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第一章 賢者と賢者の家族
第25話 3人、ポーション作りをする。
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ヒールグラスの若芽が満載に入った籠を玄関に下ろすと、ベルはお風呂を沸かすことを2人に告げる。
「それじゃあ、お風呂に入って汗を流してからポーション作りを始めたいと思います!」
『は~い!』
「わ、わかったけど……このままで良いのか?」
心配そうに玄関に置かれた籠をディックは見ているのだが、どうやら摘んでから鮮度が落ちないかと不安になっているようだ。
だからその心配を打ち消すためにベルはディックに笑顔で言った。
「大丈夫よ、少しだけなら薬効成分も落ちないし……それに魔法薬作りは清潔じゃないといけないわ」
「なら、わかった……」
「それに……あの籠には『保存』の魔法が込められてるし……(ボソッ)」
「え? あ、あの……ベル? 何かとってもすごいこと言わなかったか……?」
ポソッと呟いたベルだったがその言葉はディックの耳には届いたようで、信じられないと言わんばかりの表情を彼女へと向けた。
……それもそうだろう。何故なら『保存』の魔法というのは現代では使える物は居ないといわれており、勉強を受けさせてもらえなかったディックでさえも知っている想像上の魔法なのだから。
そんな魔法が込められているなんて言われたディックは冗談に決まっていると思いながらベルへと視線を向ける……が、彼女は優しく微笑むだけで、返事なんて無かった。
聞けば教えてくれるに違いない。だけど、あまり聞きたいとは思わない。
聞けば何かが起きそうな気がしてたまらない。そんな予感がするからだ……。
そう思っていると、先に中に入っていったクラリスがひょこんと風呂場から顔を出した。
『ベルママ~? でぃっくおにちゃん~? おふろまだ~?』
「え、う、うわっ!? お、おまっ!? なんて、かっこ――!!?」
『ん~~??』
顔を出したクラリスの服装……というよりも一糸纏わぬ姿にディックは驚き戸惑いながら、即座に両手を顔に押し当てた。
そんな彼の反応に首を傾げるクラリスだったが、ベルが彼女を奥へと連れて行く。
「クラリス、裸で飛び出したら駄目でしょ? ディックも恥かしいんだから」
『そうなの~? ごめんなさい、でぃっくおにちゃん~』
「う、うぅぅ~~……! べ、べつに気にしてなんてないんだからなっ!! とにかく、はやく入って来いよっ!!」
ベルの言葉に更に茹蛸となったディックは2人にそう怒鳴りつけるように言うとすぐさまリビングのほうへと逃げて行った。
それを見ながらベルは少し悪いことをしてしまったと思いつつ、クラリスを連れて風呂場へと入っていった。
2人が入浴して30分ほど経過して、風呂から上がると入れ替わるようにディックが入った。
汗を流し、森の中で少しばかり冷えた体をホカホカにした状態で3人はリビングでベルが取り出した冷たいミルクを飲んでいた。
疲れた体を癒し、口の中に広がる濃厚でまったりとした甘さが美味しいと感じながらのんびりしていたのだが……ディックはハッとした。
「――って、ポーションつくらなくてもいいのかよっ!?」
「あ、あらっ、そうだったわ。ごめんなさい、ついリラックスしていたわ……それじゃあ、気を取り直してポーション作りを始めましょうか」
『ベルママ~?』
「クラリス、休憩は終わりよ。今からポーション作りを始めるわ」
『ぽ~しょん~?』
ディックの言葉にベルもハッとし、照れながらミルクの入ったカップを傾け中身を一気に飲み干すと立ち上がった。
突然立ち上がったベルにクラリスがキョトンとしていたが、ベルが今から行うことの説明をすると……ますます首を傾げた。
どうやら子供にはまだ分からない物だったようだ。
「クラリスにはやっぱり早いかしら? けど、見るのも勉強の内って言葉もあるし……何事も挑戦よねっ」
『ん~?』
「えっと、大丈夫……なのか?」
「多分大丈夫よ。というわけで作業部屋に向かいたいと思います!」
不安そうに尋ねるディックへとベルはそう言うと、玄関へと向かい……籠を持って戻ってきた。
そして、2人がまだ入ったことの無い奥の部屋へと歩き出し、それに続くようにディックとクラリスは歩いていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
薄暗い廊下の先にある重厚な木のドアをベルが押し開けるとギギィと重い音を立てて開かれた。
すると中からは、嗅いだことの無い臭いと匂いが漂ってきて、ディックとクラリスは鼻を無意識に摘んだ。
「うっ、なんだ……このにおい…………」
『くさい~~……!』
「あら、ごめんなさいね2人とも。これは色んな薬のにおいなのだけど、何時もはにおいが出ないように入口で抑えているから漂わないのよ」
ベルはそう言いながら2人に謝るのだが、彼女はにおいを気にしていないように見えた。
……事実、彼女は薬のにおいに慣れきっているため、ちょっとやそっとでは動じなかった。
そして……様々なにおいが充満し、訳の分からない液体が溜まった瓶が棚に置かれた室内を進んでいくとまたも扉があった。
その扉へとベルが近づくのを見て、ディックは周囲を見渡しながら問いかける。
「あ、あれ? この部屋が、さぎょう部屋じゃ……ないのか?」
「ええ、この部屋はフェイク……つまりは偽の作業部屋なの。中に入ってるのはポーションでも品質が最悪な物ばかりよ」
「そ、そうなんだ……。じゃあ、ほんとうの部屋は……その先、なのか?」
「そうよ。ディックやクラリスには扉が見えているでしょうけど、それは私の家族だからよ。それ以外の、例えば盗人から見たら何も無いようにしか見えないわ。……ま、それ以前に来る可能性なんて無いでしょうけどね」
そう自信満々に言いながらベルは手を掛けていた扉を開ける。
すると扉が開くのと明かりが点く工程が連動しているのか、奥の部屋の明かりが灯った。
中はこじんまりとした部屋だったが、作業しやすいように必要な物を詰め込まれた部屋となっていた。
「さあ、2人とも。中に入ってちょうだい」
「う、うん……」
『は~い!』
ベルの言葉に従いながらディックは恐る恐る中へと入り、クラリスは元気良く中へと入っていった。
部屋の中は清潔にされているのか、つい先ほどの部屋でしていた様々なにおいはまったく無く、空気が綺麗に感じられる。
そんな室内をディックは失礼だろうと思いながらも見渡す。
壁に寄せられた机や部屋の中央に置かれた机の上には、どんな物に使うのかまったく分からない道具が置かれていた。
いったい何に使うんだろうかと疑問を抱きながら視線を彷徨わせると隅のほうに大きな鍋が置かれていたり、絶えず熱を放ち続ける溶鉱炉が設置されているのが見えた。
(これって……本当にさぎょう部屋、なんだ。薬だけじゃなく、ぶきとかも作るさぎょう部屋……)
部屋の内装を見て、ディックは漠然とだが理解出来た。
その一方で、クラリスはベルを連れてこれは何だ、それは何だと質問を行い続けている。
それをベルは優しく説明をしていく、その説明は機材の正式名称は言わずに容器の中で金属の刃がグルグル回る道具をグルグルくんと愛称で呼んだりと子供が喜びそうな感じに説明をしていた。
『グルグルくん~~!』
「ええ、グルグルくんよ。それでね今から作る物には、このグルグルくんが大活躍するのよ」
『ほへ~、そうなんだ~!』
「ということで、そろそろ始めましょうか!」
『は~い!』
「わ、わかった……って、何をすればいいんだ?」
ベルの言葉に2人は返事を返すのだが、ディックがそう問いかける。
するとベルは待っていましたというように笑みを浮かべると……。
「先ずは私が先にポーションを作るから、それを真似て作ってみると良いわ。見ててちょうだい。
始めにこのグルグルくんに適量のヒールグラスを詰め込みます。詰め込んだらキッチリと蓋をして、スイッチを入れて回転をします」
そう言うとベルはクラリスへとグルグルくんと呼んで説明をしていた道具の中に採ってきた薬草を一掴み入れると蓋をした。
キッチリと蓋を閉めると、道具の下部に設置されているボタンを押した。
――ヴィイイイイ、カッ、カカっ、カカカカカカッ!
ボタンが押され道具が動き出したのか、薬草が入れられた容器の中にある金属の刃がグルグルと回転を始め、容器内を上下に移動しながら中の薬草を切り刻んでいった。
切り刻まれる度に薬草は液体を撒き散らし、薬草の緑色を含んだ半透明の液体を撒き散らしているのか、容器内では刃が回転する音と共にバシャバシャという水音み聞こえ始めていた。
それから3分ほど刃が回転を続け、段々と葉を切り刻む音が無くなってくると、刃がそれを理解しているとでも言うように回転を徐々に弱め始めていった。
「こうやって、ヒールグラスを粉微塵に切り刻んだら……漉して清水と混ぜ合わせながら魔力を込めて煮込みます。
このままでも効果はあるけれど、普通の人には効き過ぎるから薄めないといけないの。……一応他の方法だと、蒸留して余分な成分を取り除いて回復効果だけを追及した物もあるけど、今回は必要ないからまたの機会にするわね」
「わ、わかった……。あ、色が」
『すご~い、いろがかわった~~!?』
透き通った緑色の液体を硝子の容器に漉しながら入れ、説明をしながらベルは大鍋の近くに置かれた寸胴鍋を開けると中には水がたっぷりと満たされており、その中へと薬草の汁を注ぎ入れた。
ディックたちがそれを見ていると、鍋の下には火が通っているようで寸胴鍋の中身がぐつぐつと沸騰し始め……、薄い緑色だった液体が水泡を上げる度に桃色へと変わり始めていった。
それには2人も驚いたようでディックは尻尾を逆立てており、クラリスは両手を万歳していた。
そんな仕草がベルにはツボだったのか、笑みを深くしながら2人を見つめていたのだが……。
「そろそろ良いですね……。これで、後は蓋をして冷ましておきます。熱が冷めたら瓶を用意しておきますので、中に注ぎいれましょう。……わかりましたか?」
「え……あ、が、がんばってみる」
『は~い、くらりすがんばるよ。ベルママッ!』
自信なさげにディックは頷き、クラリスは根拠の無い自信に発展途上の胸を張る。
そんな2人を見ながら、ベルは道具の使い方をレクチャーしながら2人にポーション作りを行わせるのだった。
・おまけ
……ちなみに最終的に出来上がった物は以下の通りだった。
・中級ポーション × 50個(ベル作成)
・初級ポーション × 200個(内150個ベル作成)
・ポーションもどき × 100個
・物体P(失敗作) × 以下略
「それじゃあ、お風呂に入って汗を流してからポーション作りを始めたいと思います!」
『は~い!』
「わ、わかったけど……このままで良いのか?」
心配そうに玄関に置かれた籠をディックは見ているのだが、どうやら摘んでから鮮度が落ちないかと不安になっているようだ。
だからその心配を打ち消すためにベルはディックに笑顔で言った。
「大丈夫よ、少しだけなら薬効成分も落ちないし……それに魔法薬作りは清潔じゃないといけないわ」
「なら、わかった……」
「それに……あの籠には『保存』の魔法が込められてるし……(ボソッ)」
「え? あ、あの……ベル? 何かとってもすごいこと言わなかったか……?」
ポソッと呟いたベルだったがその言葉はディックの耳には届いたようで、信じられないと言わんばかりの表情を彼女へと向けた。
……それもそうだろう。何故なら『保存』の魔法というのは現代では使える物は居ないといわれており、勉強を受けさせてもらえなかったディックでさえも知っている想像上の魔法なのだから。
そんな魔法が込められているなんて言われたディックは冗談に決まっていると思いながらベルへと視線を向ける……が、彼女は優しく微笑むだけで、返事なんて無かった。
聞けば教えてくれるに違いない。だけど、あまり聞きたいとは思わない。
聞けば何かが起きそうな気がしてたまらない。そんな予感がするからだ……。
そう思っていると、先に中に入っていったクラリスがひょこんと風呂場から顔を出した。
『ベルママ~? でぃっくおにちゃん~? おふろまだ~?』
「え、う、うわっ!? お、おまっ!? なんて、かっこ――!!?」
『ん~~??』
顔を出したクラリスの服装……というよりも一糸纏わぬ姿にディックは驚き戸惑いながら、即座に両手を顔に押し当てた。
そんな彼の反応に首を傾げるクラリスだったが、ベルが彼女を奥へと連れて行く。
