7 / 89
出会い①(ルフナ視点)
しおりを挟む
店番をマロア母さんと代わって一時間も経った頃だろうか。
豊穣祭のメイン会場の方が何やら騒がしくなってきた。
祭りの賑わいとは違う、不穏な雰囲気が漂っている。
女性の甲高い悲鳴やどよめきの声が聞こえたと思ったら、人混みの間をかき分ける人の姿が見えた。
商人のような格好をした女性が、何かから逃れるように村の入り口の方に向かっている。
彼女が何度も振り返った先には、王都の騎士達が制止の声を上げながら追いかけてきていた。
俺は並んでいるお客さんにちょっと待って欲しいと声をかけてから、騎士達に加勢した。
これでも村の警備隊の一員で、脚力と腕っぷしには多少自信がある。
すぐに女性に追いつくと、護身用のナイフを握っている手首を掴んだ。
だけど意外にも力が強くて、呆気なく振り解かれてしまう。
一瞬驚いてしまったものの、振り回してくるナイフを避けながら屈み込む。
下半身が無防備になった隙に、腹に頭突きをするようにして地面に押し倒す。
起き上がる前に持っていたナイフを奪い、刃先を頸動脈に突き付けた時、その理由がわかった。
離せともがく声も、ローブの下のワンピースから伸びる手足も首も、完全に男のものだった。
「そのまま離すな!」
「捕縛しろ!!」
俺が胸板に膝を乗せて動けなくしているところに、騎士達が追いつく。
あっという間に女装男は捕えられ、抵抗も空しく連行されていった。
「協力に感謝する。君の動きは見事だった。武術を習ったことがあるのか?」
「ええ、警備隊の訓練で少し。お力になれてよかったです」
協力とはいっても、運よく犯人を取り押さえられたくらいで大したことはしていない。
声をかけてくれた騎士は俺が村の警備隊員だと知って驚いたようだった。
「では、私はこれで…」
お客さんを待たせたままなので、早く店に戻りたくて会釈をする。
でも騎士にとってはそういうわけにもいかないようで、事情聴取をさせて欲しいと引き留められてしまった。
豊穣祭のメイン会場の方が何やら騒がしくなってきた。
祭りの賑わいとは違う、不穏な雰囲気が漂っている。
女性の甲高い悲鳴やどよめきの声が聞こえたと思ったら、人混みの間をかき分ける人の姿が見えた。
商人のような格好をした女性が、何かから逃れるように村の入り口の方に向かっている。
彼女が何度も振り返った先には、王都の騎士達が制止の声を上げながら追いかけてきていた。
俺は並んでいるお客さんにちょっと待って欲しいと声をかけてから、騎士達に加勢した。
これでも村の警備隊の一員で、脚力と腕っぷしには多少自信がある。
すぐに女性に追いつくと、護身用のナイフを握っている手首を掴んだ。
だけど意外にも力が強くて、呆気なく振り解かれてしまう。
一瞬驚いてしまったものの、振り回してくるナイフを避けながら屈み込む。
下半身が無防備になった隙に、腹に頭突きをするようにして地面に押し倒す。
起き上がる前に持っていたナイフを奪い、刃先を頸動脈に突き付けた時、その理由がわかった。
離せともがく声も、ローブの下のワンピースから伸びる手足も首も、完全に男のものだった。
「そのまま離すな!」
「捕縛しろ!!」
俺が胸板に膝を乗せて動けなくしているところに、騎士達が追いつく。
あっという間に女装男は捕えられ、抵抗も空しく連行されていった。
「協力に感謝する。君の動きは見事だった。武術を習ったことがあるのか?」
「ええ、警備隊の訓練で少し。お力になれてよかったです」
協力とはいっても、運よく犯人を取り押さえられたくらいで大したことはしていない。
声をかけてくれた騎士は俺が村の警備隊員だと知って驚いたようだった。
「では、私はこれで…」
お客さんを待たせたままなので、早く店に戻りたくて会釈をする。
でも騎士にとってはそういうわけにもいかないようで、事情聴取をさせて欲しいと引き留められてしまった。
80
あなたにおすすめの小説
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
悪役令嬢の妹君。〜冤罪で追放された落ちこぼれ令嬢はワケあり少年伯に溺愛される〜
見丘ユタ
恋愛
意地悪な双子の姉に聖女迫害の罪をなすりつけられた伯爵令嬢リーゼロッテは、罰として追放同然の扱いを受け、偏屈な辺境伯ユリウスの家事使用人として過ごすことになる。
ユリウスに仕えた使用人は、十日もたずに次々と辞めさせられるという噂に、家族や婚約者に捨てられ他に行き場のない彼女は戦々恐々とするが……彼女を出迎えたのは自称当主の少年だった。
想像とは全く違う毎日にリーゼロッテは戸惑う。「なんだか大切にされていませんか……?」と。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます
よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」
婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。
「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」
「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」
両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。
お姉様からは用が済んだからと捨てられます。
「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」
「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」
ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。
唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。
ここから私の人生が大きく変わっていきます。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる