あなたのタマシイいただきます!

さくらんこ

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過去編【あなたまメンバーの裏生徒会(高校生)時代】

【過去編】さようなら那由多、そして(裏)生徒会

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ドォォォォォン─────

「あっぶね!」
「ギリギリだったねー」
「大丈夫ッスか千星さん」
「はぁ……ヤバすぎんだろ」

千星、天夜、日当瀬、明智が口々に声を上げた。
あの後天夜は直ぐに意識を取り戻し、そこに日当瀬と明智が合流したところで建物の爆発が始まった。その爆発音で次はクロコッタが意識を取り戻し、「礼を言う」と告げてすぐにワープホールを作って壊れたアクラシアを連れて逃げてしまった。
追う必要がないため四人は急いで脱出し、崩れはじめ瓦礫と化していく建物を見つめていると日当瀬の携帯に神功から位置情報が送られてきた。四人は顔を見合わせると走り出す。

中央の一際近代的な建物の地下に続く階段を降りていくと気絶しているのか死んでいるのか見分けがつかない人間や獣、判別が付かないものがゴロゴロと転がっていた。
千星は現状が恐ろしくて仕方なく、三人の後を隠れるようについて行くと神功の姿が見えた。

「会長ッ!よかった……無事だったんですね。
そうだ、俺、またあのもう一人の人格?みたいなやつの声が聞こてたんです!もしかしたら、あれが俺の能力───」
「那由多くん」
「会……ちょ……?」
「終わってからにしてもらえますか?」

無事であった事にホッとして駆け寄ろうとしたが神功のいつもとは違い無慈悲で人を射殺すような視線にゾッとして歩みを止めた。
神功は千星を一瞥するのみで、そのまま奥へと進んで行く。警報ブザーが鳴り響き奥から走ってくる敵を容赦無くその槍で薙いでいく。まるでゲームでもしてるかのように敵が、人がバタバタと倒れていく尋常でない様子に千星は足が竦んだがそんな神功の状態を気にすることなく背後から蹴り飛ばす人物がいた。

「……ッ、晴生くん」
「あー、だっり。テメェ、何やってんだよ。こんな雑魚相手にする暇あったらさっさと行けよな」
「はる、き、……くん」
「そーそー、日当瀬の言うとおりだぜ!殿は俺達に任せてとけって」
「あ゙あ?誰もお前と一緒つってねーだろ!」
「え?日当瀬、一人でするつもりかよ。無理だろ!?」

明智と日当瀬の掛け合いに神功の気配が和らぎ、千星がホッと肩を落とした。
自分も間違いなくここで下っ端の相手だろうと万年筆を手に取ったが日当瀬が首を傾げた。

「千星さん、何してんスか?早く行ってください」
「へ?」
「そうだね、那由多、先を急ごう」
「え!?巽、行くのかよ!?」
「千星、気をつけていけよ、お前が一番弱っちいから、先輩たちから離れるんじゃないぜ」
「え、ちょ、ちょっと、俺……」
「ほら、行くヨ。なゆゆ。命の保証はしないケド♡」
「副会長ぉぉぉ!」

結局千星の思い通りにはならず引き摺られるように先へと進んで行く。千星は万年筆のカートリッジを予備のものへと変更したため五色の色を用いて神功達の補助に徹するが、神功も九鬼も補助を必要としないほど強かった。
次々に政府の勢力を倒していくと地下のある部屋に到着した。そこは法定のように証言台が一つあるだけで周りはいくつものモニターが囲んでいた。
ヴィンッと電気が通電する音が流れると各モニターに色々な人物が映りだした。
千星は慌てて後退るが神功は真っ直ぐに証言台へと進んだ。

「お久しぶりです」
『神功左千夫《じんぐう さちお》、並びに愛輝凪高校の生徒会諸君、そろそろ頭を冷やしたらどうかね?こんな事をしたって君たちになんの勝機もない、ただの高校生の事故死が増えるだけだ』
「なら、どうすればいいのでしょうか?」
『簡単な事だよ。君が頭を下げてもう一度我々の仲間になればいい。君の、いや君たちの能力は申し分ない。神功くんどうかね?神功左千夫《じんぐう さちお》として、生きるのもいいが我々と一緒になり、世の中を救おうではないか。それなりの地位も名誉も金も用意してある』

