あなたのタマシイいただきます!

さくらんこ

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★本編★あなたのタマシイいただきます!

【10-1】春風にフリル揺らして祝福を

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今日、喫茶【シロフクロウ】は季節イベントの日だ。
通常営業とは違い時間を区切った入れ替え制で、予約も取れるようになっている。
アフタヌーンティー形式を採用しており、ドリンク類はおかわり自由なので少ないキャストで回している分負担も大きくなる。
昨日と今日が大掛かりなイベントデーで明日から暫くの間は内装と衣装、メニューはそのまま残して通常営業へと戻る。
今回は4月の復活祭(イースター)とゴシック・アンド・ロリータを掛け合せたイベントだ。
店内はパステルグリーンを基調にしてイースターエッグやうさぎ、ひよこなど春らしい明るさをイメージした飾り付けや照明にしている。
キャストの衣装もいつもとは違い、ゴスロリと掛かった衣装を全員が身に着けている。
ただまぁ、今回の衣装はちょっと物議を醸した。



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「ちょ────っ!!何なんですかコレ!?!?!?」

「今回の衣装ダヨ♪はるるとなゆゆは双子コーデにしてみた~。あとは各自カラーをパステル調にした感じかナ!」

「短パンって…!無理です、俺!無理です!!こんなの着られない、…です!」

「えー、もー、ムリー。それプログラム作るの二週間くらい掛かったんだからネ。
もう開店するから、作り直せないよ~。
はいはーい、あと、各自でヘアメイクしてネ。
ヘアースタイルは外ハネって感じをイメージして衣装作ってるからヨロシク♪」


正直、このイベントデーとか言うやつが俺は初めは反対だった。
マスターが主体の通常営業の時とは客層が異なるし、何より常連客が付きにくいのではないかと思ったからだ。
だがそこは九鬼が譲らなかったのでスケジュールに組み込まれているが、狙ってかどうかはさて置き、客層の幅を広げる事には成功している。
カフェのイベントデーと言えど手抜きせず、いや寧ろこっちが本番なんじゃねぇーかってくらいの気合の入れようで内装だったり、衣装を用意している。
まぁ、今回みたいに際どい衣装の時もあるがパステルカラーとゴスロリをうまく調和させた衣装にはなっている。

俺もショートパンツだが…。

ちらりと千星さんを見つめる。
千星さんの衣装は甘ロリをイメージした、パステルブルーのフリルブラウス、襟もフリル衿とボウタイの蝶結びが付いている、袖は肩の部分がバブルスリーブになっていて膨らんでいる形だ。
腰のコルセットがありズボンは千星さんが言うとおりドロワーズ調のショートパンツだ。
後はソックスガーターに膝丈の横ストライプのソックス。
最後の極めつきに片方から白いうさ耳が生えていた。

確かにすごい格好だとは思う。
双子コーデと言うだけあって俺はそのパステルグリーンバージョンだ。

この衣装は俺がLABO〈ラボ〉で造った《食霊─しょくれい─》 の為に使用している特殊素材を使用している。
手短なもので言えば、エプロンがマントに形状変更できるあのプログラムだ。
そのプログラムで作られた服を俺達は纏っている。
その特殊素材を九鬼がプログラムし直して、エプロンから今日の為のイベント衣装に形を変えたものである。
俺の“アナライズ”とイデアさんが残したLABOで作り上げた特殊素材は、形状変化だけではなく、耐火、防弾など身を守るための機能が備わっている。
毎回手を抜かず細部までプログラミングして作りこんでくるし、今回のジャンルはちょっとばかり俺の好みでもあるので見る分に関しては賞賛に値する。

内装もヤツの能力の“創造”を使って変化させる場所もあるので、コストダウンにもなるし、なんつーかアイツが創るもんは無駄に細かいので客受けは途轍もなくいい。

いつも九鬼はキワモノを好むが、神功に却下されたのか、ヤツは白・銀・グレーを貴重とした片方の肩に羽があるヨーロッパ貴族風タキシードでキメてきている。
いつも結んでいる髪を解き、片側の肩から伸びている大きなマントをはためかせ、ステッキとうさ耳付きのシルクハットを着こなす様はアイツを好む客層からのウケは完璧だろう。
一般的に見ればヤツもイケメンの部類に入るが、雰囲気からかどうしても俺にはチャラく見える。

1階の応接室でエプロンからシステムチェンジして衣装を身に纏い、ヘアアイロンで髪を外巻きにしていく。
姿見で最終チェックを終えると、鏡にまだ用意が終わっていない千星さんが部屋の端に蹲っていたのが見えたので、其方に駆け寄った。

