無茶振り異世界召喚……授けるスキルは職業適性鑑定師、後は貴方に任せたわ〜偽りの預言者と神々の黄昏

ものぐさたろうの末裔

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胎動

なんて誤魔化そうか?

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 大会議室に円卓の如く丸く円の様に並べられた机に学長を始め教授やこの国のお歴々が座っている。

その円の中心に有る机の上には件の円盤があった。俺はその机の隣に立っている。

この雰囲気の中で説明するのか、嫌だなぁ。

「ではシン君、君には予めその円盤を時間は短いとはいえ預けてあったと思う。率直な意見を聞きたいのだが」

レイモンド教授の無茶振りから調査会が始まった。いよいよ落語の三題噺のように俺は即興で話を作らなければならない。

「俺はこの円盤から自分の魔力と似たような波長を感じます」

「波長だと?そんな物が出ていたら我々がとっくに解明しているわい」

「この円盤は無属性魔法の魔道具という事で意見が一致していると聞いていますが?」

「その通りだが」

「では皆様の中で無属性の方は?……いらっしゃらないのですね。

無属性ではないからこそ違和感を感じ無属性魔法だと思われたのでは?」

「うむ、その通りだ」

「俺は無属性です。そしてこの円盤に自分の魔力と同じ波長を感じる。ズバリ言いましょう。これは重力を発生させる魔道具です」

「な、何だと」
「聞いた事も無い」
「重力とはなんだ?」

「簡単に言えば重さを感じる力です」
「何を馬鹿な事を」

「俺が持っているこのペン、手を離せばどうなりますか?」

「ふん、床に落ちるに決まっているであろう」

「そうです、このペンが重さを感じるからです」
「誰だ、こんな間抜けを連れて来たのは?」

「では証拠をお見せしましょう」
「何だと、生意気な」

「どなたか力自慢の方で俺の言う"重さ"を感じてみたい方は?」

「よし、俺が受けよう」

冒険者の代表も来ていたようだ。なかなかの実力者なので何処かのギルド長かも。

「自分に強化魔法をかけてもらっても良いです。不味いと思ったら不味いと言ってください。直ぐに止めます」

「解った」

「では行きます」

重力と俺のマジックハンマーは原理は違うが効果は似ているので問題は無いはず。

出て来た冒険者の身体全体に力をかけて行く。悪いけど強化魔法はマジックインバージョンで無効にさせてもらった。

「くうっ、どうなっている」

更にパワーエネルギーを上げていく。

「なっ……」

冒険者バモスさんは床に膝をついた。そして堪えきれず両手をつく。もう少しで額も床に……。

「ま、不味い、解った止めてくれ」

「「「「「「おお~」」」」」」

「これが"見えざる神の手"と言うやつか」

どうやら俺の事を知っている人がいるらしい。

「どうでした?」

「た、確かに重さを感じると言うか、床に引っ張られる感じも有ったような感じだったな」


「この円盤が今のような事が出来ると……で、肝心の使い方は?」

「それは……」
「それは?」

「解りません」

解らんのかい?とツッコミはなかったが学長は机に突っ伏した。


これもよく小説に出て来る話なのだが俺は正解だと思っている。

「ですが見当はつきます」
「それはなんじゃ」

「この円盤単体では作動しないという事です」
「ふむ、ではどうすれば良い?」

「おそらく別の魔道具と組み合わせるか特定の場所でないとダメなのかと」

「なるほど、辻褄は合うな。それが何で何処かはさすがに判らんのだな?」

「そうです、まだ発見されていない魔道具か遺跡なのかもしれませんね」

「そうじゃのう………………シン君の考えは筋が通っている。また現時点では違うと言える根拠もない。したがって儂はシン君の意見を指示しようと思う。

この会は満場一致が原則じゃ、皆はどうかな?」


「よし、私も賛成しよう」
「私もだ」
「異議なし」

「シン君の考えに1番懐疑的だったガウス教授はどうかね?」

「……反論の根拠をこちらが示す事が出来ないのでは仕方あるまい。但し、あくまでも暫定的にだ」


満面の笑みを浮かべてレイモンド教授がやって来た。

「"見えざる神の手"の二つ名は伊達ではなかったな。良くやってくれた。感謝する」

教授も知っていたのか。俺も有名になったものだ。あまり嬉しくはないけども。


国王陛下には暫定的では有るが円盤は重さを感じさせる魔道具として報告される。使い方に関しては継続して調査が必要と言うことで収まり、極秘に安全な場所に移される事になった。


ーー

「何処に行っていたの?捜したのよ」
「急に研究室に呼び出されてさ」

「ふ~ん、大変そうね」
「何かあったの?」

「模擬戦の予選リーグの組み合わせが決まったの」
「そうなんだ」

学院で学ぶのは2年間だ。これは地球の学校に比べてかなり短い。その分内容は濃くなっている。

成績優秀なら卒業後の就職先は保証されたようなものだ。
国の各機関も必要な人材を見つける為、定期的に担当者が学院に訪れているくらいだ。

魔法学院が人工的に造ったフィールドでパーティ戦を行うのが1つの売りになっている。

個人的なスキル、魔法はもちろんの事、パーティ戦における統率力・状況判断能力・問題解決能力など正しい物の考え方ができなければならない。

もちろん全てが秀でて入れば言うことは無いが、どれかに特化して入れば十分に認めてもらえる。


予選はリーグ戦で総当たり、各クラス上位2組が決勝トーナメントに進める。

そして模擬戦は1回生、2回生混合で行われる為、1回生の優勝は創立300年という王立魔法学院の長い歴史の中で1回も無い。

「それで俺達の初戦の相手は?」
「あいつらよ」

リサの視線の先にいたのは、俺を目の敵にして突っ掛かってくる子爵の息子、バイツのパーティだった。

俺と目が合ったのでニヤけて鼻を鳴らし親指を下に向けた。

ここに来てようやく小説に出て来る学園ものの展開になって来たので、この世界に来て初めて楽しくなって来た。

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