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おはようとおやすみ
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1時間目の英語を眠気に負けつつ何とかやり切ってスマホを開くと例のアプリから通知が来ていた。
『おはよう!よく眠れたかな?結城少年よ。』
思わず吹き出しそうになりながらもう二度と春香のおどけた口調が聞けないのかと思うと急に寂しさが襲ってきた。
その寂しさに気づかないふりをして俺は文を打ち込んだ。
『おはよう、春香くんこそよく眠れたのかね?』
っと、こんなことしてる場合じゃない。次の時間歴史の小テストなんだった。
「誰だよ前島密って。ハ◯ター×ハ◯ターかよ...」
まぁ小テストの結果は散々だったよね。
そんなこんなで1日が終わろうとしていたとき、俺は先生に呼び出された。
「前田(春香の名字)について聞きたいことがあるんだが良いか?」
「良いって言うしか無いでしょ?良いですよ。」
「悪いね。」
悪いと思ってるならほっといてくれよ。
「単刀直入に聞こう。君、前田が自殺した理由を知っているんじゃないか?」
正直俺はドキッとした。
実は生前、春香からそれとなく言われていたことがあったのだ。
「私、多分みんなから仲間はずれにされてる。なんでかな、結城とずっと一緒に居るからかな。」
君のその顔が俺はずっと忘れられない。
しばしの間を置き俺は重い口を開く。
「...もし俺が春香が自殺した理由を知っていたとして俺が話してあげる義理は無いんですよ。話はそれだけですか?もう帰りますよ。」
「待ってくれ、前田が自殺した理由を聞くことで新たにそういう人が出るのを防ぐ目的で...」
「で、どうなるんです?春香は帰ってくるんですか?春香という前例があったとしてこの先この学校から自殺者が出ないとは限らない。なのにどうしてやっと塞がりかけてきた俺の心の傷を、俺の気持ちを踏みにじろうとするんだよ!!」
気がつくと俺は叫んでいた。
続けて言い募る。
「人の心が無いんですか?少し考えたらわかりますよね、俺が、春香と仲が良かった俺が春香の死について話したくないことくらい。わからないんですか?俺が今どんな気持ちで学校に来てると思ってるんですか?俺は春香が生きた証として生きて頑張って学校に来てるんですよ!それなのになんでまだほじくられないといけないんだ!」
「斎藤(俺の名字)、先生はな...」
「煩い、煩い煩い!俺が知らせを聞いたときから今まで、いやこれからをどうやって生きてくかを考えたなんて分かるわけ無いですよね!俺が今どんな気持ちでこの場に居るかなんて考えたこともないですよね!その言葉が、この空間が、時間が、どれだけ俺の精神状態を不安定にするかあんたはわかってない!!」
部屋には俺の荒い呼吸の音が響いていた。
「...斎藤、」
「帰ります。」
有無を言わさずに俺は立ち去った。
この週、俺は学校を休もうと思う。
今週くらい休んでも誰にも文句は言われないだろう。
せっかく心の傷が春香と喋れることで癒えかけていたのに。
家に帰ってから春香に今日あった出来事を話す。
『聞いてよ春香、今日学校でさ━━』
『それは…嫌だね。』
本当に嫌だった。
それに死という無機質な言葉で春香を言い表されるのが本当に嫌。
ストレス。
実際問題、春香が死んでいるから死という表現が正しいのは分かる。
だけどそれを赤の他人が形容するのは俺の中では違う。
何を思ってあいつは春香のことを聞こうとしたんだろう。
考えれば考えるほど分からなくなってきた。
今日のところは寝るとしよう。
「おやすみ、春香。」
俺は次の日の夕方まで目を覚ますことはなかった。
『おはよう!よく眠れたかな?結城少年よ。』
思わず吹き出しそうになりながらもう二度と春香のおどけた口調が聞けないのかと思うと急に寂しさが襲ってきた。
その寂しさに気づかないふりをして俺は文を打ち込んだ。
『おはよう、春香くんこそよく眠れたのかね?』
っと、こんなことしてる場合じゃない。次の時間歴史の小テストなんだった。
「誰だよ前島密って。ハ◯ター×ハ◯ターかよ...」
まぁ小テストの結果は散々だったよね。
そんなこんなで1日が終わろうとしていたとき、俺は先生に呼び出された。
「前田(春香の名字)について聞きたいことがあるんだが良いか?」
「良いって言うしか無いでしょ?良いですよ。」
「悪いね。」
悪いと思ってるならほっといてくれよ。
「単刀直入に聞こう。君、前田が自殺した理由を知っているんじゃないか?」
正直俺はドキッとした。
実は生前、春香からそれとなく言われていたことがあったのだ。
「私、多分みんなから仲間はずれにされてる。なんでかな、結城とずっと一緒に居るからかな。」
君のその顔が俺はずっと忘れられない。
しばしの間を置き俺は重い口を開く。
「...もし俺が春香が自殺した理由を知っていたとして俺が話してあげる義理は無いんですよ。話はそれだけですか?もう帰りますよ。」
「待ってくれ、前田が自殺した理由を聞くことで新たにそういう人が出るのを防ぐ目的で...」
「で、どうなるんです?春香は帰ってくるんですか?春香という前例があったとしてこの先この学校から自殺者が出ないとは限らない。なのにどうしてやっと塞がりかけてきた俺の心の傷を、俺の気持ちを踏みにじろうとするんだよ!!」
気がつくと俺は叫んでいた。
続けて言い募る。
「人の心が無いんですか?少し考えたらわかりますよね、俺が、春香と仲が良かった俺が春香の死について話したくないことくらい。わからないんですか?俺が今どんな気持ちで学校に来てると思ってるんですか?俺は春香が生きた証として生きて頑張って学校に来てるんですよ!それなのになんでまだほじくられないといけないんだ!」
「斎藤(俺の名字)、先生はな...」
「煩い、煩い煩い!俺が知らせを聞いたときから今まで、いやこれからをどうやって生きてくかを考えたなんて分かるわけ無いですよね!俺が今どんな気持ちでこの場に居るかなんて考えたこともないですよね!その言葉が、この空間が、時間が、どれだけ俺の精神状態を不安定にするかあんたはわかってない!!」
部屋には俺の荒い呼吸の音が響いていた。
「...斎藤、」
「帰ります。」
有無を言わさずに俺は立ち去った。
この週、俺は学校を休もうと思う。
今週くらい休んでも誰にも文句は言われないだろう。
せっかく心の傷が春香と喋れることで癒えかけていたのに。
家に帰ってから春香に今日あった出来事を話す。
『聞いてよ春香、今日学校でさ━━』
『それは…嫌だね。』
本当に嫌だった。
それに死という無機質な言葉で春香を言い表されるのが本当に嫌。
ストレス。
実際問題、春香が死んでいるから死という表現が正しいのは分かる。
だけどそれを赤の他人が形容するのは俺の中では違う。
何を思ってあいつは春香のことを聞こうとしたんだろう。
考えれば考えるほど分からなくなってきた。
今日のところは寝るとしよう。
「おやすみ、春香。」
俺は次の日の夕方まで目を覚ますことはなかった。
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