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第16話 ウィスドム、出会う。
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ああもうっ! 何で謝るかなっ!?
目の前で縮こまるわたしと同年代の大人しそうな外見をした男の子を見ながら、わたしは憤りを覚える。
そして文句を言うべく、勇者と思われる目の前の男の子を改めて見る。
栗色の髪、女の子みたいな体型、つぶらで潤んだ瞳……。
正直、女物の服を着せたら女だと思われても可笑しく無いだろう。
……わたし以上にね。
だけど同時にこんなナヨナヨとした男の子が勇者だと言うことに、わたしは呆れていた。
ピルグリムで何度も聞かされた勇者の話に出る勇者は、強く・雄雄しく・勇敢という物ばかりだった。
なのに目の前の男の子は、わたしを見て今にも泣きそうになってるし、女の子みたいに細い身体つきだし、弱そう……いや事実弱いだろう。
……もしかして、わたしは心の何処かで勇者という姿に期待をしていたのだろうか……?
――って、やめやめ。そんなこと考えるなんてわたしはどうかしている。
多分魔術使いすぎたからか、頭のテンションがハイになっているんだろう。
そう考えながら、わたしは軽く深呼吸をして精神を落ち着かせようとする……が、オークがいることをちょっと忘れていた。
「あんたは悪いことして無いんだから、わたしに謝らないでよ。それよりもオークどもをとっとと倒すからちょっと待ってな――――っ!?」
「また人間が増えたアル。どっちが勇者アルか?」
「ちょ、ちょっと待ちなさい……、何よあんた」
「ファンロンアルか? ファンロン、ファンロン言うアル」
そう言うことを聞いているんじゃない。
目の前のファンロンと名乗った血塗れの存在、それにわたしはそう言いたかったけれど……言えなかった。
何故なら彼女は、どう見ても人間じゃなかったからだ。
金色に光る縦に割れた瞳、頭から伸びる2つの角。……もしかして、龍? それとも竜? そのどちらかが人化した存在だと思う。
そんな風に考えながらジッと目の前の竜人か龍人を見ていると、その近くに残っていたオークたちが余所見をしている無防備なわたしたちに奇襲のチャンスと思ったようで、わたしたちに襲いかかってきた。
『い、今だブー! 死ねブーー!!』
『余所見をしている今がチャンスブー!!』
「邪魔アル」
「ええい、鬱陶しい!! 炎よ、目の前の豚を激しく燃やし尽くせ――レッドウインド!」
『『ブヒィィィィィッ!!』』
向こうに行ったオークはそれが軽く腕を振るうと胴体が寸断された。
そして、わたしに向かってきたオークへと灼熱の風を放つ魔術を展開し、素早く燃やし尽くした。
よし、この魔術も大丈夫みたい。
この魔術も使えた。ということが嬉しく、小さく拳を握り締める。けれど、すぐにその思考は耳元に届く咀嚼音によって停止させられた。
「もぐもぐ……、う~やっぱりオーク美味しくないアル。ファンロン、ザッコさんのせいでグルメなったアル」
「……うっ、間近で食べるの見るなんて……」
食通ぶりながらオーク肉を骨ごと食べるソレをわたしは見ながら、杖を構える。……何か妙なことをしたら攻撃するためだ。
だけど……虫を払う、そんな感じの動作であっさりとオークを寸断したソレに……わたしの魔術は通じるだろうか?
いや、下手するとわたしも同じように……い、いやっ、自分の力に自信を持つべきだ!
自分にそう言い聞かせ、わたしはジッとソレを見続ける。……一方ソレは、見られていることを気にしていないのか、モグモグとオークを食べ続けている。
……一応オークは食べられるモンスターだけど、生肉で血を浴びながらむしゃむしゃしているのは吐き気がする。
込み上げてくる吐き気を抑えつつ、警戒していると……ソレは倒したオークの肉を全て食べ終え、けふっとゲップをした。
「食べた食べたアル。お口直しのデザート食べたいアル」
デザートッ!? まさか、わたしたちを食べるつもりだろうか?
