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第26話 ウィスドム、頭を抱える。
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視線が注がれる中、わたしは勇者と共に足早にアホの元へと近づく。
あのアホッ、あのアホッ、あのアホーーーーッ!!
頭の中が周囲の者達に見られているという恥ずかしさと、アホへの怒りに満たされながら視線の先に居るアホを睨み付ける。
すると、わたしを見たであろう周囲の者達はビクッと怯え、わたし達に道を開けていく。
「あ、やっと来たアルー。早く来るアルよーー!!」
近づいてくるわたし達を見ながら、アホは元気良く両手を振る。
その能天気な姿を見た瞬間、わたしはプッツンしてしまった。
「お、ま、え、は~~~~っ、ちゃんと人の話を聞いてから行動をしろ~~~~っ!!」
――パッカーーーーン!!
「いった~~~~っ!? 痛い、痛いアルよ~~~~!? いったい何するアルか~~!?」
「何をするかはこっちの台詞だアホ! 今現在わたし達はお金が無いと説明しようとしていたのに、何で勝手に行動する! ちゃんと人の話を聞いてから行動しろっ!!」
「む~、ファンロン。こむずかしい話よくわからないアル! 考えるのはゆうしゃたちに任せるアル!!」
「えっと、それって……大丈夫なんですか?」
「大丈夫アル! ファンロン、ゆうしゃ信じるアル!!」
こ、こいつ……言い切った。言い切っちゃった……。
アホの言葉に頭を抱えたくなる現状。更にその現状は未だ動いているのだ。
事実、どう言えば良いのかといった表情をしながら、衛兵が2人ほどわたし達へと近づくのが視界の端に映る。
そのまま待っていると、衛兵達がわたし達に話し掛けてきた。
「えーっと、苦労しているところ悪いんだけど、門の前で暴れられたら迷惑なんだよね。……で、君達もアレだろ? 国が出した御触れを見てやって来たんだろ?」
「おふれ?」
「ん? もしかして、知らないのかい? 何でも、魔王が復活したと言うお告げを教会が発表したんだ。だから魔王に対抗するには勇者が必要だってことで、現在国を挙げての勇者を探しているんだよ」
それで自分こそ勇者だって言う人達が次々と王都にやって来ているんだ。
そう言って、説明をしてくれていた衛兵は目下行われている行動を指差した。
衛兵が指差した方向を見ると、巨大な門の入口で屈強な男や立派な鎧を身に着けた青年、歴戦の風格を感じさせる女性など様々な人物が文官達の前に置かれている水晶玉に手を乗せているのが見える。
…………ん? あれは……何処かで見覚えが……。
「僕以外に勇者って、簡単に見つかるんですか?」
「はは、面白い事を言うね。見つからないから、勇者測定器で確認を行っているんだよ」
「ゆうしゃそくていき?」
勇者が言った言葉を冗談だと思った衛兵は笑いながら勇者に答える。
勇者測定器、勇者測定器……、なんだろう。思い出そうとすると、勇者嫌いだから思い出したくないのか思い出せない。
そう思っていると、勇者の問い掛けに衛兵は自信満々に答えた。
「ああ、あの水晶玉に手を乗せることでその人の名前や年齢等の素性や、その人の能力の数値化、そして持っているスキル等が表示されるんだ!」
「それって、凄いんですか?」
「凄いよ! なにせ、自分自身の能力なんて判らないのが当たり前だって言うのに、数値化されたお陰で自分はこの能力を鍛え続けていたっていうことが判るんだからさ!」
「そう言うお前は運ばかり凄かったよな?」
「う……。運も実力の内だから問題無いって!! そう言うお前だって」
勇者測定器の凄さを衛兵達は語り合い、自分達の表示された数値を楽しそうに口にする。
そして、最後に口を揃えて言った言葉にわたしは頭を抱えることとなった。
「「本当、魔王復活の報せが教会から発せられたと同時に全ての国にこれを配布したピルグリム様々だよなー」」
「ピ、ピルグリム……って、まさかこれは……」
衛兵達の言葉でようやくわたしは、この勇者測定器と言うものが何であるかを思い出した。
この勇者測定器……、確か正式名称は『ステータスオーブ』という名前だったはず。
国の歴史によると遥か昔、ピルグリムを創ったと言う巡礼者達の一団の中に『ワレワレハテンセイシャッダー』という集団が居たらしい。
彼ら、または彼女らは様々な魔法の道具を創り出し、勇者の旅の手助けを行っていたと言う。
そんな集団が創り出した道具が幾つかは現存して、あの国には残っていた。
あの勇者測定器も現存した道具を元に、勇者の再来を望む技術者達が量産した物だろう。
量産も、解析にも、いったいどれほどの時間とお金を費やしたのだ?
……あの国、本当ロクでもないのか、どう言えば良いのか分からない方向に力を注ぐな……。
というか、そんなことも思い出したくない、それとも思い出せない程にあの国に関わらずに一人で本を読み続けていたのだな、わたしは……。
そう思いながら、何と言うかモヤモヤした気分を抱く。
が、そんなわたしの思考を遮るように眩い銀色の光が視界を覆った。
「っ!? な、なにっ!?」
「え、わ、わわっ!? な、なにこれっ!?」
「数値が出るよりも先に、眩い光が……。な、なんだこれはっ!?」
「おぉ~、綺麗アル~~!!」
周囲から戸惑う声が響き渡る中、眩しい光に目元を手で被いつつわたしは光の元を見る。
すると、そこには勇者が勇者測定器に手を置いて戸惑っている姿が見えた……。
あのアホッ、あのアホッ、あのアホーーーーッ!!