千星は目の前の会話が信じられなかった。
こんな事をしておきながら頭を下げろという神経が理解出来なかった。
モニターに映っているのは政府の裏生徒会に関わる幹部のようだが口から下しか映っておらず個々を特定出来るものはなかった。間違いなくただでは帰らせてもらえないだろうけど、倒す相手も見えないこの場所に冷や汗が滲んだ。
千星は神功は絶対に否定すると拳を強く握ったその時。

「それはいい案ですね」

神功は微笑んだ。
誰もがその表情に釘付けになるほど華やかににこやかに微笑んだ。
しかし、その表情をのぞき込んだ千星は固まった。
全く笑っているようには見えなかったからだ。
神功の心には何も見えなかった。
全く見えないことに千星の本能が恐怖を感じた。この人はこんな表情も出来るのだと畏怖した。
正反対にモニター画面の向こうに映っている役人達がホッと息を吐いたのが分かるほど緊張が緩んだその時、バチバチバチバチッと、全モニターがけたたましく音を立てた。

『何をした!神功左千夫《じんぐう さちお》!?』
「これでもう逃げられませんね。嗚呼、他にお仲間が居るなら今から伝える呪いを全ての人間に共有してくださいね。
そう、これは呪いです。
あなたたちを縛る呪い。
僕に少しでも気を許した事を悔いるがいい。
さぁ、まず長官であるあなたからですね……家族構成は?」
『妻と子供が二人……ぐ!?口が勝手に……!?』
「そうですか、それでは子供同士が殺し合って、勝ったほうがお嫁さんを殺すのはどうですか?」
『な、何を言っている……!?』
「次は次官のあなた。ほぅ……随分お綺麗な恋人をお持ちで……調度いいですね、さらし者にして楽しみませんか?」
『な、なぜそんな事がッ、わかるっ!でまかせだ、でまかせに……!』
「さらし者にはどうやってしましょう?キメラに食わせますか?嗚呼、毒殺も良いですよ。もがき苦しむ姿が映えそうだ。─────実際にやってみましょうか?」

神功の瞳が朱く、朱く燻る。
口角は上がっているが全く笑っていない微笑みにモニターの向こうで全員が畏怖した。その事により更に高度な催眠術に陥ってしまい意思が弱いものからプレッシャーに耐えきれず自分達の首を締め始めた。
「ひぎぃぃぃいい」「ぐぁぁあああっ」と言う悲鳴が多方面のモニターから響くさまを一瞥することも無く神功は長官を見据えていた。

『な、何が望みだ!』
「全国の(裏)生徒会の解散と金輪際僕達には手を出さない事を誓え。
この事を(裏)生徒会を知る全てのものに通達し、全てのものに厳守させよ。
この契約は僕達の血の繋がりがあるものが途絶えるまで有効であり、僕の意思を継ぐものに寄って刑罰は遂行されていく。仮に善意悪意問わずこの理を破る事があればその血族は皆同族で殺し合い、最後の一人は更に惨たらしく死を迎える事になるだろう」
『……そんな、こ、………』
「死にたいんですか?」
『ぐ、ぐぅぅぅ!』

『誓う!誓います!』『守る、守るからもうやめてぐれぇぇ!』そんな声が各モニターから響き渡ると神功が長官と呼んだモニターの男の携帯が鳴り響いた。男は何故そこに携帯があるのか、しかも何故自分はその携帯の通話ボタンをタッチしているのか理解できないまま通話が始まる。

『何だ今……』
『あ、あなたっ!こ、子供が子供が、ぎゃぁぁぁああああ!!』

電話口から聞こえる妻子の声に男は動揺した。
するともう画面の向こうに佇むと男が死神にしか見えなかった。

『政府の長官としてその契約を遵守することを誓う!誓うからもうやめてくれッッッッ!』
「交渉成立ですね。後日文書にしてお持ち致します」

バリンバリンバリンバリンっと全てのモニターが音を立てて砕けちった。神功はキャパオーバーを告げる血の涙を流しながら更に奥へと歩いていく。
千星は余りの壮大過ぎる出来事に何も言う事は出来なかったが神功の歩いていったがそのままにはしておけず後を追いかける。

