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第31話 ウィスドム、疑念を抱く。
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――じ、自分で出来ますからぁ~~~~!!?
……一夜が過ぎ、食堂でアホと共に勇者を待つわたしだったけれど、そんな叫びが届いた。
…………いったい勇者は何をしているんだ?
「あらあら、もしかすると侍女が何か粗相をしてしまったのでしょうか」
「……いえ、勇者が何かをしてしまっている可能性もありますので……」
対面に座るハジメーノ王妃へとわたしはそう返事を返す。
……と言うか何故この人は座っているのだろうか?
ハジメーノ国王は政務があるらしく、妻である王妃と顔を合わせて勇者のお供であるわたし達に挨拶をしてからその場を去って行った。
何と言うか、王らしい王様だと思う。
それにしても……、気のせいかも知れないけれど、わたしは昨日の王妃の言葉に疑惑を抱いていた。
王妃が勇者の母親と親友、それはあまりにも出来過ぎではないだろうか?
……どうかんがえても、怪しい。
そんな疑惑の視線をわたしは王妃に向けるも、王妃は優しく微笑むだけだった。
……いや、優しく。じゃない、これは……相手を威嚇する獣をおちょくっている表情だ。
確信した。王妃は、怪しい。
そう結論付けたわたしは、今日は王妃の事を調べる事を決めた。
直後、勇者が食堂に入ってきたのだが……何故か顔を真っ赤にしていた。
いったい何があったんだろうか?
●
昨日と同じようにアホは用意された朝食のパンをバクバクと食べまくり、カリカリに焼かれたベーコンと甘く炒られた卵もバクバクと食べた。
それをわたしと勇者は昨日と同じように見つめつつ、少し慣れてきたのか自分達の前に置かれている朝食を食べた。
そんな朝食の話題として、勇者が母親の夢を見たと言うと……王妃は酷く驚いた顔をし、続いて「ママが、王妃様にヨロシクって言ってました」と夢の中の話のはずなのに具体的な言葉を勇者が口にすると、恐怖に顔を歪めていた。
けれどその顔を見せたくないのか、王妃はわたし達を見ながら話し始める。
「そ、そそ、それで……、勇者様。今日はどのようなご予定なのでしょうか?」
「えっと、特に予定がなくて……、それに……ママが用意してくれた地図は、ここまでの地図だったから……何処に行けば良いのか分からなくて……」
「そ、それでしたら、それでしたら教会に赴いて、神の声を聞いてみては如何でしょうか!?」
「神の……声?」
神の声、と言うと……祈れば、たまに聞こえる様な気がすると言うアレだったはず。
正直、当てにはならないとわたしは思う。けれどそれを言うべきじゃないだろう。
「はい、困ったときこそ神に頼るべきだと思います。ですので、教会に赴いて神の声に耳を傾けると良いでしょう」
「神様が、僕を勇者にしなかったらママともまだ一緒に暮らせたのに……」
「た……多分、文句を言えると思いますよ?」
「……それなら、それなら行ってみます」
「分かりました。でしたら後ほど案内人を用意いたします」
ありがとうございます。と頭を下げる勇者を見つつ、食べるのに夢中で話をまともに聞いていなかったアホを見る。
もっしゃもっしゃと見ていると気持ち悪くなるけれど、本人は美味しいと思っているであろう食事風景だ。
と、わたしの視線に気づいたアホは首を傾げた。
「ウィス、どうしたアルか? ちゃんと食べてるアルか?」
「……とりあえず、勇者が街に出るみたいだけど、あんたはどうする?」
「まちアルか!? ファンロン、屋台の食べ物食べたいアル!!」
「まだ食うつもりか……」
瞳を輝かせるアホに呆れていると、王妃が「屋台で食べるならお金も用意しておきますね」と口にしていた。
と、ふとわたしは思いつく。
「そうだ。勇者、王妃様にあの金貨を如何にか出来ないか……お願いしてみたらどう?」
「アレを? えっと、王妃様。僕が持っているお金ってこれしかないんですけど……換金っていうのを出来ますか?」
「はい? どのようなお金でしょう……か……? こ、これは……!?」
勇者が袋から取り出したマジカール金貨を見た瞬間、王妃は言葉を失ってしまったのか固まってしまっていた。
まあ、それはそうだろう。国家予算並だろうし……。
とりあえず、これで暫く時間は取れるだろう。そう考えながら、わたしは自身の予定を告げる。
「わたしは図書室があれば読書をしたい。あと城の中を見てみたいのだが良いだろうか? 何分このような場所は来慣れていないから、興味があるのだ」
「わ、わかりました……。でしたら後でご案内致します」
マジカール金貨の衝撃が強すぎたのか、王妃は引き攣った笑みを浮かべつつそう言う。
……あとはこれも言っておくべきだろう。
「勇者、お金を換金出来た場合はそこのアホの食費を差っ引いて貰ったらどうだろうか?」
「えっと、よく分からないのでお任せします」
「だそうなので、頼めないだろうか?」
「……分かりました。勇者様の頼みでしたらしかたありませんね」
王妃がそう言って頭を下げるのを見届けてから、わたしは静かに朝食の続きを取り始めた。
……一夜が過ぎ、食堂でアホと共に勇者を待つわたしだったけれど、そんな叫びが届いた。
…………いったい勇者は何をしているんだ?
