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第56話 ヨシュア、見舞う。
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僕が騎士の人へとそう言って、騎士団長さんから言葉を聞いて暫くしてから……2人の瞼がゆっくりと開かれた。
初めに気づいたのは、ジッと2人を見続けていた僕だった。
「ウィスドムさんっ! ファンロンさん!?」
「う……っ、ゆう……しゃ……? あぐっ!?」
「ゆうしゃ、ア……うぷっ」
僕を見て、起き上がろうとした2人だったけれど、ウィスドムさんは頭を押さえて……ファンロンさんは口元を押さえた。
そんな2人へと僕は駆け寄り、声をかける。
「だ、大丈夫ですか……? しっかりしてくださいっ」
「へ、いき……じゃないけど、いちおうは、大丈夫……」
「うぅ……、きぼぢわるい、アル……」
青い顔をしながら返事を返す2人を僕は心配そうに見ていたけれど……、不意にそんな僕を2人が見返してきた。
体調は悪そうだけれど、何処か真剣な瞳で。
「え、あの……?」
「……勇者は、どうして……わたし達を心配するの?」
「ファンロン……うぷっ、たち……、ゆうしゃ、うぇっぷ……ないがしろに、しちゃったアルよ?」
何で心配するのか、その言葉に……僕はさっき騎士の人に言った言葉をもう一度言った。
すると……。
「…………え?! ええっ!? ど、どうしたの? 2人とも!?」
「ご、めんなさい……。ごめんなさぃーー……!」
「ごめんなさいアル。ごめんなさいアルゥゥ!!」
ボロボロと涙を流しながら謝り始める2人に僕は戸惑いが隠せなかった。
戸惑う僕を尻目に2人ともシャクリを上げながら、ヒックヒックと泣いている。
突然泣き出した2人を残っていた騎士の人たちも驚いた表情で見つつ、如何にかして欲しいという風に僕を見始めた。
えっと、えっと……、ど……どうやったら良いのかな?
えーっと、えっと、えっとえっと……あ。
この時、僕は2人に初めて会った時の事を思い出した。あの時、ファンロンさんは僕に……。
「え、えっと……、大丈夫ですか? 泣かないでください……」
「「ひっく、ひく、ひ――――あ」」
「その……、ファンロンさんの真似ですけど、落ち着き……ましたか?」
「あ…………、その、うん……」
「おちつくアル……。もっと、角を撫でて欲しいアル……」
頑張って腕を伸ばして2人を一緒くたに抱き締めるようにしつつ、後ろから頭を撫でているから……2人がどんな顔をしてるのかはわからない。
だけど、固く感じていた2人の体が段々と柔らかくなって行くところから、落ち付いていると僕は思う事にする。
それとファンロンさんがお願いしたから、彼女の頭の角も優しく撫でて上げる。
その際、ビクビク震えていたけれど……どうしたんだろう?
そんな疑問を抱きつつ、暫くの間頭を撫で続けていると……か細い声が聞こえてきた。
「も、もう……いいから…………」
「もぁ、もぅ……限界、アルゥ……」
「え? あ、え!? ふ、2人とも!?」
もう大丈夫、そう聞いたので僕は2人から離れると……へにゃ~って2人は崩れ落ちた。
まさか、まだ具合が悪いの!? 心配そうに僕が近づくとウィスドムさんが僕を見ないようにしながら来ないようにと手を前へと出してきた。
「その、もう……だいじょうぶ、だから……その、ちょっと、時間……くれない?」
「ほにゃぁ~~……、ヘロヘロアルゥ~……♪」
「え、あ、う……うん。わかった……」
どういう意味なのかわからないけれど、僕は2人から離れる。
少し離れた場所で待っていたら良いかなと思ったけれど、ちゆしさんに「かんじゃにさわりますので……」と言われて部屋から出されてしまった。
僕と、騎士の人達も同じく出されて……、如何するべきか騎士の人達を見る。
「えっと……、どう……しましょうか?」
「あー、いや……その、どう言えば良いの……でしょうか?」
「と、とりあえず……勇者様もお疲れでしょうから、部屋のほうに戻られては如何でしょうか?」
僕の質問に騎士の人達はどう返事をすれば良いのか悩みながら、言ってきた。
んー……、僕……何かしたのかな?
「ワン」
「ニャー」
「あ、2人とも」
「きっと、この2匹も部屋に戻るように言っているのでしょう」
首を傾げていると、入口で待っていてくれたワンエルとサタニャエルが僕に声をかけてきた。
そんな2人を見ながら騎士団長さんが部屋に戻る事を勧める。
うーん、いいの……かなぁ?
また首を傾げる僕だったけれど、僕の肩に飛び乗ってきたサタニャエルが耳元で小さく言ってきた。
(勇者様、心配なのは分かりますけど……休んだ方が良いと思いますニャ。わにゃくしの耳には、寝息が聞こえますニャ)
そう、なの? ……それじゃあ、戻ろうかな。
サタニャエルの言葉を聞いて、僕は少し躊躇したけど……部屋へと戻る事に決めた。
明日になったら、元気になってくれるかな?
