十の加護を持つ元王妃は製菓に勤しむ

水瀬 立乃

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たどり着いた真相

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「ああ、もどかしいわね…!」
「どんなお話をしているんでしょう?深刻な顔をしているようですが…」
「もしかしたらルフナさんの学校関連のことかも。試験で不正があったみたいだし」
「そうだとしても陛下自らが直接会って話を聞きに来るなんて怪しすぎるわよ!」

こそこそと会話を続けながら、彼らもパンケーキを注文する。
初めて入った店だったが、メニューにおすすめと書かれていたパンケーキがふわふわで感動した。
トッピングのホイップクリームもたっぷりで、添えられた果物も甘酸っぱく、いつの間にか目的を忘れて舌鼓を打っていた。
席を立った二人の姿を目にして我に返り、慌てて店の外に出る。
二人は店から少し離れた道の端で別れの挨拶をしていた。

「今日は付き合ってくれて感謝する」
「俺も話ができてよかったです」

そ知らぬふりで通行人を装いながら会話がぎりぎり聞こえる距離まで近づき、雑貨店のショーウインドーを眺めているように見せかけて耳を欹てる。
そうしている内に支払いを済ませた一人が合流した。

「でももう家には来ない方がいいですよ。あなたのことがこの辺りで噂になっていますから」
「そうなのか?」
「いかにも訳ありって感じの男性がホワンの店主の家に押しかけているんです。母様も返答に困るでしょうし、手紙に切り替えた方がいいと思います」
「…彼女を困らせたくはない。だが今の状況で返事をもらえるとは…」
「その時は俺がせっつくので大丈夫です。母様の状況もお知らせします」

その言葉を聞いた陛下が子どものように瞳を輝かせる。
あの氷のような男がこんなに嬉しそうな顔をしたところなんて一度も目にしたことがなく、彼らは驚きに息を呑んだ。

「すまない…。私の問題にこれ以上君を巻き込みたくはなかったんだが…」
「俺の問題でもありますよ。両親の仲が良いと俺も嬉しいですから」
「そうか…」

彼は安堵の表情を浮かべている。
両親というのはどういう意味なのだろう。
二人の声色からして冗談を言っているようには聞こえない。

「それじゃ、気を付けて帰ってください」
「ああ。よければまたこうして会おう。ティアをよろしく頼む」

王宮へ戻っていく陛下を姿が見えなくなるまで見送って、彼らは顔を付き合わせた。

「ルフナさんって……僕と兄弟ってこと…?」
「もしかしたら陛下の隠し子なのかも。私の問題って言っていたし」
「でも妙ですね。ティアってどなたのことでしょう?名前を間違えただけでしょうか?」
「…そうよね。それならステアを頼むって言うわよね…」

女性の勘は時に鋭く、エリスはたったこれだけの情報である一つの真実にたどり着いた。

「もしかして…ステアはティア王妃……?」
「ティア王妃って、二十年前に事故で亡くなった最初の王妃様のことですか?」
「ええ。彼女の前では性格が変わると噂される程に陛下が溺愛していた女性よ。未だにクリスティエラを王妃と認めないのは彼女に義理立てしているからだと聞いているし。もしかしたらステアはそのティア王妃なのかも知れない。彼女は死んでなんかいなかった。生きていたんだわ…!」

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