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さくらんこ

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isc(裏)生徒会

華咲く乙女・麗亜祭

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【千星那由多】

次の日、目が覚めたら男に戻っているかと思ったが、ばっちり女の身体のままだった。
ちなみに昨日色々とアクシデントがあって巽までも女になってしまった。
予備に貰っていた制服は、女の身体になった巽には少し小さかったが、着れないことは無さそうなのでそれを着て学校へと向かわせる。
本人は女の身体でも変わらずに楽しそうにしていたが、そんなことより俺より乳がでかいのがなんかむかつく。
この件、会長になんて言おう…。

麗亜高校へと行くために再び(裏)生徒会室へと集合する。
二日目ともなると胸がついている違和感や、下にあるはずのものが無い違和感も多少マシだった。

そして俺達は(裏)生徒会室へと着くと唖然とすることになる。

会長までも女になっていたのだ。

まぁ…大体誰に巻き込まれたかは想像がつく。
会長の隣でニコニコと笑ってる副会長がウザい。
これで全員女になってしまったわけだ。

「巽君もですか…まぁ深くは聞きません」

もちろん会長も深くは聞いて欲しくないのだろう。
巽のサイズに合った服と下着を用意してもらうと、俺達は麗亜高校へと女子の団体で向かった。
途中数人部活動中の生徒とすれ違ったが、いつもなら女の視線を受けている会長達だが、今回は男の熱い視線が痛かった。

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【華尻唯菜】

「よかったでしゅね!千星那由多がまたくるにゅ!!」

私達は今麗亜の生徒会室に集まっていた。
麗亜は表も裏も生徒会メンバーが同じだ。
なので学校行事も取りおこなわなければならなくてかなり多忙だった。
しかも、今日は麗亜祭。
絶対参加ではないけれど、実家に帰るなりしない限り、この学校にいる全員が参加しなければならないお祭りだ。

その衣装が色々問題があるので、この日は部外者は立ち入り禁止…なのだが…。

「あんな陰毛なんか来ない方が良い!!
てか!今日は部外者立ち入り禁止でしょ!!副会長!!」

私は西園寺副会長を見て言葉を吐きだしたが彼女はいつものように微笑んでいた。

「こちらのせいで愛輝凪高校の皆さまが困っているのです、見過ごすわけにはいかないでしょう?
それにしても、堂地さんどうしてこんなことをしたのですか?」

「それは秘密だにゅん!華尻ちゃんの為に秘密だにゅん!!」

なによアタシの為って!!
べべべべべ、別にアタシは千星那由多なんかに会いたくないんだから!!

と、言おうと思ったが声には出なかった。

「そうですか。…起こってしまったことは仕方ありません。
先にお祭りの衣装に着替えてしまいましょうか。
王子は後からくると先程連絡がありましたし…」

王子とは、私達、麗亜高校の会長、鳳凰院しのぶ先輩のこと。
王子はその名前の通り、上は指定の制服だけど、派手な羽根のついた帽子、にズボンはカボチャパンツ、白タイツに編み上げブーツ。
絵本に出てきそうな王子様の格好をしている。
髪も金髪で瞳は黒。そして、170センチの長身。

王子が遅れるのは構わないんだけど、アタシはどうもこの麗亜祭の衣装が慣れない。
穢れなきって意味らしいのだけど…。

そんなこと言っても始まらないのでさっさと衣装に着替えることにした。

千星那由多がくるならなおさら張りきらないと…ってアタシ何考えてんのよー!!!!!!!!!

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【千星那由多】

麗亜高校についたはいいが、今日はお祭りがあるようで夏休みだと言うのに校内はにぎわっていた。
見渡す限り、女子、女子、女子…たまに男子。
元々女子高だっただけあって、すごい女子の数だ。
うん、今すぐ帰りたい!!

と言っても早く男に治してもらわないといけないので、怖がりながらも校内へと入っていった。
もし仮に今俺達が男だったら、かなりの視線を受けていただろう。
他校生だと言うこともあり、少し視線は痛かったが、俺はみんなに隠れるようにしながら歩いていった。

「ようこそ、麗亜高校へ。今日は午後から祭典があるので少々にぎやかですが…」

その時、女副会長の西園寺さんが現れた。
先に女になっていることを通達していたが、やはり少しだけ驚いた顔をしていた。

「皆さん女性になられてしまったのですね…うちの堂地が大変失礼なことをしてしまい申し訳ありませんでした」

深々と頭を下げるので、俺達もつられて頭を下げた。
その後、(裏)生徒会室へと案内される。
麗亜高校は表生徒会と一緒らしいので、校内の三階、普通の生徒会室へと連れて行かれた。
校内ももちろん女子、女子、女子…なんていうハーレムだ…。

三階までたどり着くと、西園寺さんが生徒会室の扉に手をかけたと同時に、何かを思い出したようにはっとこちらを振り向いた。

「その…今日は祭典と申しましたが…衣装がありまして。
私たちの(裏)生徒会のメンバーも既に着替えているのですが…驚かれるかもしれません。
心の準備はよろしいでしょうか?」

衣装?なんかとんでもなく嫌な予感がするが、中に入らないことには堂地さんに会えない。男に戻れない。
全員が首を縦に振ると、西園寺さんは安心したような笑みを浮かべ、静かに扉を開けた。

その瞬間、俺は首を縦に振ったことを後悔した。

「な、な、ななななななああああッッ!!!!????」

そこからの言葉が出てこない。
扉の向こうには、素材の薄いワンピースの様な、下着だけを身に付けている女の子たちがいた。
確か、ベビードール…?とかいうやつ、か?
俺は速攻後ろを向くが、多分見間違いではない。
隣にいた晴生が固まっている。うん、絶対見間違いではない。

「存分に見てくださって大丈夫ですよ。
この祭典でのモットーは、このような破廉恥な姿でも恥ずかしがらない、というものなので、麗亜高校の女子全員覚悟はできています」

いやいやいや!!!なんかおかしすぎるって!!!
無理だ!!今、身体は女だから下半身がどうこうならないのだけは救いだけど…いやいやいやそう言う問題ではなくて!!!
一人で悶々としていると、後ろから誰かに抱き着かれたのがわかった。

「来たか千星那由多!!待っていたにょーけじ……」

そう言ったところですぐに引っぺがされたようだった。
後ろで揉めてる声からして、多分華尻だ。
なんか、華尻ならあんな姿でも見れる気がする…。
チラりと後ろを振り返ると、ベビードール姿の華尻と目があった。

「み、見るなぁーーーーー!!!!」

「俺だって見たくねーよ!!!!」

俺と華尻が喚く声が、校内の三階に響き渡った。

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【日当瀬晴生】

どーいう学校なんだここは!!!
ありえねぇ!ありえねぇ、ありえねぇーッ!!!!
見ちまったもんは仕方ないつーか視線を逸らすって言う冷静さすら俺にはもう欠落していた。

千星さんが叫んでいる声でハッと我に返ったがそれにしたって羞恥心がねーのか!
ここの女たちはッ…!!!

