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やっちまったな!
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改めて見ると荘厳な感じの神殿だ。
「さあ、入るぞ」
『ああ、分かった』
中に入ると直ぐに声がかかった。
「またあなた達ですか、今度はどの様なご用件でしょう?」
「この前は王女様とは知らずに大変失礼を致しました。本日は、お詫びとお礼を申したく伺いました。どうぞこれをお納め下さい」
小さなミスリルで出来た箱の蓋を開け、エリクシール王女に見せる。
オリハルコンで細工され、エルフの女性が最も好むと言われているブラックオパールが嵌め込まれた、エルミタージュの指輪だ。
『うわぁ、なんと美しい輝き。しかも大きく、オパールの中の模様も神秘的。フフ、この男、なかなか見どころがあるではない…………セシルと言う娘にエメリューズ様の加護が、信じられん。やはり砂の民と言う事か』
「そ、そうか、エルフのしきたりでな、指輪は贈る者がはめてあげる物なのだ。そなた頼むぞ」
俺の前に美しい白魚の様な手が差し出された。
しきたりではしょうがない。くすり指は不味いので、人差し指にはめてあげた。
「では失礼致します」
「シェレーニア様のご加護がありますように」
「ご主人様は、王女様の事が好きなのですか?」
「何で?」
「エルフの国では、人差し指に指輪をはめるのは、[貴女をお慕いしています]と言う意味です」
「え~っ」
『アキ、やっちまったな』
『テンプレと言うよりは異世界あるあるね』
「まさか本気にして無いよね」
『判らないわよ』
☆☆☆☆☆
「ウフフ」
☆☆☆☆☆
「そう言えば、エルフのダンジョンの事は何も知らないな」
『ギルドで聞くのが良いんじゃない』
「そうするか」
ギルドの中はけっこう混んでいた、特に精霊石を換金する窓口が混んでいる。
「ここのダンジョンの事を聞きたいのだが?」
「かしこまりました。では……」
「サオリン君、私が説明しよう」
「ギルド長!……お願いします」
「それではこちらに」
ギルド長室に案内された。
「なぜ、この様な?」
「エリクシール王女様から連絡が有りまして。私の知り合いが行くのでよろしくと」
『やっぱりあの女、食えないぜ』
『アキ、ロック・オンされたのかしら?』
うう、背筋に冷たい物が。
「何をお聞きになりたいのです?」
「一からお願いします」
「分かりました。ダンジョンの階層は地下20階で攻略された事がありません」
「20階なのにですか?」
「いえ、正確には王女様以外はいない。ですね」
「なるほど、そう言う事か」
「これだけで理解されますか」
「ええ、まあ。場所は?」
「場所はここから西に行ったサラスティの街の近くです」
「分かりました。ありがとう御座います」
「シェレーニア様のご加護を」
「あの遺跡と同じ感覚だな」
『そう考えて良いだろう』
『セシルが砂の民と知って加護を授けてくれたのね』
「意地悪はしないで公平だな」
『ふん、少しは見直してやるか』
「食事のついでに馬車の確認に行って見るか。セシルいい店有りそうか?」
「あそこに牛さんの看板が有ります」
「入って見るか」
各テーブルに魔道具が置いてある。フェデスさんの所にあったやつに似ている。
「これって焼肉かしゃぶしゃぶみたいだな」
『絶対、召喚者だな』
焼肉コースにした。
「けっこういける。どうだセシル、口に合うか?」
「タレが甘くて美味しいです」
久しぶりなので食いすぎた、ビールが無いのが残念だ。どうせならそこまで面倒を見て欲しい。
サラスティ行きの馬車は午後イチで出るのが有ったので貸し切りにする、街を1つ経由して2日かかるそうだ。
「エメリューズ様は確か、セシルが[これは]と思う精霊石って言ったよね?」
「はい、そう仰っていました」
『フィーリングが大事って事かしら』
「確かに必要だね」
ケルトの街に一泊して夕方にサラスティに着いた。
街中は結構にぎやかだ。ダンジョン攻略よりも、そこそこの精霊石で金儲けをする連中が多い様だ。
そのお陰で、飲み屋街も充実しているし遊ぶ所も華やかで、元の世界の海外にある歓楽街[飾り窓]みたいだ。
「ご主人様、あの女の人達は何であんな狭い所に入っているのですか?」
「う~んとね、それはね、え~と……ハッカー助けてくれ」
『それは卑弥呼姉さんに聞いてみよう』
「卑弥呼さん、どうしてですか?」
『それはね、男の人を誘ってSeXをしてお金をもらう為よ』
うわっ、ど真ん中のストレート勝負!
