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第9話 魔マ王様、後始末をして移動する。
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「ああ、それとザッコ君。この際だから言っておくけど、今の私は魔王じゃないわ」
「え? ど、どういうことッスか!?」
突然の言葉にザッコは戸惑った声をあげる。……いや、分かるわかっておるぞ?
コヤツ、今から「私は魔王じゃなくて、魔マ王よ!」って言うんじゃろ? 分かっておるぞ。
「今の私は魔王じゃないわ。ヨシュアラブなママ、だけどその真の姿は魔王。だから、魔王なママで魔マ王よ!」
「なな、何ッスかそれ~~~~!!?」
ばばーーんっとポーズを決める魔マ王の姿にザッコはショックを受けたのかびっくりしたと両腕を上げて万歳しおった。
じゃが、はたと何かに気づいたのか、ハッとした表情となった。
「そ、そう言えば侍女の皆さんが『まおうさま』ではなく、『ままおうさま』って呼んでた気が……気のせいじゃなかったんッスね……」
「そうよ。っと、立ち話もなんだし……そろそろ移動しましょうか」
「移動って、何処に行くつもりッスか?」
「何処って……、一度ザッコ君の館に行って軽く休んでから、魔王城に行こうと思っているわ」
こやつ……ケロリと言いおったが、ザッコにもザッコの家庭という物があるじゃろ?
じゃと言うのに、いきなりご厄介になるとは……流石魔マ王というべきじゃろうか?
「ちょっとロリ神が酷いこと言ってるけど、私の物は私のもの。部下のものは私のものよ(にっこり)」
ガキ大将じゃ! こやつ、歌が超弩下手糞なガキ大将の理論を持っておるのじゃ!!
そしてその言葉にザッコも戦慄しておるようじゃ……、が何時ものことじゃと分かっておるのか、溜息を吐いたのじゃ。
「ああ、それでこそ魔王様……じゃなかった。魔マ王様ッスよ……。じゃあ、今から向かうッスか?」
「ん~……、その前にこの家が盗賊や山賊に荒らされるのが嫌だから、私とヨシュアだけが入ることが出来る結界を張っておくわ」
「了解ッス。それじゃあ、何時も話していた拓けた場所に居るので終わったら声をかけてくださいッス」
「ええ、分かったわ」
魔マ王にそう言うと、ザッコは離れて行き……あとに残る魔マ王は、懐かしげにその家を見つめてから――
「またここで暮らせると良いわね……、ヨシュアといっしょに」
そう呟き、魔法を唱えたのか家の周囲を取り囲むように霧を発生させた。
普通に霧が発生しているように見えるじゃろうが、それは今まで彼女がかけていた不可視と人払いの結界に加えて状態保持の効果も増えたのじゃった。
要するにそこは限られた人しか入ることが出来ない時が止まった場所となったわけじゃ。
しかもその結界を張ったのは魔マ王じゃから、結界を破壊しようにも誰にも破壊出来ない。もし結界が解けるときは彼女が殺された時か、彼女自身が解くことを決めた時だけじゃ。
「……さ、行きましょうか。さ~って、ザッコ君の館ってどんな感じなのかしらね~?」
それを見届けてから、魔マ王は方向を変えてその家を振り返ること無く歩き出していった。
……まあ、ザッコと合流したら飛んで行ったのじゃがね。
●
バサッバサッと悪魔の翼が羽ばたき、上空を魔マ王が舞う。
その姿は恐怖の象徴であると同時に……人を魅了する美しさを秘めておった。
「んぁ~~♪ 久しぶりに翼で飛ぶと気持ち良いわねぇ~~!!」
「久しぶりに飛んでる割には上手に飛んでるじゃないッスか魔マ王様」
「昔から慣れたものは簡単には忘れないってことよザッコ君~~!」
そう言って、魔マ王は楽しく踊るように上空を舞う。そして時にはこの星を素早く移動をし、彼女の感覚を察知した強者たちを怯えさせたりもしておった。
……お陰で、魔王復活と言う噂が広まりおったぞ?
というか上空を舞ってて、ふんわりとしたスカート翻しておるが中が見えるのではないのか?
「大丈夫よ。魔マ王様の下着は黒だけど、漆黒の闇が見えなくしているから」
どれどれ……、こ、これは……!
見えん、何にも見えないのじゃ。あるのはもわもわとした漆黒の闇のみじゃ。
ガーターらしき太ももは見えるが、下着は見えん……。――って、ワシに何を言わすつもりじゃ~~~~っ!?
「あらやだ神様、私の下着を覗いていたのね? でも残念、ヨシュアになら見せたいけど……神様じゃあ、ねぇ?」
ねぇ? じゃないのじゃ! あと、同性の下着なぞ見ても嬉しくも何にも無いのじゃ! というか、好きな相手にはワシも見せたいのじゃ~~~~!!
こう、ベッドの上でハラリと……のう?
「のう? って言われても、神さまの場合は案件ものになっちゃうし、特殊な性癖の人しか喜ばないわよ? 幼女の幼女下着なんて」
む、むき~~~~っ!! 悔しいのじゃ、悔しいのじゃ~~~~~~~~~~!!
だんだんとワシは自分の空間内で地団駄を踏んでおるのじゃが、見えるわけが無いのじゃ。
だんだんだしだしと地団駄を踏み続けている中でも、魔マ王とザッコは空を駆けて目的の場所へと到着したのじゃ。
つまりはザッコの館じゃな。
「「「お帰りなさいませ、旦那様。そして、ようこそいらっしゃいました、魔マ王様!!」」」
館の庭へと降り立った2人へと、来るのを知っていたのか待っていたのかは分からないけれど館で雇われている侍女たちが主人の帰還とやって来た魔マ王へと一斉に頭を下げたのじゃった。
「え? ど、どういうことッスか!?」
突然の言葉にザッコは戸惑った声をあげる。……いや、分かるわかっておるぞ?