「会長ッ!」
「那由多くん……すいません巻き込んでしまって……でももう此れでおしまいです」
「そんな、おしまいとか悲しいこと言わないでくださいッ!」
「那由多くん?」
「これからが始まりなんですよ!また皆で集まって、お茶会しながら色んな話をして……、……困った人を助けられる生徒会を作りましょう!」
「……那由多くん……そうか、そうですね……」
「あ、生徒会って名前じゃ駄目ですね……お助けクラブ?……それじゃダサいですよね」
「フフフッ……案外募金愛好会のままでいいかもしれませんね」
「俺、その名前忘れてました。……?どこに行くんですか?」
「…………後もう一仕事を」

神功の気配が和らぐ。
千星のもつ不思議な雰囲気に引っ張られて笑みを浮かべる様子を見ると、やっといつもの神功に戻ったような気がして千星はホッと息を吐いた。
そして、神功達は更に奥深くの地下へと潜っていく。
途中、日当瀬と明智も合流し、最後の扉を開けるとそこには禍々しい装置が存在を誇示していた。

「能力に置換される電磁波の増幅装置です。これがある為にヒューマノイドによって能力値が弱いものでも能力を開花することが出来ていたのですが……今からこれを壊そうと思います」
「え!?そうしたら能力が使えなくなるんですか?」
「……いえ、あくまでも弱くなるだけなので開花してる人は問題ないかと思います。ただ、強度は落ちるかもしれませんが………これ以上、無駄に能力による犠牲者を増やさない為にはこの方法が一番かと」
「……俺、詳しいことは頭悪いからわからないんですけど………会長がそうしたほうがいいなら良いと思います」
「那由多くん……」
「そうすることで会長の目指している未来に近づくんですよね?」
「僕の目指している?……僕はただ人間らしく自由に生きたい……だけ、です」
「人間らしくじゃなくて………会長らしくです。俺も手伝います。なんとなく俺の能力なくなりそうだし」

千星が頬を掻く。真っ直ぐに思いを伝えると万年筆で神功に向かって〝力〟を綴った。
神功は千星が肩の力を抜いて、自由自在に能力を操れていることに驚いた。
しかし、イデアが見込んだ相手なのだから当たり前かと、自分の体に吸い込まれる文字に神功は数度瞬いてから笑みを浮かべた。
神功の体に力が漲る。初めての感覚に呼吸を整え、仕切り直すかのように槍をしっかりと握った。

「では、行きますね。破壊後は此処もどうなるかわかりませんので」

神功が槍を持った手を大きく引く。そして、千星から託されたエネルギーを全て使って炎が七色に輝いた。

「はぁぁああっっっっ!」

腕の筋肉とバネを使って遠投すると機械の中央部を貫通させた。
ヴィーンヴィーンと警報ブザーが鳴り響く。
しかし、エネルギー増幅装置がなくなっても千星の体感は何も変わらず、手を握ったり、開いたりし確認した………「大丈夫です!会長!」と、告げようとしたその後意識が途絶える。千星の身体がなんの前触れもなく地面へと倒れていった。


「那由多!?」「千星さん!!」
「おい、息してなくねぇか?」
「天夜、さっさと治せよ!」
「やってる、やってるんだけど……全く俺の能力を受け取ってくれない……ッ」
「ちっ!使えねぇッ………あー……俺もわかんねぇ、どこも異常ねぇ、……能力数値が高いくらい……だな、くっそ、こんな時にッ」
「ボクも見るヨ…………んー……臓器的にはどこも悪いところはないカナ?左千夫クン…………左千夫クン?」

