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39 多数の死霊を集めるロードの力の真髄
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「あっはっはっはっはっはっは!いいぞ!もっと!もっとだ!!!」
展開されたヴァルザードの魔力が巨大な魔法陣となり、瘴気が周囲から瘴気を集めるように渦を巻く。
その範囲は村の外れの墓地まで及んでおり、ここに来るまでに倒したアンデッドの持っていた瘴気もはいっているであろう。
その中心にいるヴァルザードは高笑いをしながらそれを取り込んでいく。
その量は既に常識の範囲を超えており、通常のロードならば既にその瘴気の量に心身に異常を起こし、暴走した末に崩壊するレベルである。
それだけの量である、キングレベルでも並の者は不調を起こし、著しく戦闘力を落とすレベル。
それを取り込んで高笑いをしているのだ、その実力はキングの上位レベルに至っていると判断するのが妥当である。
むしろ何故キングではなく未だにロードなのかが不思議なくらいではあるが。
そんなことは些細な問題でしかないとばかりにヴァルザードは瘴気を集め闘気を増していく。
この攻撃、恐らく成熟した聖龍のレイラの全力のブレスと同等の威力を持つと思って間違いないと判断できる。
その威力はこの村だけでなく、周囲を囲う森、その奥にある小山や小山の裏にある町も跡形もなく吹き飛ぶだけの威力を誇る。
幸いな事はルイス達はその直線の前にも後ろにもいないということか。
そう思いながら俺も闘気と魔力を練り上げる。
周囲に吹き荒れる暴風等気にする様なものではない。
そのようなものに気を取られていれば無防備なところにあの一撃をもらって消し飛ぶのが関の山である。
そのような状況に置かれる事も想定の内、準備は怠っていない。
それは足元で輝く魔道具が防いでくれる。
それは俺の周囲に極薄ではあるが、聖属性の結界を張り、瘴気や荒れ狂う大気や飛来物を弾いていく。
そこまで数が多いわけではないので周りの人達は自分でなんとかしてもらうしかないのだが、その辺りは仕方ないことであろう。
そうして互いに大技の為に力を練り上げていく。
闘気を練り、魔力を練り、盾を制御して魔法袋から魔石を取り出し取り込んでいく。
金の掛かる方法であるが、こうやって魔力を引き出すことで一時的に自分の持つ魔力以上の力を引き出す方法である。
それなりにデメリットもある方法である為確実に決める為にSランクの魔石を3個投入していく。
因みにこのレベルの魔石は常人がつつましく暮らす為に必要なだけの金額が飛んでいくのだが。
命あっての物種、必要と思われるものよりも多くの物を使って確実に勝負を決めに行く。
そうして示し合わせたかのように互いに準備が終わる。
そして、一瞬の静寂。
それは長く続かない嵐の前の静けさであり、そして
「くらえええええええ!!!」
両足を肩幅に開き踏みしめたヴァルザードが咆哮と共に集めた瘴気と、ありったけの闘気を込めて両の腕を拳を振りぬく。
その拳から圧倒的な存在感を放つ黒と紫が放たれる。
それは速度だけ見ればそこまで早いわけではないが。
「はっ!まさか避けるなんて言う訳ねえよな!避けた瞬間お前の後ろは粉みじんだ!」
というとおりの結果が待っているのは明白である。
そのため避けるという選択肢はない。
元よりこれは避けるという事をしても恐らく無意味なのだが、これを跳ね除けて進む以外の道はないのである。
「上等!勝負!」
「おうよ!」
盾に込めた能力を、魔力を、闘気を開放する。
突き出した盾は進行方向が搾られた形に形状変化を行い、その形状特性をもって力の頂点を裂き、左右に分断する。
上から見るとロイドの持つ盾を頂点にした三角形が出来ているのが見て取れるのだが、その視点から見ることができるのは空を飛べる者達のみ。
当然その場にいる者たちは左右に走る力の奔流で出来た壁を見ながら肝を冷やす事になる。
しかしそのような事は関係ないと進み続ける。
盾に込めた魔力の使い方は形状変化、強度向上、聖属性付与、そして推進力である。
過剰といえるだけの魔力を推進力に変換していく。