杖に込める力がますます強くなる。
一方で勇者の男の子は何かを思い出そうとしているのか、うんうん唸っていた。
……この子、何気に肝が座ってるのかな?
「う~ん、うぅ~~ん……ザッコさん、ザッコさん……何処かで聞いたんだけどなぁ……」
「甘くてシャクシャクするのを食べるアル~。デザートには格別アルよ~♪」
「っ!? あまくて、しゃくしゃく……、頭からガリッて幾つもりか……」
ソレが楽しそうに呟く言葉を聞いて、わたしは頭から食べるつもりだと判断する。
来るなら来い……! そう思いながら、ジッとソレを見続けていると……ソレはキョロキョロと周りを見始めた。
そして、わたしたちに視線を合わせるとニコリと笑うと、こちらに向けて歩き出した。
「見つけたアル!」
「っ!! 来るなっ、来たら……魔術放つから!!」
「美味しいシャクシャク、甘くてシャクシャクのデザートアルヨ~~♪」
忠告はした。だけど、ソレは尚も近づいてくる。
だから、わたしはヘルファイア・エクスプロージョンの魔術を展開し、放とうとした。
その瞬間――、
「あっ、思い出したっ!!」
「ひぁ!?」
背後からの突然の大声、その声に驚きわたしは展開した魔術を解除してしまった。
しまっ!? 気づいたときには、ソレはわたしの前を――通り過ぎていた。
「へ?」
「甘いシャクシャク、見つけたアル~~♪ ん~、シャクシャクシャリシャリ、甘くて美味しいアル~~!」
振り返ると、ソレは赤い実を両手に持って美味しそうにムシャムシャ食べているのが見えた。
あ、甘くてシャクシャクって……それのことだったの……。
「は、はは……はぁーーーー…………」
自分の思い込みだったことに気づき、緊張の糸が解けてしまったのかわたしはその場にへたり込んでしまった。
目の前で縮こまるわたしと同年代の大人しそうな外見をした男の子を見ながら、わたしは憤りを覚える。
そして文句を言うべく、勇者と思われる目の前の男の子を改めて見る。
栗色の髪、女の子みたいな体型、つぶらで潤んだ瞳……。
正直、女物の服を着せたら女だと思われても可笑しく無いだろう。
……わたし以上にね。
だけど同時にこんなナヨナヨとした男の子が勇者だと言うことに、わたしは呆れていた。
ピルグリムで何度も聞かされた勇者の話に出る勇者は、強く・雄雄しく・勇敢という物ばかりだった。
なのに目の前の男の子は、わたしを見て今にも泣きそうになってるし、女の子みたいに細い身体つきだし、弱そう……いや事実弱いだろう。
……もしかして、わたしは心の何処かで勇者という姿に期待をしていたのだろうか……?