能力増幅装置が壊されたというのに愛輝凪のメンバーは誰一人違和感を感じずにいつもどおりに能力を使って急に倒れてしまった那由多の治療に入る。
巽は自己治癒を共有しようとしたが上手く行かず、日当瀬は千星の肉体を数値化したがおかしいところは見付からず、九鬼は腕を切り裂き、血液を体内に侵入させ壊れた臓器が無いかを探したが何も見つからなかった。
残りは神功の精神介入なのだがいつも一番に動く筈の神功が千星を困惑の表情で見つめたまま固まっていた。
神功の様子を不思議に思った九鬼は神功に駆け寄る、そこで初めてハッとしたように神功が動き出す。しかし、神功の野生の勘が千星に精神介入してはならないと警告を鳴らしていた。千星を取り囲むオーラが怖い、千星がとても怖いと神功は感じてしまい、顔が青褪めていく。
しかし、このまま何もせずに終わる訳にはいかない。先程も薬師河悠都《やくしがわ ゆうと》を亡くしたばかりなのに。

「………ッ、バイタル下がってんぞ」
「那由多ッ!どうしたの?目を開けてッ那由多!」

仲間の悲痛な叫び声が木霊する中、中々決心がつかず、はっ、はっ、と呼吸を弾ませる神功の腰を九鬼が抱き寄せた。

「もう、無理しなくてもいいと思うケド……」
「九鬼?」
「ボクはなゆゆより左千夫クンが大事」

言葉は九鬼の本心だが、それとは裏腹に真っ直ぐに神功を見つめる瞳は彼の背中を押すそのもので、九鬼の小指のリングが目に入ると一度苦笑を浮かべてから、首に掛かっている対リングを自分の指にはめてリングとリングを重ねる様に九鬼の手を握った。

「行ってきます」
「気をつけてネ」

自分の精神が本体から抜け出す。九鬼は抜け殻である本体を抱きとめ、千星の中にいるだろう神功を見つめていた。

神功は恐怖を感じた割には何の抵抗もなく千星の中に入ってこれた。
そして誰の中にも似つかない精神の中で千星の本体を探す。入ってすぐに二つの気配を感じた。ものすごく明るく活気があるオーラと全く何も無いのにあるとわかる不思議なオーラだった。二面性ともまた違う精神に首を傾げながら泳ぐように奥に進んで行くと、カラフルな色合いの光が神功を包んだ。

『お前こんなとこまで来たのかよ』
「その声は……アラタくん?」
『流石だな。お前のその頭の良さは嫌いじゃねぇけど……ま、もー終わりだぜ』
「どういう……ことですか?」
『お前、装置壊しただろ?空気中にあったエネルギーが弱まっちまった。だから俺の能力が弱まった』
「……意味が」
『そして、(裏)生徒会で成長した那由多の能力はそのままなんだぜ?つーことは……もう受け止めきれねぇよ。じゃ、消えたくなかったさっさと出ていけよな』
「待って下さい、アラタくん、アラ……ッ……消えてしまった」

神功は頭を抱えた。
謎掛けにしてはヒントがなさ過ぎるし、理解できても解決策が見当たらなかった。
神功が必死に記憶を辿ると千星が神功にまたアラタが話しかけて来ようとしていた事を伝えようとしていた事を思い出した。そして、先程、神功自身に綴った〝力〟と言う文字が使用していたのは他の五人のエネルギーとは異なる、千星そのものの力だった。
一つの仮説を立てながら神功はもう一つ大きなエネルギーを感じる場所へと向かった。しかし、視界には何も無い。それでもそこから不思議なエネルギーを感じて神功は大きく喉を鳴らした。

「那由多くん?」
「あ、会長。どうしたんですか?」
「那由多くん?……那由多くん、君はどこに」
「ここに居ますよ?」
「…………え?」
「え?……ッここです、ここに居ます……ッ!」
「……どこに」
「……見えてないんですね」
「那由多…くん?」
「まー、俺、存在感とか薄いんで仕方ないかもしれませんが会長だけは俺を見てくれると思ってたのに」
「……ッ、那由多くん……」
「でも、よくよく考えると会長が俺を見るわけないかー……。俺、ホント何もできねーし……能力だって上手く使えないまま、やっと使えるようになったと思ったら、使えなくなるつーし」
「それは……」
「あ、会長を攻めてるんじゃないんですよ……そうじゃなくて……居なくても、無くても何も変わらないんじゃ……と、思って」