俺は視線を斜め下に逸らしたが、会長と九鬼、天夜は特になんともないのかいつものままだ。
三木は見ていいのかどうか躊躇っている様子で視線が泳いでいる。
…それが正しい反応だと俺は思った。

その後は西園寺副会長の指示俺達を男に戻してくれた。
その戻し方もまた破廉恥と言うかなんというか堂地に胸を揉まれると言うものだった。
大きくなったときに困るので俺達は先に持ってきた男ものの制服に着替える。
それから、一人ずつ別室で堂地に胸を触って貰うのだが。

「あははははっ!!ど、どう、っち、そこ、そこだめッ、くすぐッ!……ははははははっ!!」

「九鬼っちは擽ったがりやさんですね!!それそれー!!」

中から九鬼の甲高い声が聞こえる。
いったいどんな触り方をされているんだ。
とんでも無い恐怖が俺を襲ったがその声がどんどん低く男に戻っていってるのであの部屋に入れば男に戻れることは間違いないだろ。

「はー、気持ち良かっタ!次、はるるだってさ!!」

俺は恐怖で顔を硬直させながらブカブカの制服を着たまま個室に入っていく。

「次は金髪美人さんだにゅーん、さって、保奈美いっきまーす!!」

この時、俺の瞳には目の前の小さな少女は悪魔にしか見えなかった。

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【千星那由多】

ほぼ全員が別室に連れて行かれ、出てくると男に戻っていた。
女子ばかりの部屋に男子が増えて行く。
それにしても別室で行われている事が怖い。
笑顔で帰ってくるのがほとんどだったが、晴生が喪失感を漂わせ出てきたのできっとろくでもないことをされるんだろう。

そして俺の番が回って来たので、制服の袖をまくり上げ、別室へと入ろうとしたその時だった。
勢いよくドアが開くと、スラリと背の高い男…?が入って来た。
服装はまるで王子様のようで、切れ長の目はどこか色気が漂っている。

「遅れてしまってすまない!今日も皆が僕にプレゼントをくれるって言うからどうしても断れなくてね…」

大げさに頭を抱えながらため息をつく姿は、まるで劇団員みたいだ。

「―――って、なんだ貴様らは!!!」

暫くして会長達を見つけると、また大げさに構える仕草をした。

「何故ここに他校の男がいるんだ!神聖なる麗亜高校の祭典の日に…不純物は即刻この場から出て―――」

「王子、先に申していた愛輝凪高校の(裏)生徒会の方達です」

「何?ああ、そう言えばそんな事を言っていたね。櫻子…今日も君の全てが麗しい…」

西園寺さんに制止されると、どうやら俺達がここにいる意味をわかってもらえたみたいだが、そんなことはお構いなしに王子と呼ばれた男は西園寺さんの髪へとキスを落としていた。
なんか濃いのがやってきたな…。

「失礼した!僕は麗亜高校(裏)生徒会の会長を務める、鳳凰院しのぶだ。
わざわざ此処まで来てもらってすまないな…。そちらの会長は…」

そう言うと会長が前へと出て、鳳凰院と握手を交わす。
二人とも爽やかな笑顔で何故かキラキラと眩しい。
女子達がわっと沸いたのは気のせいだろうか。

「おや、こんな所にかわいい御嬢さんが二人もいるね。男ばかりの(裏)生徒会は大変だろう?」

三木さんに気づいた鳳凰院は側によると、跪き、手の甲へとキスを落とした。
にっこりとほほ笑むその表情は、会長並みの破壊力だ。
そして何故か俺の所へもやってくる。
どうやら二人のうち一人は俺のことみたいだ。

「あ、いや、俺おと―――」

「俺!?こんなにかわいいもふもふとした頭をしているのに…!レディは俺だなんて言っちゃダメだよ?」

そう言うと鼻先へとキスを落とされる。
一瞬の出来事でゾワっと全身に鳥肌が立つと、やっぱり女子が沸いていた。
特に眼鏡の秋葉文子の声と、華尻の声が煩かった。

「こんなにかわいいのだから…櫻子、この子達を麗亜祭に招待することはできないのかな?」

「基本的に他校の生徒は立ち入り禁止です」

西園寺さんが少しムスっとした表情をして返事をする。

「そうお堅い事を言わなくていいじゃないか、何事にも自由な発想は大事だよ。
よし、何かあれば僕が責任を取ろう。
会長の僕の命令だ、このかわいい女子二人を、麗亜祭に出してあげよう!!!!」

は、はぁああああ!!??
誰も出してっつってないんですけど!?
つーか俺今から男に戻るんですけど!?

「ひとつ、いいですか?」

そう言って会長が出てくると、鳳凰院に向けて微笑んだ。
どうやら断ってくれるみたいだ。
よかった…三木さんも俺も出せるわけないよな。
あんな破廉恥な衣装を着て人前に出るだなんて、無理にきまってる!

「書記の千星は構いませんが、副会長の三木は諸事情により出す事ができません。
代わりに僕が出る事で許していただけませんか?」

うんうんう……んんんんんんんんんん!!!!!?????

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【神功左千夫】

麗亜は十年前の準優勝高校だけあって殆ど能力や実力が分かっていない。
麗亜祭に潜りこめるならこれはいい機会だ。
鳳凰院しのぶは言いだしたら聞かない、それは政府関係の資料の性格のところに書かれていたので撤回は出来ないだろう。