「千星さん、髪セットしましょうか?」

「はるきぃー…。晴生はいいのかよ!こんなかっこう!!こんな、晒しもんみたいな…!」

「いや…良くはないッスけど……。
でも、…………………千星さんと、色違いなので。」

そう、お揃いだ。
色違いであるがペアルックと言っても過言ではない。
色々考えていたら思考がショートしてきて俺は耳元を赤く染める。
それを振り払うように作業に取り掛かる。
開店時間が迫ってきたので、千星さんを椅子へと誘導すると「失礼します」と、声を掛けてから千星さんの癖っ毛を活かしながら外巻きへ巻き直していく。
普段ペアルックなんてしちまうと好奇の目に晒されるが、喫茶【シロフクロウ】の中のイベント衣装なら、堂々と千星さんと同じ衣装を着ることができる。
これも俺の楽しみの一つである。

姿見に映る千星さんを見ながら邪な思いを抱いていると、ピンとうさ耳が伸びた。
どうやら耳は感情に左右して動くらしい。
千星さんはまだ立ち直ってないのか耳は垂れ気味だった。

「九鬼、那由多くん、晴生くん、用意が終わったら手伝って貰えますか?」

喫茶店側から神功の声が聞こえた。
俺達2人以外は早くから料理の準備をしていたようで、既にホールへと出ていた。
俺は千星さんの髪のセットを終えると応接室を片付け、音響の調整もあるので一足先へホールへと出た。

「おー、日当瀬、かわいいじゃん!」

テーブルセットをしていた明智が俺の気配に気付き、一番に声を掛ける。
俺に向けて掛けられる言葉は感嘆を含んでいる気配はあるものの揶揄にしか感じず、グッと眉根を寄せた。

「うるせぇ!喋ってねぇでさっさと用意しろッ!」

「いでぇー!!ちょ!人手ねぇんだから、怪我したら困んだろ!加減しろよな!厚底いてぇ!
いやー、でもマジかわいいぜ、うん、可愛い。
なんつーか、かわ、───わかった、俺が悪かったって!もー、言わねぇって!」

すかさずドロップキックを腹部にかましてやる。
明智は避ける事なくまともに俺の蹴りを喰らうが、痛いと言う割には痛くなさそうだ。
それからも言い続けられたので沸点が低い俺は直ぐに頭に血が登る。
俺の瞳に能力の“アナライズ”の発動時の丸い輪が浮かび上がる。
俺の得意武器は銃なのだが、能力の属性化が完成したときから拳銃は必要なくなった。
俺の手自体が拳銃の代わりになる。
青筋を立てながら真っ直ぐに明智に対して腕を伸ばし親指と人差指をクロスさせる、指ハートと言われる形にする。
指さえ擦れれば銃のように空気砲を発射できるのでポーズは何でもいいのだが、指ハートはメディアの影響もあり愛情や感謝を伝えるときに添えるジェスチャーであるため客に向けても違和感が無い。
喫茶店という中で密かに他者を攻撃する為のポーズとして、これ以上のものは今の所見つかっていない。
俺が本気なのを明智は察したのか言葉が謝罪へと一転した。
俺は舌打ちすると同時に腕を下ろし、能力の発動も解いてしまう。

そういった明智もうさ耳のハットにヨーロッパ貴族風のボウタイのシャツ、パステルムラサキを基調とした片側だけ後ろの裾が長いタキシードはタッパがあるアイツにマッチし、様になっていた。
感情が多彩な奴のハットに付いているうさ耳は立ったり、下がったりと色んな動きを見せて忙しそうだ。

俺が音響の最終調整に取り掛かったところでまた、明智の笑い声がホール内に響いた。

「だはははははははっ!!」

「あー!!もー!だからこっち出たくなかったんだよ!!笑うな剣成!クソッ、そんな笑うならお前がこれ着ろよな!」

「わりぃ、………く、ぷ、アハハッ、だって、ひぃ…やべぇ、九鬼オーナーナイスッ、ハハハハッ」

「けんせいぃぃぃ!!!…ぅ、わっ!!」

余りに馬鹿笑いしているので、気になって声のする方に歩いていると明智が千星さんを指差して笑っている。
あんなにお美しく可愛いのにアイツは何を言っているんだ。
明智の野郎にガツンと言ってやろうと更に歩みを速めようとすると調度直ぐ横に居た千星さんが躓いてコケそうになる。
慌ててそれを支えると、彼はホッと胸を撫で下ろしていた。
俺の身長に合わせるため俺よりも高い厚底を履いてるからだろう、千星さんを起こすと俺は手を離した。

「大丈夫ですか?」

「お、おう。ありがとな…つーか、もー、マジで晴生!いいのかよ!これ!?」

「俺?俺は自分の格好はアレですけど、千星さんは可愛いと思いますよ?」

「はっ?」

千星さんは信じられないと、言ったような顔をしていたが俺はクソ真面目に返答したつもりだ。
逆に明智が何故笑うのかが理解できない。
この点に関してはキッチンのホールから両耳をピーンとおっ立てて千星さんを見ている天夜との意見が合う。
天夜も明智と似たようなパステルオレンジの衣装でシルクハットに耳が生えている。
袖が長袖で、明智とは反対側のタキシードの裾が長く伸びていた。