「SeX?」
『それはご主人様に聞いてね』
俺に戻って来た。
「それはね、ベッドで男女が仲良くする事だよ」
「それじゃ、ご主人様と私がいつもしてる事ですね」
「う、うん」
『プッ』
『ククッ』
「さてと、宿を決めないと」
「あの猫の看板が可愛いです」
猫族の人がやってるのかな?
「いらっしゃい、この宿に人族とは珍しいにゃ。獣人が気にならないのかにゃ」
「別に、猫族の友達もいるし、パーティーも知ってる。風呂付きで取り合えず10日頼む、前金で払うよ」
「分かったにゃ、銀貨100枚にゃ。2階の奥にゃ」
「ありがとう」
部屋を確認して夜の街に繰り出す。
飲み屋も安い所から高級店とピンキリだ、せっかくなので高級店へ行く。
いい雰囲気の店だ、一昔前の映画に出てくる銀座のクラブ感がある、ホステスはいないが。
「落ち着いて飲むのも久しぶりだ」
『アキ、隣の客が面白そうな話しをしているわ』
耳をすます。
「ねえ聞いた、[金貨の虎]の人達10日も帰って来ないらしいわ」
「あいつら、精霊石で荒稼ぎしてたから精霊に連れて行かれたんだぜ、きっと」
「盗賊でも出たか?」
『オレの考えではおそらく、偶然に正しい道を選んでしまったと思う』
『それで真のダンジョンに転移して、魔物に殺られて戻って来れないのね』
『その通り』
「今まで結構いるんじゃないの。ある意味で怖いダンジョンだな」
『そう言う事を全て含めた物がダンジョンだからな』
「厳しいな」
『旨い話しには裏がある。と言うわけね』
「セシル、何杯目?」
「3杯目です」
「それ飲んだら帰ろうな」
「はい、帰ってご主人様とベッドでSeXです」
「ぶっ!」
『アキが本当の事を教え無いからよ。ヘタレなんだから』
はぁ、明日も頑張ろう。
「さあ、入るぞ」
『ああ、分かった』
中に入ると直ぐに声がかかった。
「またあなた達ですか、今度はどの様なご用件でしょう?」
「この前は王女様とは知らずに大変失礼を致しました。本日は、お詫びとお礼を申したく伺いました。どうぞこれをお納め下さい」
小さなミスリルで出来た箱の蓋を開け、エリクシール王女に見せる。
オリハルコンで細工され、エルフの女性が最も好むと言われているブラックオパールが嵌め込まれた、エルミタージュの指輪だ。
『うわぁ、なんと美しい輝き。しかも大きく、オパールの中の模様も神秘的。フフ、この男、なかなか見どころがあるではない…………セシルと言う娘にエメリューズ様の加護が、信じられん。やはり砂の民と言う事か』
「そ、そうか、エルフのしきたりでな、指輪は贈る者がはめてあげる物なのだ。そなた頼むぞ」
俺の前に美しい白魚の様な手が差し出された。
しきたりではしょうがない。くすり指は不味いので、人差し指にはめてあげた。
「では失礼致します」
「シェレーニア様のご加護がありますように」
「ご主人様は、王女様の事が好きなのですか?」
「何で?」
「エルフの国では、人差し指に指輪をはめるのは、[貴女をお慕いしています]と言う意味です」
「え~っ」
『アキ、やっちまったな』
『テンプレと言うよりは異世界あるあるね』
「まさか本気にして無いよね」
『判らないわよ』
☆☆☆☆☆
「ウフフ」
☆☆☆☆☆
「そう言えば、エルフのダンジョンの事は何も知らないな」
『ギルドで聞くのが良いんじゃない』
「そうするか」
ギルドの中はけっこう混んでいた、特に精霊石を換金する窓口が混んでいる。
「ここのダンジョンの事を聞きたいのだが?」
「かしこまりました。では……」
「サオリン君、私が説明しよう」
「ギルド長!……お願いします」
「それではこちらに」
ギルド長室に案内された。
「なぜ、この様な?」
「エリクシール王女様から連絡が有りまして。私の知り合いが行くのでよろしくと」
『やっぱりあの女、食えないぜ』
『アキ、ロック・オンされたのかしら?』
うう、背筋に冷たい物が。
「何をお聞きになりたいのです?」
「一からお願いします」