かと言って、柚子由にこんな格好をさせる訳にはいかない。

鳳凰院しのぶが僕の上から下までじっくりと眺めた。
いつものようにニコニコしていると彼は手を打った。

「よし、良いだろう。君も十分麗しい。
ただし、祭りの規定によって君もちゃんと衣装を着て貰う。
心配するな、衣装はこちらで直ぐに手配する。」

鳳凰院しのぶの言葉に僕は数度瞬いた、正直下着一枚になるくらいの覚悟はしていたがまさか、自分までベビードールを纏うはめになるとは思わなかった。

「構いませんが、お見苦しいと思いますよ。
それと、そちらの要求を聞くのですからこちらからも一つ、要求を聞いて貰いたい。」

「なんだ。」

「もし、僕か、千星が優勝した場合はそちらの裏生徒会の能力の開示。
それを景品の他に追加していただきたいのですが…」

いつもの笑みよりも少し口角が上がる。
目の前の麗亜の会長も少し考えた後に同じように笑った。
これは了承の合図だ。

「分かった。無理を言っている身だ、約束しよう。
…あたる、彼らに部屋を用意してやってくれ。」

どうやら柚子由はでなくて済みそうだったが、横に居た那由多君は茫然としていた。
もしかしなくても、彼も出たくなかったのだろう。

「すいませ――」

「千星ー!!大変なことになったみたいだな!どうする!!戻すか!そのままいくか!」

別室から出てきた前会長の堂地が那由多君に抱き付いたために僕の言葉は遮られた。
あわあわするかと思ったがよほどショックだったのだろう。
那由多君は小さく頷いただけだった。

そうして、他の皆は控室へ、僕と那由多君色々準備をするために別室へと通された。

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【九鬼】

なんか面白い事になったんだけどー!!
左千夫クン達のやり取りを見ているだけで笑みが止まらない。
この後このまま帰されるかと思ったが、どうやら女子に手を出さなければ裏方に回ってもいいらしい。
校内にいる数少ない男子生徒も裏方に回るようだった。
こういうバカげたお祭りは大好きだ。
合法で女子の下着姿も見れるしネ♪
それよりなにより、左千夫クンのベビードール姿が気になる。
わくわくしながら左千夫クンとなゆゆが着替えるのを待った。

そして、先に着替えて来たのはなゆゆだった。
恥ずかしがりながら出てくる姿は女子そのものだった。実際に今女の子なんだけど。
薄い青色の透けたベビードールの下に、控えめな青いブラが見える。
下半身は下着一枚ではなく、その上にカボチャパンツのようなものも履いていたが、余計にその下が気になって仕方がない。
巽はかわいいね、と褒めちぎっていたが、晴生はずっと視線を天井に向けていた。

そしてついに左千夫クンの登場だ。
どんな滑稽な姿になるのかと期待しながら出てくるのを待つ。
場合によっては弱みにもなるだろう。

生徒会室のドアが開くと、左千夫クンはなゆゆと違って堂々と入って来た。
黒い袖のある透けた羽織り、もちろん男なのでブラなどはつけていない。
そして下は女物の下着だったが、うまいこと大事な部分は隠されていた。
太腿あたりまでの網のストッキングにガーターベルト。
赤いピンヒールまで履かされている。
背格好は男なのででかいが、意外に似合っていることに大声で笑ってしまった。

「ひー!左千夫クン似合いすぎー!!もうそれずっと着てなヨ!!」

場所もわきまえずに一人でひーひー笑っていると、ピンヒールの踵で足を思い切り踏まれ悶絶してしまう。
やばい、ピンヒールの左千夫クンは最強だ。足に穴が空く。
ひとしきり笑い転げた後、麗亜祭に出場する女子+左千夫クン達と別れ、男副会長の園楽あたるにグラウンドへと連れて行かれた。

さてさて、どんなかわいい女の子たちが待っているのかナ♪

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【華尻唯菜】

な、なんなの!!!先輩の能力で女になったからだけど、お、お、おんなでも可愛いじゃない!!!
あ、でも、女の姿同士なら友達になれるかも。

舞台に移動する間にそっと千星の後ろに寄った、すると彼は気付いた様でこっちを見た後、徐に口を開いた。

「すげー、華尻って腕ムキムキだな。」

声は女だったけどやっぱりこいつは千星那由多だった。
私は無言で千星の背中を蹴りつけて会場へと急いだ。

もうなんなのこいつ!!
本当に乙女心ってものが分かってない。

そして、その横の神功左千夫。
なんなの、このモデルばりの格好よさ!
全然ベビードールが卑猥じゃない!!
色気はあるけど、なんか、モデルって感じの色気だった。
ちらっと見ただけなのに的確にこっちを見つけて笑みを返してくれる。

もう、なんなの愛輝凪高校って!!!!

麗亜高校での予選は既に終わっているので舞台に上がれるのは限られたメンバーだった。
そこに、千星と神功が加わる。
まず、競技は女性に因んだものばかりだ、琴、ピアノ、お花、お茶、それの加点が加わっていく。

と、言ってもこれは準備運動みたいなものだのでそれからの競技が本番なのだが。

「それでは、毎年恒例の麗亜祭!!今からはじまりまーす!!」

放送部のアナウンスと共にまずは、エントリーナンバーと名前が告げられていく、そしてステージの上をモデルのように歩き並んでいく。

「ここからは初!!今日は他校から参加して貰ってます!!
愛輝凪高校の皆さんです!!」

神功が舞台袖から出た瞬間悲鳴のような声が上がったが彼がにこっと笑った瞬間に会場は黄色い悲鳴に変わった。

次はいよいよ千星が登場する。

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【千星那由多】

うん、やっぱり華尻なら見れるぞ。
なんだろう、妹みたいな感覚だな。
いや、そんなことよりだ、今周りには下着を纏った女子ばかりがいる。
その中でもちろん会長は男なので浮いていたが、どう言う事か女子が叫んでいるのは悲鳴ではなかった。
もし俺が男子のまま出ていたら場内騒然だっただろう。
この時ばかりは女子のままでよかったかもしれない。

会長の後に続いて舞台の袖から出た。
うおお…見渡す限りの女子、女子、女子…いや、この祭典に男子がいても困るだろうが、さすがにかなり緊張する。
俯き、顔を真っ赤にしながら舞台を一周すると横一列の一番奥へと並んだ。
他の女子のスタイルはかなりよかった。
肌も綺麗そうだし、なによりやわらかそうだ。
俺も周りからああ見えているのかと思うとゾッとしたが、とにかく今は自分が女だと思い込むことにした。

最初の競技は琴だった。
舞台脇から黒子の姿をした奴等が出て来る。
そして、即座に自分たちの目の前に琴が次々と置かれていく。
その中に副会長がいたのが見えた。
「がんばれなゆゆ♪」と言ってピースサインをして引っ込んで行く。
出来る事なら変わって欲しい。いや、あの人を出したらとんでもないことになるか…。

「さて、最初の競技は琴です!
麗亜高校の必修科目でもある琴。真の乙女であればどんな姿で琴を弾いたとしても美しく、そして穏やかな音色を奏でることができるでしょう!」

ふーん、琴ねえ…………弾いたことねーっつの!!!
いやほんとシャレじゃなく。
楽譜も置いてあるのだが、漢数字が並んでいてどうやって弾くかもわからない。

あわあわとしている内に、開始の合図が鳴る。
そして一斉に全員が琴を弾きはじめた。
俺には全員が同じ様な音を出しているようにしか思えないのだが、舞台下にいる観客達は一点集中だった。
もちろんその視線は会長だ。

「素敵な音色…」

「心が澄んで行くようだわ…」

などと女生徒から声が上がっている。
嘘だ、琴の音色でそんなことになるはずがない!!

