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プロポーズ(事後)

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熱い夜を過ごした私だけれど、日程があると次の日には健康共和国をたつことになった。
しかし、乗せられる馬車が凄まじかった。
「俺の花嫁のための馬車だよ、ヘーゼル」
白と金を基調にした馬車には白馬が繋がれて馬にも金の口輪がつけられている。そして、なぜか薔薇の花が道に敷かれている。
「ヘーゼル王女、あなたを再びお迎えできることが夢のようです」
手に熱い口づけがされる。甘い。とにかく甘い。
「なし崩し的にお嫁に来てもらったのが気になってたんだ。帝国の花嫁が外国から嫁入りする時には道に花を敷くのだ」

一体、いくらかかるんだ。流石超大国。健康だけが取り柄の健康共和国とは雲梯の差だ。
「ささ、乗ってくれ」
逃しはしないという意思が感じられるビザステリオ様に圧力をかけられ花道を行くことになった。
「おめでとうございますー!」
沿道には人が集まり花を投げて祝福してくれている。護衛の騎士たちも正装で花嫁行列をしてもらっているんだ、私。
「俺が望んでヘーゼルに来てもらっていることを知らしめなければならない」
ビザステリオ様は機嫌よさそうに私の腰を抱くと人から見えるようにキスを何度もした。
長い長い道程であるのに薔薇は途切れることなく続く。先触れの馬に乗った騎士のリオネルが撒いているからだけど。

「おめでとうございます! やっとヘーゼル王女が帰っていらした! やりましたね!」
わんこ系の美形騎士は私の帰還をなみだながらによろこんでくれた。宿泊場所に到着し馬車を降りるとリオネルが駆け寄ってた。
「本当にヘーゼル王女が逃げたあと、ビザステリオ様は荒れて荒れてすごかったんですから! 皇帝陛下がここまでするなんて本当に、怖かったですぅううう!」
巻き込まれたらしいリオネルはドMだろうに怖かったとしきりに繰り返している。
「もうしないさ」
ご機嫌なビザステリオ様は私を抱っこして宿屋に連れて入っていく。このシチュエーション。何かで見たことがある。
「ヘーゼル、今夜も寝かせないよ」
私はビザステリオ様のタフさについて認識を改めることになった。

「昨晩はお楽しみでしたね」
お前は日本の何かを知っているだろう。
リオネルが恥ずかしそうに撒く用の薔薇を毟りながら定番の台詞をはいた。
反論する気力のない私はビザステリオ様に抱きかかえられて馬車に乗り込んだ。
まさか、毎日これ? 
「んー、ヘーゼルの髪は柔らかいな」
甘い花嫁行列は何日もかかる。流石に毎日ではなかったけれど、概ねそうやって宿屋に泊まった。
そのうち帝国領に入り段々と人が増え、薔薇の花道も濃くなり帝都に入ると予め予告されていたのだろう万雷の歓声の中で嫁入りパレードが行われた。
ああ、白亜の宮殿が黄色く見える。
薔薇の花の舞う耽美な帝都はビザステリオ様にとても良くお似合いだった。
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