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美貌皇帝が調教してくる
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すごい。
先程、皇族専用だとビザステリオ様が教えてくれた彫刻が施された美々しい門を通ってからしばらく経つのに宮殿に到着しない。
「もう少しだ」
馬車の外から美声が励ましてくれる。あああ、鼓膜がすごいことに。慣れてきたとはいえ衝撃があって私は耳を押さえた。
美々しくも護送用の鉄格子のついた馬車でドナドナされた私はついに美と愛の神が守護する国、神聖ビュータンズ帝国の中枢かつ、ビザステリオ様の居所、ビザリア宮殿に到着した。
辺りが主の到着に湧いているのが聞こえる。完全に馬車が止まったあと少し経ってから扉が開いた。
「健康の乙女にして、俺の花嫁ヘーゼル・ド・ヘルシオス王女殿下。俺の城にようこそ」
その糞ださい名称やめてくれ……。差し出された手をとって日差しに耐えきれずに目を細めながら馬車を降りてみて目が飛び出そうになった。
視界を埋め尽くす蒼穹にそびえる白亜の宮殿。色をあわせたような白い鳩がタイミング良く飛び立った。
少年のように笑うビザステリオ様は自慢の住処だと言いたげだ。それは、これだけ美しい宮殿ならば誇らしい気持ちになるだろう。
そして、私の足下では絨毯が転がされて花道を作っている。移送用の馬車から一転VIP扱いだと?
「帝国の新たなる花にご挨拶申し上げます」
白い制服の近衛達からはじまり様々な騎士の剣が捧げられ貴族だろう人々がそれを取り巻き深い礼をしている。
(思いっきり気後れするわ……)
田舎から出てきて六本木ヒルズの大きさにびっくりしたのと同じ気持ちだ。ここに住んでいる人は金持ちに違いない。あ、隣の皇帝陛下だった。
(本当に父の首を手土産にすべきだったか……)
つまらないものですけど。そんなことをしたら、あまりの野蛮さにこの国の人たちは失神しそうだ。
気品と荘厳さを兼ね備えた場に下ろされた私は棒立ちになった。今すぐ逃げ出したい。
屈んでくるな、と思っていたら頬にキスをしてきた。ビザステリオ様の挙動に驚いたご婦人の悲鳴が聞こえる。
あ、やはり、ビザステリオ様は美の国の中でも非常に美しいんだな。さっと見渡すと美形揃いではあるが、ビザステリオ様ほどではない。人気がありそうだ。
「ヘーゼルの頬は菓子のように甘いから我慢ができなかったよ」
そんな、あまーい言葉、寒気がします。つい眉を寄せたらビザステリオ様は小さな声でささやいた。
(早く進みなさい。それとも躾が必要なのか?)
ビクッと躾の一言に身体が反応した私は何食わぬ顔で花道を進んだ。ビザステリオ、ドS陛下が仰るには、暴力は良くない、常に品を保ちなさい、だそうだ。何度も暴力にでないように諭された。例の振動するピンクの玉を使っての肉体的対話だ。暴力はだめで調教はいいんですか。
ビザステリオ様は暴力はだめだと言っても、だって……。健康王国はダサすぎるんです! 国名、せめて国名変えるために襲撃しましょう。
思っていることを吐かされて達する寸前で止められて躾された。ビザステリオ様の美声で平和の重要性について洗脳されつつある。
とんでもないところに嫁いでしまった。
隣の実用的だそうな人も含めて。私は半分泣きながら他国からの花嫁を迎える人々の祝福を受けて入城した。
先程、皇族専用だとビザステリオ様が教えてくれた彫刻が施された美々しい門を通ってからしばらく経つのに宮殿に到着しない。
「もう少しだ」
馬車の外から美声が励ましてくれる。あああ、鼓膜がすごいことに。慣れてきたとはいえ衝撃があって私は耳を押さえた。
美々しくも護送用の鉄格子のついた馬車でドナドナされた私はついに美と愛の神が守護する国、神聖ビュータンズ帝国の中枢かつ、ビザステリオ様の居所、ビザリア宮殿に到着した。
辺りが主の到着に湧いているのが聞こえる。完全に馬車が止まったあと少し経ってから扉が開いた。
「健康の乙女にして、俺の花嫁ヘーゼル・ド・ヘルシオス王女殿下。俺の城にようこそ」
その糞ださい名称やめてくれ……。差し出された手をとって日差しに耐えきれずに目を細めながら馬車を降りてみて目が飛び出そうになった。
視界を埋め尽くす蒼穹にそびえる白亜の宮殿。色をあわせたような白い鳩がタイミング良く飛び立った。
少年のように笑うビザステリオ様は自慢の住処だと言いたげだ。それは、これだけ美しい宮殿ならば誇らしい気持ちになるだろう。
そして、私の足下では絨毯が転がされて花道を作っている。移送用の馬車から一転VIP扱いだと?
「帝国の新たなる花にご挨拶申し上げます」
白い制服の近衛達からはじまり様々な騎士の剣が捧げられ貴族だろう人々がそれを取り巻き深い礼をしている。
(思いっきり気後れするわ……)
田舎から出てきて六本木ヒルズの大きさにびっくりしたのと同じ気持ちだ。ここに住んでいる人は金持ちに違いない。あ、隣の皇帝陛下だった。
(本当に父の首を手土産にすべきだったか……)
つまらないものですけど。そんなことをしたら、あまりの野蛮さにこの国の人たちは失神しそうだ。
気品と荘厳さを兼ね備えた場に下ろされた私は棒立ちになった。今すぐ逃げ出したい。
屈んでくるな、と思っていたら頬にキスをしてきた。ビザステリオ様の挙動に驚いたご婦人の悲鳴が聞こえる。
あ、やはり、ビザステリオ様は美の国の中でも非常に美しいんだな。さっと見渡すと美形揃いではあるが、ビザステリオ様ほどではない。人気がありそうだ。
「ヘーゼルの頬は菓子のように甘いから我慢ができなかったよ」
そんな、あまーい言葉、寒気がします。つい眉を寄せたらビザステリオ様は小さな声でささやいた。
(早く進みなさい。それとも躾が必要なのか?)
ビクッと躾の一言に身体が反応した私は何食わぬ顔で花道を進んだ。ビザステリオ、ドS陛下が仰るには、暴力は良くない、常に品を保ちなさい、だそうだ。何度も暴力にでないように諭された。例の振動するピンクの玉を使っての肉体的対話だ。暴力はだめで調教はいいんですか。
ビザステリオ様は暴力はだめだと言っても、だって……。健康王国はダサすぎるんです! 国名、せめて国名変えるために襲撃しましょう。
思っていることを吐かされて達する寸前で止められて躾された。ビザステリオ様の美声で平和の重要性について洗脳されつつある。
とんでもないところに嫁いでしまった。
隣の実用的だそうな人も含めて。私は半分泣きながら他国からの花嫁を迎える人々の祝福を受けて入城した。
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