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ダンジョンからの脱出 ①

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 部屋を出る事にした、アイテムBOXの中に本棚にある本全部、日記、研究資料、記録すべて入れる。

帰る方法を見つけるには、何がヒントになるか分からないからな。

「ハッカー出れるか?」『ああ、OKだ』

ドアを開けて部屋を出ると、たくさんのドアと共有スペースが有った、どうやらここでみんな暮らしていたらしい。

ドアを開けて見るが、たいした物はない、他も変わらなかった。

共有スペースの奥に階段が有るので上がって行くとドアが有った、開けて見ると洞窟内らしい景色が、広がる。

 そう言えばダンジョンの中だったな。
『相棒、どうかしたかい?』
「俺はアキでいいよ」
『OK、アキ』
「ハッカー、ここはどういう所か分かるか?」

『大体の事は、オレ達はアキのスキルだ、アキのレベルが上がればオレ達の性能も上がる』

「なるほど」
『ここは、奥に上り階段1つ、までだな。』

〈私にもいわせて〉 『ああ』
『生物はいないわ』

「分かった、有り難う」

まだ、玄関みたいな所か。外に出れた事で冷静になれた。

おそらくここは、ダンジョンの最下層だろうし、魔物のレベルも高いに違いない。

改めて自分のステータスを見てみる。

魔法を1つも覚えていない、このままではハッカーと卑弥呼さんがいてもきつい事になる。

腹も減ったし、俺は一旦、共有スペースに戻ることにした。

〈ねえ、ハッカーお話が有るの〉
〈改まってなんだ〉

〈私達は、アキの役に立ちたいって気持ちは同じよね〉

〈その通りだ〉

〈これから先、スピーディーな対応が必要になると思うの〉

〈そうだな〉

〈だから、アキに呼ばれた時以外は、いちいちお互いにやり取りしないで、お互いに判断して何か出来る方が表に出る事にしない?〉

〈それはいい考えだ、そうしよう〉
〈分かってもらえて良かったわ〉


ここは、みんなで食事をする所の様に見える、将棋盤程度の台の上に直径30cm位の魔法陣の上に魔石みたいのが置いてある。

「ハッカー何か分かる?」
『水を出す物だな』
「どう使う?」
『魔石を触ると発動する』

触ってみると、ソフトボール大の水球が空中に現れた、いちおう鑑定してみる。

[水]、だよね、手ですくって飲んでみた、うまい。
残りは、時間が経ったら消えて無くなった。

食べ物はないかと、辺りを見回すとテーブルの上に箱が有るので覗いてみると、中の物が頭の中にに浮かんで来る、マジックボックスみたいだ。

パンとりんごみたいな物、肉を出す、肉は生なので戻した。
パンとりんご(味は似ている)を食べて腹を満たす。

腹が膨らみ、良く考えたら、俺の2次元転移でも部屋から出れたかも。

これは少しやれる事を確認してからだな。

「卑弥呼さん、相手を攻撃出来るスキルをもっと詳しく知りたいんだけど」

『良いわよ』

『行動不能はそのままの意味ね』

麻痺みたいなものか。

『呪殺は相手との力関係で成功率が決まるわ、アキのレベルが高いほど有利ね。ただし、魔力消費が激しいから乱発出来ないわよ』

『そして私が感知出来る所なら離れていても出来るわ』

「分かりました」

『絶魂は、精神破壊の事ね、これの弱点は脳が発達して無いもの、虫とか知能が低い者には効果が低いわ』


なるほど。

『幻影は集団催眠みたいな物、いろんな物をみせて恐怖心を与える事も出来るし、カモフラージュも出来る』

『憑依は、相手にのりうつる事で自由に動かす事が出来る。これも相手との力関係によるわ』

「やっぱり、どれも凄いですね」

『ふふふ』


「では、ハッカーお願いします」

『OK』

『認識出来た相手なら、30m以内なら相手のスキルをダウンロードして使う事が出来る、登録すれば自分の物に出来る』

『今は登録出来る数は10個までだ、もちろん消去も出来る、必要なやつと入れ替え自由だ』

『相手にウイルス注入すればスキルや魔法術式をいじり使用不可に出来る、もちろん魔力はその都度消費するぞ』

『後は、解析だな、これは鑑定の上位スキルと考えてくれれば良い』


「有り難う、2人とも」

残るは俺だけか、アイテムBOXから魔法属性理論を取り出す。

異世界に来てまで勉強するとは思わなかった。

先ず、俺のステータスには属性表示が無い、どう言う事かな。

属性は火·水·風·土の事で、ステータス表示が無いのは、非属性だからだ。

非属性は、光·闇·氷·雷の事で魔法を使用する事で、熟練度が上がるらしい。

魔法の威力は、魔法レベル×使用魔力量×熟練レベルで決まるらしい。読み疲れたので休む事にする、昼・夜は分からないが、空いてるベットで寝るか。

良く見ると、ここには、風呂も有るし、調理台なども有る、全部揃ってるみたいだ。

風呂に入って寝る事にした。

浴槽の横に2つ魔石が並んでいる、右を触るとお湯が出た。
軽く中を流し、お湯を貯めて入った。

今日は、寝る事にする、「おやすみ、卑弥呼さん、ハッカー」

『おやすみなさい、アキ』『ああ、おやすみ、アキ』



ぐっすり寝た、朝飯も食べた、頭も冴えてる、良し、外で魔法を試して見るか。


けっこう広いので練習場に丁度いい。

まずは闇魔法から、魔法レベル3で魔力50にする。

体の中心に魔力の球イメージし、その球がボールベアリングの球の様に回りながら腕を通り、手の平に集まる様に意識する、そして念じる『ダークバレット』

手の平から、野球ボール大の黒い球が20m先の岩壁に当たった。

球は、[ズゥン]と壁に当たり次の瞬間フォローポイント弾の様にはじけ、深さ2m直径4m位の穴が空いた。

それから俺は、色んな種類の魔法を練習した、それぞれ熟練レベル4までになったが、それ以上は上がらなかった、ここが、最初の壁の様だ。

しかし、これでギリギリのレベルでも、ここを出る準備が出来たと思う、来てから10日が経っていた。


アイテムBOXに、時計、水と火の魔道具を入れ、マジックボックスから食べ物を適当に放り込む、今度こそ、ここを出るのだ。


最後にフェデスさんの所に行って、お別れのあいさつをしよう。

改めて、フェデスさんを見ると右手に指輪を2個している、とても凄い物の様だ。

鑑定してみると、知力の指輪と賢者の指輪だったが、俺の鑑定では、効果が分からない。

「ハッカー分かるかい?」

『知力の指輪は、魔力の消費量30%減、賢者の指輪は一歩、あるくたびに魔力が10回復する』

「欲しいけど、ちょっと怖いな」

『私が、おはらいしてあげようか?』

「そう言えば卑弥呼さん巫女さんでしたね、お願いします」

『では、…………う~ん、アキに称号付けた時に、安心して成仏しているわ、もらっても大丈夫よ』


「そうなんだ、ではフェデスさん、失礼します」
俺は指輪をもらい、左手の人差し指と中指にはめた。

じゃ、フェデスさん、行って来るぜ、あなたの望みを叶えられるか分からないけどな。

魔法の練習場にしていた玄関に出て、ダンジョンに出る為のドアの前に立つ。

「ここは開くのかい?」
『中からは、開くようになってる』

「じゃあ出るか、卑弥呼さん、ハッカーよろしく頼む」
『任せて』『あいよ』

さあ、ダンジョン脱出だ。

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