会長の弾き方を見ていてもよく分からないので、弾いているフリだけしようとそれっぽく構えてみる。
すると思わず弦をはじいてしまい、タイミング良く音楽が終わった時に、なんとも間抜けな音が場内に響いた。

観客から笑い声と共に「あの人不潔ですわ!」「心が濁りきってる音ね!!」と言った非難中傷が聞こえる。

……やっぱり女は、怖い。

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【神功左千夫】

琴にピアノ、お茶に、華。
これくらいのものなら人並みには僕は出来る。
運よく点数も高かったので上々だなっと一度舞台袖に引っ込んだ。
どうやら、鳳凰院会長と西園寺副会長は審判を務めているようで出場していない。
漸くベビードールにも慣れてきたが、この透け感には完全になれることはないだろう。

それが幸運だったかもしれない。

それにしても本当に柚子由を先に帰らせてよかった。
今日は純聖達が小学校に行く日だった為連れてきたが、午前中で登校も終わりだったので彼らに任せておいた。

彼女のことだ、こんな中に入ると自分もこの衣装を着なければと変な責任感に駆られるだろう。

隣で女の子になった那由多君を見つけたので声を掛けようとしたら、華尻唯菜が那由多君にペットボドルを投げ当てていた。

「いってぇ!!!おい!華尻!もっと、渡し方つーもんがあるだろ!!」

「なによ!!千星にはこれで十分でしょ!!あげるだけでありがたいと思いなさいよ!!」

二人は馬が合わないのか言葉を交わす度にこんな感じな気がする。
しかし、華尻唯菜は見るからに顔が赤い、これはもしかして。
多分僕の直観は当たっている、その騒ぎが治まってから僕は那由多君に声を掛けた。

「お疲れ様です。…那由多君も隅に置けませんね。」

「は?どういうことですか?」

「華尻唯菜さんの事ですよ。」

「違います!嫌がらせを受けているだけです!!それに、あんなの女のうちにはいりま―――てぇぇ!!!」

今度は空のペットボトルが飛んできて那由多君の頭にクリーンヒットしていた。
なんというか、本当に自分の興味があること、いや興味があることでもか…。
彼はうとい性格なんだな、と、思いなおした。

「さー続いての種目!!それは嫌いなモノをどれだけ美味しく食べれるかです!!」


……まて、こんな競技が有るなんて僕は聞いてない、と、言うか女らしさとどこが関係あるんだこの競技は。

そう言えば着替えの際にアンケートに素直に嫌いなモノを書いてしまったと僕は青ざめた。
しかも、九鬼が裏方に居るんだ。
一気に逃げ出した気持ちになって僕は肩を落とした。

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【千星那由多】

嫌いな食べ物をどれだけおいしく食べれるか…?
いや、嫌いな食べ物はおいしくなんてたべれねーから嫌いなんだっつーの!!
とかなんとか言っていられない。
ちなみに俺が嫌いな食べ物はキュウリだ。
理由は、虫を食べてるような味がするから。
虫なんて食べたことないけど。

黒子たちが、それぞれの嫌いな物を目の前に運んでくる。
他の女子達は、ピーマンやら人参、肉料理なんていう人もいるようだ。
そして隣の会長の目の前には、真っ赤な香辛料の瓶がデンッと置かれている。
それを目の前にして固まっている会長がかわいそうに思えた。

「では、乙女達に食べさせてくれる方を観客の中から選びたいと思います!」

その言葉に場内が沸きたった。
各自出場者の名前を読み上げていくと、やはり会長の時はかなりの人数が挙手をしていた。
その中から選ばれたのは、黒髪のロングストレートの女子だった。
口元に優しそうな笑みを浮かべながら壇上へ上がってくる。
副会長じゃないだけマシかと思っていると、俺の名前が読み上げられた。
が、誰も挙手をしない。
司会の人も困り果てた表情で場内を眺めている。
もう自分で食べます、と言おうとしたその時、ステージ上の一人が手を挙げたのが視界の端に映った。

それは華尻だった。

「誰も食べさせてもらえないなんてかわいそうね!わ、私が食べさせてやるわよ!!」

そう言うと場内が歓声に飲み込まれる。
華尻様お優しい!などと声があがっているが、あいつはどーせ嫌がらせしたいとかそんなんだろ…。

と言うわけで俺は何故か華尻に食べさせられることになった。
どうせなら俺も食わせてやる、と思い視線を落とした華尻の皿には、ウインナーが乗っている。
出来る事なら交換して欲しい…。

「では、乙女の皆様!おいしくいただいてくださいね!」

笛が鳴ると一斉に食べさせられ始める。
華尻は文句を垂れながらキュウリを鷲掴みすると、俺の口…。

「い、いや、そこ鼻ッ!!おまえちゃんと見ろよ!!!」

「う、うっさいわねー!早くボリっと行きなさいよボリっと!!」

明らかに俺を見ずにキュウリを差し出してきた先には、鼻の穴があった。
なんとか口に運んでもらえると、音を立てながらかじりつく。
ああ、このみずみずしさに独特の苦みがプラスされて口の中がキュウリ地獄だ。
せめてマヨネーズぐらいはかけさせて欲しかった。
確実に俺の顔は「不味い」一択の表情だっただろう。

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【華尻唯菜】

ほんと、失礼しちゃう!!わざわざアタシが食べさせてあげてるって言うのに文句ばっかり…!!
しかも、その何よ、嫌そうな顔!
アタシが食べさせてあげてんだからもっと良い顔しなさいよね!!

それにしてもこの男、いや、今は女ね。
千星はなーんにも出来ない。
王子のせいで、麗亜祭に参加になっちゃったから分かるには分かるけどここまで何も出来ないなんて…。

なのにあの時になんでアタシを助けようとしたのよ!
きっと戦力的にもアンタはお荷物なんでしょ!