神功の全身が憎悪に凍った。
何も見えない闇のはずなのに多方面から視線を感じて、視線を動かすがやはり何も居ない、そして、何もない。
暗闇で音もない、一般人ならば狂うような特殊な場所にも神功は適応できる筈なのに今日は違った。無い、全てが無くなっていく感覚に自分の両手を見つめた。
しかし、もうそこに手は無かった。
あるはずのものが無い。もしかしたら初めからなかったのかもしれない。そう思ったら最後もう神功の手は無くなってしまう。

ない、ある、ない、ある、ない、ない……ある、有、無、有、無、無、無……

千星の能力と神功の能力が絡み合う。
神功は必死に自分を保とうとするが手が消えて、足が消えた。
存在そのものを無いことにしてしまう千星の思いを神功は受け止められず、そして千星を見つける事も出来なかった。しかしこのままではこの闇は千星自身も飲み込んでしまう。神功は呼吸を整えてからグッときつく瞼を落としてから朱く燻る瞳を開いた。止めどなく赤い涙を流して真っ直ぐに千星が居るだろう方向を見つめた。

「変わります」
「……会長?」
「……僕を人として認めてくれるのは君だけなんです」
「そんなこと無いです。みんな、会長のこと───」
「那由多くん、……僕もまた君とお茶を飲みたいです」
「会長?」
「……でも、直ぐは無理かもしれませんね」
「……ッ!どういう事ですか?」
「詳細はわかりませんが君の中には二つの能力がある。それが今、均衡を崩しているとアラタくんが教えてくれました。……即ちそれは君が強くなったから」
「俺……?俺は弱いですけど」
「……那由多くん、……精神体の僕にここまで
危害を加えたのは君が初めてなのですが」
「…………ッ!?……あ、……え?」
「すいません、君の能力を開花させるのはまだ早かったようですね……那由多くん、忘れましょう」
「え!?……な、ぜ?なんでなんですか…ッ!」
「君が消えてしまう……僕は君に消えて欲しく無いんです……」
「なにを……」
「一生ではありません。一時的に……能力と裏生徒会で出来た出来事を……、また思い出せるように……ちゃんと均衡を保てるように考えますね……」
「……会長?」
「……それまで、お茶会はおあずけ……ですね」
「……ッ会長!そうやってまた!……一人で!」
「大丈夫です、那由多くん……君は沢山の人を僕の側に連れてきてくれた」
「…………ッ!」
「那由多くん、有難う御座いました。また会える日まで、さようなら」
「会長ッ……ま、待って下さいッ、会長ッッッッ!!」

黒い世界に更に黒い炎が全体に広がり焼き尽くす。
その炎が千星の視覚に入り、実体が現れると、神功は千星に瞳を合わせて催眠術を施す。
(裏)生徒会での出来事を通常の学年行事に置き換え、能力を使えた事すらも無かったことにしてしまう。辻褄が合わなくなる記憶は消して、自分との間柄もあやふやにした。
千星の意識が薄くなると、アラタの意識が蘇って「やるじゃん。まぁでも、次は俺が勝つけどな」と生意気な言葉を投げ掛けたが無茶をし過ぎた神功の精神体はもろもろと形を留めることができずに崩れ落ちて行った。


-----------------

「日当瀬ッ、那由多は……」
「うるせー、……いまんとこ横這いだ」

神功が入ってから時間が経過したが変化はなかった。
装置を壊して直ぐに地下室も爆発が起きたので二人を連れて政府から見つからない場所へと変わった。
千星を全員見つめていたのだが、九鬼が急に抱き抱えている神功の異変に気付き焦ったように声を上げた。

「嘘デショ……左千夫クン?………イヤだ、逝ったらダメだ」

神功の心臓が止まった。
九鬼は何のためらいもなく指先を切り裂いて血まみれにしてから神功の胸へと指を突き出した。
直接心臓をマッサージして血液を体に送る。止まってしまった肉体を強制的に動かして肉体の生存を長引かせていく。