「分かりました。ダンジョンの階層は地下20階で攻略された事がありません」
「20階なのにですか?」
「いえ、正確には王女様以外はいない。ですね」
「なるほど、そう言う事か」
「これだけで理解されますか」
「ええ、まあ。場所は?」
「場所はここから西に行ったサラスティの街の近くです」
「分かりました。ありがとう御座います」
「シェレーニア様のご加護を」
「あの遺跡と同じ感覚だな」
『そう考えて良いだろう』
『セシルが砂の民と知って加護を授けてくれたのね』
「意地悪はしないで公平だな」
『ふん、少しは見直してやるか』
「食事のついでに馬車の確認に行って見るか。セシルいい店有りそうか?」
「あそこに牛さんの看板が有ります」
「入って見るか」
各テーブルに魔道具が置いてある。フェデスさんの所にあったやつに似ている。
「これって焼肉かしゃぶしゃぶみたいだな」
『絶対、召喚者だな』
焼肉コースにした。
「けっこういける。どうだセシル、口に合うか?」
「タレが甘くて美味しいです」
久しぶりなので食いすぎた、ビールが無いのが残念だ。どうせならそこまで面倒を見て欲しい。
サラスティ行きの馬車は午後イチで出るのが有ったので貸し切りにする、街を1つ経由して2日かかるそうだ。
「エメリューズ様は確か、セシルが[これは]と思う精霊石って言ったよね?」
「はい、そう仰っていました」
『フィーリングが大事って事かしら』
「確かに必要だね」
ケルトの街に一泊して夕方にサラスティに着いた。
街中は結構にぎやかだ。ダンジョン攻略よりも、そこそこの精霊石で金儲けをする連中が多い様だ。
そのお陰で、飲み屋街も充実しているし遊ぶ所も華やかで、元の世界の海外にある歓楽街[飾り窓]みたいだ。
「ご主人様、あの女の人達は何であんな狭い所に入っているのですか?」
「う~んとね、それはね、え~と……ハッカー助けてくれ」
『それは卑弥呼姉さんに聞いてみよう』
「卑弥呼さん、どうしてですか?」
『それはね、男の人を誘ってSeXをしてお金をもらう為よ』
うわっ、ど真ん中のストレート勝負!
「SeX?」
『それはご主人様に聞いてね』
俺に戻って来た。
「それはね、ベッドで男女が仲良くする事だよ」
「それじゃ、ご主人様と私がいつもしてる事ですね」
「う、うん」
『プッ』
『ククッ』
「さてと、宿を決めないと」
「あの猫の看板が可愛いです」
猫族の人がやってるのかな?
「いらっしゃい、この宿に人族とは珍しいにゃ。獣人が気にならないのかにゃ」
「別に、猫族の友達もいるし、パーティーも知ってる。風呂付きで取り合えず10日頼む、前金で払うよ」
「分かったにゃ、銀貨100枚にゃ。2階の奥にゃ」
「ありがとう」
部屋を確認して夜の街に繰り出す。
飲み屋も安い所から高級店とピンキリだ、せっかくなので高級店へ行く。
いい雰囲気の店だ、一昔前の映画に出てくる銀座のクラブ感がある、ホステスはいないが。
「落ち着いて飲むのも久しぶりだ」
『アキ、隣の客が面白そうな話しをしているわ』
耳をすます。
「ねえ聞いた、[金貨の虎]の人達10日も帰って来ないらしいわ」
「あいつら、精霊石で荒稼ぎしてたから精霊に連れて行かれたんだぜ、きっと」
「盗賊でも出たか?」
『オレの考えではおそらく、偶然に正しい道を選んでしまったと思う』
『それで真のダンジョンに転移して、魔物に殺られて戻って来れないのね』
『その通り』
「今まで結構いるんじゃないの。ある意味で怖いダンジョンだな」
『そう言う事を全て含めた物がダンジョンだからな』
「厳しいな」
『旨い話しには裏がある。と言うわけね』
「セシル、何杯目?」
「3杯目です」
「それ飲んだら帰ろうな」
「はい、帰ってご主人様とベッドでSeXです」
「ぶっ!」
『アキが本当の事を教え無いからよ。ヘタレなんだから』
はぁ、明日も頑張ろう。
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