「クラリス、裸で飛び出したら駄目でしょ? ディックも恥かしいんだから」
『そうなの~? ごめんなさい、でぃっくおにちゃん~』
「う、うぅぅ~~……! べ、べつに気にしてなんてないんだからなっ!! とにかく、はやく入って来いよっ!!」
ベルの言葉に更に茹蛸となったディックは2人にそう怒鳴りつけるように言うとすぐさまリビングのほうへと逃げて行った。
それを見ながらベルは少し悪いことをしてしまったと思いつつ、クラリスを連れて風呂場へと入っていった。
2人が入浴して30分ほど経過して、風呂から上がると入れ替わるようにディックが入った。
汗を流し、森の中で少しばかり冷えた体をホカホカにした状態で3人はリビングでベルが取り出した冷たいミルクを飲んでいた。
疲れた体を癒し、口の中に広がる濃厚でまったりとした甘さが美味しいと感じながらのんびりしていたのだが……ディックはハッとした。
「――って、ポーションつくらなくてもいいのかよっ!?」
「あ、あらっ、そうだったわ。ごめんなさい、ついリラックスしていたわ……それじゃあ、気を取り直してポーション作りを始めましょうか」
『ベルママ~?』
「クラリス、休憩は終わりよ。今からポーション作りを始めるわ」
『ぽ~しょん~?』
ディックの言葉にベルもハッとし、照れながらミルクの入ったカップを傾け中身を一気に飲み干すと立ち上がった。
突然立ち上がったベルにクラリスがキョトンとしていたが、ベルが今から行うことの説明をすると……ますます首を傾げた。
どうやら子供にはまだ分からない物だったようだ。
「クラリスにはやっぱり早いかしら? けど、見るのも勉強の内って言葉もあるし……何事も挑戦よねっ」
『ん~?』
「えっと、大丈夫……なのか?」
「多分大丈夫よ。というわけで作業部屋に向かいたいと思います!」
不安そうに尋ねるディックへとベルはそう言うと、玄関へと向かい……籠を持って戻ってきた。
そして、2人がまだ入ったことの無い奥の部屋へと歩き出し、それに続くようにディックとクラリスは歩いていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
薄暗い廊下の先にある重厚な木のドアをベルが押し開けるとギギィと重い音を立てて開かれた。
すると中からは、嗅いだことの無い臭いと匂いが漂ってきて、ディックとクラリスは鼻を無意識に摘んだ。
「うっ、なんだ……このにおい…………」
『くさい~~……!』
「あら、ごめんなさいね2人とも。これは色んな薬のにおいなのだけど、何時もはにおいが出ないように入口で抑えているから漂わないのよ」
ベルはそう言いながら2人に謝るのだが、彼女はにおいを気にしていないように見えた。
……事実、彼女は薬のにおいに慣れきっているため、ちょっとやそっとでは動じなかった。
そして……様々なにおいが充満し、訳の分からない液体が溜まった瓶が棚に置かれた室内を進んでいくとまたも扉があった。
その扉へとベルが近づくのを見て、ディックは周囲を見渡しながら問いかける。
「あ、あれ? この部屋が、さぎょう部屋じゃ……ないのか?」
「ええ、この部屋はフェイク……つまりは偽の作業部屋なの。中に入ってるのはポーションでも品質が最悪な物ばかりよ」
「そ、そうなんだ……。じゃあ、ほんとうの部屋は……その先、なのか?」
「そうよ。ディックやクラリスには扉が見えているでしょうけど、それは私の家族だからよ。それ以外の、例えば盗人から見たら何も無いようにしか見えないわ。……ま、それ以前に来る可能性なんて無いでしょうけどね」
そう自信満々に言いながらベルは手を掛けていた扉を開ける。
すると扉が開くのと明かりが点く工程が連動しているのか、奥の部屋の明かりが灯った。
中はこじんまりとした部屋だったが、作業しやすいように必要な物を詰め込まれた部屋となっていた。
「さあ、2人とも。中に入ってちょうだい」
「う、うん……」
『は~い!』
ベルの言葉に従いながらディックは恐る恐る中へと入り、クラリスは元気良く中へと入っていった。
部屋の中は清潔にされているのか、つい先ほどの部屋でしていた様々なにおいはまったく無く、空気が綺麗に感じられる。
そんな室内をディックは失礼だろうと思いながらも見渡す。
