完結 美貌皇帝に調教される悪女な健康王女ですが、祖国覚えてろよ絶対滅ぼしてやる

私と皇帝陛下の夜会

調停式の後に夜会が開かれるのは両者損害もなく大団円を迎えたからだ。侵略された方もした方もやる気はないし、王女の嫁ぎ先になるので穏やかムードだ。
先日の夜会と同じラインナップの夜会飯を見て手抜きだな、とも思ったが、今夜の私は一味違う。

離縁したと思われていた超絶美形の夫であるビザステリオ様片手での参加なのだから。

ひれ伏せ健康国民共。
どうだ、私の夫は美しいだろう！

それは夜会に咲く一輪の花。
儚げにすら見える漆黒の髪。
伏目がちな瞳は長いまつげに彩られた切れ長で涼しげだ。
どうだ糞ダサ国民。これが美の国皇帝だ。

「美しいはずの王女が霞んでいる」
「そもそもの作画が違う」
膝を折り最上級の礼をしているはずの健康共和国の貴族から野次が飛ぶ。お前ら。
「王女様を嫁に欲しいとか何かの間違いじゃないか？」
「いや、見かけではないということだろう。王女様は一応寵児だし」
ビザステリオ様は私の顎を掴むとそのまま口づけをした。
場内騒然となったのはどういうことだ。

「愛しているよ、ヘーゼル」
態度で黙らせるビザステリオ様に私は溜飲を下げた。
新婚ラブラブの私はビザステリオ様の胸に頭を預けるように手を取られて階段を降りてファーストダンスを踊りだす。
愛する夫との夜会は飯なんてどうでもいいぐらい楽しかった。
好き。大胆で危なげないダンスのリードはビザステリオ様の性格そのもので、見掛け倒しではない。シャンデリアの下で私達は音楽にあわせてクルクルとまわった。
目をあわせてとろける笑顔を向けられたその時、思ってしまう。
この人の子を孕みたいって。

しまった、と思った時には遅く、健康の神から祝福が送られた。
排卵した。妊娠しちゃう。

神の祝福の意味に気がついたのだろうビザステリオ様がギラついているのがわかる。その壮絶な色気しまっておいてください。
その後もやたらとベタベタしてくるビザステリオ様を引き連れて貴族に挨拶に回った。
「お熱いですね」
「王女様をよろしくお願いいたします」
私が捨てられただのなんだの言っていた一派は泡を吹いている。そうだろう。ビザステリオ様ほどの美形だとは思ってもいなかったのだろうから。

「ヘーゼル、寝室に行こう？」
「駄目です。あのビザステリオ様、私、今されたら……」
腰を抱いて殊更甘く囁いてくるのは種付したいからだ。ビザステリオ様は舌舐めずりをしている。もしかしたら、お腹にたくさん出されたものが溜まってるとしたら、もう遅いのかもしれないけど。

「たくさん秘宝を使ってあげるから」
「ビザステリオ様、あの、私っ」
妊娠が嫌でしたくない、今されたら……、できちゃう。
「たくさん良くしてあげる。お預けしないで、ね」
お預けなく、気持ちよくしてくれる。妊娠への不安はあるのにビザステリオ様はピンクの玉を見せて誘惑してくるのに私はグラついていた。
「おいで、ヘーゼル王女」
頬にキスをしてから逃さないようにビザステリオ様は夜会会場から離れた寝室に引きずっていく。先程もしたじゃないですか。結構な実用的なビザステリオ様はそれでもできるらしい。

「早くお父さんになりたいな♡」
ビザステリオ様のお子さんなら超絶可愛いと思います。
私はビザステリオ様を拒めなくて、つまりは調教済みなのだった。