荒ぶる世界の最果てダンジョン~村娘、姫騎士、女神官。みんなエロトラップに引っかかってアヘ顔Wピース!からの踊り食い~

櫛名月

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35 逃避準備完了

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 薬瓶が割れないよう、湊は注意をはらって丘をくだっていく。

 兵たちのテントや備蓄庫、天幕などいたるところで火の手があがり、後方支援部隊の兵たちが消火活動とグレムリン撃退に奔走している。

「ヤバいな、人が集まってきている」

 早足で進んでいると、前方から鎖帷子で身を固めた五人の男女が、周囲を警戒しながら近づいてくる。

(グレムリン撃退班かなにかか? それにしてはおかしいな。前線の兵士のようにも見えるが……)

「おう、そこの傭兵!」

 鎖帷子の男が声をかけてきた。湊は立ち止まる。

「どうした? 俺は急いでるんだが……」
「ああ、消火か。まったくこんなときに魔族の奴らめ……」
「ん? こんなとき?」
「ああ、悪い悪い。実はな、サミュエル王太子殿下の命で、ある男を探している。その男はあろうことか、サミュエル様のご婚約者であられるエメラルダ様の暗殺を試みたあげく、エメラルダ様の側近、メリエール様を連れ檻から脱走したらしい。歳はちょうど、キサマと同じくらいだな。名前は――」

「ツバル、ミナトです」

 別の兵士が助言する。

「おお、それだ。で? キサマはそのような男を見かけなかったか? 若い女魔道士でもいい。灰色の髪と瞳の色をしているから、見ればすぐにわかる」
「そういうことか」

 他人事のように、いつもと変わらない様子で湊は答え、

「他のヤツらにも教えておくよ。ところで、発見者には報酬が出るのか?」
「がめついヤツだ。もちろんだ。じゃあよろしく頼んだぞ」

 互いにその場から離れていく。見渡せば、どこかしこに捜索隊がいて、兵士たちのテントの中を覗きまわっている。

(状況的にヤバいな……。メリエール、見つかるなよ)

     §

「おいおい、なんでこんなところに魔族がいるんだ?」
「しかも若い女の獣人だ」
「へへ。こんなところで何してるのかなあ? クソ魔族のお嬢ちゃん」

 捜索隊に見つかったメリエール。
 二人の王国兵が薄暗いテントの中を覗き込んでいる。
 テントの中は狭く、座った状態でメリエールは奥へと後ずさりする。

「すっかり怖がっちゃって可愛いじゃねえか。人間じゃないのが勿体ねえ」
「それ以上、近づいたら……魔法で攻撃するよ? いいの?」

 男たちは互いに顔を合わせ、ぷっと吹き出す。

「魔法だってよ。いいぜ? やってみろよ。だがな、やった瞬間、まわりにいる俺たちの仲間が黙っちゃいねえぞ?」
「ボ、ボクをどうするの?」
「そうだなあ、どうせ殺されるんだ。その前に、いただくとするか?」
「いいねえ。久しぶりの女だ。獣人マンコ、じっくり味わおうぜ」

 男たちがテントの中に入り込んでくる。

「いやだ、近づかないで!」
「取り押さえろ!」
「やめて!」

 飛びかかってきた男に対し、メリエールが咄嗟の蹴りを入れる。
 男の顔面に蹴りが入り、男は鼻血をだした。

「なにやってんだよ、お前。俺が先にいただくぞ」

 目に大粒の涙を浮かべるメリエール。

「……たすけて……誰か……。アーシェ、姫さま……」
「いっちょまえに助けてだってよ。こんなところに誰も来やしねぇよ。おら!」

 もう一人の男が覆いかぶさる。

「すっげえぞ、こいつ。いい乳してやがる。いまひん剥いてやるからな」

 男が自分のズボンをずりおろす。

「いやだっ! 助けて!」
「へへ……その顔、たまんねえぜ」

 メリエール――。

 そう名前が呼ばれた気がした。
 最近、友だちになった男の声。

「みなとくん……」
「あ? みなと? もしかして、お前のカレシ?」
「オークのか?」
「ぎゃははは! そりゃあいい。じゃあ俺がそのオークになって、ブヒブヒ言わせてやるよ!」
「おとなしくしろ、ビッチが! おい口を塞げ!」

 腹の上に跨がり、メリエールの両手首を押さえつけていた男が、鼻血の男に指示を出す。

「いや! 助けて! 湊くん湊くん! 湊くん!」
「うるせぇ!」

 男がメリエールの頬を叩いた。

「あっ!」

 驚きと恐怖の混じった声をあげる。
 叩かれて熱くなった頬を、少女の涙がつたう。
 男がメリエールの服を脱がそうとした、その時だった。

「うげっ!」

 少女の口を塞ごうとしていた鼻血男がメリエールの視界から消えた。

「おい間抜け。死にたくなかったらすぐにそいつから離れろ」
「その声……湊くん?」

 涙声のメリエール。

「なに? そいつがミナトだと? 人間じゃないか。ははあ、もしかしてこの魔族の女、お前の奴隷か? 俺にも味合わせろよ」

 少女に跨ったまま、男がニヤニヤと舌なめずりする。
 湊は鼻血男の脇腹をナイフでスッと突き刺した。

「ぐふぅ!」

 鼻血男は苦しそうにしゃがみ込んだ。
 湊は鼻血男から剣を奪い、

「動けるだろ? ここから立ち去れよ」
「く、くそ……」

 抵抗する様子もなく、よろけながらも鼻血男は遠ざかって行った。

「あ、おい! 待ってくれ!」

 残された男がメリエールから離れる。
 急いでズボンを履き直そうとするが、湊の怒りの形相に男はあせり、まずはこの場から逃げようとぴょんぴょん飛び跳ねる。
 しかし、湊はただで逃げることを許さず、剣をすっと一振りした。
 男の太ももから一筋の赤い線が走り、遅れて裂けて血が大量に流れだす。
 男の顔は恐怖でゆがみ、血の気を完全に失っていた。