壁に寄せられた机や部屋の中央に置かれた机の上には、どんな物に使うのかまったく分からない道具が置かれていた。
いったい何に使うんだろうかと疑問を抱きながら視線を彷徨わせると隅のほうに大きな鍋が置かれていたり、絶えず熱を放ち続ける溶鉱炉が設置されているのが見えた。
(これって……本当にさぎょう部屋、なんだ。薬だけじゃなく、ぶきとかも作るさぎょう部屋……)
部屋の内装を見て、ディックは漠然とだが理解出来た。
その一方で、クラリスはベルを連れてこれは何だ、それは何だと質問を行い続けている。
それをベルは優しく説明をしていく、その説明は機材の正式名称は言わずに容器の中で金属の刃がグルグル回る道具をグルグルくんと愛称で呼んだりと子供が喜びそうな感じに説明をしていた。
『グルグルくん~~!』
「ええ、グルグルくんよ。それでね今から作る物には、このグルグルくんが大活躍するのよ」
『ほへ~、そうなんだ~!』
「ということで、そろそろ始めましょうか!」
『は~い!』
「わ、わかった……って、何をすればいいんだ?」
ベルの言葉に2人は返事を返すのだが、ディックがそう問いかける。
するとベルは待っていましたというように笑みを浮かべると……。
「先ずは私が先にポーションを作るから、それを真似て作ってみると良いわ。見ててちょうだい。
始めにこのグルグルくんに適量のヒールグラスを詰め込みます。詰め込んだらキッチリと蓋をして、スイッチを入れて回転をします」
そう言うとベルはクラリスへとグルグルくんと呼んで説明をしていた道具の中に採ってきた薬草を一掴み入れると蓋をした。
キッチリと蓋を閉めると、道具の下部に設置されているボタンを押した。
――ヴィイイイイ、カッ、カカっ、カカカカカカッ!
ボタンが押され道具が動き出したのか、薬草が入れられた容器の中にある金属の刃がグルグルと回転を始め、容器内を上下に移動しながら中の薬草を切り刻んでいった。
切り刻まれる度に薬草は液体を撒き散らし、薬草の緑色を含んだ半透明の液体を撒き散らしているのか、容器内では刃が回転する音と共にバシャバシャという水音み聞こえ始めていた。
それから3分ほど刃が回転を続け、段々と葉を切り刻む音が無くなってくると、刃がそれを理解しているとでも言うように回転を徐々に弱め始めていった。
「こうやって、ヒールグラスを粉微塵に切り刻んだら……漉して清水と混ぜ合わせながら魔力を込めて煮込みます。
このままでも効果はあるけれど、普通の人には効き過ぎるから薄めないといけないの。……一応他の方法だと、蒸留して余分な成分を取り除いて回復効果だけを追及した物もあるけど、今回は必要ないからまたの機会にするわね」
「わ、わかった……。あ、色が」
『すご~い、いろがかわった~~!?』
透き通った緑色の液体を硝子の容器に漉しながら入れ、説明をしながらベルは大鍋の近くに置かれた寸胴鍋を開けると中には水がたっぷりと満たされており、その中へと薬草の汁を注ぎ入れた。
ディックたちがそれを見ていると、鍋の下には火が通っているようで寸胴鍋の中身がぐつぐつと沸騰し始め……、薄い緑色だった液体が水泡を上げる度に桃色へと変わり始めていった。
それには2人も驚いたようでディックは尻尾を逆立てており、クラリスは両手を万歳していた。
そんな仕草がベルにはツボだったのか、笑みを深くしながら2人を見つめていたのだが……。
「そろそろ良いですね……。これで、後は蓋をして冷ましておきます。熱が冷めたら瓶を用意しておきますので、中に注ぎいれましょう。……わかりましたか?」
「え……あ、が、がんばってみる」
『は~い、くらりすがんばるよ。ベルママッ!』
自信なさげにディックは頷き、クラリスは根拠の無い自信に発展途上の胸を張る。
そんな2人を見ながら、ベルは道具の使い方をレクチャーしながら2人にポーション作りを行わせるのだった。
・おまけ
……ちなみに最終的に出来上がった物は以下の通りだった。
・中級ポーション × 50個(ベル作成)
・初級ポーション × 200個(内150個ベル作成)
・ポーションもどき × 100個
・物体P(失敗作) × 以下略
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