その変換力は盾を扱う者の力量に比例して上がっていく。
そして俺は全力でそれを行っていく。
行っていくのだが、
「く、前に、進まない……」
ヴァルザードの力は想像以上に強く、魔力の推進力だけでは進む事ができない。
そのために両の足を使って少しずつ歩みを進めていくのだが。
「はっはぁ!いいぞ!いいぞおおおおおおお!!その調子だ!」
その拮抗を楽しむヴァルザードへの距離は遠い。
未だ50メートルを残す所で足が止まってしまう。
「くそ!」
そう毒づいてしまうが、ここまで距離を詰める毎に抵抗が強くなってきているのだ。
それがこの距離で足が止まってしまうということはどちらが先に力尽きるかの勝負というわけである。
そしてこの拮抗を破れなければ勝負はつかない。
こいつを取り逃がしてしまえばこの先どうなるか、それを考えて歯噛みをしてしまう。
「どうしたどうした?そこでおしまいか?もっと俺を熱くさせてみせろ!恐怖させてみせろ!!殺してみせろ!!!」
その言葉に足を進めようとするが、やはりその足は動かす事が出来ずに拮抗を保つばかり。
これではいけない、その思いだけが募り、動かない足に焦燥が募る。
後が不安だが、そう思いながら腰の袋に目を向ける。
まだ手はある、あるのだが、それを使った後が問題なのだ。
魔法薬の中には身体の回復や魔力の回復以外の効果を持つものもある。
それは身体の強化や魔力の強化である。
その効果は強い物ほど良いと言われているがそれも限度がある。
そしてこの場面で必要な強化というのは限度を越えている。
もしもここで使ったとすればこの後の依頼での行動に支障をきたす。
それは身体強化薬では身体能力に、魔力強化薬では魔力に。
双方とも戦う時に欠けてしまえば大きな不利になってしまう。
それは時として自分の、仲間の、そして大勢の命の危険になるのだが。
「四の五の言ってられないか」
その呟きを拾ったヴァルザードは嬉しそうに言葉を返す。
「はっはっは!たいしたものだ!まだ手があるのか!早く見せてみろ!そして俺を楽しませろ!!!」
その言葉に仕方なしと覚悟を決めて魔法袋に目をやる。
「お望み通り、見せてやるよ!そしてそれを見たときがお前の最後だ!!!」
この逆境を乗り越え、決着を付けよう。
展開されたヴァルザードの魔力が巨大な魔法陣となり、瘴気が周囲から瘴気を集めるように渦を巻く。
その範囲は村の外れの墓地まで及んでおり、ここに来るまでに倒したアンデッドの持っていた瘴気もはいっているであろう。
その中心にいるヴァルザードは高笑いをしながらそれを取り込んでいく。
その量は既に常識の範囲を超えており、通常のロードならば既にその瘴気の量に心身に異常を起こし、暴走した末に崩壊するレベルである。
それだけの量である、キングレベルでも並の者は不調を起こし、著しく戦闘力を落とすレベル。
それを取り込んで高笑いをしているのだ、その実力はキングの上位レベルに至っていると判断するのが妥当である。
むしろ何故キングではなく未だにロードなのかが不思議なくらいではあるが。
そんなことは些細な問題でしかないとばかりにヴァルザードは瘴気を集め闘気を増していく。
この攻撃、恐らく成熟した聖龍のレイラの全力のブレスと同等の威力を持つと思って間違いないと判断できる。
その威力はこの村だけでなく、周囲を囲う森、その奥にある小山や小山の裏にある町も跡形もなく吹き飛ぶだけの威力を誇る。
幸いな事はルイス達はその直線の前にも後ろにもいないということか。
そう思いながら俺も闘気と魔力を練り上げる。
周囲に吹き荒れる暴風等気にする様なものではない。
そのようなものに気を取られていれば無防備なところにあの一撃をもらって消し飛ぶのが関の山である。
そのような状況に置かれる事も想定の内、準備は怠っていない。
それは足元で輝く魔道具が防いでくれる。
それは俺の周囲に極薄ではあるが、聖属性の結界を張り、瘴気や荒れ狂う大気や飛来物を弾いていく。
そこまで数が多いわけではないので周りの人達は自分でなんとかしてもらうしかないのだが、その辺りは仕方ないことであろう。
そうして互いに大技の為に力を練り上げていく。
闘気を練り、魔力を練り、盾を制御して魔法袋から魔石を取り出し取り込んでいく。