千星さんの衣装のパステルカラーといい、癖っ毛といい、少しズレてしまったソックスガーターといい、完璧なバランスを保ってると言ってもいい。
まるでディスプレイのマネキンを見るような視線で千星さんを上から下まで見て、「失礼しますと」躓いた衝撃でズレた相手のソックスを直しているとまた明智の笑い声が聞こえた。

「ナユ、日当瀬と、並んだら余計ッ、ハハハハッ!」

「剣成のが、一番まともな反応だよな!めっちゃムカつくけど…ッ!!」

「ハイハイハーイ、そろそろ開けちゃうから、なゆゆと、はるるは入口でお出迎えだからスタンバってネ!」

「え゛!?九鬼オーナー、俺それ聞いてないですっ!」

「言ってないもん~。と、言うかワザワザ双子コーデにしたんだから当たり前デショ?
はい、行った行った~。」

「ちょ!九鬼オーナー、どさくさに紛れてどこ触ってんですかッ!」

「んー?なゆゆの生足~、出てるもんは触っとかないとネ♪」

「セクハラですよ!セクハラッ!」

千星さんは九鬼に押されて入口へ行ってしまった。
俺も途中で放っていた音響と照明を調節してから入口へと向かう。
扉の前で左右に別れてスタンバイする。
まだ開店もしてないのに千星さんはどこか疲れた顔をしていた。

「はぁ…こんなの絶対目立つし…」

「その点なら大丈夫じゃないッスかね。」

そう告げると今日はキャストが歩き回るのでイースター用のディスプレイになっているカウンターの内部を最終調整しているマスターへと視線を流した。
俺につられるようにして千星さんもマスターに視線を向ける。
喫茶店内のディスプレイ、色調、キャストの服までパステルカラーで纏めていると言うのに何故かヤツだけは完全にゴシック調だった。
黒のパステル色が無いからか衣装は黒の深みのある赤で纏められている。
うさ耳のシルクハットを被り、いつも三つ編みに結っている髪を解き、長い髪を外ハネにヘアーセットをしている。
九鬼と反対方向の肩に黒い羽がある、ナポレオン風燕尾服を纏っている。
黒いフリルや手・脚部分と燕尾服の裾から床に引き摺るほど長く伸びたレースは繊細な模様をしており、照明により更に引き立っていた。
吸血鬼とか魔女、夜会をイメージさせる色調はこの中にいると悪目立ちした存在感しかない、どこにいても直ぐにわかる。
ただ、奴は悪目立ちしても困らないほどの容姿と所作の持ち主だ、なんとでもなるのだろう。
最終調整も終わったようで、中指の根本にまでレースが伸びたフィンガーレスグローブのような袖の手を持ち上げると、ラケダイモンを片手に乗せウサギ型のケーキを食べさせていた。

つーか、アイツ、アレで接客すんだよな。
あの引き摺ってるレース踏まれるだろ普通。
こんなクソ忙しい中、あの衣装を着こなせるのは神功だけだろう。
俺と千星さんの視線に気づいた奴はこちらに視線を向けるといつもの笑みを浮かべた。

「時間ですね。皆さん今日もよろしくお願いします。」

マスターの声を合図に俺と千星さんは扉を開ける。

「「ようこそ、喫茶【シロフクロウ】へ」」

俺と千星さんの声がきれいにハモった。
この時ばかりは何だかとても至福の時間に思えて自然と小さく唇に笑みが乗る。
俺達が頭を下げている間に予約客は次々と店内に入って行く。
こうしてイベントデーの初日は始まった。



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初日は無事に終わり、二日目も昼終わりの入れ替え時間に差し掛かっているところだ。
キャストの休憩時間を兼ねているため長めに取られた空き時間に、手早く片づけと準備を終わらせていく。
一般人とはかけ離れた手際の良さをもつ奴らの集まりなのでそれは直ぐに終わり、各々が休憩時間に入る。

「おや…那由多くんが戻ってきてませんね…」

休憩時間をきっちりと決めてはいるが神功は喫茶店が開いている間止まることは殆ど無い。
上の者ほど休むべきだとも思うが、俺も片手間でも仕事をしている方が落ち着くのでそういう性分なのだろう。

確か、千星さんは二階の個室の片付けに行っていたはず。
神功が動くよりも速く、俺は二階に続く階段へと向かう。
俺に気づいた奴は歩みを止め、「お願いしますね。」と、俺の背中に言葉を放った。




