいいが、要するに「ボンボンの二世」というやつ……
と、最初は冷ややかに決めつけていた。
が、調べていくうちに、怜一郎は単純に片付けられる人物ではないことがわかってきた。その過程で、インタビュー記事や新聞記事、著書やビジネスコラムを見つけた。
一番興味深かったのは女性向けファッション誌の特集だろうか。『日本のヤング富豪イケメンランキング』で、怜一郎はなんと二位にランクインしていた。
これらの写真に怜一郎はしっかり写っていた。左の眉だけぐっと上げた特徴的な表情で。
こういうの、どんな気持ちで取材を受けるんだろ……?
あまりに世界が違い過ぎて清良には想像もつかない。ファッション誌なんてほとんど読まないし。
怜一郎の経歴には感心せざるを得ない。都内屈指の進学校を卒業し、国立トップである帝都大学法学部に入学。卒業後は日向野製茶に入社し、首都圏営業本部に配属され、販売推進を担当。
ビジネスコラムによると、入社から三年で早くも頭角を現し、全国でもトップクラスの売上成績を叩き出したらしい。最年少での快挙で、社内では『トップパフォーマー』として表彰されたそうだ。
四年目に企画開発部に異動し、新しい飲料の企画を担当。ここから、怜一郎の目覚ましい快進撃が続く。
日本のトップストリーマーをCMに起用した新商品、ジャスミンティー『ミナジャス』が空前の大ヒット。販売数が一千万ケースに達すると「大ヒット」と呼ばれるこの業界で、怜一郎は千八百万ケースを売り上げた。
ミナジャスは清良ももちろん知っているし、なんなら好きでよく飲んでいる。すっきりした味わいで癖がなく、リラックスできて飲みやすい、お気に入りの商品だ。まさか怜一郎が生みの親だったとは。
二年後、世界的トップアーティストにCMソングの作詞作曲を依頼した、野菜ジュースが二千万ケースを売り上げた。この偉業が認められ、企画開発部長に昇進。
さらにその二年後、まったく新しいアミノ酸飲料が高齢者を中心に人気を博し、千二百万ケースを売り上げ、業界に衝撃を与えた。
どれもスーパーやコンビニでもよく目にする、見覚えのある商品ばかりだ。それを生み出した人物というだけで並外れた能力の片鱗が伝わってくる。
この類まれな成果が評価されたのか、三十一歳で取締役副社長に就任。現在もその地位にあるらしい。
ひと通り目を通し、間違いなく日向野怜一郎は詐欺師ではない、という結論に至った。それどころか、単なるボンボンの二世などではなく、非凡な才能と実力を兼ね備えた稀有な人物だと。
「それに、詐欺師がわざわざこんな車に乗らないだろうし……」
清良は付け加えて言う。
このラグジュアリーセダンがいったいいくらするのか? これだけ贅沢なオプションが搭載されているなら、数千万円は軽く超えているはずだ。
「信じていただけたのなら、なによりです」
怜一郎は自信満々に微笑む。笑うと、端整な唇の端が上がり、眉尻は穏やかに下がり、目尻に優しげなしわができる。その表情が思いのほか人懐っこく見え、彼に対する好感度が上がった。
「疑ってすみません」
清良はもう一度頭を下げる。
「いえ、いいですよ。警戒するに越したことはない。愚問ですが、車がお好きなんですね?」
車について聞かれると、清良はついデレデレしてしまう。最愛の恋人がどれほど好きかを語る感覚に似ているかもしれない。
「ですね。好きだから、この仕事をしています」
なんか恥ずかしい。
思わず頬が緩む清良を、怜一郎は目を細めて見つめる。
「学校を出てすぐ整備士に?」
これもよくされる質問だ。
「はい。高校を卒業して、自動車整備の専門学校に行って、そのあと祖父の経営する整備工場に就職しました」
「砂関モータースに?」
怜一郎に問われ、清良はうなずく。
「はい。去年祖父がガンで亡くなって工場は私が継いだんです」
「なるほど。若くしてもう重責を担っておられるんですね」
怜一郎の言葉に、清良は苦笑いした。
「いや。名前だけで代表らしいことはほとんどできてません。うちには祖父の代から勤めている優秀なスタッフがいるんで、助けられてます」
このとき清良は一人の男を思い浮かべていた。佐野正一。四十年以上勤めるベテランで、七十歳で職人気質な人だ。清良が幼い頃から、祖父の右腕として工場を支えてくれた。
今は正一と二人で工場を切り盛りしている。
「おじいさんとは仲がよかったんですね」
怜一郎は穏やかに言う。
「そうですね。おじいちゃん子でした」
どこまで話すべきだろう? 清良は考える。母親の話をしたほうがいいんだろうか?