金の掛かる方法であるが、こうやって魔力を引き出すことで一時的に自分の持つ魔力以上の力を引き出す方法である。
それなりにデメリットもある方法である為確実に決める為にSランクの魔石を3個投入していく。
因みにこのレベルの魔石は常人がつつましく暮らす為に必要なだけの金額が飛んでいくのだが。
命あっての物種、必要と思われるものよりも多くの物を使って確実に勝負を決めに行く。
そうして示し合わせたかのように互いに準備が終わる。
そして、一瞬の静寂。
それは長く続かない嵐の前の静けさであり、そして
「くらえええええええ!!!」
両足を肩幅に開き踏みしめたヴァルザードが咆哮と共に集めた瘴気と、ありったけの闘気を込めて両の腕を拳を振りぬく。
その拳から圧倒的な存在感を放つ黒と紫が放たれる。
それは速度だけ見ればそこまで早いわけではないが。
「はっ!まさか避けるなんて言う訳ねえよな!避けた瞬間お前の後ろは粉みじんだ!」
というとおりの結果が待っているのは明白である。
そのため避けるという選択肢はない。
元よりこれは避けるという事をしても恐らく無意味なのだが、これを跳ね除けて進む以外の道はないのである。
「上等!勝負!」
「おうよ!」
盾に込めた能力を、魔力を、闘気を開放する。
突き出した盾は進行方向が搾られた形に形状変化を行い、その形状特性をもって力の頂点を裂き、左右に分断する。
上から見るとロイドの持つ盾を頂点にした三角形が出来ているのが見て取れるのだが、その視点から見ることができるのは空を飛べる者達のみ。
当然その場にいる者たちは左右に走る力の奔流で出来た壁を見ながら肝を冷やす事になる。
しかしそのような事は関係ないと進み続ける。
盾に込めた魔力の使い方は形状変化、強度向上、聖属性付与、そして推進力である。
過剰といえるだけの魔力を推進力に変換していく。
その変換力は盾を扱う者の力量に比例して上がっていく。
そして俺は全力でそれを行っていく。
行っていくのだが、
「く、前に、進まない……」
ヴァルザードの力は想像以上に強く、魔力の推進力だけでは進む事ができない。
そのために両の足を使って少しずつ歩みを進めていくのだが。
「はっはぁ!いいぞ!いいぞおおおおおおお!!その調子だ!」
その拮抗を楽しむヴァルザードへの距離は遠い。
未だ50メートルを残す所で足が止まってしまう。
「くそ!」
そう毒づいてしまうが、ここまで距離を詰める毎に抵抗が強くなってきているのだ。
それがこの距離で足が止まってしまうということはどちらが先に力尽きるかの勝負というわけである。
そしてこの拮抗を破れなければ勝負はつかない。
こいつを取り逃がしてしまえばこの先どうなるか、それを考えて歯噛みをしてしまう。
「どうしたどうした?そこでおしまいか?もっと俺を熱くさせてみせろ!恐怖させてみせろ!!殺してみせろ!!!」
その言葉に足を進めようとするが、やはりその足は動かす事が出来ずに拮抗を保つばかり。
これではいけない、その思いだけが募り、動かない足に焦燥が募る。
後が不安だが、そう思いながら腰の袋に目を向ける。
まだ手はある、あるのだが、それを使った後が問題なのだ。
魔法薬の中には身体の回復や魔力の回復以外の効果を持つものもある。
それは身体の強化や魔力の強化である。
その効果は強い物ほど良いと言われているがそれも限度がある。
そしてこの場面で必要な強化というのは限度を越えている。
もしもここで使ったとすればこの後の依頼での行動に支障をきたす。
それは身体強化薬では身体能力に、魔力強化薬では魔力に。
双方とも戦う時に欠けてしまえば大きな不利になってしまう。
それは時として自分の、仲間の、そして大勢の命の危険になるのだが。
「四の五の言ってられないか」
その呟きを拾ったヴァルザードは嬉しそうに言葉を返す。
「はっはっは!たいしたものだ!まだ手があるのか!早く見せてみろ!そして俺を楽しませろ!!!」
その言葉に仕方なしと覚悟を決めて魔法袋に目をやる。
「お望み通り、見せてやるよ!そしてそれを見たときがお前の最後だ!!!」
この逆境を乗り越え、決着を付けよう。
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