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過去編
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【九鬼】
力の無い唇をイタズラに貪る。
必死で首を縦に振る彼を見ると、優越感が沸き心の奥がゾクゾクと震えた。
ボクももう限界だ。
彼の涙を拭うように指を這わせ、息を荒げながら言葉を落とす。
「うん……ずっと、傍に、いてあげる……ッ、ずっと一緒だヨ…?――――ッ…!」
その言葉の後、ボクは射精した。
身体を反らせながら彼の中へと全てを放ち、射精の快感に打ち震える。
余韻を味わう様に強くゆっくりと腰を打ちつけながら、ただ彼が落とす「解除の言葉」を待つように微笑んだ。
ここでも何が解除の言葉かは言ってやらない。
しかし、自信はあった。
彼はきっと、ボクの言葉を反復するはずだ。
【神功左千夫】
「―――ッ…!!!は……ぁ、……うん。ッ…ッ、――ずっと、一緒にいて―――ッ―――??」
九鬼の言葉に乗せられる様に僕はその言葉を綴る。
その瞬間何かがひび割れた気がした。
絶頂が切れた反動に、ゴホゴホと何度も僕は咽る、最後に振り絞るようにペニスが痙攣した後なんとも言えない倦怠感に体が包まれた。
そして、それと同時に現実が振ってくる。
また、僕は何を言っていたのだろう。
九鬼の言葉は全て、僕この言葉を言わせる為のフェイクだったと言うのに。
いっそのこと記憶なんて無かったらよかった。
束の間の勘違いで上り上がった感情が一気に冷めていく。
涙の溜まった瞳で僕は彼を見上げた。
喉が引き攣って声すら出なかった。
【九鬼】
彼が絶頂解除の言葉を口にする。
ボクは絶頂を解除すればどうなるかは知らなかった。
ただ、絶頂が終わる、それだけだと思っていたが。
見上げてきた瞳は、いつもの彼だった。
正気に戻ったようなそれに、何故かちくりと心が痛む。
ボクには今の彼の気持ちはわからない。
あれだけの絶頂が終われば、すさまじい倦怠感なのかもしれない。
ただ、感情までは組み取れなかった。
「どう?……楽しかった……?」
イタズラに微笑みながら放心する彼の頬へと手を伸ばし、汗で張り付いた髪を整えてやった。
【神功左千夫】
いつも通りの彼の声に今日はいつもとは違い頭に血が上りそうだった。
「楽しい…訳―――ッ!!……リン……」
僕が掠れた声を荒げようとした瞬間頭上からリンが現れた。
そのおかげで気持ちが落ち付くとリンに手を伸ばして頭を撫でた。
「まさか…こんな、躾をしてるとは思いませんでした…愛護協会に訴えてあげましょうか…?」
いつも通りに返した後、擦りよってくるリンに顔を寄せる。
この温かな毛並みが痛んだ心に癒しをくれているのが分かった。
それから、下腹部へと視線を下げる。
もう既に中から体液が漏れているが抜かれると全て出てしまうので抜いて欲しいような抜いて欲しくない様な。
そんな迷いのある視線のまま彼を再び見上げた。
【九鬼】
「躾?心外だナ。ボクはただ、リンが好きな事やらせてあげてるだけだヨ。
それに挿入まではさせた事ないし」
左千夫クンの言葉に笑いながら返答する。
散々怒られるかと思っていたが、どうやら彼も動物には弱いらしい。
少し嫉妬してしまいそうな気持ちを抑えると、視線が下腹部へと落ちた。
彼の腹はまだパンパンだ。
「あ、抜いてあげるネ♪」
そう告げると勢いよくペニスを引き抜いた。
塞き止められていたリンの精液がいっきに溢れだすと、床を汚して行く。
その光景を見ながらイタズラな笑みを向けると、彼の上から立ち上がった。
「はー…これ華尻ちゃんの能力なんだっけ?
