婚約破棄したら、憧れのイケメン国王陛下と相思相愛、熱烈年の差婚?!

Narian

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03家庭教師は突然に

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「マレーネ嬢は、父親のアイゼン子爵に引き取られ、自領へ帰って行きました。
子爵には、責任を持って監督するよう厳命致しました。
もし違えることがあれば、次は子爵家が責を負うことになる、とね」

マレーネがシモンズ公爵夫人に一蹴され、撃沈した数日後。

私は公爵夫人に招かれたお茶の席で、ロイドとマレーネに下された処断の顛末を聞いていた。


「愚息はもちろん、
マレーネ嬢と生きていくつもりでした。
けれど見限られたのですよ。
それはもう、見事に」

気の毒なロイド。
そして、さすがマレーネ。
何人もの貴族や豪商の子息を天秤にかけ、一番操りやすそうなロイドを選んだ方だけあるわ。

「不肖の息子が、彼女の手を取って出て行こうとしたら、思い切り弾き返されたのです。
“誰があなたなんかと!
公爵家の人間でなくなったあなたなんか、
何の価値もないわ!”とね。
あの豹変ぶりは見ものでした」

こうなることは目に見えていましたけど、と、夫人は自嘲気味に笑う。

気の毒にロイドは、それからずっと放心状態らしい。
シモンズ家所有の館で、監視されながら寝て起きるだけの生活なのだとか。

「愚息のことは、妾たち夫婦の責任です。
あの子に、次代の公爵として相応しくあることばかりを求めてしまった。
資質のないあの子には、さぞ重荷だったでしょう」

「公爵夫人・・・」

「それでね、グレイス。罪滅ぼしと言ってはなんだけど」
公爵夫人が、突然微笑んだ。

「貴女、家庭教師をしてみる気はないかしら?以前から、学院で学んだことを活かしたいっておっしゃっていたでしょう?」

「家庭教師、ですか?」

「幼い兄妹でね。やんちゃだけれど、とてもかわいい子たちなのですよ」

なんてすてき!
子どもは大好きだし、教えるのも好き。
慈善活動で街の子どもたちに勉強を教えていたけれど、とても楽しかったもの。
日々成長していく子どもたちを見守って暮らせたら、どんなに幸せかしら。

「すばらしいですわ!」

「決まりですね。
実はもう推薦してあるのですよ。
では、バスティアン!」

公爵夫人は執事を呼ぶと、何やら手紙を渡し、すぐに届けるよう指示を出した。

「例の件、グレイス嬢から承諾いただきました、とお伝えしてちょうだい。
急いでね」

えっ、ちょ、ちょっと!
私、まだ答えは出していませんよね?
それに公爵家の娘を家庭教師として迎えてくれるような家、そうそうあるはずはない。
あるとしたら・・・

「あ、あの、公爵夫人。
どちらのお子様方なのか、まだ伺っておりませんよね?」

「どこって、甥の子どもたちですわ。
母親を早くに亡くしておりましてね。
姉が8歳、弟が6歳」

「?!もしかして、お名前は、」

「姉がリア、弟はタクトですよ」

「それって、リア王女とタクト皇太子ではないですか!!」

そして
“甥”って、国王陛下ですよね?!?!
むりっ!ぜったいむり!
だって、私、

「だっ、ダメです!
ほ、ほら、えっと、あっ!
それって、王立学院の教授方が勤められるお役目ですよね?!
私などとても、」 

「姉代わりで遊び相手、と思っていただければ良いのですよ。
専門の教師陣も別におりますから。
まだ幼いですから、ともに寝起きして愛情を注いでくれる方が必要なのです」

「す、住み込みなんですか?!」

「もちろんです。
家庭教師とはそういうものでしょう。

四大公爵家のひとつクォーツ家の令嬢にして、王立学院の主席。
何度となく王女様方の遊び相手をしたこともあるでしょう?
貴女以上の適任者はいませんよ」

そ、それは、お父さまは内務大臣ですもの。
幼い頃からお供で王宮に伺っていたし、王女様方と遊んだこともあるわ。

でもだめ。だめなの!
だって!

「もう早馬を出してしまいましたから。
今さら撤回はできませんわね」

「・・・」

「では、2週間後からということで。
必要なものはこちらで整えますわ。
当日はお迎えを手配しますから、待っていらしてね」


こうして九割方強引に、私は王宮家庭教師として伺候することになった。

家庭教師という仕事はしてみたい。
王女様方もお可愛らしい。

だけど、王宮には・・・
国王陛下がいらっしやるんですもの!


ローザン王国第18代国王、
リチャード・デ・ローザン陛下。
有能にして人望に厚く、35歳にして名君との呼び声も高い方。
王国の誉れと讃えられ、全国民から慕われている。

そして・・・
幼い日から変わらず、私の憧れの方。

だからダメなの!
憧れがすぎて、陛下と視線を合わせることもできないのよ?!
遠くから御姿が見えただけで、隠れてしまう私なのに。

住み込みなんてことになったら、
どうしたらいいの?!

私はパニックになりながら、シモンズ公爵邸を後にした。
2週間後まで、心臓がもつかしら・・・。



「ふふふ。グレイスったら大慌てだったわね。かわいいこと」

グレイスが去った後のシモンズ邸では、公爵夫人タニアが、執事相手に企みの成功を祝っていた。

「奥様もお人が悪い。
何も強引に家庭教師になさらなくても、王宮にお連れすればいいだけでしょうに」

「あなたは、陛下が近くにおられるときの、あの子のうろたえぶりを知らないでしょう。
ただ連れて行くだけでは、会話できるようになるまで100年はかかりますよ」

もう一度ふふ、と笑って言った。

「皇后陛下がタクト皇太子を産んだ後、亡くなられてから早6年。
国王陛下はまだお若い。そろそろ、人生を共に過ごす相手を見つけても良いころです」


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

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次話から、相手役のリチャード国王陛下が登場します。
気丈な才媛かと思われた主人公のダメダメぶりをお楽しみください♪
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