…でも、彼はあの時確かにアタシの手を引いてくれた。
途轍もなくまずそうな顔をしながら千星がキュウリを食べ終わった様子。

そうすると、次はアタシの前の皿を彼が持った。

「食わせてやるよ。」

「……は?」

千星がアタシにウインナーを。
その着色料で真っ赤ないかにもウインナーウインナーなウインナーを。

千星はウインナーを箸で挟んでゆらゆらと揺らしている。

「揺らすなー!!ってか、なんでアタシがアンタなんか、ほぐ!!」

言葉を捲し立ててる時にひと思いにウインナーが口の中に放り込まれる。
う、加工品の味がする…。
しかも、皮の歯触りが最悪。
腸食ってんのよ!皆美味しそうに食べてるけどこの皮は羊の腸なのよ。

私は両手で口を押さえ青ざめながら喉を動かして呑みこんだ。
そして、この後に微笑まなければならないのに完璧な作り笑顔になってしまった。

死んだ目で千星を見つめてしまう。

ステージでまだ食べてないのは一人だけ。
それは千星のところの会長だった。

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【神功左千夫】

参りましたね。

目の前にある瓶は只の激辛食材では無い。
そう、‘九鬼’と、でかでかと名前が書いてある。
と、なるとこれは彼の私物だ、そんじょそこらに売ってある香辛料とは訳が違う。
ここは幻術で乗り越えてしまおうかと僕は携帯に手を掛けたが、その手を押さえられた上、携帯を目の前の女性に取り上げられてしまった。

「駄目だよ、ズルしちゃ。はい、口開けて。」

どうしてか彼女には僕のしようとしていたことがばれていた。
生徒会関係者か…?
他のメンバーは終わったようなのでこれ以上長引かせることも出来ないだろうと僕は口を開いた。
その口に赤い禍禍しい液体が流し込まれて行く。

「―――ッッッッ!!!!」

一口で限界だった。
僕は直ぐに口を閉じて、片手で口を押さえる。
駄目だ、この競技を落としても他の競技で挽回すればなんとかなるだろう、棄権しよう。

その液体は口に含んだだけなのに涙が勝手に流れるほど激辛だった。

手を挙げて棄権しよう、そう思った時だった。
僕の手はほくろが印象的な前の女性に捕まえられた。

「駄目。はい、もう一度口開けて。」

なぜか分からないが、僕は彼の言葉には逆らうことができなかった。
嫌で嫌で仕方が無かったが僕の唇は開いてしまう。

次の瞬間彼女が瓶を煽る様にして口に含んだ。
僕の頭がはてなマークで埋め尽くされた時には既に唇が合わさっていた。

観客の声が煩い。
ああ、それよりも僕の口の中が大変だ。
彼女が口に含んだ激辛の香辛料がどんどん流れ込んでくる。
吐き出す訳にもいかないので、僕はそれを全て呑みほした。

「はい。よくできました。おいしかったです、って笑顔で言ってね。」

真っ赤な唇を離した後彼女はそう言った。
スポットライトの加減で顔はよくわからなかったが僕が安心できる表情をしていて、辛かったのに僕は言われるまま微笑んでしまう。

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【九鬼】

嫌いな物をおいしそうに食べるなんて、ただの拷問だ。
しかし、それはボクの好きな部類の競技でもある。
こっそりと左千夫クンにはボクの特性激辛スパイスの瓶を置いた。
辛いものが大嫌いな彼は、あの辛さは一口で撃沈だろう。

黒髪の女の子にスプーンで真っ赤な香辛料を口に放り込まれているのを、黒頭巾の中から笑みを堪えながら見ていると、とんでもない光景が目に入った。
二口目、その女子が口移しで食べさせている。
しかも絶対に大嫌いな物を食べさせられて笑えないだろうと思っていたのに、笑みまで自然に作れていることにボクは少し苛立った。

長い髪をした女子生徒がこちらを振り向くと、にっこりと笑う。
どこかで見たような顔だったが思い出せない。
あんなかわいい女子なら確実に名前は覚えているはずだ。

そうこうしている内に次の競技に入る。
次に用意するものは特になかったので、舞台袖で待機したままその光景を眺めていた。
すると、どこからともなく声がし、頭上から華やかなゴンドラが降りてきた。

「乙女達!次の競技は『何があっても恥ずかしがってはいけない』競技だ!」

華麗にマントを翻し舞台へと降り立つと、地面が震えるほどの歓声が起こった。
彼女はこの高校では王子的存在なんだろう。
パフォーマンス精神溢れると言うかなんと言うか。

「僕が何を言っても、絶対に恥ずかしがらずに従う事…乙女の恥じらいは素敵だけれど、たくましい精神あってこそ、真の乙女と言えるのではなかろうか!!」

ちょっと意味がわからない。
ボクは恥じらいのある乙女の方が好きだけどナ。

とにかく、どうやら鳳凰院が順番に女の子に「恥ずかしいこと」を言っていくみたいだ。
男としてこれは鼻息の荒くなる光景になるだろう。
他の黒子達もじっと舞台袖からその光景を見守っている。

鳳凰院が舞台上にいる女子の目の前へと立った。
それだけでその女子の目がハートマークになっている。

「君はとっても足が綺麗だね…まるで雪のような白さに僕は思わず口づけをしてしまうよ…」

そう言うとその女子の足へとキスを落とした。
また場内が沸く。
キスを落とされた女子は顔が真っ赤だった。
自分でも思うのもなんだが、鳳凰院はボクをもっと酷くした感じのような気がしてならなかった。

それから一人一人褒めちぎったり、恥ずかしそうなポーズをさせられたりとどんどん攻めて行く。
舞台袖の男子達の息遣いは荒かった。
あーこんな男に囲まれた場所にいるなんて勿体ない。
ボクならもっと恥ずかしい事言ってあげるのに。

そしてついに左千夫クンの番になった。

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【神功左千夫】

口の中がまだ辛い。
かなりの水を飲んだが全然緩和されていない。
先程の女性は誰だったのだろうか。
キスをされてしまったが、そんなことはどうでもいい。
懐かしい気配がする様な、しかし、違う様な気もする。

彼女のお陰で僕にはかなりの高得点がもたらされた。
そして、次は恥ずかしがってはいけない競技らしいが、これは僕にとっては他愛ない。

他の女性たちはどんどん顔を赤らめていき、僕の順番が回ってきた。

「神功、君の髪はとてもきれいだね、思わずキスをしたくなるよ。」

このノリ、どこかで知っている様な気がする。

「ありがとうございます。鳳凰院さんの髪もとても綺麗ですね、その、目も、唇も全て素敵ですよ。」

なぜか観客が沸く。

嗚呼。
この女性のノリは九鬼に似ているんだな、なので、僕にとっては日常の言葉ばかりを投げかけられた為なんともなかった。
しかも、相手が女性なので僕も褒める言葉を返し易い。

