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エメリューズ様の提言

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 ここまで来る間に暇を見つけては、リンツさんのスキルアップをしてきた。

ユニークスキルは本に載って無かったので、これから要研究だ、リンツさんの魔法レベルは6まで上がった。

その上、魔力圧縮があるので爆発力、開放力が凄いのでびっくりだ。

装備も魔力効果をあげるため、緋色かね性で統一している。

「どんなのが来そう?」

『正体不明が500、クラーケンが1に船らしき物が2だな』

「正体不明って?」
『この世界での呼称が無い』

「元からいる魔物じゃ無い、と言うことか」
『人工物みたいね』

「誰かが造ったなら、帝国で決まりだな」

『土地が手に入らないから実力行使で来たか』
『そうか、ずうっと欲しいわけではいのね』

「何かをする間だけ必要って事か。そうはさせるかよ」


息を切らしてじいさんが戻ってきた。

港で働いている人達は避難したようだ。

「どのくらいの数なんだ?」
「500と一頭」

「そうか、しんどいの。お前達なんでまた来た?」
「もう一度、遺跡に行く」

「……なるほど」
「来ますよ」
「お、おう」

冒険者達も揃った様だ、40人はいそうだ。


「セシルとリンツさんは左側の浜に上がって来る奴らを頼む」

「「ラジャー」」

いつの間にか、ずいぶん仲良くなってるな。

「頭がカニの人間みたいのがやって来たぞ」

「不味そうです、ご主人様」
「食べちゃダメだよ」
「うう、気持ち悪いです。食べません」


「電気でしびれるかな?」
『大丈夫だろ』

「よっしゃ、ライトニングウェーブ!」

[バリバリバリュッ]

「では、私も、ファイアーサークル・ブースト!」

「じゃ、私も、ダークバレット!」

カニの焼けるいい匂いが漂い、カニ頭が次々はじける。

浜にいるカニ頭はセシルとリンツさん、冒険者に任せて海にいる奴らを殲滅する。

海の中はシュウシュウと湯気がたっている。

『クラーケンと船は逃げて行くな』
『あっけ無かったわね』

「お前の魔法を初めて見るが、滅茶苦茶だのう」

「浜辺の方はどうですか?」
「もうすぐ決着がつく」

セシルが残念そうにカニ頭を狩っている、食べれ無いのが悲しいのか?

他の冒険者もカニ頭は問題にしていない様だ、じいさんの言う通り決着が着きそうだ。

「また助けられたの」
「たまたま通っただけさ。後はよろしく」

「ああ、気をつけてな」


「遺跡なら記憶がハッキリしているから転移で行ける」

『その方が良いわね』

「ここで家を買って、そこから転移しよう」


転移によって遺跡に来た俺達は、あの部屋に入りエメリューズ様の前に呼ばれた。

「エメリューズ様の命により、精霊石を持って参りました。こちらで御座います」

「ほ~う……では、セシルひざまずくがよい」

「はい、エメリューズ様」


青白赤黒の光がセシルを優しく包み込む、精霊石が目の前から消えると同時に光もまた消えた。

「よいかセシル、我が命ずるまで精霊の力を使ってはならん」

「かしこまりました、エメリューズ様」

「アキ、そなたに尋ねたい事がある」
「はい、どの様な事でしょう?」

俺が返事をするとセシルとリンツさんの姿が消えた。

「そなたが目的を果たし元の世界に戻れるとして、その時セシルを連れて行く気か?」

「…………それは難しいかと」

「ならばセシルに居場所を造ってやる気はないか?」

「ぜひともそうしたいと思います」
「では砂の民の国を建国するがよい」

「えっ、何処にどうやってですか?」

「デブルグ帝国はいずれ消滅する事になるであろう」

「……帝国が消滅、エメリューズ様は未来を予見出来るのですか?」

「その様な事は我にも出来はしない。帝国が手にしている物はそう言う物なのだ。それ故、フェデスが封印したのだ」

「そうでしたか。その場所に砂の民を集めろと?」

「そうだ、そなたが礎を築いてやるがよい」
「かしこまりました」

「うむ、帝国が消滅した時に再び来るがよい」

俺はみんなの所に飛ばされた。

「ご主人様」 「アキさん」
「心配無いよ」

『あの魔石は相当ヤバイな』
『そうね』

「一旦セラヴィの家に戻って、これからの事を考えよう」

「「はい」」

ーー

小腹が空いたのでセシルとリンツさんが軽く食べる物を作ってくれている、いい匂いだ。


「さて、次はパネットで宝珠を採れば、宝珠に関してはリーチだが?」

『残りの1つはマグラから取るの?』

「……エメリューズ様の事を思い出してさ。マグラを倒して、はい終わりでは芸が無い」

『ではデジイト魔法国家のダンジョンを攻略した方が良くないか?宝珠が出るかは運だが、そこはセシルの幸運に賭けるか』

「私がどうかしましたか?」

セシルが焼きそばモドキを持ってやって来た、美味そうだ。

「セシルの幸運を分けてもらおう。と言う話しだよ」

「好きなだけどうぞ」
『ふふ、リンツさんも幸運は高いのよ』

「そうなの?」
『ああ、85%あるな』

「じゃあ、2人とも幸運の女神様だ」
「どうしたんです?」

「2人の作る料理は美味しそうだ。と言う話しです」

「たくさん食べて下さい」
「頂きます」

うん、美味い。醤油の焼きそばに近い。


「これからの予定だけどデジイトのダンジョンに行こうと思う」

「「はい」」

「帝国は通りたく無いので船でシーザルの港ザビークに行って、ゲストル王国からデジイトって感じかな」

今度は少し長い船旅だ。

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