∞∞ nayuta side ∞∞

あ゙ー!もー!動き難い!!
厚底の靴は脚が長く見えるのは分かるけどぜってぇ接客向けではない。
コンセプトカフェの店員の大変さが改めてわかった二日間だ。
いやでも、厚底で手こずっているのは見た限り俺だけだったが…。

この二日間で何回転けそうになったか。
そして、何回他のメンバーに受け止められたかもう既に数えてない。
一番俺を受け止めてくれたのがマスターだってことだけはわかってる。
絶対マスターの服装が一番動きにくいはずなのに、何故か俺が転けそうになると傍に居る。
「大丈夫ですか?那由多くん。」「は、はい、すいませんッ!!」と、言うやり取りを何回しただろうか。
マスターは何故かトコトン俺に甘い。
ぜってぇ他のバイト先だったら怒られるだろうってことにも決して怒ったりしない。
そして、失敗しない為のフォロー体制も完璧である。
マスターにとって俺の存在はいったい何なのだろうか…。

因みに休憩時間にマスターにどうやって速く動いているのか聞いてみると、「布は布なんですが、プログラム化できるものなので動きにくい部分だけ一瞬プログラムに戻すのがコツですかね。」と、一般人の俺には意味不明の返答が返ってきて諦めた。
たまに忘れるけどマスターが一番人間離れしていると言っても過言ではない。

はぁー…と、大きく溜息を吐くと、再び肩を落とした。
後はこの個室を片付けたら終わりなので再び作業に取り掛かる。
この部屋のコンセプトは晴生が手掛けていて、俺の好きな部屋の一つだ。
ハードパンクやゴシックをイメージしていて、普段は黒基調で、髑髏やローズの細工の細かい椅子やテーブルが並べられているのだが、そこにイースターのパステルカラーを主としたたくさんのローズと鮮やかな緑の蔦で覆い隠すことでいい味が出ている。
て言うか、衣装もそうだけどこの辺の九鬼オーナーの拘りは凄い。
各個室は既にコンセプトがあるにもかかわらず、それを尊重しながらイベント装飾を施してくる。
普段もこれくらいやる気だったらこの前の俺の大学生活初キスは死守できたかもしれねぇのにと、更に肩を落とすことになる。
あー、だめだだめだ、周りのメンバーが凄いせいか俺は直ぐに頼ってしまう。
このままでは頼りグセがついて碌な大人になれない気がする。
それた思考を戻しながら片付けを再開すると、不意に気配を感じた。

『わぁ、お兄さん可愛い格好ですね!』

「え!いや、そんな、これは……って、え?」

急に俺の背後から掛かった声に反応してしまう。
あわあわと、両手を顔の前で横に振り少し掠れたような声に慌てて返答するが、この時間に客がいるはずは無い。
流れるように振り返った先にゆらりと《紅い魂─あかいたましい─》 が揺れる。
眩く輝くそこには、甘いパステルピンクと水色のカラーのふわっふわのロリータワンピースを着た金髪の美しい女性が佇んでいた。
やっば!っと慌てるが、それよりもはやく《紅魂ーあかたまー》 が俺へと迫ってくる。

「うわっ、ちょっ、やめ…!………痛っ!」

『捕まえた。ねぇ、お兄さんもかわいいけど、私も可愛いと思いませんか?』

そのままソファーへと崩れるように押し倒され、人形のような容姿をした女性が俺の上に乗りあがる。
キレイな青い瞳と妖艶な微笑みが俺の視界を染めた。

やばい、絶体絶命だ。
どうするんだっけ、こう言うときどうするんだ!?
《食霊─しょくれい─》 か!?《食霊》すればいいのか?と、言うことはキス!?!?!?

元から俺はイレギュラーなことへの対処能力は低い。
あまり無いシチュエーションに心臓も無駄にバクバクしている。
その時俺の耳に聞きなれた声が届く。

「千星さん、手伝いにきまし─────す、すいません失礼しましたっ!!」

「あ、はる───ちょ!おいッ!?晴生ー!!どこ行くんだよッ!」

助かった!と思ったのも束の間、晴生はこの部屋を覗いた途端何を思ったのか勢い良く扉を閉めて出ていってしまった。
再びピンチだ、ピンチ再来だ!意味わかんねぇ!!

『あらあら、薄情なお友達ですね。
ねぇ、お兄さん。私かわいいですよね、この服似合ってますよね…私もっともっとこんな可愛い服着たいんです…だから、この身体貰っていいですかぁ?』

俺の上に乗り上げている女性が美しく微笑む。
フランス人形のようにきれいで整った顔立ちをしている女性に迫られるのは、状況を考えなければとても幸福なことなのだが、事態が事態だ。
呪い殺されるかもしれない相手にときめくほど俺は無節操ではない。
それに、上から落ちてくる言葉は嫌に頭に響く。
完全に動きを封じられた俺の体に、彼女の手が胸元からゆっくりと首へ上がってくる。

ヤバイ、ヤバイ…ヤバイヤバイッ!!