「貴方の足もとても綺麗ですよ、ブーツで隠してしまうなんて勿体無い。」

そう言って僕はその場に跪いて、王子と呼ばれる彼女の手を取ってキスを落とした。

「完璧だぁァァ!!ぼ、僕には君を恥ずかしがらせることができないようだ…。
観客の、みなさん、誰か僕の代わりにこの乙女の相手をしてくれないだろうか!!」

クラリと効果音がでそうな程大げさな演技を彼女はやってのける。
これで終われると思ったのだがどうやらそうではないらしい、僕の前には長蛇の列ができた。
これから一人一人が思い思いに僕に恥ずかしい言葉を投げかけていくのだろう。

ナルシストと言われるかもしれないが、僕は褒められて当たり前のような容姿の持ち主だ、こんなことくらいで恥ずかしがることはあり得ないのだが。

僕を観客に任せて、鳳凰院しのぶは那由多君の方へと向かっていった。

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【千星那由多】

会長はどんな言葉をかけられても恥ずかしがらなかった。
そりゃあ相手の鳳凰院は男なわけだし、何を言われたって恥ずかしいわけがない。
まったく照れることのなかった会長を差し置き、最後は俺に回ってくる。
そして、徐に顎を掴まれると鳥肌が立った。

「麗しきレディ…君のその熟れたような唇…どんな味がするんだろうか…」

おいおい、男にキスされるとかたまったもんじゃないぞ。
俺は引き攣った笑みを浮かべると、「キュウリの味じゃないスかね」とだけ答えた。
それからは何度何を言われても同じだった。
さすがに俺も無反応なのに困ったのか、鳳凰院は手を口にあて斜め45度の角度で考え込んだ。
なんだろうこの緻密さは。
それさえも麗亜高校の女子はたまらないんだろうな。

「よし、櫻子、ちょっと来てくれないか!」

パチン、と指を鳴らすと舞台袖から西園寺さんが微笑みながら出て来た。
一体何をするつもりかと二人を交互に見つめる。
観客もこちらが気になり始めたようだ。
そして鳳凰院は西園寺さんに耳打ちをすると、西園寺さんは笑みを更に深くし、俺の目の前に立った。

「千星さん…あなた、とってもかわいいわね…」

まずい。方法を変えて来たぞ。
鳳凰院はしたり顔でこちらを見ている。
さっきは男だったから別になんとも思わなかったが、さすがに女性で西園寺さんみたいな綺麗な女性に言われると…。

「愛くるしくカールがかった髪…どこか儚い大きな瞳……滑らかな頬、苺のように甘酸っぱそうな唇……」

言った場所を軽くなぞる様に指が這っていく。
やばい、だめだ、やめてくれ、それ以上…は……!
俺の思った通り、ツーっと胸元へと整った白い指が降りていった。

「う、うわああああああやめてくださいごめんなさいもうしませんすいませんんんんん!!!!!」

意味のわからない叫びをあげ、逃げるようにして立ち上がると、イスの後ろへと隠れた。
危ない、絶対にあれ以上言われていると何かを失っていただろう。
俺は顔を真っ赤にしながらその場にへたへたと倒れ込んだ。

「やっぱり…君は櫻子みたいな子がタイプだったんだね!僕たち……ライバル、かな?」

そう言って指をピストルのような形にすると、俺を打つような仕草を取りウインクをする。
それに場内がまた沸き上がると、俺はもう呆れて笑うしかなかった。

はぁ、もう早く帰りたい。
そういえば会長はどうなったのだろう。
長い行列の最後は、さっき会長に口移しで辛い物を食べさせていた女子だった。
そして会長の顔へと目を向けると、俺は絶句した。

あの会長が………恥ずかしがってる!!!!!!

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【神功左千夫】

「あ、足を開いてみて下さい……!」

「いいですよ、お見苦しいものが見えなければいいですが。」

「き、きゃぁーーー!!!!」


「ほ、本当にお美しいですね、あの、さ、触ってもいいですか…?」

「どうぞ。僕も、キスしていいですか?」

「き、きゃぁーーー!!!!」


「す、好きです!!付き合ってくださいッ!」

「申し訳ありません、僕は誰のものにもなるつもり、ありませんので。
でも、素直に自分の気持ちを言えた貴方はとても心が綺麗なのでしょうね。」

「きゃ、き、きゃぁーーー!!!!!!!!!!!!!!」

何人目だろうか。
女性の黄色い悲鳴を聞くことにそろそろ疲れてきた。
しかも、足は開いたままでいて下さいや髪を掻きあげて下さい等、注文も多い。

さて、次で最後かと思って顔を上げた瞬間僕は固まった。
そこに居たのは先程僕に口移しで香辛料を飲ませた女性だった。
長い髪を揺らしながらゆっくりと舞台に上がってくる彼女から僕は視線を逸らすことが出来ない。

「足、開いたままで恥ずかしくないの?」

「え……その。」

恥ずかしくない、恥ずかしいものなんて見せてないし、見られても困らない。
なのに、僕の足は自然と閉じられていった。
そして、自然と俯く、しかしそれも彼女は許さない、頬を挟み込むようにして座ったままでいる僕の顔を上げさされた。
彼女と視線が合いそうになったがあうとなんだか自分を保てない気がする。

「ギ、ギブアップです…!!」

僕の焦った声が舞台に響き渡った。

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【千星那由多】

次が最後の競技の様だ。
やっとこの苦しみから解放される。
もちろん俺が今の所最下位なのは、後ろに表示されている点数を見なくてもわかっている。
多分会長は優勝するだろう。
別に俺が最下位になっても特になにも無いだろうから、早く終わる事だけを考えていた。

「次が最終競技となりました!
長かった乙女の闘いも遂に決着!
最後の題目は……『何をされても声をあげてはいけない』競技です!
さぁ、乙女の栄冠を手にするのは一体誰でしょう?」

何をされても声をあげてはいけない…とはまたさっきと同じでストレートだな。
黒子が、人が入るぐらいのデカイ箱を用意する。
それは調度顔が出てくるような物だった。
どうやら顔だけをそこから客席に向け、身体は何をされているのかわからなくなっているらしい。
…バラエティ番組か…!