「……左千夫クン、逝ったらダメ……ッ!置いて行かないで……ッ、戻って……戻って来て……ッ!!」

悲痛な九鬼の叫びに他のメンバーは困惑の色を示すとこしかできなかった。グッと九鬼が神功の手を握ると指輪同士がぶつかってカンッと甲高い音を響かせた後、急に神功の身体が大きく跳ねて、吐血した。

「ゲホッ、ゲホッ、……ッはぁっ!……ッ、戻りました」
「………左千夫……クン?」
「はぁ……少し危なかった……ッ。九鬼、酷い顔……してますよ?」
「……も、……誰のせいだと……ッ」

苦笑した神功を視界に入ると九鬼肩を落として視線を外した。
そして、神功がゆっくりと千星を見つめると全員の視線が千星へと向いていく、その顔には赤みが戻っていった。

「ッ!よかった、……千星さ……ん…ッ」
「那由多?……ッ顔色が戻って」
「……はぁ……マジ、どうなるかと思って」

千星を囲んでいた、日当瀬、天夜、明智が喜びに声を上げた。九鬼もホッと肩を落とし、神功の手を引いて立ち上がった。

「喜びに水を差して悪いんですが……皆さん、残念なお知らせです。……那由多くんの能力と裏生徒会に対する記憶を…………消しました」
「はぁ!?なんだよそれ!」
「僕も詳しくは分かり兼ねたのですが装置を壊した事で那由多くんの能力の均衡が崩れたようです。
……なので、昔の、能力が使える前の均衡が取れていた時代へと戻しました……皆さんの事を忘れた訳ではないのですが……」
「……ッ……そんな」
「催眠術はあくまでも忘れさせただけであって消したわけではないです。しかし、直ぐ記憶が戻るとまた同じような事になる可能性もあるので気を付けてください」
「……ッ、なんだよそれ」
「すいません、他に方法が……思いつきませんでした。この件に付きましては時間がかかると思いますが対策は練りますね………そして、皆さん今までありがとうございました」

神功は全員の前に立つと深々と頭を下げた。



「今日をもって、愛輝凪高校(裏)生徒会を解散します」



こうして彼等の物語は幕を閉じた。
神功の言葉に全員が視線を揺らし、スイッチの入った日当瀬が胸倉を掴みに掛かり、それを明智が止める。
天夜は千星を見つめたままその手に自分の手を重ねた。
神功が踵を返すと九鬼は何も言わずその後をついていく。
そして全員が散り散りになるも……………………



─────また全員が一つの場所に引き寄せられて繋がっていく。
そんなある日の大学の昼休み。


「あー……授業時間長すぎだよな。大学ってもっと華のある生活だと思ってた……」
「そうっスかね……俺は好きな教授の授業は楽しいッスけど」
「つーか、そもそも晴生は殆ど授業免除の特待生だろ?あー、出来が違うよなやっぱ……あ、このゲームの新作もう出るんだっけ、小遣い使っちまったし、せっかく大学生になったんだしやっぱバイトすべきだよな……でもあんまハードにするとテストやばいし」
「……バイト……ですか?」
「なぁ、晴生いいとこ知らねぇ?」


「…………知ってますよ。千星なら俺も皆も大歓迎です」
「……へ?」
「千星さん。
────ようこそ、喫茶【シロフクロウ】へ」









あとがき
isc(裏)生徒会はこれでおしまいです。
かなり長ーい間放置し、結局巻いて完成させたので至らない部分も沢山あると思いますが終わってよかった!
こうして、【あなたのタマシイいただきます】(あなタマ)へとお話が続きます。
一応まだ、たつなゆのひっどいプレイとか、けんはると甘切ないプレイとかくきさちの恋人になるまでとか振り返りで書きたいです。
とりあえずiscはこれにて終了です、引き続きあなたまをお楽しみください!

ご愛読有難う御座いました!!
イルカトウ2022.12


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