婚約破棄したら、憧れのイケメン国王陛下と相思相愛、熱烈年の差婚?!

Narian

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01婚約破棄?喜んでお受けいたしますわ

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「グレイス、お前はほんとに使えない女だな」

な、何を言い出すのかしら!
今私たち、舞踏会の真ん中にいるわよね?
しかも主催者で、次期当主夫妻としての大切な初仕事よね?


私はクォーツ公爵家の長女、グレイス。

そして、真正面から侮蔑のセリフを投げつけてきたのは、大貴族シモンズ公爵家の跡取り、ロイド。
残念ながら私の婚約者だ。
家同士が決めたことだけれど。


「学院を主席で卒業したというから、どれだけ優秀かと思ったら、贈り物ひとつ選べないとはな!」

・・・それはあなたが、浮気相手嬢への贈り物を王都一の名店で選んでこい、なんて言うからでしょう。
あろうことか、その品にご令嬢の名前刺繍を入れさせろ、だなんて!

そんなことをしたら、一日も待たずに噂が広まるのが、わからないのかしら。

『シモンズ家とクォーツ家は、婚姻前から関係が破綻している。両家の権威も地に落ちた』って。


ご自分は、可愛い浮気相手嬢のごきげんをとりたい一心なんでしょうけれど。

おもいっきり指摘して差し上げたいけれど、
ここで口論なんかしたら、両家の評判を落としてしまうわ。


「ロイドさま。宴も終盤ですし、お集まりの皆様へご挨拶に参りま、」

「お、俺に指図するな!」

ロイドは真っ赤になって叫んだ。

やれやれ。
いつもこうだわ。
ちょっとでも忠告どころか、指摘でもしようものなら、火を吹くみたいに怒り出す。

「うるさい!おまえはいつもそうだ。
俺のやることなすこと咎めてばかり!
女でありながら、受けとめる優しさはないのか?!」

・・・ああ、もう言葉もないわ。

女は、大らかな気持ちでまず受け入れろ、ですって?

ええ、ええ、私もそうしたいものですわ。
それに値する殿方ならね。

けれどロイド。
黙って受けとめたその先で、私が何度尻拭いをしたか、ご存知かしら?

あなたの言うことを全て受け入れていたら、公爵家が滅びます!



怒りのあまり沈黙していたら、優位に立ったと勘違いしたロイドが、今だとばかりに勢いよく言い放った。

「だからな、グレイス。今日この場をもって、おまえとの婚約は破棄する。」

え?!
ええっ?!
ちょっとちょっと、何言ってるの?

「そして、このアイゼン子爵令嬢マレーネを、妻に迎えることを宣言する!」

ロイドの隣には、いつの間にか、小柄で純朴そうな少女が寄り添っていた。
私を使ってまで、高価な贈り物で喜ばせようとした、可愛い浮気相手嬢その人だ。

いつの間にか集まってきた貴族たちが、遠巻きに見つめながらざわついている。

私はあまりのことに茫然自失状態になりそうだったけれど、なんとか言葉を絞り出した。

「ロイドさま、お待ちください。
この婚約は、家同士の決め事。
このような場で反故にしてよいものでは・・・」

「その言い方が気に食わんのだ!!
学院きっての才媛か知らんが、
いつもいつも鼻にかけおって!

だがマレーネは、どんなときも優しい笑顔で包んでくれる。
俺の妻にふさわしいのは、誰が見てもマレーネだ!」

あ、そう。誰が見ても、ね。
どれだけ狭い世界の住人かしら。

ふとマレーネ嬢へと視線を移すと、不安そうに少し震えながら、上目遣いでロイドを見ている。

なるほど。
これが保護欲を刺激するのね。
私にはできない芸当。

そう思いつつ、何となくマレーネのほうに視線を送っていると、急にマレーネが訴えた。

「ロイドさま、もういいのです!
グレイスさまがわたしを、怖い目で睨んでおいでですわ。
クォーツ公爵令嬢に妬まれてしまったら、この国で生きてはいけません。
ですからもう、身を引かせていただきます。」

・・・。
人の婚約者にしがみついておいて、よくここまで被害者ぶれるものね。

しかも、妬むですって?
自分の立ち位置を上げるのがお上手だこと。
このお嬢様、清純そうな見た目とは裏腹に、なかなかの腹黒ね。

「おお、マレーネ。
そんなことを言わないでおくれ。
俺にとって、君は初めての愛だ。
君を失うなど考えられない」

「ロイド、ああ、愛しいひと!」

そう言って固く抱き合う二人。


だめ。もう見ていられない。
バカバカしくて。

「承知いたしました」

ついに私は、承諾の言葉を口にした。

今まで、家のため、ひいては両家がお仕えする王家のためにもなると、心を無にして耐えてきたけれど。

もう限界。

「おふたりのお気持ちが固いこと、よくわかりましたわ。
こうなった上は、潔くお申し出をお受けします。

婚約者でなくなった身は、今宵のこの場にも不要かと。
失礼させていただきますわね。

みなさま、ごきげんよう」


抑揚のない声で言うと、非の打ちどころのない一礼をして、踵を返した。
背を向ける寸前、いきなりのことに驚きを隠せないロイドとマレーネ嬢の顔が視界に入る。

背中に列席者たちの、好奇と驚きが入り混じった視線を感じたけれど、どうでもいいわ!



~・~・~・~・~・~・~・~・~

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