「皆さんには顔だけを出してもらい、終始笑顔でいてもらいます。
後ろで何をされても声をあげたり、笑ったり泣いたりしてはいけません!
しかし、こちらからの質問には普通に答えてもらいます!
もし声を出した場合は、今まで溜めたポイントが1ポイントずつ減っていきますので気をつけてくださいね~!」

笑ったり泣いたりって…大体何をされるのか想像できてしまう。
箱に入り、全員が穴から顔を出すと、傍から見ればかなり滑稽な姿になっているだろう。
後ろでガサガサと音がするが、何をしているのかは頭を固定されてしまってわからなかった。

「では、開始!」

司会の声と共に笛の音が鳴る。
暫くすると身体に何かふわふわしたものが触れる。

「―――ッ!!??」

く、くすぐったい!!!
全員同じ様な事をされているのだろうか?
顔も横に動かすことができないので、みんなどんな表情をしているかはわからなかった。
やばい、顔がにやつく。
何で擽られているかわからないので、余計に恐怖心を抑えるように笑ってしまいそうになる。
いや、待て、終始笑顔を絶やすなっつってたよな?
これ以上くすぐられなければ…。

そう思った途端に背中に痛みが走った。

「―――いっでぇ!!!!」

俺の声に場内が沸きたった。
次第に他の出場者からも声が上がる。

「あ、やめてください…っくすぐ……っあッ…」

「そこは…だめ、です…っ」

なんだ、なんだなんだなんだ、何をされてるんだ!!!!
女子の変な声に、卑猥な妄想が頭の中を支配していく。
駄目だろこの競技完全に!!

「刺激に絶えれない方がちらほらと出てきましたね~!では質問に参りましょう!
今一番ポイントが低い千星さん、ご趣味はなんですか?」

こんな時に趣味とか聞いてくんのかよ!
鬼畜過ぎる…!

「ゲ、ゲームです…っい…!!」

なんか吸い付いてる吸い付いてるなにこれなにこれ!!!
ガタガタと暴れると箱が揺れるが、顔はもちろん抜くことができない。
司会者は次々と質問をしてくるので余裕なくそれに答えていった。
他の出場者に質問されている間も、くすぐられたり、何か謎のものが背中を這ったりと、怖いやら痛いやらで死にそうだった。

ああ…時間が長く感じる…。

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【神功左千夫】

こんな感じの機械が昔、研究所にあったな。

先程の屈辱を忘れたいが為に僕は現状を無駄に分析する。
それにしても顔だけ出してるこの格好はかなり滑稽ではないだろうか。
底から入ったので、色々なモノが底から入れられてくる。

「ちゅんちゅん」や「ぴよぴよ」、「クルッククゥー」と聞こえるのは鳥系統だ、他にも勿論「わんわん」や「にゃんにゃん」も聞こえる。
まぁ、この辺りはいいのだが明らかに軟体動物が僕の足に絡みついている。
これはかなり気持ち悪い。

しかも、僕が男なのでハンデと言うことで、手足を箱につながれているために逃げるに逃げれないのだ。
気持ち悪いなと思いながら時間が過ぎるのを待った。

その時後ろのスコアボードを初めて見た。
最下位は那由多君だった。

……これはちょっとまずいかもしれない。

「那由多君。最下位の罰って知ってますか…?」

するとインタビューが終わった横の那由多君はなんとも言えない笑いそうな、悲鳴を上げそうな表情を晒しながら首を横に振った。
これはきっと先に知らせておいたほうがいい。

「前女子生徒の前で全裸。ですよ。」

その後は僕に質問の番が回ってきた。
好みのタイプや休日に何をしているか等だったので、いつものように当たり障りのない返答を返しておいた。

どうやら、この時間はまだまだ続くらしい。

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【千星那由多】

会長にこの麗亜祭の罰を聞いて、今この場で意識を失いそうになるぐらいに絶句した。

全女子生徒の前で…全裸…。

や、やるなぁ麗亜祭!!女子ってこええなぁ!!
全裸とか超羞恥プレイじゃん!!!って……………いやいやいや!!!!
だから色々おかしすぎるって!!!!

この競技が終わるまで俺は放心状態だった。
もう何も考えたくない。今すぐ消えたい。
大好きなウインナーが一生食えなくなるのと交換でもいい。
クリア中のゲームを売られるのと交換でもいい。
今すぐ俺をここから逃がしてくれ…。

俺が絶望している間にこの長い競技が終わったらしい。
もう後半は何が身体を這っていても、気にもならなかった。
呆然としていると会長に声をかけられ、我に返り、箱から首を抜く。
身体中についている汚れを義務的な動きで落としていると、出場者だった堂地先輩が横切った。

「おお、千星、頑張っていたにょ~」

「まぁ、ぼちぼち…」

顔を引き攣らせながら笑っていると、堂地先輩が俺の胸をじっと見ている。
また揉まれるのかと思い思わず身構えると、彼女の目が光ったのがわかった。

「女になってもいい乳だのぉ~!!」

「うっわあああやめろおおおお!!!」

ステージにいた全員と観客が多分俺達を見ただろう。
押し倒され、しきりに胸を揉みしだかれていると、華尻がやってきたのがわかった。

「ちちち、ちょっと!!堂地先輩ッ!!今それしちゃダメじゃない!!!」

華尻の言っている意味がわからなかったが、司会から声がかかると、慌てて堂地先輩を引っ張って行ってしまった。
もう嫌になって起き上がれない俺に、会長が手を差し伸べてくると、ゆっくりと立ち上がらしてくれる。
そのままふらふらとステージの前へと一緒に出た。
ああ…もう乳は揉まれるやらこの後全裸やら…どうしてこうも俺には運が無いのか。

「すべての競技が終了しました!
代々受け継がれて来た乙女たちの祭典、麗亜祭。皆さんいかがでしたか?
いつもと違う乙女たちの闘い…少し寂しいですがもうすぐ終了となります…!
それでは、今から最終結果と表彰を行います!」

歓声が沸き起こると、音楽が流れ、舞台に当てられていたスポットライトの光が落ちる。
後ろのモニターにそれぞれの名前とポイントが表示されていった。

「真の乙女に輝いたのは……――――――神功左千夫さんです!!!」

隣にいた会長にスポットライトがあてられた。
すでにさっきの競技前に1位は会長だってわかりきっていたことだった。
会長、乙女じゃないのに。

それでも観客からの歓声はすごかった。
乙女なのにこんなに奇声をあげていいものなのだろうか。
そんな乙女達、全女子生徒を虜にしている会長は、相変わらず爽やかに笑っていた。

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【神功左千夫】

正直前半は良かったが後半は過酷だった。
どうやって僕に声を出そうか画策したしたのだろうと見受けられる。
勿論、何とか耐えきって一位になったが今ここで微笑んでいるのも正直つらい。

