婚約破棄したら、憧れのイケメン国王陛下と相思相愛、熱烈年の差婚?!

Narian

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★10あふれ出す激情

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陛下?どうしてここに?

「ああよかった、グレイス。あなたが駆けていくのが見えたから」

陛下が答えてくださったけれど、私はまだ事態を飲み込めていなかった。
夜風が陛下と私の間を吹き抜ける。

「あの、陛下、あのっ、ファティマ様が・・・」

やだっ、何言ってるの。
聞きたくない話題を切り出すなんて。

「ファティマ皇女?あ、ああ、あのね、」

陛下が急に焦り出して、私はなぜだか無性に腹が立った。

「ファティマ様が首を長くしてお待ちでしょうから、どうぞお戻りになってください!」

「いや、あの、でも君が心配で、、」

「し、心配なんかしてくださらなくても結構ですわ!ここに危険なんかございませんもの」

心配されても虚しいだけ。
ほしいのは心配でも同情でもない。
だけどその感情はもう、ファティマ様のもの・・・。

「待ってグレイス、君は誤解しているよ。あれはふいをつかれただけで、べつになにも・・・」

そう言うと、陛下が近寄ってくる。
やだ、来ないで。
言い訳なんか聞きたくない。
ほしい言葉はもう、もらえない。
だからもう、来ないで。

「やだっ、来ないでください!」

方向もわからないまま、東屋から走り出た。けれどすぐに、小さなログハウスに突き当たってしまった。

陛下が迫ってきて、私は逃げ場を失う。

「お願いだ、話を聞いて、グレイス!」

「いやっ!来ないで、来ないでくださいっ!」

陛下の横をすり抜けようとしたけれど、片手で抱き止められて進めない。
振りほどこうと暴れると、陛下に両手首をつかまれ、ログハウスの壁に押さえつけられた。

「やだっ、やだ!離してっ!」

「ダメだ」

「バカバカっ!陛下のバカ!」

「バカ?どうして?」

「だ、だってイヤなんです!
他の女の方とキスするなんて!
陛下が他の方に触れるなんて!
体の中が真っ黒になって、爆発しそうになるんですっ!」

「・・・?!」

ふいに、陛下の手の力が緩んだ。
戸惑ったような、何が起きたかわからない、というような表情になる。

ど、どうなさったのかしら?

数秒間の沈黙の後、信じられない、という顔をして陛下が口を開いた。

「・・・まさか、妬いてるのか?」

へっ?!あっ、私ったら!
どさくさに紛れてなんてことを!
ど、どうしよう。
陛下に私の気持ちを知られ・・・、

「あっ、あの、陛下・・・」

「もう、限界だ」

陛下は両腕を押さえていた手を離すと、私の頬に手を当てた。

えっ、なに?何が起きているの?

陛下の顔が近づいてきて・・・

?!?!?!?!

唇が重なった。

えっ、ええっ?!
こ、これって、キス?!

陛下の身体から、香水と汗の混じった大人の男の人の匂いがして・・・。
甘い衝撃に襲われて、身をよじって抵抗しようとするけれど、陛下の力が強くて振り解けない。
男の人って、こんなに力強いものなの・・・?

「んっ、へ、陛下っ、」

「だめだ、もう止まらない」

「でっ、でも誰かに見られ・・・んんっ!」

ふと、口付けが止んだ。

よ、よかった。
もう身体がもたな、、えっ?

急に視界が高くなり、陛下に抱き抱えられていることに気づいた。
逞しい腕に捕まえられて、身動きができない。

「ここなら邪魔は来ない。入るよ」

ログハウスのドアを開け、中に滑り込むと、ベッドの端に降ろされる。

「あっ、あの、陛下?」

陛下は隣に腰掛けると、片手を私の頬に当てて、顔を自分に向けさせた。
緑の瞳が、私をまっすぐ見つめている。

今まで見たことのない、陛下の、男性の顔・・・。

「止めるなら今だ。止める気はないけど」

そう言うと、頬に当てられた手に力がこもり、口付けされた。
そのままベッドに押し倒される。

両腕を頭の上で押し止められ、またもや身動きができない。

「へ、陛下っ、あのっ」

「リチャードだ」

「んっ、えっ」

「リチャードと呼んで、グレイス」

「リ、リチャード、さまっ・・・」

「・・・たまらないよ、グレイス」

キスが激しくなった。

唇がこじ開けられ、舌が侵入してくる。
舌と舌が絡み合い、口の中を蹂躙されて、甘い痺れが身体を駆け抜ける。

「んっ、あはぁっ」

「グレイス、ああ、グレイス!」

唇が離れたかと思うと、耳元で何度も名前を呼ばれる。
陛下の、リチャード様の熱い吐息が耳にかかって、思わずのけぞったとき、食らいつくように首筋に口付けされた。

「ひあっ?!」

恐怖にも似た甘い痺れが身体を走り抜け、思わず彼にしがみつく。

広くて、固くて、逞しい背中。
長い間、見つめるだけだった背中・・・。

彼の手が私の背中にまわり、ボタンを外す。
指先が衿口にかかったと思うと、ゆっくりドレスが引き降ろされ始める。

「やっ、だめ・・・!」

彼の目に肌が晒されていると思うと、急に恥ずかしくなった。
頭を振って抵抗する。
彼は構わず、あらわになった肩に口付けてくる。

「ひゃあっ!だっ、だめ。いやっ!」

「グレイス、きれいだよ・・・」

「いやっ!やめてっ!!」

思わず腕を振り解き、思い切り彼を突き放してしまった。


「あっ、あの・・・」

彼は呆然として、肩で息をしながら、私を見つめている。
驚いたような、傷ついたような顔をして。

ど、どうしたらいいの?
だって、恥ずかしくて、怖くて・・・。
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