駄々甘ママは、魔マ王さま。

清水裕

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第78話 魔マ王、ネタばらしをする。

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 創りあげた何もない空間に転移し終えると、私は手に持っていたスグニーケという名の魔族を投げ捨てる。

「ぐべっ!? は、はぁ、はぁ……!! く、くそ、いったい……なにが!?」
「なにがって、決まってるじゃないの~? 処刑の時間よぉ」

 地面と設定している場所を転がり、何が起きたのか分からない様子のそれは起き上がる。
 だから、優しく言ってあげたわ。
 するとそれは、怯えたように縮こまると悲鳴を上げたの。

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!? な、何故だ! 何故お前が現れたんだっ!?」
「おかしなことを言うわねぇ? どうして、見逃されていた。って考えないのかしら~?」
「っ!? じゃ、邪神様! 邪神様!! お助けください! 私をお助けくださいぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

 それは自らの主である邪神に助けを求めるように天に両手を伸ばし始めた。
 だから、私はにっこりと笑いながら下手糞な声真似をするために口を開いたわぁ。

「あ、あ~……。『どうしたのだ、スグニーケよ? 大人しく処分されるがよい』」
「――――は? そ、その声は……ま、さか……?!」

 信じられない。そんな顔をしながら、それは私を見つめる。
 きっと頭の中では何が何だかわかっていないって所かしら~?
 だから私は、それに現実を分からせるために隠し持っていた物をそれの前に投げた。

『う、ご……が、が……ご、め……ごげ……うごげ…………がごっ!』

 壊れたロボットのように同じことしかもう喋らなくなった物語の悪魔のような見た目の真っ黒い首。
 だけど見る人が見れば分かるはずよ~? これが、邪神の首だっていうのはぁ♪
 事実、それは気づいたようね~?

「ま、さか……、邪神様? 邪神様なのですか……?!」
「そうよぉ。あなたが信仰していた邪神よ~? 初めて見たけど、どんな気持ちかしらぁ?」
「ばっ、馬鹿な!? 何故、何故邪神様がっ!? この御方はこの世界には干渉することが出来ない、しかしその代わりにこちらからも干渉することが出来ないはずなのにっ!?」
「ああ、そのことね~? 普通に邪神の領域に行っただけよぉ」

 それが狂ったように叫ぶ言葉を聞きながら、私は数日前の事を思い出す。
 まあ、具体的に言うと私がボロッボロになった魔王城に帰ってきて、それが逃げ出した直後のことだけど……。

 ●

 何時の間にか消えた一名、というか逃げ出したそれが一心不乱に魔王城を駆けて、近くにある森の中に逃げ込んだというのを私はバッチリ掴んでいた。
 分かってて見逃していたのだけど……私は保険としてある行動を行っていたわぁ。
 その保険というのは、それが崇めている邪神をちょっと懲らしめることだった。
 とは言っても普通は邪神の居場所を探るなんて難しい行為だったりするんだけどね~。

「まあ、私には関係ないんだけどねぇ♪」

 小さく呟きながら私は神界に赴くように、自らの分け身を別の空間に送って日常に戻る。
 そして分け身となった私は、時間の概念を無視するようにして遠くに隠れている邪神の住処へと訪れたわ。
 そこは白なんて一切ない、暗黒の世界。

「殺風景ねぇ。邪神ってどうしてこれほどまでに黒が好きなのかしらね~?」
『誰だ? 我が領域に入り込んだ者は?』

 呟きながら周囲を見ている私へと何処からともなく声が響き、目を凝らすと暗闇の中にTHE・悪魔といった外見の巨大な存在が居たわぁ。
 まあ、言わなくても分かるでしょうけど、邪神ね~。

「誰かって? そうね、貴方に判り易く言うと……貴方がちょっかいかけようとしている世界の魔王かしらね~?」
『魔王だと? 笑わせるな! たかが魔王如きが我に何をしようと言うのだ!!』
「そうねぇ、分かり易く言うと……、貴方の子飼いがやった事への報復かしら~」

 何時も通りの口調でそう言うと、まるで私をバカにする様に邪神はクックックと笑い出した。
 失礼しちゃうわねぇ。そう思っていると……。

『馬鹿か! たかが世界の魔王が神に挑もうと言うか!! 愚かにもほどがあるっ!!』
「あら~、そんな風に言っていると足元掬われるわよぉ?」
『フンッ、ならば貴様を殺し…………いや、良く見れば美しいではないか、ならば手足をもいで貴様の世界に我が現れるまでの悠久の時をその体で楽しませて貰おうではないかっ!!』

 一瞬、舐めるように私の体を見てから邪神はニヤリと嗤うと私に視線を送る。
 すると、体は硬直したように動かなくなり、意識が遠くなる。……どうやら邪神特有のオーラを使ったのでしょうねぇ。
 そして動けないのを見ると邪神は私のヨシュアのための胸へと手を伸ばした。

 ……あら~、悪い子ねぇ?
 そう思いながら、私は伸びてくる邪神の手首を掴んだ。

『――――は? な、何故動ける?! 我が力に屈していないのか!?』
「はぁ……、邪神は邪神でも、最下級……だったようね~?」
『な、にぃ……!? き、貴様! 我を雑魚と言うのか!? 答えろっ!!』

 顔を驚愕に歪めながら、邪神は私を脅すように答える。
 …………はあ、もう駄目ね。

「面白い邪神だったら、手駒のひとつにしようかな~って思ってたけど、私的には要らないわねぇ」
『な、なん……だと?!』
「とりあえず、首だけは残して後は潰しましょうか~」

 微笑みながらそう言うと、掴んでいた邪神の手首を握り潰した。
 その瞬間、グシャッと邪神の片方の手首から先の概念が消失した。

『が――ぎっ!? ば、かな……!? わ、我の手が……我の手がぁ!? き、貴様、貴様いったい何をした!?』
「何をしたかって? 決まってるじゃない、貴方の手首から先を消してあげたのよ~」
『消し……? ば、馬鹿な馬鹿な馬鹿な!? たかが魔王が何故この様な芸当を!? 何故できる!? 貴様は本当に魔王なのかっ!?』
「さぁ~、どうかしらねぇ? あと、真っ黒いと貴方の痛む表情が分からないから、乗っ取るわね~」

 パチン、と指を鳴らした瞬間、暗闇だった空間は真っ白に染め上げられる。
 私がこの邪神の空間を掌握した証拠だ。

「さ、それじゃあ、地獄の時間の始まりよ~♪」

 怯え始めている邪神に、私はそう言って笑った。
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