「は、晴生ィ!!!《紅魂》 だ!!気付けよ馬鹿野郎ッ!」

恐怖に固まる喉をなんとか開くと大声を上げた。
次の瞬間閉じられた扉を貫通し、空気の塊がパシュンッと《紅魂》の両腕を撃ち抜く。
撃ち抜かれた肘から先が煙のように消えてしまった。

「すいません、……千星さん。
俺、動揺して勘違いしてました…。」 

閉まった扉がキィ…と風に押されるように開く。
そこには薄い緑の光に包まれ、瞳が白く輝いている晴生が…何故か耳を赤くして立っていた。
彼は風を纏い、今日の衣装のフリルがうさぎ耳ごと靡いている。

彼の左腕はまるで銃を構えるように真っ直ぐに伸びているが手には何も持っておらず、指を鳴らした後のように親指だけが立っている。
その親指と人差し指で小さなハートの形を作るとズラすようにして指先を弾く。

『いやぁあああっ!!』

一つの動作から幾つもの空気の弾が俺の上の《紅魂》を撃ち抜いていく。
彼女は悲鳴を上げゆらりと煙のように消えたが、前回の変質者のような消え方だったため、俺は慌ててソファーから立ち上がると晴生のいる方へと走った。

 

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マジ有り得ねぇ、馬鹿な…自分が憎い。

千星さんを手伝いに2階の個室へ行くと、女性に押し倒されている彼がいた。
もしかしたら午前中の客といい感じになってそうなったのかもしれないと俺は慌てて部屋を出たが、よく考えると真面目な千星さんがそんな事をする筈もない。
千星さんの声で我にかえると“アナライズ”の発動と能力の属性変換を同時に行う。
“アナライズ”発動時、障害物は用をなさないので扉越しに《紅魂》を撃ち抜いた。
弱いものであればこのまま《食霊》できたり消滅したりするのだが、そこは流石千星さんが実体化したものだ。
消えたように見えただけでまだ此処に居る。

「日当瀬、大丈夫かー!」

「うるせぇ!…すぐ終わらせる。」

1階と2階は吹き抜けになっているため、背後の柵の向こう側のカウンターから個室前の通路は丸見えだ。
1階のカウンターの周りから明智の声が響く。
背後の柵越しにカウンターに視線を向けると、1階に居る4人全員が臨戦態勢に入っており、どっちかっつーと《紅魂》より下の四人の方がどう考えても危ない。
殺気が剥き出しだ。
《紅魂》はなるべく説得してから《食霊》するほうがエネルギー効率がいい。
このままではこの魂は、下の4人の怪物達に無残に喰われてエネルギー化されてしまうだろうと、俺は眉間に皺を寄せた。

そんな事を考えていると千星さんがこちらに走ってきた…が、盛大に躓いた彼は俺に向かって覆い被さるように飛んでくる。

「うわっ…」

「千星さ…っ!…ッてぇ、…大丈夫ッスか?」

彼に負担が無いように受け止めるとそのまま後ろに尻もちをつく。
いつもなら受け止められるのだが厚底だったのを忘れていた為、柵に思いっ切り背中をぶつけてしまった。
受け止めた彼は大丈夫だったかと慌ててその顔を覗き込む。

「大丈夫っ、つか、悪い…俺焦って…」

「構いません、俺の方こそすいませんでした。」

『仲がいいのね…』

ゆらりと個室の入口辺りの空気が揺れる。
次元が揺れると再び無傷の《紅魂》が俺達の前に姿を表す。
本当に千星さんの実体化には恐れ入る。
今日は、イベントデーだったためこの様に仮装して来られたお客さんも沢山いた。
“アナライズ”を使えばわかるが、使わなければ仮装した一般人と何ら変わらない装いに自然と眉根が寄った。
千星さんをギュッと抱き寄せたまま《紅魂》を睨み上げる。

「何が言いたい?」

『私も居たのよ…双子コーデしてくれる相方が…でもね、歳を重ねて行くうちに卒業するって言われちゃって…。
そんなこと言われたらね…こんな格好している自分が恥ずかしくなって、やめちゃったの……。』

「で?死んだけど、それが心残りで成仏できてねぇって訳か。」

『そう。交通事故でね。
一瞬だったわ…。こんな一瞬で散ってしまう命ならもっと好きに生きればよかったって…』

「もう、死んでんだから遅いだろ。」

「おいっ、晴生ッ…」

「千星さん、こういう奴にはガツンも言わないとわかんねぇーんですよ。
おい、《紅魂》よく聞けよ。
テメェはもう死んでんだ、死んだ分際でこれ以上人に迷惑かけんじゃねぇ。
それに、例えそれで他人様の体奪って何になるんだよ。
もう、お前は居ねぇんだよ。そんな人様の体で趣味を楽しんで満足か?
俺だったら嫌だね、俺は俺であることを楽しみてぇ。
他人さんの体なんて真っ平ゴメンだ。」