「あらあら、もしかすると侍女が何か粗相をしてしまったのでしょうか」
「……いえ、勇者が何かをしてしまっている可能性もありますので……」
対面に座るハジメーノ王妃へとわたしはそう返事を返す。
……と言うか何故この人は座っているのだろうか?
ハジメーノ国王は政務があるらしく、妻である王妃と顔を合わせて勇者のお供であるわたし達に挨拶をしてからその場を去って行った。
何と言うか、王らしい王様だと思う。
それにしても……、気のせいかも知れないけれど、わたしは昨日の王妃の言葉に疑惑を抱いていた。
王妃が勇者の母親と親友、それはあまりにも出来過ぎではないだろうか?
……どうかんがえても、怪しい。
そんな疑惑の視線をわたしは王妃に向けるも、王妃は優しく微笑むだけだった。
……いや、優しく。じゃない、これは……相手を威嚇する獣をおちょくっている表情だ。
確信した。王妃は、怪しい。
そう結論付けたわたしは、今日は王妃の事を調べる事を決めた。
直後、勇者が食堂に入ってきたのだが……何故か顔を真っ赤にしていた。
いったい何があったんだろうか?
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昨日と同じようにアホは用意された朝食のパンをバクバクと食べまくり、カリカリに焼かれたベーコンと甘く炒られた卵もバクバクと食べた。
それをわたしと勇者は昨日と同じように見つめつつ、少し慣れてきたのか自分達の前に置かれている朝食を食べた。
そんな朝食の話題として、勇者が母親の夢を見たと言うと……王妃は酷く驚いた顔をし、続いて「ママが、王妃様にヨロシクって言ってました」と夢の中の話のはずなのに具体的な言葉を勇者が口にすると、恐怖に顔を歪めていた。
けれどその顔を見せたくないのか、王妃はわたし達を見ながら話し始める。
「そ、そそ、それで……、勇者様。今日はどのようなご予定なのでしょうか?」
「えっと、特に予定がなくて……、それに……ママが用意してくれた地図は、ここまでの地図だったから……何処に行けば良いのか分からなくて……」
「そ、それでしたら、それでしたら教会に赴いて、神の声を聞いてみては如何でしょうか!?」
「神の……声?」
神の声、と言うと……祈れば、たまに聞こえる様な気がすると言うアレだったはず。
正直、当てにはならないとわたしは思う。けれどそれを言うべきじゃないだろう。
「はい、困ったときこそ神に頼るべきだと思います。ですので、教会に赴いて神の声に耳を傾けると良いでしょう」
「神様が、僕を勇者にしなかったらママともまだ一緒に暮らせたのに……」
「た……多分、文句を言えると思いますよ?」
「……それなら、それなら行ってみます」
「分かりました。でしたら後ほど案内人を用意いたします」
ありがとうございます。と頭を下げる勇者を見つつ、食べるのに夢中で話をまともに聞いていなかったアホを見る。
もっしゃもっしゃと見ていると気持ち悪くなるけれど、本人は美味しいと思っているであろう食事風景だ。
と、わたしの視線に気づいたアホは首を傾げた。
「ウィス、どうしたアルか? ちゃんと食べてるアルか?」
「……とりあえず、勇者が街に出るみたいだけど、あんたはどうする?」
「まちアルか!? ファンロン、屋台の食べ物食べたいアル!!」
「まだ食うつもりか……」
瞳を輝かせるアホに呆れていると、王妃が「屋台で食べるならお金も用意しておきますね」と口にしていた。
と、ふとわたしは思いつく。
「そうだ。勇者、王妃様にあの金貨を如何にか出来ないか……お願いしてみたらどう?」
「アレを? えっと、王妃様。僕が持っているお金ってこれしかないんですけど……換金っていうのを出来ますか?」
「はい? どのようなお金でしょう……か……? こ、これは……!?」
勇者が袋から取り出したマジカール金貨を見た瞬間、王妃は言葉を失ってしまったのか固まってしまっていた。
まあ、それはそうだろう。国家予算並だろうし……。
とりあえず、これで暫く時間は取れるだろう。そう考えながら、わたしは自身の予定を告げる。
「わたしは図書室があれば読書をしたい。あと城の中を見てみたいのだが良いだろうか? 何分このような場所は来慣れていないから、興味があるのだ」
「わ、わかりました……。でしたら後でご案内致します」
マジカール金貨の衝撃が強すぎたのか、王妃は引き攣った笑みを浮かべつつそう言う。
……あとはこれも言っておくべきだろう。
「勇者、お金を換金出来た場合はそこのアホの食費を差っ引いて貰ったらどうだろうか?」
「えっと、よく分からないのでお任せします」
「だそうなので、頼めないだろうか?」
「……分かりました。勇者様の頼みでしたらしかたありませんね」
王妃がそう言って頭を下げるのを見届けてから、わたしは静かに朝食の続きを取り始めた。
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