――って、やめやめ。そんなこと考えるなんてわたしはどうかしている。
多分魔術使いすぎたからか、頭のテンションがハイになっているんだろう。
そう考えながら、わたしは軽く深呼吸をして精神を落ち着かせようとする……が、オークがいることをちょっと忘れていた。
「あんたは悪いことして無いんだから、わたしに謝らないでよ。それよりもオークどもをとっとと倒すからちょっと待ってな――――っ!?」
「また人間が増えたアル。どっちが勇者アルか?」
「ちょ、ちょっと待ちなさい……、何よあんた」
「ファンロンアルか? ファンロン、ファンロン言うアル」
そう言うことを聞いているんじゃない。
目の前のファンロンと名乗った血塗れの存在、それにわたしはそう言いたかったけれど……言えなかった。
何故なら彼女は、どう見ても人間じゃなかったからだ。
金色に光る縦に割れた瞳、頭から伸びる2つの角。……もしかして、龍? それとも竜? そのどちらかが人化した存在だと思う。
そんな風に考えながらジッと目の前の竜人か龍人を見ていると、その近くに残っていたオークたちが余所見をしている無防備なわたしたちに奇襲のチャンスと思ったようで、わたしたちに襲いかかってきた。
『い、今だブー! 死ねブーー!!』
『余所見をしている今がチャンスブー!!』
「邪魔アル」
「ええい、鬱陶しい!! 炎よ、目の前の豚を激しく燃やし尽くせ――レッドウインド!」
『『ブヒィィィィィッ!!』』
向こうに行ったオークはそれが軽く腕を振るうと胴体が寸断された。
そして、わたしに向かってきたオークへと灼熱の風を放つ魔術を展開し、素早く燃やし尽くした。
よし、この魔術も大丈夫みたい。
この魔術も使えた。ということが嬉しく、小さく拳を握り締める。けれど、すぐにその思考は耳元に届く咀嚼音によって停止させられた。
「もぐもぐ……、う~やっぱりオーク美味しくないアル。ファンロン、ザッコさんのせいでグルメなったアル」
「……うっ、間近で食べるの見るなんて……」
食通ぶりながらオーク肉を骨ごと食べるソレをわたしは見ながら、杖を構える。……何か妙なことをしたら攻撃するためだ。
だけど……虫を払う、そんな感じの動作であっさりとオークを寸断したソレに……わたしの魔術は通じるだろうか?
いや、下手するとわたしも同じように……い、いやっ、自分の力に自信を持つべきだ!
自分にそう言い聞かせ、わたしはジッとソレを見続ける。……一方ソレは、見られていることを気にしていないのか、モグモグとオークを食べ続けている。
……一応オークは食べられるモンスターだけど、生肉で血を浴びながらむしゃむしゃしているのは吐き気がする。
込み上げてくる吐き気を抑えつつ、警戒していると……ソレは倒したオークの肉を全て食べ終え、けふっとゲップをした。
「食べた食べたアル。お口直しのデザート食べたいアル」
デザートッ!? まさか、わたしたちを食べるつもりだろうか?
杖に込める力がますます強くなる。
一方で勇者の男の子は何かを思い出そうとしているのか、うんうん唸っていた。
……この子、何気に肝が座ってるのかな?
「う~ん、うぅ~~ん……ザッコさん、ザッコさん……何処かで聞いたんだけどなぁ……」
「甘くてシャクシャクするのを食べるアル~。デザートには格別アルよ~♪」
「っ!? あまくて、しゃくしゃく……、頭からガリッて幾つもりか……」
ソレが楽しそうに呟く言葉を聞いて、わたしは頭から食べるつもりだと判断する。
来るなら来い……! そう思いながら、ジッとソレを見続けていると……ソレはキョロキョロと周りを見始めた。
そして、わたしたちに視線を合わせるとニコリと笑うと、こちらに向けて歩き出した。
「見つけたアル!」
「っ!! 来るなっ、来たら……魔術放つから!!」
「美味しいシャクシャク、甘くてシャクシャクのデザートアルヨ~~♪」
忠告はした。だけど、ソレは尚も近づいてくる。
だから、わたしはヘルファイア・エクスプロージョンの魔術を展開し、放とうとした。
その瞬間――、
「あっ、思い出したっ!!」
「ひぁ!?」
背後からの突然の大声、その声に驚きわたしは展開した魔術を解除してしまった。
しまっ!? 気づいたときには、ソレはわたしの前を――通り過ぎていた。
「へ?」
「甘いシャクシャク、見つけたアル~~♪ ん~、シャクシャクシャリシャリ、甘くて美味しいアル~~!」
振り返ると、ソレは赤い実を両手に持って美味しそうにムシャムシャ食べているのが見えた。
あ、甘くてシャクシャクって……それのことだったの……。
「は、はは……はぁーーーー…………」
自分の思い込みだったことに気づき、緊張の糸が解けてしまったのかわたしはその場にへたり込んでしまった。
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