―――――
…………(ふらぐ)たっちゃった。
初めに気づいたのは、ジッと2人を見続けていた僕だった。
「ウィスドムさんっ! ファンロンさん!?」
「う……っ、ゆう……しゃ……? あぐっ!?」
「ゆうしゃ、ア……うぷっ」
僕を見て、起き上がろうとした2人だったけれど、ウィスドムさんは頭を押さえて……ファンロンさんは口元を押さえた。
そんな2人へと僕は駆け寄り、声をかける。
「だ、大丈夫ですか……? しっかりしてくださいっ」
「へ、いき……じゃないけど、いちおうは、大丈夫……」
「うぅ……、きぼぢわるい、アル……」
青い顔をしながら返事を返す2人を僕は心配そうに見ていたけれど……、不意にそんな僕を2人が見返してきた。
体調は悪そうだけれど、何処か真剣な瞳で。
「え、あの……?」
「……勇者は、どうして……わたし達を心配するの?」
「ファンロン……うぷっ、たち……、ゆうしゃ、うぇっぷ……ないがしろに、しちゃったアルよ?」
何で心配するのか、その言葉に……僕はさっき騎士の人に言った言葉をもう一度言った。
すると……。
「…………え?! ええっ!? ど、どうしたの? 2人とも!?」
「ご、めんなさい……。ごめんなさぃーー……!」
「ごめんなさいアル。ごめんなさいアルゥゥ!!」
ボロボロと涙を流しながら謝り始める2人に僕は戸惑いが隠せなかった。
戸惑う僕を尻目に2人ともシャクリを上げながら、ヒックヒックと泣いている。
突然泣き出した2人を残っていた騎士の人たちも驚いた表情で見つつ、如何にかして欲しいという風に僕を見始めた。
えっと、えっと……、ど……どうやったら良いのかな?
えーっと、えっと、えっとえっと……あ。
この時、僕は2人に初めて会った時の事を思い出した。あの時、ファンロンさんは僕に……。
「え、えっと……、大丈夫ですか? 泣かないでください……」
「「ひっく、ひく、ひ――――あ」」
「その……、ファンロンさんの真似ですけど、落ち着き……ましたか?」
「あ…………、その、うん……」
「おちつくアル……。もっと、角を撫でて欲しいアル……」
頑張って腕を伸ばして2人を一緒くたに抱き締めるようにしつつ、後ろから頭を撫でているから……2人がどんな顔をしてるのかはわからない。
だけど、固く感じていた2人の体が段々と柔らかくなって行くところから、落ち付いていると僕は思う事にする。
それとファンロンさんがお願いしたから、彼女の頭の角も優しく撫でて上げる。
その際、ビクビク震えていたけれど……どうしたんだろう?
そんな疑問を抱きつつ、暫くの間頭を撫で続けていると……か細い声が聞こえてきた。
「も、もう……いいから…………」
「もぁ、もぅ……限界、アルゥ……」
「え? あ、え!? ふ、2人とも!?」
もう大丈夫、そう聞いたので僕は2人から離れると……へにゃ~って2人は崩れ落ちた。
まさか、まだ具合が悪いの!? 心配そうに僕が近づくとウィスドムさんが僕を見ないようにしながら来ないようにと手を前へと出してきた。
「その、もう……だいじょうぶ、だから……その、ちょっと、時間……くれない?」
「ほにゃぁ~~……、ヘロヘロアルゥ~……♪」
「え、あ、う……うん。わかった……」
どういう意味なのかわからないけれど、僕は2人から離れる。
少し離れた場所で待っていたら良いかなと思ったけれど、ちゆしさんに「かんじゃにさわりますので……」と言われて部屋から出されてしまった。
僕と、騎士の人達も同じく出されて……、如何するべきか騎士の人達を見る。
「えっと……、どう……しましょうか?」
「あー、いや……その、どう言えば良いの……でしょうか?」
「と、とりあえず……勇者様もお疲れでしょうから、部屋のほうに戻られては如何でしょうか?」
僕の質問に騎士の人達はどう返事をすれば良いのか悩みながら、言ってきた。
んー……、僕……何かしたのかな?
「ワン」
「ニャー」
「あ、2人とも」
「きっと、この2匹も部屋に戻るように言っているのでしょう」
首を傾げていると、入口で待っていてくれたワンエルとサタニャエルが僕に声をかけてきた。
そんな2人を見ながら騎士団長さんが部屋に戻る事を勧める。
うーん、いいの……かなぁ?
また首を傾げる僕だったけれど、僕の肩に飛び乗ってきたサタニャエルが耳元で小さく言ってきた。
(勇者様、心配なのは分かりますけど……休んだ方が良いと思いますニャ。わにゃくしの耳には、寝息が聞こえますニャ)
そう、なの? ……それじゃあ、戻ろうかな。
サタニャエルの言葉を聞いて、僕は少し躊躇したけど……部屋へと戻る事に決めた。
明日になったら、元気になってくれるかな?
―――――
…………(ふらぐ)たっちゃった。
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