頭の中が周囲の者達に見られているという恥ずかしさと、アホへの怒りに満たされながら視線の先に居るアホを睨み付ける。
すると、わたしを見たであろう周囲の者達はビクッと怯え、わたし達に道を開けていく。
「あ、やっと来たアルー。早く来るアルよーー!!」
近づいてくるわたし達を見ながら、アホは元気良く両手を振る。
その能天気な姿を見た瞬間、わたしはプッツンしてしまった。
「お、ま、え、は~~~~っ、ちゃんと人の話を聞いてから行動をしろ~~~~っ!!」
――パッカーーーーン!!
「いった~~~~っ!? 痛い、痛いアルよ~~~~!? いったい何するアルか~~!?」
「何をするかはこっちの台詞だアホ! 今現在わたし達はお金が無いと説明しようとしていたのに、何で勝手に行動する! ちゃんと人の話を聞いてから行動しろっ!!」
「む~、ファンロン。こむずかしい話よくわからないアル! 考えるのはゆうしゃたちに任せるアル!!」
「えっと、それって……大丈夫なんですか?」
「大丈夫アル! ファンロン、ゆうしゃ信じるアル!!」
こ、こいつ……言い切った。言い切っちゃった……。
アホの言葉に頭を抱えたくなる現状。更にその現状は未だ動いているのだ。
事実、どう言えば良いのかといった表情をしながら、衛兵が2人ほどわたし達へと近づくのが視界の端に映る。
そのまま待っていると、衛兵達がわたし達に話し掛けてきた。
「えーっと、苦労しているところ悪いんだけど、門の前で暴れられたら迷惑なんだよね。……で、君達もアレだろ? 国が出した御触れを見てやって来たんだろ?」
「おふれ?」
「ん? もしかして、知らないのかい? 何でも、魔王が復活したと言うお告げを教会が発表したんだ。だから魔王に対抗するには勇者が必要だってことで、現在国を挙げての勇者を探しているんだよ」
それで自分こそ勇者だって言う人達が次々と王都にやって来ているんだ。
そう言って、説明をしてくれていた衛兵は目下行われている行動を指差した。
衛兵が指差した方向を見ると、巨大な門の入口で屈強な男や立派な鎧を身に着けた青年、歴戦の風格を感じさせる女性など様々な人物が文官達の前に置かれている水晶玉に手を乗せているのが見える。
…………ん? あれは……何処かで見覚えが……。
「僕以外に勇者って、簡単に見つかるんですか?」
「はは、面白い事を言うね。見つからないから、勇者測定器で確認を行っているんだよ」
「ゆうしゃそくていき?」
勇者が言った言葉を冗談だと思った衛兵は笑いながら勇者に答える。
勇者測定器、勇者測定器……、なんだろう。思い出そうとすると、勇者嫌いだから思い出したくないのか思い出せない。
そう思っていると、勇者の問い掛けに衛兵は自信満々に答えた。
「ああ、あの水晶玉に手を乗せることでその人の名前や年齢等の素性や、その人の能力の数値化、そして持っているスキル等が表示されるんだ!」
「それって、凄いんですか?」
「凄いよ! なにせ、自分自身の能力なんて判らないのが当たり前だって言うのに、数値化されたお陰で自分はこの能力を鍛え続けていたっていうことが判るんだからさ!」
「そう言うお前は運ばかり凄かったよな?」
「う……。運も実力の内だから問題無いって!! そう言うお前だって」
勇者測定器の凄さを衛兵達は語り合い、自分達の表示された数値を楽しそうに口にする。
そして、最後に口を揃えて言った言葉にわたしは頭を抱えることとなった。
「「本当、魔王復活の報せが教会から発せられたと同時に全ての国にこれを配布したピルグリム様々だよなー」」
「ピ、ピルグリム……って、まさかこれは……」
衛兵達の言葉でようやくわたしは、この勇者測定器と言うものが何であるかを思い出した。
この勇者測定器……、確か正式名称は『ステータスオーブ』という名前だったはず。
国の歴史によると遥か昔、ピルグリムを創ったと言う巡礼者達の一団の中に『ワレワレハテンセイシャッダー』という集団が居たらしい。
彼ら、または彼女らは様々な魔法の道具を創り出し、勇者の旅の手助けを行っていたと言う。
そんな集団が創り出した道具が幾つかは現存して、あの国には残っていた。
あの勇者測定器も現存した道具を元に、勇者の再来を望む技術者達が量産した物だろう。
量産も、解析にも、いったいどれほどの時間とお金を費やしたのだ?
……あの国、本当ロクでもないのか、どう言えば良いのか分からない方向に力を注ぐな……。
というか、そんなことも思い出したくない、それとも思い出せない程にあの国に関わらずに一人で本を読み続けていたのだな、わたしは……。
そう思いながら、何と言うかモヤモヤした気分を抱く。
が、そんなわたしの思考を遮るように眩い銀色の光が視界を覆った。
「っ!? な、なにっ!?」
「え、わ、わわっ!? な、なにこれっ!?」
「数値が出るよりも先に、眩い光が……。な、なんだこれはっ!?」
「おぉ~、綺麗アル~~!!」
周囲から戸惑う声が響き渡る中、眩しい光に目元を手で被いつつわたしは光の元を見る。
すると、そこには勇者が勇者測定器に手を置いて戸惑っている姿が見えた……。
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