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王都ヘ ②襲撃

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 街道に出ると、馬車の脇にパーティーの人達がつく、今回はみんな馬に乗っている。

馬に乗れないのは俺だけだ、習わねば駄目だな。

しばらくして、伯爵が口を開いた。

「ダンジョンでのパーティー殺しの件は、メルクから聞いているが、簡単に動けない事は、君も解るね?」

「はい、国と国との事になりますから」

「うむ、それと今回の献上の事だが、君に対して良い感情を持たない者もいる」


「私が国王を、利用しようとしている」

「そうだ、特に政務担当のザディール公爵は、王家の中でも昔から陛下と仲が良く、そう言う事にはうるさい」

「陛下は、どの様な御方ですか?」

「全国に散らばっていた、多くの種族の獣人を、一代でまとめあげた初代獣王ダレイラント様にそっくり、と言われるだけあって豪快な御方だ」

「そうですか」

「人を見る目はある御方だ、洒落もきくので、もしかすると試されるかもしれんぞ。アキ君?」

「う~ん」

「今さら何を心配しているのです、アキ様?」

「メルクさ・・様、そう言わないで下さい」

「ふふふ」

『アキ、お客様よ、数100以上は入るは、人も何人かいるみたい』

『グレートウルフが110頭とティマーが5人盗賊が15人てとこだ』

「メルク様、グレートウルフが110頭、盗賊20人こちらに向かっている様です」

「何ですって!父上」「うむ、行って来なさい」

「アキ様、どのくらいで、こちらに?」

『だいたい5分よ』「5分くらいです」

「ミリ、グレートウルフの群れと盗賊が後、5分程度で来る。前の馬車に知らせろ」

「はい」

「メルク様、どうするのです?」
「馬車の馬を外して迎えうつ」

「馬に2人乗れませんか?」

「なんだ、乗れないのか。しょうが無い奴だ、後に乗れ」

「セシルは、伯爵をお守りしろ」

「はい、ご主人様。私の命に代えてもお守りします」

「では、行くぞ、しっかりつかまって」

「うわっ、と」

むにゅ、ん、むにゅ、って何?柔らかいし気持ちいい。

「バカ!どこを揉んでいるのです」

ハッ、おっぱいだ。「す、すいません」

「もう、行くぞ!」


焦ったなでも、ふっ、ふっ、ふっ。

『アキ、来るわよ』

おっと、さて、どうする。

盗賊に話しを聞きたいので、黒焦げの炭にする訳にはいかない。

レベル下げて魔力を練る事をしないで量を5くらいでいいか。

「ライトニングウェーブ!」

[バリッ、バリバリバリバリ、ドゥーン]

「えっ、どうしたの?何?」





「ミリ、どこにグレートウルフがいるのよ」
「メルク姉さんがそう言ったのよ」

「あの辺に固まって、倒れているのがそうでござらぬか?」

「あ、ほんとだ。人もいる、みんなピクピクしてる」



「パミールのスタンピードの時は、やっぱりアキの仕業だったのだな」

「分かっちゃいます?」

「当たり前だ」


「そんな事より、盗賊を捕まえて話しを聞きましょう」

「そうだな」

「ご主人様、お帰りなさい」
「ああ、ただいま」

「メルク、早いではないか、間違いだったのか?」

「父上、やっぱりアキは、とんでもない男です」

「これ、メルク、言葉使いが戻っておるぞ!」
「うっ」

「伯爵、グレートウルフは全て倒し、盗賊は、捕えました」

「まことか?」
「はい、本当です父上」

「どれ、どんな奴らか見てやるか」

「バリオス殿、お怪我は」

「何も無いですよ。しかし、私達を襲うとはとんでも有りませんな」

「こいつらか、起きんか!」

「う、うう」

『誰かに頼まれた見たいね』
『マグラの手下?』

『それは分から無いわ、こいつらも知らないと思うわ』

「まだ、しゃべるのは、無理の様ですね」

「手間をかけさせおって。この辺は、誰の領地ですかな?」

「確か、ゴベル男爵ですな。近くに屋敷が有ったはず」

「ロベルト、男爵の屋敷に使いに行ってくれ。盗賊の回収を頼むとな」


「はっ、かしこまりました」


「しばらく休憩としますか。それにしても、この数のグレートウルフと盗賊を簡単に仕止めるとは、ジュノの冒険者は優秀ですな」


「俺達なにもしてないけどな」
「私達もよ」


「メルク姉様、このグレートウルフどうするの?」
「毛皮がもったいないで御座る」

「仕方無い、盗賊の回収者が来るまで、出来るだけはぎ取っておけば」

「いらない所は俺が燃やしますからね。言って下さい」

「ありがとう、助かるわ」

冒険者、全員ではぎ取っていく。


いらない所は、一ヵ所に集めて【ダークストームヘルファイヤー】で燃やし尽くす。

都合良く、終わった時に馬車が来た。


「バリオス様、エディンバラ伯爵様」

「おお、ゴベル男爵、わざわざ貴殿が来なくとも」

「そうは参りません、挨拶せずに済ますなど出来ませぬ」

「すまぬな、手数をかける」
「何をおっしゃいます、お任せ下さい」

「では、先を急ぐゆえ、頼むぞ」

「かしこまりました。どうぞお気をつけて」



「さて、急ぐとしますか。今日中に、デミィトリスタの街につかなくては。」

「さ、出発せよ!」



        ☆☆☆☆☆



くそ、役立たずな連中だ。


「ゴベル殿、首尾はいかがでしたかな?」

「どうもこうもない、あんな役立たずを寄越しておいて、ふざけるな」

「あら、失敗しましたか」

「何を呑気な事を言っている。どうする気だ」

「焦らず次の手を考えましょう」


ーーーーーーーー

「若様、どうやら失敗した様で御座います」

「やはり、あのような者達ではダメだったか」

「それでは、専門家の手配を進めとう御座います」

「ああ、私達が直接うごくのは不味いからな」

「では、その様に」




        ☆☆☆☆☆


デミィトリスタの宿は高級ホテルの様な所だった。

さすが貴族の泊まる宿だ、風呂も広いので疲れもとれる、などと考えながら湯船でゆったりしているとお客さんが来た。


『続き見たいね、2人よ』
『暗殺のスキル持ちだ』
『他の人達の所には?』

『ここだけよ』

始めっから、俺だけが狙いだったか。

『頭の中の情報見てみるわ』
「頼む」
『お出ましだ』

2人の刺客が風呂場に入って来た、日本のお祭りで売っている様なお面を着けている。

「やあ、いらっしゃい」

「ふん、たいした余裕ね」

女か?「何の用かな?」

「黙って宝珠を渡しなさい」

「断ったら命は無いよな?」
「当然ね」

『やっぱり、雇われただけで依頼主は知らないわ』

「大人しく帰った方が良いと思うが」
「バカね」
「やれやれ」

2人の意識が無くなり倒れこむ、裸にして縛りあげてお面を取って見るとけっこう美人だ。


『この2人どうするの?』
「放って置くさ」
『次が来るかもな』
「コイツらのボスに会って見るのも良い」

『面白いわね』
「だろ」


この後は、静かなものだった、次の日には問題なく出発する事が出来た。

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