ゆらりと《紅魂》の気配が揺れる。
凶悪な《紅魂》であったのなら千星さんに話しかけず乗っ取っていたはず、彼女がそうしなかったと言うことは。

『なによっ、わかった口聞いて…私は、私はもう一度楽しみたかっただけなのッ、もう一度この世界を…この幻想的な世界観を…』

「なら、楽しめばいいじゃねぇか。
千星さんに、実体化して頂いたその体で。
喫茶【シロフクロウ】は人材不足なんで一日バイトはいつでも大歓迎だぜ?
マスター、構わねぇよな?」

《紅魂》の不穏な気配は消えたため千星さんの腕を引きながら立ち上がる。
目の前で信じられないと目を見開いている女性を尻目に、俺は階下のマスターへと視線を向けた。

「そうですねぇ。晴生くんの推薦なら断る必要はないですね。
さて、そろそろ時間ですね、皆さん配置へ。
晴生くん、そこの個室のセッティングは任せましたよ。」

いつも通りの食えねぇ笑みを浮かべながら神功は小さく頷いた。
その声を起点に下の4人の臨戦態勢が解かれる。

『ちょっと、あんた!いいの!こんな得体がしれないの!』

「あん?今更だろ?テメェが行ったんだろ?最後にこの世界観を味わいてぇって。
それに、1階の4人のほうが十分得体がしれねぇぜ?」

『……ッ!?』

「つーか、時間ねぇんだよ。
千星さんちょっと手荒になりますが下ろしますね。」

「え!?おい、ちょっと!」
『きゃ!?なに!!』

能力の属性化は現象のデカさによっては多くの電磁波を消費する。
《idea─イデア─》 化する前に使用すると《食霊》して貯めているエネルギーが減るのだが今回は大目に見るとしよう。
瞼を閉じて集中する。
ふわりと大きな優しい風が俺の周りを踊り遊ぶ。
片付いていなかった個室の食器を風たちがキッチンへと運び、続いて皿やフォークやナイフが踊るようにテーブルへと並んでいく。
そして千星さんと実体化した《紅魂》 を風の力によって持ち上げると風の滑り台を滑らせるようにして喫茶【シロフクロウ】 の入口へと誘う。
自分は柵を飛び降りる様にして階下へと軽いタッチで降り立つと、入り口へと向かった。

色々あーだのこーだの《紅魂》 は五月蝿かったがテキパキと指示だけ伝えると開店の時間が来る。
お出迎えの挨拶は既に決まっている。
扉が開かれると俺達は客を楽しませる為のキャストである。
それだけは絶対だ。


「「『ようこそ、喫茶【シロフクロウ】 へ!』」」


《紅魂》を交えたまま最後のイベント回が幕を開けた。



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『あー、楽しかったぁ~』

最終回が終わり、CLOSE作業も殆ど片付いた後、神功はカウンターに座っている《紅魂》に紅茶を出していた。
こういう服装が好きで着ていたと言うだけあり、立ち振る舞いや客対応は流石といったものだった。

『でも、もう終わりなのよねぇ~、残念。なんで私死んじゃったんだろ。』

両手で頬杖をついて残念そうに肩を落とすが、その声音はどこか吹っ切れた清々しいものだった。
思念の塊では有るのだが少しだけ同情はしちまう、もう彼女は生き返ることがないのだから。
腰のコルセットに忍ばせていた電子タバコを取り出し、それを吸うために定位置へ向かおうとカウンターを横切ろうとしたら《紅魂》に捕まった。
そのまま耳元でヒソヒソと言葉を紡ぐ。

『ねぇねぇ、剣成君が言ってたんだけど、私が成仏する為には、君に喰われる必要があるって』

明智の名前にグッと眉根が寄る。
ヤツはいつも抽象的にしか物事を話さないためこう言ったことが起きる。
俺は大きく溜息を吐いて肩を落とした。

『それってさ、バリバリっと頭から食べちゃう感じ?それともエッチしちゃうの?』

耳元に吐息混じりに囁かれる声に自然と頬が紅潮した。
《紅魂》に視線だけ流すと艶めいた笑いに自然と肩を竦める。

『因みに、エッチだったら私突っ込む方だけど晴生君、大丈夫?』 

───────────はぁ?

《紅魂》の言ってる事が理解できない。
突っ込む?騎乗位の間違いか?それともゴスロリ専用用語があるのか?
意味が理解できないと思案を巡らせ、訝しげに眇めた視線のまま見詰めていると、彼女は数度瞬いた。
その後、何か思い当たるフシがあった様で、徐に彼女は自分の金髪の髪を掴んだ。

『もしかして、晴生君気付いてないの?』

女性らしい笑みを浮かべたまま彼女は自分の髪を引っ張る…引っ張る?お、い…マジかよ…ヅラなのか!?
それは、ヅラだったのか!?