「神功君。やはり君だったんだね、僕の目に狂いは無かった。」

大きな身振り手振りをしながら鳳凰院しのぶが僕の前に来た。
そして、ゆっくりと頬に手を添えられ顔が近づいてくる。

またこの流れかと、僕は一瞬視線を逸らし、分からない程度に溜息を吐く。
そして、その唇を一本の指で塞いだ。

「それは、本物の乙女の為に取って置いて上げて下さい。」

そうして、彼女の手を取ると、その甲へとキスを落とした。
場内からの歓声も上がったことだし一先ずこれで何とかなるか。

「流石だな!神功君、それではお約束の僕達の能力だ。」

僕にだけ聞こえる様に言った後、鳳凰院しのぶと西園寺櫻子が見つめ合う。
その瞬間に更にナレーションが入った。

「それでは真の乙女を祝福する光の舞台をお楽しみください!」

野外ステージがシートの様なもので覆われ辺りが真っ暗になった。
そして、舞台が様々なカラーのスポットライトで照らされ、曲が流れ始めた。
少し感心してしまうほど幻想的な空間が其処には広げられる。
歌、踊り、光、その融合体だった。

そして、その祝福の舞台も差し掛かったところで鳳凰院しのぶと西園寺櫻子が絡みあう。
観客の興奮も最高潮だ。

その時僕の耳は彼女たちの言葉を確かに聞きとった。

「「May God Bless You. 」」

その瞬間に現れるユニコーンとペガサス。
観客からはこれも光で作られたものだと見せる為の工夫をしているがその二体は紛れもなく其処に存在していた。
これが彼女たちの能力。
空想動物を現実に、そこまでの情報は手に入れていたが初めて生で見た。
これは戦闘になると少し厄介だなと思っていると鳳凰院しのぶがこちらに来て、僕をそのユニコーンの上に乗る様にエスコートされた。

「他の能力はまたデータとして送らせて貰うよ。」

そう言って微笑んだ彼女を見ると他の女子が騒ぐのが分かった。
ふわふわとした毛並みだが確りとした筋肉を纏ったユニコーンの上に僕は跨った。
そして、そのまま手を振る様にしてステージの幕が下りた。

「みなさん!楽しんでいただけましたか!それでは、これから最後に一番真の乙女から遠かった千星さんへの罰ゲームを施行します!
みなさん!存分に見てあげて下さい。」

「か、かかか、会長!!俺無理、…あれ、声が、…服が」

どうやら先程堂地に胸を揉まれたせいで女体化がとけてしまって居る様だ。
これで、舞台に出る訳にはいかないと僕は那由多君に幻術をかけた。
そして、僕も一緒に舞台の真中までいく。

「それでは、千星さん、どうぞ!!!」

僕はゆっくりと那由多君のシャツに手を掛け、上に上げる様にしてキャミソールを脱がす。
そして、カボチャパンツを脱がした。
那由多君は恥ずかしそうに前屈みになっているがそれを正す様にして僕は背後に回る。
そして、ブラジャーのホックを外した。

その瞬間にたわわな胸が大きく揺れる。
そのままブラジャーを引き抜くと那由多君は両手で胸を隠した。

そうしてしまうと下半身ががら空きになる。
僕は背後に跪いたまま下着を一気に足もとまでずらした。

そして、その瞬間に那由多君が男に戻る。


と、言う、幻術を全校生徒に見せてやった。
まぁ、こんな厄介な祭りに巻き込まれたのだからこれくらいは許されるだろう。
場内は悲鳴で未知、舞台が暗転した後、僕と那由多君の居た、舞台の底が抜け暗闇へと落とされることになったが。

-----------------------------------------------------------------------

【千星那由多】

「OhMyGoooooooddddddd!!!!」

麗亜高校の生徒会室に、鳳凰院の叫びが響いた。
目の前で顔に手をあて、椅子に座っている男に戻った俺を睨みつけている。

「君が男だったなんて聞いていない!!
あんな悪魔のような物を乙女たちの前で見せつけて…僕は全校生徒の乙女達にどう謝罪をしていいかわからないよ!!!」

さっきの俺の全裸騒動に激昂しているみたいだった。
もちろんあれは会長の幻術だったので実際に俺は脱いでいないし、それなりに大事な部分もデフォルメしてもらってはいたんだけれど。

「これだから男は!!野蛮で!!汚い!!」

お前も男だろうと突っ込みたかったが、その言葉は西園寺さんに遮られた。

「ごめんなさい、千星君。
王子はこの身なりで自分が女性であるからか、男性をものすごく毛嫌いしていて…。
罰の件はこうなる事を予測できなかった私たちにも落ち度があります」

丁寧に頭を下げられ謝られると、慌ててしまった。
それよりも驚いたのが……鳳凰院が女という事実だった。
確かにこういう女性はいるかもしれないけど…絶対に俺は信じないぞ…!

「神功君は何処かへ行ってしまうし…たっぷりお説教をしたかったんだが…」

鳳凰院は部屋中を歩き回りながらイライラとしている。
周りの(裏)生徒会のメンバーも鳳凰院がこうなると手をつけれないのか、遠巻きで俺を見ていた。
というか、気持ち悪い目で見られている気もする。
副会長はにやにやしながら庇ってもくれないし、会長はいなくなるし…。
もうほんと今日は厄日だ。

「ああ……ッもういい!さっさと帰りたまえ!
次に会う時には僕達は敵同士だ!遠慮はしない、覚悟しておきたまえ!」

ビッと俺を指差すと鳳凰院は教室を出て行った。
西園寺さんがそれを見送りため息をついた後、俺に微笑みかけてくる。

「また遊びにいらしてください…と言っても、次からは敵同士ですね」

すっと白い綺麗な手が伸びてくると、俺を椅子から立ち上がらせてくれる。
なんて優しいんだろうか西園寺さんは。
女神だ。これが真の乙女ってやつなのか。

「あ、ありがとうございます…なんか…本当にすいませんでした…」

「いいえ、とても楽しかったわ。でも…………次はできれば、本物を見せてくださいね」

そう耳に触れるか触れないかの距離で囁かれると、俺の身体は硬直した。
女性特有の柔らかな香りがすると心臓がバクバクと脈打ち始める。
や、やばい、今、男だから、熱が、下に、下がっていく。
どうしていいかわからずにいると、俺と西園寺さんの間を華尻が割って入ってきた。

「い、いつまでそうしてんのよこの変態っ!
あんな事しといて…正面から出れないでしょ!私が裏道教えてあげるからさっさとついてきなさいよ!!」

た、助かった。
華尻が間に入ってくれなかったら、俺はどうにかなっていそうだった。

そうして俺達は色々としでかしてしまったけれども、優勝したのは確かだからと豪華景品はきちんと受け取り、麗亜高校を後にした。
とてつもなく長く苦しい一日だった気がする。

できれば暫く女とは……絡みたくない……。 



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