駄々甘ママは、魔マ王さま。

清水裕

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第54話 神様、倒れた2人を見る。

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 ちょっと汚い表現があります。
 ……って、いまさらですよね。

 ―――――

 お仕置きがウィスドムとファンロンの2人に執行されたのじゃ……。
 というか、こんなシーン見せられて喜ぶのはただの変態じゃな。
 ワシ? ワシは、暫くは肉料理食べれないのじゃ……。あ、でもワシベジタリアン(偽)じゃから問題は無いのじゃ!

「まあ、それはともかく……ひどい状況を行うためにあの部屋を貸す許可を取ったんじゃないのじゃあ……」

 悲惨すぎるあの光景を思い出していると、魔マ王のお仕置きは終了したらしく……2人の精神は元の部屋へと戻されたのじゃ。
 ……というか、今からそれが地獄だと思うのじゃ。

「いぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃいいいいいい~~~~~~っ!!?」
「な、なんだっ!?」
「おごぇぇぇぇぇぇぇええええええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~っっ!!」
「「うわあっ!?」」

 石畳の部屋、その部屋に騎士達に囲まれていたウィスドムとファンロンの2人。
 その2人が突如、奇声を上げ始め……片方は口から泡を噴出しながら震え出し、片方は激しいまでに嘔吐を始めたのじゃ。
 突然の現象に騎士達からは驚きの声が上がり、漂ってくる臭いに顔を顰めおる。
 ……ぶっちゃけるならば、おしっことゲロの臭いじゃな。貰いゲロが心配じゃ。

「い、いったい何が……っ!? と、兎に角、治癒師の下に運べ!!」
「「りょ、了解しましたっ!!」」

 戸惑う騎士団長じゃったが、異常なこの状況に即座に指示を出しおった。
 そんな団長の指示に従い、騎士達は急いで気絶してる2人を移動しはじめおった。
 ちなみに心境としては、臭いとか臭いとか、ばっちいとか思っておるが……顔にはほんの少しだけ出してるだけじゃった。
 …………あ、一部興奮しておるが、気にしないようにしよう。
 ところで、他にも誰か居たような気がするんじゃが……気のせいじゃろうか?
 気のせいじゃな、うん。

「これは酷いですね……。いったいどうしたんですか?」
「いや、分からん……。何故勇者様に同行しなかったかという事と、何故離れてしまったのかと問いかけようと連れて行ったのだが、そこで突如こんな状態になったのだ」
「ふうむ……、片方はまるで複数で行う魔術を1人で数千回も行ったと言っても可笑しくない精神状態になっていますし……。もう片方は、食べすぎて嘔吐している。という感じですね……」

 正直、訳が分からない。そんな感じに治癒師は答えて良く。
 ああ……、一応この世界の治癒師は魔術だけに頼る人間じゃないんじゃよ? ちゃんと症状を見て、薬草煎じたりして薬とかにしておるんじゃからな?
 所謂魔術を使える医者といった感じじゃろうか。とは言っても、詳しい事を判るわけじゃないんじゃから……ワシもこやつらの状況、と言うか魔マ王が行ったお仕置きが気になるから症状を見てみる事にするのじゃ。

「…………うわぁ、なんじゃこれは……」

 いかれている、その一言が通じるほどに2人の状態が色んな意味で狂っておったのじゃ。
 ウィスドムは……脳の中に人間には解読不可能な言語をタップリと詰め込まれて、脳がオーバーフローを起こしておるようじゃが……詰め込まれた言語はいったい何じゃ? ……これは、魔法じゃとっ!?
 人間は魔法を使える才能がない。じゃから、それに近い魔術を創り出したと言うのに、無理矢理魔法の知識を詰め込んだと言うのか!? これは下手をすると廃人まっしぐらじゃぞ?!
 ……いや、まあ、あやつの事じゃから……出来ると踏んでの行動じゃろうか? そうじゃよな?
 今は信じるしかない……のか?
 で、ファンロンのほうは……所謂悪夢を見せられておる状態じゃな。
 しかもただの悪夢ではなく、一番好きな食べる事を止めさせられないと言う悪夢じゃ。
 もう食べたくないのに食べさせられる。吐きそうになっても吐く事が出来ない。それなのに食べさせられる。
 食って食って、食い続けて、仕舞いには腹が裂けてしまう。なのに、食べさせられるのは止められない……普通に悪夢じゃな。
 ……イメージを分かり易くすると、昔の田舎の子供が蛙捕まえて尻に空気ぶち込んで爆発させるようなもんじゃな。しかも、蛙の腹は破裂したっていうのに、内臓は綺麗なままでなおも空気を吸い込んでパンパンになっているという感じじゃ。
 分かり難かったかのう? まあ、正直そんな事をされたら、ワシじゃったらもうご飯食べれんぞ?
 そう思いながら2人の様子を見ておると、部屋の扉が開かれたのじゃ。

「ウィ、ウィスドムさん! ファンロンさんッ!?」
「ゆ、勇者様! 目が覚めたのですか!?」
「は、はいっ。あの、それで……2人は大丈夫ですか?」

 おお、どうやらヨシュアが眠りから目覚めたようじゃあな。しかもその服装が若干乱れている様子からして、目覚めてすぐに2人の様子を聞かされたと言うところじゃろうか?
 驚く騎士や治癒師達を他所に、ヨシュアは心配そうにベッドに眠る2人を見ておった。
 そんなヨシュアに対して、言うべき事を言おうと思った騎士の一人が前へと出たのじゃ。

「団長、勇者様、勝手な発言をお許しください! 勇者様は、この2人のせいで攫われそうになったのですよ!? それなのに、何故心配をするのですかっ!? 勇者様は……お人好しにも程があるかと思われます!!」
「貴様ッ、いったい何を言っている! それは勇者様に対する侮辱に近いものだぞ!?」
「申し訳ありません! ですが、私にはその勇者様の態度が理解出来ません!」

 団長に怒鳴られ騎士は謝るのじゃが、その顔には理由を求めていた。
 ヨシュアはそんな騎士を見て、時折うなされるように眠る2人へと視線を移したのじゃ。

「……その、正直……怖かった。って思います。でも、2人が悪かったわけじゃなくて……僕があの女の人について行かなかったらあんな目に遭わなかったかも知れないですし……。
 それに……、僕は2人と仲良くなりたいし……ママも仲間を信じろって言ってたから……」
「ですがっ!」
「……そこまでにしろ。…………勇者様、ひとつ宜しいでしょうか?」

 ヨシュアの言葉に納得が出来ない騎士がなおも詰め寄ろうとしておるようじゃったが、それを騎士団長が止めたのじゃ。
 じゃが、騎士団長が今度は尋ねてきたのじゃ。
 いったい何を言うんじゃろうな?

「は、はい。何ですか……?」
「見た所、勇者様と御供の方は出会った期間が短いからか、信頼し切っていないように思えます。なのでひとつ言わせて頂きますが……信頼とは、怒らず笑顔を向けているだけでなく、時には怒り相手に自分がどれほど心配をしていたのかを知らせるのも大事だと思われます」
「そう……なのですか?」
「まあ、お……私の経験上、ですが」

 騎士団長の言葉を聞きながら、ヨシュアは考えるように目を閉じたのじゃった。
 そして、そんな彼の言葉が聞こえておるのか……眠る2人の閉じた目からは涙が流れておった。
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