けど、うちの家族構成について説明する義務ある? 変な空気になるのも嫌だし……
別に怜一郎を信用していないわけではない。身元のちゃんとした立派な地位の人だ。
だからってなんでもペラペラしゃべりたくはない。友達じゃないんだし。
「私も、おじいちゃん子でしたよ。最期も私が看取りました」
怜一郎が目元を和ませて言う。下がる眉尻と目尻のチャーミングなしわ、ふたたび。
あっ……笑顔。やっぱり素敵かも……
彼に対する好感度がまた少し上がる。
「そう……ですか。もしかして日向野さんのおじい様と、うちの祖父が生前知り合いだったんですかね?」
清良は想像力を働かせて聞く。
祖父の勝太郎から日向野の名を聞いたことはない。だが、怜一郎の祖父がわざわざ砂関モータースに遺贈する理由が思い当たらない。二千万円もの大金を。
半分の一千万円でも庶民が稼ぐのは至難の業だ。たとえば医師とか弁護士とか有名企業の総合職……それこそ、この車を製造販売している世界的自動車メーカーの総合職の年収ぐらいかもしれない。
しかも、二千万円となると二年分だ。なんの因縁もない相手に渡す額じゃない。
なにかしらの恩があるのか、あるいはなにかの報酬か……
「そのことなんですが……」
怜一郎は言葉を濁し、アームレストを指先でとんとんと叩いた。
清良はそのほっそりした長い指に目を奪われる。つるりとした指と清潔な爪。指輪はしていない。
「少し長くなりますので、食事のときにゆっくりお話ししてもよろしいですか?」
「あ、はい。もちろんです。そのために来たわけですし……」
車内に沈黙が下りる。
気詰まりな感じはなかった。相変わらずエンジン音もロードノイズも皆無で車内は心地よい静寂に包まれている。
横目で隣を見ると、怜一郎は進行方向を静かに見つめていた。車窓を流れていく街路灯に照らされ、冷たそうな美しい横顔が浮かび上がる。その瞳からはなんの感情も読み取れない。
とんでもなくイケメンで素敵な人だけど……。私とは住む世界が違いすぎるかな。
生まれながらにして巨大企業の創業家一族の長男。どんな気持ちで育ってきたんだろう? きっと家族から大切にされただろうし、お金に困ったこともなさそうだ。
さぞかし人生楽勝モードなんだろうな。
清良はふっと息を吐く。
隣にはこの車にふさわしい上等なスーツを着た、気品のある紳士。いっぽう自分はラフなスウェットにくたびれたスニーカーを履いた整備士。明らかに場違い感が半端ない。
まさか、私がこの車に乗る日が来るなんて……
少しワクワクするような、だけど不安なような、奇妙な感じだ。朝から晩までひたすら車と向き合い続ける日々の中、今夜のこれはちょっとした冒険かもしれない。
毎日同じことの繰り返しのようでいて、なにかしら事件は起こる。
一つとしてまったく同じ日なんてないんだなぁ……
清良はそんなことを考えつつ、流星群のように過ぎていく都心の光を眺めた。
シートの表皮は柔らかく、身体が包み込まれるような感触だ。
うわぁ……。この、人類の叡知が結晶した座り心地、最高……!
