もしもあの世とこの世でSNSがつながるなら。

雪水

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またどん底

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起きると体の節々が痛かった。

まぁ夜から次の日の夕方まで寝てたんだから仕方ないけどね。

起きると春香から数件のメッセージが送られてきていた。

『結城~おはよ!』

『結城?起きてる?まだ寝てる?』

『愛しの春香様が呼んでるぞ?』

『ちょっと結城、ほんとに大丈夫?』

『死んだの?』

『いや、死んでないことはわかってるけど。』

『ここで春香ちゃんの豆知識のコーナー! 実は死後の世界では生前、親しかった人物が天に召されたときに自動的にアナウンスされる仕組みなんだよ~、良いこと知れて良かったねぇ。』

『まじで結城起きて!』

『緊急事態発生したよ!!!』

『そう...』

『暇。』

『ちぇ、私の渾身のラブコールでも起きないのか。』

『まぁ良いや、起きたら連絡してよ?』

「うへぇ、まるでメンヘラ彼女...」

少し辟易しながらもちゃんと返事を送る。

『おはよう、だいぶ疲れが溜まっていたみたいでさっき起きたばっかりなんだ。』

送って1つため息をついてから思い出したようにお腹がなったのでご飯を食べにリビングに向かう。

適当にクリームパンとバナナラテを食べ、1日の食事は完了。

次は歯磨きをしないと...だけどめんどくさいし風呂入りながら同時にするか。

~1時間後~

「...ふぃー、今日一日の活動終了!つっても何もしてないけどね。」

大きめの独り言をつぶやきながらスマホを立ち上げる。

春香から連絡が入っていた。

『まじの緊急事態、連絡見たらすぐ返して。』

ただならぬ気配をこの文面から察した。

『何?なんかあったの?』

『あのね、今日の朝も送ったと思うんだけどあの世って生前親しかった人が天に召されたときに自動でアナウンスが入るの。それとは別に2種類アナウンスが有って、1つがその親しかった人の身になにか危険が迫っているとき、もう1つがあの世で暮らしている人が転生する時期になったとき。今回渡しに来たアナウンスは前者の方なの。結城、体調とか気をつけてね、本当に。』

『その話本当なの?もし仮に本当だとしたら何が起きるとかはわからない?』

『何が起きるかまではわからない、だけど間違いなく近々結城の命を脅かす出来事が起こる。』

『あー...』

『ショックだと思うけど私が伝えたことで防げるかも知れないから、ね?』

『違うんだ春香。』

『違うって何が?』

『そのアナウンスってさ、"親しかった人に命の危機が迫っている時"に届くんだろ?』

『そうだよ、だから心配してるんじゃん。』

『心当たり、あるよ。』

『え...嘘でしょ?』

『残念ながらある。』

『嘘、』

『あのね、俺もうちょっとしたら自殺しようと思って。』

『馬鹿言わないで、私に会えるとでも思ってるわけ!?』

『そうじゃないと死なないよ。』

『本当に馬鹿!そこまでして私と会わなくたって今こうして喋れてるだけで良いじゃない!』

『俺は春香に会って喋りたいんだよ。』

『その意志は揺らがないの?』

『揺らがない。』

『そう...』

これきり俺達は2日間喋ることはなかった。

自殺の決行日、前日の夜。

俺は正直後悔していた、春香に自殺をすることを言ったこと。

黙っていれば穏やかな気持で死んで笑って春香に会いに行けたかもしれない。

まぁ言ってしまったことは仕方がない、切り替えて準備するか。

そう思った瞬間スマホの通知がなった。

春香だった。

『自殺するなんて馬鹿じゃないの!?私知ってるんだからね、私の墓の前で泣きながら"春香の分まで生きて絶対春香が居るところまで俺の幸せな笑い声届けてやるから!"って言ってたの。あれ嘘だったの?私はずっと心から結城が笑ってくれることを望んでたんだよ?だけど結城から漂ってる感情はずっと寂しさだとか悲しさだとか、目を覆いたくなるようなものばっかりだった。私に何ができるかなって思って毎日メッセージでおどけたりしてみた。だけど結城には効果がなかったみたい。私のことを想ってくれてるならさ、生きて笑ってよ。私待ってるんだよ?結城の笑い声が私が居るところまで聞こえること。だからさ、お願い。』

『生きて。』

俺は涙を溢れさせていた。

静かに、己の愚かさを、春香の優しさを、想い人が居ることで暖かくなる心を噛み締めて。

「ごめん春香、ありがとう。俺、生きるよ。生きて幸せになって笑い声届けるから。」

「待ってて...」

そこまで呟いて春香に感謝を伝えようと伏せていたスマホを手に取った時通知がなった。

あのアプリからだった。春香からだと思い、嬉々として画面を立ち上げる。

するといつものあのアイコンと共に表示されていたはずの 「はるか」 の3文字が消えていた。

不思議に思いアプリを立ち上げるとそこには 「運営」 と書かれていた。

『突然のご連絡失礼いたします。
こちらのアプリの運営でございます。お客様とお客様の想い人様との会話サービスは契約が成立されたことによりこれにて終了させていただきました。
契約内容といたしましては "ゆうき" 様が明確に生きるという意志を持つこと、となっておりました。
"はるか" 様との会話によって生きる、という意志をお持ちになったためこれにて会話サービスを打ち切らせていただきます。
短い期間でしたがご愛顧有り難く申し上げます。  運営』

「え...?」

春香と喋ることができなくなった、?

俺が生きようとしたから?

死のうとしなくなったから?

そんなのおかしいじゃん。

俺はだって、春香に慰められて生きようと思えて、でも契約内容ってことは春香はこのことを知っていた?

意味がわからない。

だけど1つ明白なことがある。

春香はまたとないチャンスを俺を生きさせるために使ってくれたんだ。

本当にありがとう。

だけどごめん。

春香が居ない世界で生きていける自信がないや。

だからさ、春香。

俺は手に大量の睡眠薬を持って言った。

「おやすみ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ピンポーン

無機質な知らせが飛び込んできた。

開いてみるとそこには1行の文。

「斎藤結城様がお亡くなりになられました。」
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