またお願いできるように根回ししとこ……。
……お風呂、入る?」
大きく伸びをし、床に寝転んだままの左千夫クンへと視線を向けた。
【神功左千夫】
「………九鬼の言うことでも、こういうことはしたら……駄目、ですよ。……ッ、ぁ!ま……って、も、最悪…ッ!」
人には挿入したことが無いと言われると複雑な気分になり頭上から覗きこんできているリンへと言葉を掛ける。
気持ち良くなかった訳ではないが色々罪悪感が物凄い。
そんなことを考えていると九鬼はペニスが抜いてしまった。
基本、彼とセックスをするようになってから無駄なものは溜めてはいないがそれにしたって。
余りのデリカシーの無さや羞恥から僕の顔は更に赤く染まる。
色々言いたいことは有ったが言葉にならず僕は額に手を遣り、短い悪態を吐いた。
癖になりそうな排出感に自然と呼吸が漏れる。
恍惚な視線を再び彼に上げながら僕は片手を伸ばした。
「次は貴方が体験すればいい。―――勿論。」
今は無性に彼に抱きつきたかった。
それがずっと一緒では無く、束の間と分かっていても。
END
力の無い唇をイタズラに貪る。
必死で首を縦に振る彼を見ると、優越感が沸き心の奥がゾクゾクと震えた。
ボクももう限界だ。
彼の涙を拭うように指を這わせ、息を荒げながら言葉を落とす。
「うん……ずっと、傍に、いてあげる……ッ、ずっと一緒だヨ…?――――ッ…!」
その言葉の後、ボクは射精した。
身体を反らせながら彼の中へと全てを放ち、射精の快感に打ち震える。
余韻を味わう様に強くゆっくりと腰を打ちつけながら、ただ彼が落とす「解除の言葉」を待つように微笑んだ。
ここでも何が解除の言葉かは言ってやらない。
しかし、自信はあった。
彼はきっと、ボクの言葉を反復するはずだ。
【神功左千夫】
「―――ッ…!!!は……ぁ、……うん。ッ…ッ、――ずっと、一緒にいて―――ッ―――??」
九鬼の言葉に乗せられる様に僕はその言葉を綴る。
その瞬間何かがひび割れた気がした。
絶頂が切れた反動に、ゴホゴホと何度も僕は咽る、最後に振り絞るようにペニスが痙攣した後なんとも言えない倦怠感に体が包まれた。
そして、それと同時に現実が振ってくる。
また、僕は何を言っていたのだろう。
九鬼の言葉は全て、僕この言葉を言わせる為のフェイクだったと言うのに。
いっそのこと記憶なんて無かったらよかった。
束の間の勘違いで上り上がった感情が一気に冷めていく。
涙の溜まった瞳で僕は彼を見上げた。
喉が引き攣って声すら出なかった。
【九鬼】
彼が絶頂解除の言葉を口にする。
ボクは絶頂を解除すればどうなるかは知らなかった。
ただ、絶頂が終わる、それだけだと思っていたが。
見上げてきた瞳は、いつもの彼だった。
正気に戻ったようなそれに、何故かちくりと心が痛む。
ボクには今の彼の気持ちはわからない。
あれだけの絶頂が終われば、すさまじい倦怠感なのかもしれない。
ただ、感情までは組み取れなかった。
「どう?……楽しかった……?」
イタズラに微笑みながら放心する彼の頬へと手を伸ばし、汗で張り付いた髪を整えてやった。
【神功左千夫】
いつも通りの彼の声に今日はいつもとは違い頭に血が上りそうだった。
「楽しい…訳―――ッ!!……リン……」
僕が掠れた声を荒げようとした瞬間頭上からリンが現れた。
そのおかげで気持ちが落ち付くとリンに手を伸ばして頭を撫でた。
「まさか…こんな、躾をしてるとは思いませんでした…愛護協会に訴えてあげましょうか…?」
いつも通りに返した後、擦りよってくるリンに顔を寄せる。
この温かな毛並みが痛んだ心に癒しをくれているのが分かった。
それから、下腹部へと視線を下げる。
もう既に中から体液が漏れているが抜かれると全て出てしまうので抜いて欲しいような抜いて欲しくない様な。
そんな迷いのある視線のまま彼を再び見上げた。
【九鬼】
「躾?心外だナ。ボクはただ、リンが好きな事やらせてあげてるだけだヨ。
それに挿入まではさせた事ないし」
左千夫クンの言葉に笑いながら返答する。
散々怒られるかと思っていたが、どうやら彼も動物には弱いらしい。
少し嫉妬してしまいそうな気持ちを抑えると、視線が下腹部へと落ちた。
彼の腹はまだパンパンだ。
「あ、抜いてあげるネ♪」
そう告げると勢いよくペニスを引き抜いた。
塞き止められていたリンの精液がいっきに溢れだすと、床を汚して行く。
その光景を見ながらイタズラな笑みを向けると、彼の上から立ち上がった。
「はー…これ華尻ちゃんの能力なんだっけ?
またお願いできるように根回ししとこ……。
……お風呂、入る?」
大きく伸びをし、床に寝転んだままの左千夫クンへと視線を向けた。
【神功左千夫】
「………九鬼の言うことでも、こういうことはしたら……駄目、ですよ。……ッ、ぁ!ま……って、も、最悪…ッ!」
人には挿入したことが無いと言われると複雑な気分になり頭上から覗きこんできているリンへと言葉を掛ける。
気持ち良くなかった訳ではないが色々罪悪感が物凄い。
そんなことを考えていると九鬼はペニスが抜いてしまった。
基本、彼とセックスをするようになってから無駄なものは溜めてはいないがそれにしたって。
余りのデリカシーの無さや羞恥から僕の顔は更に赤く染まる。
色々言いたいことは有ったが言葉にならず僕は額に手を遣り、短い悪態を吐いた。
癖になりそうな排出感に自然と呼吸が漏れる。
恍惚な視線を再び彼に上げながら僕は片手を伸ばした。
「次は貴方が体験すればいい。―――勿論。」
今は無性に彼に抱きつきたかった。
それがずっと一緒では無く、束の間と分かっていても。
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