黒ギャルとパパ活始めたら人生変わった

Hatton

文字の大きさ
8 / 51

8

しおりを挟む
「ひっでー顔w」

20分足らずで杏子は本当にやってきて、玄関で出迎えた俺をみて、開口一番に言った。

「だろうね」

一睡もしてない上に、さっきまでメソメソ泣いていたのだ。見るに耐えない顔をしているんだろう。

杏子は昨晩と同じく、バッチリとギャルメイクをキメている。ただし今日は私服だった。

長い足のラインを強調する細身のブラックジーンズに、ヘソがしっかり露出した白いタンクトップ?のようなものを合わせ、ダボっとした黒のパーカーを羽織っている。

どう見ても高校生には見えず、もはや下手なモデルやタレントよりもオーラがある。もっとも下手なモデルやタレントに会ったことがあるわけじゃないけど。

「とりま、いれてよ」

「ああ、どうぞ」

朝っぱらから女子高生を自室に連れ込むおっさんか…ここで急に田舎のお袋がやってきたら卒倒するだろうな。

心中で母に謝罪しながら、彼女をリビングに案内した。

「部屋きったな」

「面目ない…」

あのときは必死で忘れていたが、そもそも俺の部屋は女性をーいや仮に気心知れた男友達であっても、招ける状況じゃなかった。

さっき床にばら撒いた缶たちも、沁みたラグも、そのまんまになっているし…

「はああ、ほんとにしょうがないオッサン」

「返す言葉もないよ」

「ま、いいや、ヤルことヤリますか」

と言いつつ、杏子は羽織っていたパーカーを脱いだ。



「ウケるwヤンデレかってのw」

ソファで隣に座る杏子は、俺のスマホを見てすぐに吹き出した。

杏子の口ぶりから、やはりエリアマネージャーからの連絡が山のようにきてるらしい。

「やば、『怒ってないからすぐ連絡しろ』だってさ、ぜって~嘘のやつじゃんw」

「これとかさいこーw『お前にどれだけ時間使ってやったと思ってるんだ?』だってよ、しらねーっての」

杏子はAMもとい近藤さんからのメッセージを読み、ひとつひとつを笑い飛ばした。

すると彼女の手の中にある俺のスマホが震えた。

「うわ、うわ、うわあ」

ブルッ、ブルッと連続で震えている。着信かと思ったがそうじゃないらしい。

「マジで?」

「なんて言ってる?」

「なんか『連絡しろ』と『死ね』を交互に連投してる、この人いくつ?いまどき高校生でも、死ねなんてそう言わんよ?」

想像以上におかんむりらしい。

もしも俺一人だったら、彼から送られる言葉ひとつひとつが、ナイフのように刺さっただろう。

杏子が笑い飛ばしてくれるおかげで、なんとか苦笑を浮かべられている。

「じゃ、ブロックしちゃうねー」

「お願いします」

杏子は手際よくスマホを操作した。

「他に連絡してきそうな人とかいる?」

「えっと…」

俺は店のスタッフや顔見知りの店長の名前を挙げた。

杏子は次々とブロックし、アプリだけでなく電話帳の方も該当の連絡先を着信拒否にし、ついでに仕事用のスマホの電源も落としてくれた。

「ほい、これでもうかかってこないっしょ」

ひと通りの作業を終え、スマホを俺に返してくれた。

電話であらかたの事情を聞いた杏子は、これをやるためにわざわざ来てくれたのだ。

この程度のこと自分でやれよって話だが、いまの俺はスマホを直視することもできないのだ。

彼女がいなければ、いまだに布団を被って震えていただろう。

「ありがとう…ほんとに…」

力なく礼を言う俺を見た杏子は、かすかに眉根を顰め、立ち上がって

後頭部が彼女の手のひらで押され、豊かな胸に顔が埋まる。

「ど、どうしたの?」

「泣いてるから」

ここでようやく、俺はまた泣いている自分に気づいた。

さっきとは違う涙だった。

痛みと嗚咽で絞り出された冷たい涙ではなく、安心に呼応した暖かな涙だった。

もう大丈夫なんだ。もうあの場所に行かなくていいんだ。

それだけのことで、こんなにも安らぎを感じられた。

「よしよし、よく頑張ったね」

杏子はそっと俺の頭を撫で、優しく囁いた。

ーー救いの女神同然だ

あのときは冗談半分だったけど、いまは本気でそう思えた。



どれくらいそうしていただろか。

ずっとこのままでさえいいと思ったが

「ピーンポーン」

不躾なインターホンの音で、慈愛のひとときは中断された。

「アタシでるよ」

と杏子は離れ、玄関に向かおうとした。

だが

「ピーンポーン!ピピピピーポーン!」

けたたましく連打されるインターホンに慄き、彼女は足を止めた。

後にガチャガチャとドアノブを回す音がした。とうぜん鍵は閉まっている。

さらに、なぎ倒さんばかりの勢いで、ガタンガタンとドアが押し引きされた。

こんな非常識な真似をしそうな人物の心あたりなんて、一つしか無い。

「おい!中にいんだろう!?とっとと出てこい!」

何度も何度も耳にした怒声が脳を直撃する。

グラグラと世界が揺れる感覚がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...