「わ、わるかった。た、たすけて。どうかこのとおりだ。ころさないで……」

 尻もちをついて、あとずさりし外に出る。

「その子もそうやって、お前に懇願したんだろ? だが、お前は無抵抗の女の子になにをした? 止めたか?」

「そ、それは……ほんの出来心だったんだ! なあ、頼むよ見逃してくれ! 俺は故郷の家族を養わなければいけないんだ。わかるだろ? それにその女はただの魔族だ。そんなに怒ることないだろ? な?」

「クズだなお前――」
「あ……」

 男の腹に剣が喰い込んだ。

「グァ……やめて……」

 だが、それは致命傷にいたるものでもなく――、

「去れ」
「ひっ!」

 男は腹を押さえ、なん度も転びながら立ち去って行った。

「湊くん!」

 テントに戻るとメリエールが抱きついてきた。

「メリエール……遅くなってごめんな。怖かっただろ」

 抱きしめ返す。

「うん……」

 頭を撫でてやる。

「でも嬉しい。湊くん、助けに来てくれたから――」
「そうだな。それでだな、メリエール。薬を取ってきたぞ」
「……あ、ありがとう。ボク、人間の姿にならなきゃだね」

 えへへと嬉しそうに、はにかみながら彼女は泣いている。
 まだ赤みが残っている頬を湊は優しく撫でてやると、

「湊くん……」

 また、少女は強く抱きしめてきて、湊の胸に顔をうずめる。
 それから、少女はなにかをつぶやいたが、湊の耳まで届かなかった。
 ただ、狼の尻尾が嬉しそうに揺れていた。

     §

 一〇分後。
 湊はこれまでに起きたこと、知り得た情報をメリエールに伝えた。
 グレムリンがいま、本陣を荒らし回っていること。
 シェトワール、フランソワ、カリーヌの侍女三人と出くわしたこと。ただし、エッチな件については省略!
 サミュエルが捜索隊を送り出して、湊とメリエールを探し回っていること。これに関しては、メリエール自身、いましがた捜索隊の男たちに襲われたことで、身をもって知ったので把握済みだ。

 メリエールは新しい服に着替えていた。
 その服は湊が大天幕から適当に拾いあげてきたもので、誰のものかはわからない。
 メリエールによれば、その服はフランソワとカリーヌが着ていたメイド服とは別に支給される侍女専用のもので、長袖のワイシャツとズボンからなる、シンプルな軽装備の戦闘服である。
 ただ、胸がキツイらしく、ボタンをいくつか外している。
 ズボンも七分丈みたいな感じになっており、尻尾を出すためにお尻の部分に穴を空けてある。

 本来の持ち主は、小柄な女性のようだ。
 そう思った矢先、

「あ、この服。アーシェのだよ――」
「そうなの? でもなんで、その服がアーシェのだってわかったんだ?」
「匂いだよ。獣人の姿に戻ったから鼻がすこし利くようになったんだ。だから、かすかに残っていた香水から、アーシェのだってわかったんだよ」
「なるほど」
「ねえ? 湊くん、これでいい? 背中、変じゃない?」
「どこかに、お出かけするわけじゃないんだし、格好なんか気にする場合か?」
「気にするよ。こうみえてボク、女の子なんだよ? それに――」

 急に声が小さくなり、

「好きな男の子の前でおかしな格好なんて、できないよ……」
「え? いまなんて?」
「あわわ。なんでもないよ! ただのひとり言」
「まあいいや。それより薬は飲んだのか?」
「うん」
「そうか――」
「……じっと見つめてどうしたの? どこか、おかしいところあった?」
「いや。いつ人の姿に変身するのかなって」
「すぐには変わらないよ。効果がでるの、だいたい一時間後だと思う」
「一時間? じゃあ、ここでじっとしているわけにはいかないな。いつ奴らと出くわすか、わからないし」

 奴らとはもちろん、捜索隊とグレムリンのことである。
 外に出ると、近くに人影はなかった。
 繋ぎ止めていた馬まで二人は走って、湊はメリエールを先に乗せる。
 それから、メリエールが着替え前に着ていた服をサドルバッグに詰め込む。
 最後に手綱を柵から外して、メリエールの前に座る。
 メリエールは鍔広のトンガリ帽を頭にかぶり、狼の尻尾を片手で抑える。杖は着脱式の肩紐が付いているので、肩に背負っている。

「どこに行くの?」

 歩き始めた馬の上でメリエールが問う。

「丘をおりて、城塞の方へ行こうと思う」
「え? 城塞って、いまみんなが戦っているところだよ。危険じゃない?」
「どこにいても危険だ。だったら、戦っているやつらの中に紛れ込んだほうが目立たないだろうし、捜索隊も戦場の中を探しまわるのは、ためらうだろうしな」
「そういうことなんだね。でも、ボク怖い……」
「お前、よくそれでエメラルダの側近が務まるな。まあ、俺のそばから離れなければ大丈夫だ」
「うう……ひと言よけいだよ。……でもうん。ボク、離れない――」

 背中越しに、メリエールの柔らかな乳房の肉感が、むにゅっと伝わってきた。

「くっつきすぎだ。そんなんじゃ、まわりが見えないぞ。いいか? 移動中は周囲に目を配らせるんだ。それでなにかあれば、知らせてもらえると助かる」
「あ、そうだね」
「よし、いくぞ」

 馬は速度をあげ、戦場のまっただ中へと駆けていった。
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