彼女の髪が、いや、カツラが床に転がる。
その下から出てきた茶色い髪は坊主に近いほど短髪で、俺は驚きに目を丸くする。

「え…お、……お、…。」

「男!?!?!?」

俺よりもはやく千星さんの声が喫茶店内に響き渡る。

『あら、那由多君も気付いてなかったの?まだまだ私も現役でいけたのねぇ。
で、晴生君、オネェさんやさーしくする様に頑張るからヨロシクね。』

違和感に背筋が寒くなる。
ウインクまでされちまって寒気が走った。
ファッションは自由だ、自由なんだが…!
改めて服装の素晴らしさと化粧の恐ろしさを噛み締めたイベントデーだった。
その後は完全に暴れだした俺をメンバーが宥め、マスターが《食霊》の仕方を説明すると《紅魂》は『なーんだ、つまんない』と、言いながらもどこか楽しそうにジッと俺を見つめた。
そうすると俺は彼女…いや、彼の耳へと唇を寄せることになる。

『ねぇねぇ、私、何に生まれ変わると思う?』

「あん?んなもん、知るかよ。死後の世界なんて行ったことねぇし。」

『そこは嘘でも、美少女とか言ってよね~もー、夢がない。』

「はん、俺はそういう適当なこと言う奴が一番嫌いなんだよ。」

『うん。知ってる…。だから貴方の言葉は心に響くのよね…。』

《紅魂》が切なげに視線を眇めた。
自然と俺の瞳も細くなる。
ロリータの甘いフリルを風が遊び始める。イースター用の飾り付けの花を風が掬い、彼の周りに花弁が舞う。

『ありがとう、晴生君。
貴方はぶっきらぼうだけど、とても優しい人ね。とーっても楽しかったわ。来世があるならまた会いに来るわ。』

「うるせーよ。
生まれ変われるもんならさっさとやってきやがれ、こき使ってやるよ。」

『フフ。約束よ、それではご機嫌麗しゅう、皆様。』
 
 《紅魂》が、一番最初にあったときの金髪ロングの人形のような美しい姿に戻る。
丸で今から永遠の眠りにつくお姫さまのように瞼を伏せ、俺が遊ばせた緑の風に包まれていく。
俺は彼女の耳の傍で小さくリップ音を立てた。
翡翠のように風は彼女ごと緑に輝き、花弁で埋め尽くされていく。
お姫さまを風の花の牢屋へと閉じ込めて閉まった後、その風は俺の周りを惑い、ゆっくりと俺自身に溶け込んでいく。
完全に《紅魂》の気配が無くなると俺は両手を合わせた。


「はいはーい♪それじゃ全部片付いたことだしSNS用の写真撮るよ~。
衣装そのままにしといてネ。」

陽気な九鬼の声が店内に木霊する。
少しだけしんみりした気持ちを振り払うように俺は指示通りにカウンターへと歩く。
正直写真は好きじゃねぇが、まぁ、広告媒体ってやつは事業を成功させるには必要になってくる。
九鬼は率先して広報活動を行っているのでそこに口を挟む気はない。
手慣れた動作でスマホ用三脚を立て、リモコンを手に自分もイースターの飾り付けをしてあるカウンターへと戻ってくる。

「なゆゆとはるる、真ん中ね!それじゃあ行くよ~♪3・2・1!」

九鬼がシャッターを押すための号令をかける、すぐ横の千星さんが何故か少し余所余所しい、うさ耳もピクピクを動いている。
俺が彼へと視線をむけると後ろのポケットから何かを取り出した。

「晴生」
「はるる」
「晴生くん」
「日当瀬」

「「お誕生日おめでとうー!!!」」

パンッとクラッカーのけたたましい音が響く。
全く想像してなかった俺は目を大きく見開くと同時に、ピンとウサギの耳が立ち上がった。
誕生日プラカードを持ち上げた九鬼以外は全員クラッカーを鳴らしていた。
更によく見ると、三脚のスマホはバッチリ動画撮影されていた。
自然と俺の耳が垂れ、視線が細くなり眉間に皺を寄せるが、怒るのも違うし、なんつーんだろうなこれ。
妙にむず痒い感覚だ。

キッチンに向かった天夜が業務用のキッチンカートンを押してくる。
魚料理を主体に軽食、後はヤツお手製だろうホールケーキには“2”と“0”のローソクと、“はるきたんじょうびおめでとう!!”と千星さんの字で書かれたプレートが添えられていた。
あのプレートは冷凍保存決定だ。