コヤツ、今から「私は魔王じゃなくて、魔マ王よ!」って言うんじゃろ? 分かっておるぞ。
「今の私は魔王じゃないわ。ヨシュアラブなママ、だけどその真の姿は魔王。だから、魔王なママで魔マ王よ!」
「なな、何ッスかそれ~~~~!!?」
ばばーーんっとポーズを決める魔マ王の姿にザッコはショックを受けたのかびっくりしたと両腕を上げて万歳しおった。
じゃが、はたと何かに気づいたのか、ハッとした表情となった。
「そ、そう言えば侍女の皆さんが『まおうさま』ではなく、『ままおうさま』って呼んでた気が……気のせいじゃなかったんッスね……」
「そうよ。っと、立ち話もなんだし……そろそろ移動しましょうか」
「移動って、何処に行くつもりッスか?」
「何処って……、一度ザッコ君の館に行って軽く休んでから、魔王城に行こうと思っているわ」
こやつ……ケロリと言いおったが、ザッコにもザッコの家庭という物があるじゃろ?
じゃと言うのに、いきなりご厄介になるとは……流石魔マ王というべきじゃろうか?
「ちょっとロリ神が酷いこと言ってるけど、私の物は私のもの。部下のものは私のものよ(にっこり)」
ガキ大将じゃ! こやつ、歌が超弩下手糞なガキ大将の理論を持っておるのじゃ!!
そしてその言葉にザッコも戦慄しておるようじゃ……、が何時ものことじゃと分かっておるのか、溜息を吐いたのじゃ。
「ああ、それでこそ魔王様……じゃなかった。魔マ王様ッスよ……。じゃあ、今から向かうッスか?」
「ん~……、その前にこの家が盗賊や山賊に荒らされるのが嫌だから、私とヨシュアだけが入ることが出来る結界を張っておくわ」
「了解ッス。それじゃあ、何時も話していた拓けた場所に居るので終わったら声をかけてくださいッス」
「ええ、分かったわ」
魔マ王にそう言うと、ザッコは離れて行き……あとに残る魔マ王は、懐かしげにその家を見つめてから――
「またここで暮らせると良いわね……、ヨシュアといっしょに」
そう呟き、魔法を唱えたのか家の周囲を取り囲むように霧を発生させた。
普通に霧が発生しているように見えるじゃろうが、それは今まで彼女がかけていた不可視と人払いの結界に加えて状態保持の効果も増えたのじゃった。
要するにそこは限られた人しか入ることが出来ない時が止まった場所となったわけじゃ。
しかもその結界を張ったのは魔マ王じゃから、結界を破壊しようにも誰にも破壊出来ない。もし結界が解けるときは彼女が殺された時か、彼女自身が解くことを決めた時だけじゃ。
「……さ、行きましょうか。さ~って、ザッコ君の館ってどんな感じなのかしらね~?」
それを見届けてから、魔マ王は方向を変えてその家を振り返ること無く歩き出していった。
……まあ、ザッコと合流したら飛んで行ったのじゃがね。
●
バサッバサッと悪魔の翼が羽ばたき、上空を魔マ王が舞う。
その姿は恐怖の象徴であると同時に……人を魅了する美しさを秘めておった。
「んぁ~~♪ 久しぶりに翼で飛ぶと気持ち良いわねぇ~~!!」
「久しぶりに飛んでる割には上手に飛んでるじゃないッスか魔マ王様」
「昔から慣れたものは簡単には忘れないってことよザッコ君~~!」
そう言って、魔マ王は楽しく踊るように上空を舞う。そして時にはこの星を素早く移動をし、彼女の感覚を察知した強者たちを怯えさせたりもしておった。
……お陰で、魔王復活と言う噂が広まりおったぞ?
というか上空を舞ってて、ふんわりとしたスカート翻しておるが中が見えるのではないのか?
「大丈夫よ。魔マ王様の下着は黒だけど、漆黒の闇が見えなくしているから」
どれどれ……、こ、これは……!
見えん、何にも見えないのじゃ。あるのはもわもわとした漆黒の闇のみじゃ。
ガーターらしき太ももは見えるが、下着は見えん……。――って、ワシに何を言わすつもりじゃ~~~~っ!?
「あらやだ神様、私の下着を覗いていたのね? でも残念、ヨシュアになら見せたいけど……神様じゃあ、ねぇ?」
ねぇ? じゃないのじゃ! あと、同性の下着なぞ見ても嬉しくも何にも無いのじゃ! というか、好きな相手にはワシも見せたいのじゃ~~~~!!
こう、ベッドの上でハラリと……のう?
「のう? って言われても、神さまの場合は案件ものになっちゃうし、特殊な性癖の人しか喜ばないわよ? 幼女の幼女下着なんて」
む、むき~~~~っ!! 悔しいのじゃ、悔しいのじゃ~~~~~~~~~~!!
だんだんとワシは自分の空間内で地団駄を踏んでおるのじゃが、見えるわけが無いのじゃ。
だんだんだしだしと地団駄を踏み続けている中でも、魔マ王とザッコは空を駆けて目的の場所へと到着したのじゃ。
つまりはザッコの館じゃな。
「「「お帰りなさいませ、旦那様。そして、ようこそいらっしゃいました、魔マ王様!!」」」
館の庭へと降り立った2人へと、来るのを知っていたのか待っていたのかは分からないけれど館で雇われている侍女たちが主人の帰還とやって来た魔マ王へと一斉に頭を下げたのじゃった。
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