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国王の反論(ディブラン視点)
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「お前達は、十の加護を持つ稀代の聖女に何をした?毒を盛り、暗殺を企て、そして――殺した」
私がティアの話を持ち出すと、グリンフィールズ公が、その場にいるほとんどの臣下が顔色を変えた。
「王は聖女を王妃に娶り大切に守り慈しむもの。その通りだ。だがその聖女は私にとってクリスティエラではない。ティアだ。ティアを守りきれなかった私に、この国の王たる資格はない。逆に言えばティアのいないこの国を治める必要もないということだ。
この際だからはっきり言っておくが、聖女ティアを死なせたことでお前達が王と呼んでいた私は死んだ。今の私はあくまで民のために、死んだ王の代役を務めているだけだ。代役として民の安寧には努めよう。だが国の存続までは知らん。私からティアを奪ったお前達がやるべき仕事だ。自分の尻ぬぐいは自分達でしろ。
前から何度も言い続けていることだが、私の王妃は後にも先にも、聖女ティア・レ・ティーズベルただ一人だ」
会議室は水を打ったように静まり返っている。
「エリス妃を迎え入れたことで幾度も災害が起きたのは、聖女クリスティエラがそうなれと願ったからだろう。愛情を確かめる為に民を利用し苦しめる者の何が聖女だ笑わせる。私が彼女の元へ通わない理由は挙げればいくらでも出てくるが、ティア絡みのものを省いたとしても単純に私に通いたいと思わせないからだ。要するに彼女自身に魅力がない。魅力のない女性になぜ私が関心を引こうと努力せねばならない?
クリスティエラを王妃に立てたのは、ひとえに民を不安にさせないためだ。稀代の聖女を失ったことで、神々の怒りを買ったのではと民は不安になった。だが新たな聖女を置き、子を成すことで国の安定を示した。神々の加護は続いている、神々は我々を見捨ててはいないと見せ付ける為にな。
私がいま民にできることは何だ?度々厄災を引き起こし生活を脅かす聖女と交尾することか?戦争の火種を起こす聖女に媚び諂う姿を見せれば、民は安心できるのか?」
問いかけても、みな血の気が引いたように誰一人反論しようとしない。
決着はついた。
「ラワーヌ国との親交は民の平穏な暮らしに有益と判断している。よって、両国の関係を揺るがしかねない此度のクリスティエラ妃の行いは厳罰に値する!
彼女には今後外部との接触を一切禁止する。投獄はしないが部屋からは一歩も出すな。公務は全てキャンセルしろ。今後は全て私一人で行く。クリスティエラ妃に与えた予算を七割削減し、その分を災害復興資金に回す」
「なっ…七割?!」
「それはいくらなんでも…!王妃殿下がお可哀想です!」
「公は先程、大災害による傷は未だ癒えていないと言っていたな。大災害を起こした本人が支援資金を出すのは当然ではないのか?地面から水は湧き出ても金は無限に湧き出るものではないことを、大地の神の加護を持つ聖女に教えてやるといい」
グリンフィールズ公は歯を食いしばって堪えていた。
その他の者も顔色を曇らせ、何と言って私に思い留まらせようかとおろおろしている。
お前達が彼女に不必要なほど膨大な予算を与え、そこから恩恵を得ていることはとっくに気が付いている。
ほとんど公務のないエリスに与えられた金額が彼女の予算の四割弱なのだから、七割減になってもさほど問題はないはずだ。
やましいことがないのなら。
「異論のある者は名乗りを上げて私を説得してみせろ。話は聞いてやる」
意外にも、次の演説者は挙がらなかった。
私がティアの話を持ち出すと、グリンフィールズ公が、その場にいるほとんどの臣下が顔色を変えた。
「王は聖女を王妃に娶り大切に守り慈しむもの。その通りだ。だがその聖女は私にとってクリスティエラではない。ティアだ。ティアを守りきれなかった私に、この国の王たる資格はない。逆に言えばティアのいないこの国を治める必要もないということだ。
この際だからはっきり言っておくが、聖女ティアを死なせたことでお前達が王と呼んでいた私は死んだ。今の私はあくまで民のために、死んだ王の代役を務めているだけだ。代役として民の安寧には努めよう。だが国の存続までは知らん。私からティアを奪ったお前達がやるべき仕事だ。自分の尻ぬぐいは自分達でしろ。
前から何度も言い続けていることだが、私の王妃は後にも先にも、聖女ティア・レ・ティーズベルただ一人だ」
会議室は水を打ったように静まり返っている。
「エリス妃を迎え入れたことで幾度も災害が起きたのは、聖女クリスティエラがそうなれと願ったからだろう。愛情を確かめる為に民を利用し苦しめる者の何が聖女だ笑わせる。私が彼女の元へ通わない理由は挙げればいくらでも出てくるが、ティア絡みのものを省いたとしても単純に私に通いたいと思わせないからだ。要するに彼女自身に魅力がない。魅力のない女性になぜ私が関心を引こうと努力せねばならない?
クリスティエラを王妃に立てたのは、ひとえに民を不安にさせないためだ。稀代の聖女を失ったことで、神々の怒りを買ったのではと民は不安になった。だが新たな聖女を置き、子を成すことで国の安定を示した。神々の加護は続いている、神々は我々を見捨ててはいないと見せ付ける為にな。
私がいま民にできることは何だ?度々厄災を引き起こし生活を脅かす聖女と交尾することか?戦争の火種を起こす聖女に媚び諂う姿を見せれば、民は安心できるのか?」
問いかけても、みな血の気が引いたように誰一人反論しようとしない。
決着はついた。
「ラワーヌ国との親交は民の平穏な暮らしに有益と判断している。よって、両国の関係を揺るがしかねない此度のクリスティエラ妃の行いは厳罰に値する!
彼女には今後外部との接触を一切禁止する。投獄はしないが部屋からは一歩も出すな。公務は全てキャンセルしろ。今後は全て私一人で行く。クリスティエラ妃に与えた予算を七割削減し、その分を災害復興資金に回す」
「なっ…七割?!」
「それはいくらなんでも…!王妃殿下がお可哀想です!」
「公は先程、大災害による傷は未だ癒えていないと言っていたな。大災害を起こした本人が支援資金を出すのは当然ではないのか?地面から水は湧き出ても金は無限に湧き出るものではないことを、大地の神の加護を持つ聖女に教えてやるといい」
グリンフィールズ公は歯を食いしばって堪えていた。
その他の者も顔色を曇らせ、何と言って私に思い留まらせようかとおろおろしている。
お前達が彼女に不必要なほど膨大な予算を与え、そこから恩恵を得ていることはとっくに気が付いている。
ほとんど公務のないエリスに与えられた金額が彼女の予算の四割弱なのだから、七割減になってもさほど問題はないはずだ。
やましいことがないのなら。
「異論のある者は名乗りを上げて私を説得してみせろ。話は聞いてやる」
意外にも、次の演説者は挙がらなかった。
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