明智がローソクに火を点すと、喫茶【シロフクロウ】の照明を神功が落とす。
九鬼がバースデーソングの号令をかけ全員が俺の為に歌を歌う。
一人だけものすっげぇ、音程が外れている音があって耳につくが、つっこむとつかれるので放置しておく。

このメンバーが揃って祝われるのはいつぶりだろうか、懐かしさもあり気恥ずかしさもある。
自然と浮かぶ小さな笑みを息を抜くように湛えてから、歌が終わると同時に点る炎を吹き消した。
拍手と共にまた店内に明かりが灯った。

「ありがとうございます、千星さん」

「ちょっ、はるる、こんな時までなゆゆだけ!?」

「あん?テメェ等はオマケだろ?オマケ。」

「まぁ、いいケド♪じゃー、巽のケーキの次はオマケのクッキーからの誕生日プレゼント!ジャジャーーん!!」

「なんだよ、コレ……………ッ!?…てんめぇは、んと成長しねぇな!」

「けっこう集めるの苦労したんだからネ~。色んな種類のコンドーム!これで、いつ《霊ヤラレ》になっても大丈夫だね♪」

包装されていたので一見分からなかったが開けてみるとそこには多種多様のコンドームが入っていた。
ラムネ味、イチゴ味に始まり、極厚タイプ、イボイボタイプまぁ、言い出したらきりが無い。
肩を竦めるがコイツらしいプレゼントに怒る気も失せる。

「んじゃ、次俺な。ほい!普段使いできるもんがいいかなーっと思ってよ。」

明智がラッピングの施された小さめの紙袋を俺に渡して来る。
視線が開けてみろと言っていたので仕方なくその場で包装を紐解いていく。
包装の中のジュエリーケースを開くと、そこにはピアスが3つ、1つは瞳がターコイズのフクロウの大ぶりのエスニック調ピアス、2つめも大ぶりで三日月の中に小さな太陽、下に雫がある見目が綺麗なピアス、3つ目はシンプルな翡翠のピアス。
自分では絶対選ばないが、コイツはなぜかこう言うセンスだけはある。
フクロウのピアスは接客中に客受けが良さそうだと見つめていると、千星さんから声が上がった。

「あ、剣成とかぶった!…お、俺も、ピアスなんだよな。」

申し訳無さそうな声が聞こえたが今、何つった?
え?千星さんからもプレゼントあんのか?
あのケーキに乗ってるプレートだけじゃなく?
小さな紙袋を俺に向けて差し出してくれている。

「あ、ありがとうございます!か、か、家宝にします!千星さんから身に付けるものを頂けるなんてッ!」

「お、おう、そんな高いもんじゃねぇけど…」

「つーか、日当瀬、俺と反応違い過ぎねぇ?同じピアスなのによ!」

「ああ?!テメェと千星さんのピアスじゃ天と地ほど差があんだよ。」

「晴生…それは流石に…もうちょっと…なんかこう……なんかこうさあ!?」

「…千星さんがそう言うなら、ちゃんと明智のやつも付けます。」

「………晴生……………。」

千星さんが大きく溜息を落としながら俺の名前を呼ぶが、それ以上に俺は彼がくれたピアスが気になって袋の封を開けていく。
シンプルなステンレスピアスが何個も並んでいた。
普段から俺がチョイスしているような形に、俺のことをよく見てくれていることがわかって俺の心は感動に震えた。
これは千星さんケースに入れて一生飾っておこう。

喜びに浸っている俺に向かって一枚の紙が差し出される。
マスターからだ。

「なんだよ。」

「僕は君の好みがよく分かりませんのでこれを…」

差し出された紙をよく見るとそれは名刺だった。
神功が意図することが分からずに一瞬眉を寄せたがその名刺の名前を見るなり、俺は数度瞬いた。
その名刺は今、俺が一番気になっている論文を書いた女性の研究者の名前が書いてあるものだった。
かなり偏屈な人物で表に出てくることのない彼女の名刺を、なぜ神功が持っているのかは謎だったが、少し心が動かされるプレゼントたった。

「既にアポも取ってますので、あとは日程を裏に書いてある連絡先に連絡してくださいね。」

「チッ、仕方ねぇから貰っといてやるよ。」

神功の手から名刺を奪う。
つーか、コイツはなんで俺があの論文に興味を持ってること知ってんだよ。
つくづく恐ろしいやつだと更に眉を寄せるが、俺の中の好奇心には勝てず、名刺を電子タバコと同じコルセットの中に突っ込んだ。

まぁ、なんつーんだ。
誕生日なんてコイツ等に会うまでは兄が祝ってくれるだけのもんだったけど。

コイツ等に出会って、千星さんに出会って俺の4月30日が更にかけがえのないものになったのは言うまでもない。
天夜の作った料理を囲み、談笑が始まった仲間たちを見つめながら俺は静かに笑みを湛えた。



End
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