シート開発にも最先端の技術が駆使されている。人間工学や素材工学の調査、データ解析、官能評価など、それぞれの道のスペシャリストたちが情熱を注いできた。座面の体圧分散と体幹保持が極限まで追究され、揺れない、疲れない、リラックスできるシートが具現化している。
感激しまくっていた清良だが、怜一郎から見られていることに気づき、はっと我に返った。
「あっ、すみません……。私、ろくに挨拶もせずに車の話ばかりして……」
清良が改めて「こんばんは」と頭を下げると、怜一郎はにこりともせず「こんばんは」と返した。
「で、詐欺師の疑いのある男の車に乗ることに抵抗はないんですか?」
怜一郎は皮肉っぽく口角を上げて言う。
「あ、いえ、あの、さっきネットで日向野ホールディングスについて調べたんです。あなたが副社長なのは間違いないみたいで……」
清良は申し訳ない気持ちでうつむく。
日中、オフィスにうずたかく積まれた郵便物を漁り、例の遺贈通知書を二通発見した。内容は怜一郎が説明した通りだった。二通目の封筒の表には『内容証明』と朱書きされていた。
さすがに本物か。けど、悪質な詐欺に内容証明が使われるケースもあるらしいから、油断はできない。
作業の合間にスマホで『日向野ホールディングス』を検索した。公式サイトの企業情報には役員たちの顔写真が載っていた。年配の男性ばかりの中で、若く眉目秀麗な怜一郎はひときわ目を引いた。
Wikiによると、代表取締役社長の日向野素彦が怜一郎の父親だそうだ。先日亡くなったのは、会長の日向野尊。名前からわかる通り、日向野家は日向野製茶の創業家一族なのである。
ふーん、なるほどね。同族会社か……
典型的な家族経営だ。御曹司といえば聞こえはいいが、要するに「ボンボンの二世」というやつ……
と、最初は冷ややかに決めつけていた。
が、調べていくうちに、怜一郎は単純に片付けられる人物ではないことがわかってきた。その過程で、インタビュー記事や新聞記事、著書やビジネスコラムを見つけた。
一番興味深かったのは女性向けファッション誌の特集だろうか。『日本のヤング富豪イケメンランキング』で、怜一郎はなんと二位にランクインしていた。
これらの写真に怜一郎はしっかり写っていた。左の眉だけぐっと上げた特徴的な表情で。
こういうの、どんな気持ちで取材を受けるんだろ……?
あまりに世界が違い過ぎて清良には想像もつかない。ファッション誌なんてほとんど読まないし。
怜一郎の経歴には感心せざるを得ない。都内屈指の進学校を卒業し、国立トップである帝都大学法学部に入学。卒業後は日向野製茶に入社し、首都圏営業本部に配属され、販売推進を担当。
ビジネスコラムによると、入社から三年で早くも頭角を現し、全国でもトップクラスの売上成績を叩き出したらしい。最年少での快挙で、社内では『トップパフォーマー』として表彰されたそうだ。
四年目に企画開発部に異動し、新しい飲料の企画を担当。ここから、怜一郎の目覚ましい快進撃が続く。
日本のトップストリーマーをCMに起用した新商品、ジャスミンティー『ミナジャス』が空前の大ヒット。販売数が一千万ケースに達すると「大ヒット」と呼ばれるこの業界で、怜一郎は千八百万ケースを売り上げた。
ミナジャスは清良ももちろん知っているし、なんなら好きでよく飲んでいる。すっきりした味わいで癖がなく、リラックスできて飲みやすい、お気に入りの商品だ。まさか怜一郎が生みの親だったとは。
二年後、世界的トップアーティストにCMソングの作詞作曲を依頼した、野菜ジュースが二千万ケースを売り上げた。この偉業が認められ、企画開発部長に昇進。
さらにその二年後、まったく新しいアミノ酸飲料が高齢者を中心に人気を博し、千二百万ケースを売り上げ、業界に衝撃を与えた。
どれもスーパーやコンビニでもよく目にする、見覚えのある商品ばかりだ。それを生み出した人物というだけで並外れた能力の片鱗が伝わってくる。
この類まれな成果が評価されたのか、三十一歳で取締役副社長に就任。現在もその地位にあるらしい。
ひと通り目を通し、間違いなく日向野怜一郎は詐欺師ではない、という結論に至った。それどころか、単なるボンボンの二世などではなく、非凡な才能と実力を兼ね備えた稀有な人物だと。
「それに、詐欺師がわざわざこんな車に乗らないだろうし……」
清良は付け加えて言う。
このラグジュアリーセダンがいったいいくらするのか? これだけ贅沢なオプションが搭載されているなら、数千万円は軽く超えているはずだ。
「信じていただけたのなら、なによりです」
怜一郎は自信満々に微笑む。笑うと、端整な唇の端が上がり、眉尻は穏やかに下がり、目尻に優しげなしわができる。その表情が思いのほか人懐っこく見え、彼に対する好感度が上がった。
「疑ってすみません」
清良はもう一度頭を下げる。
「いえ、いいですよ。警戒するに越したことはない。愚問ですが、車がお好きなんですね?」
車について聞かれると、清良はついデレデレしてしまう。最愛の恋人がどれほど好きかを語る感覚に似ているかもしれない。
「ですね。好きだから、この仕事をしています」
なんか恥ずかしい。
思わず頬が緩む清良を、怜一郎は目を細めて見つめる。
「学校を出てすぐ整備士に?」
これもよくされる質問だ。
「はい。高校を卒業して、自動車整備の専門学校に行って、そのあと祖父の経営する整備工場に就職しました」
「砂関モータースに?」
怜一郎に問われ、清良はうなずく。
「はい。去年祖父がガンで亡くなって工場は私が継いだんです」
「なるほど。若くしてもう重責を担っておられるんですね」
怜一郎の言葉に、清良は苦笑いした。
「いや。名前だけで代表らしいことはほとんどできてません。うちには祖父の代から勤めている優秀なスタッフがいるんで、助けられてます」
このとき清良は一人の男を思い浮かべていた。佐野正一。四十年以上勤めるベテランで、七十歳で職人気質な人だ。清良が幼い頃から、祖父の右腕として工場を支えてくれた。
今は正一と二人で工場を切り盛りしている。
「おじいさんとは仲がよかったんですね」
怜一郎は穏やかに言う。
「そうですね。おじいちゃん子でした」
どこまで話すべきだろう? 清良は考える。母親の話をしたほうがいいんだろうか?
けど、うちの家族構成について説明する義務ある? 変な空気になるのも嫌だし……
別に怜一郎を信用していないわけではない。身元のちゃんとした立派な地位の人だ。
だからってなんでもペラペラしゃべりたくはない。友達じゃないんだし。
「私も、おじいちゃん子でしたよ。最期も私が看取りました」
怜一郎が目元を和ませて言う。下がる眉尻と目尻のチャーミングなしわ、ふたたび。
あっ……笑顔。やっぱり素敵かも……
彼に対する好感度がまた少し上がる。
「そう……ですか。もしかして日向野さんのおじい様と、うちの祖父が生前知り合いだったんですかね?」
清良は想像力を働かせて聞く。
祖父の勝太郎から日向野の名を聞いたことはない。だが、怜一郎の祖父がわざわざ砂関モータースに遺贈する理由が思い当たらない。二千万円もの大金を。
半分の一千万円でも庶民が稼ぐのは至難の業だ。たとえば医師とか弁護士とか有名企業の総合職……それこそ、この車を製造販売している世界的自動車メーカーの総合職の年収ぐらいかもしれない。
しかも、二千万円となると二年分だ。なんの因縁もない相手に渡す額じゃない。
なにかしらの恩があるのか、あるいはなにかの報酬か……
「そのことなんですが……」
怜一郎は言葉を濁し、アームレストを指先でとんとんと叩いた。
清良はそのほっそりした長い指に目を奪われる。つるりとした指と清潔な爪。指輪はしていない。
「少し長くなりますので、食事のときにゆっくりお話ししてもよろしいですか?」
「あ、はい。もちろんです。そのために来たわけですし……」
車内に沈黙が下りる。
気詰まりな感じはなかった。相変わらずエンジン音もロードノイズも皆無で車内は心地よい静寂に包まれている。
横目で隣を見ると、怜一郎は進行方向を静かに見つめていた。車窓を流れていく街路灯に照らされ、冷たそうな美しい横顔が浮かび上がる。その瞳からはなんの感情も読み取れない。
とんでもなくイケメンで素敵な人だけど……。私とは住む世界が違いすぎるかな。
生まれながらにして巨大企業の創業家一族の長男。どんな気持ちで育ってきたんだろう? きっと家族から大切にされただろうし、お金に困ったこともなさそうだ。
さぞかし人生楽勝モードなんだろうな。
清良はふっと息を吐く。
隣にはこの車にふさわしい上等なスーツを着た、気品のある紳士。いっぽう自分はラフなスウェットにくたびれたスニーカーを履いた整備士。明らかに場違い感が半端ない。
まさか、私がこの車に乗る日が来るなんて……
少しワクワクするような、だけど不安なような、奇妙な感じだ。朝から晩までひたすら車と向き合い続ける日々の中、今夜のこれはちょっとした冒険かもしれない。
毎日同じことの繰り返しのようでいて、なにかしら事件は起こる。
一つとしてまったく同じ日なんてないんだなぁ……
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