ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第一章 アイバーンとワイバーン

第15話 墓標のように

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 突如現れた青年ーー
 見た目は17、8歳ぐらいの、アイバーンに負けず劣らずのイケメンだった。


「あ、あなた誰? 何者なの?」
「俺か? 俺はヤマト……何だか楽しそうだったんでな……俺も混ぜてくれ」

「参戦する……という事か? それは構わないが……」

 ヤマトの背後から、ワイバーンが右腕を振り下ろしてきた。
「君!! 危ない!!」
 パティが叫ぶ。


 ガァン!!
 それを片手で持った大剣で受け止めるヤマト。
「今度は俺が遊んでやるよ」
 受けた右腕を弾き飛ばしワイバーンに向かって行くヤマト。
 パティが付けた右足のマークに大剣を突き刺す。
 魔石が砕け、右足が消滅し倒れこむワイバーン。


「強い!! ま、まあ私程ではないがな」
「何張り合ってんのよ」
「だが幾ら強いと言っても、あの巨大な魔石を破壊するには、彼1人だけでは厳しいだろう」
「そうね……く……魔力さえ回復出来れば……」
 ふと自分の腕を見つめ、魔装衣が安定して来ている事に気がつくパティ。

「そうか……何でもっと早く気が付かなかったのかしら……魔力ならここにいっぱいあるじゃないの」
 周りを見渡すパティ。

 それを見て何かを感づいたアイバーン。
「パティ君? まさか魔力を? 止めたまえ!! それは邪法だ!! 」
「あー!! あー!! あー!! 何も聞こえませーん!!」
 耳を塞ぎ誤魔化すパティ。

「聞きたまえ!! パティ君!! 」
「うるさいわねー! 別に人間から奪うんじゃないんだから、いいじゃない!」
「いや、しかしだね!!」

「メル君! 黙らせて!」
「はい! パティさん」
 アイバーンの背後から迫り、スリーパーホールドで締め落とすメルク。
「うぐっ!」
 白目を向いて倒れるアイバーン。
「ありがと、メル君」
「いえいえ」


 右手に杖を持ち、両手を広げるパティ。
「マジックロブ!」
 洞窟中からパティの魔装具に向かって、魔力が集まってくる。




「よし! エネルギー充填120パーセント!」
 完全復活のパティ。
「メル君!」
 メルクに左手を差し出すパティ。
 その手をメルクが掴むと、パティから魔力が流れ込む。
「ありがとうございます、パティさん」


「アイ君! 起きてよ、アイ君!」
「うん? パティ君? ハッ! メルク!! パティ君に従うとはどういう事かね!」
「ハイハイ! 非常時なんだから、ゴチャゴチャ言わないの!!」
「ほら、立ちなさいよ」
 アイバーンに手を伸ばすパティ。

「あ、ああ……すまないね」
 アイバーンがパティの手を取った瞬間、パティから魔力が流れ込む。
「な!! や、やめたまえ! パティ君!!」
「ハイ! これであんたも共犯!」
「は、謀ったな! パティ君!!」


「まったく、わざとらしいんだから」
 演技だという事を見過している様子のパティ。
「ホント、めんどくさい人です」
 辛辣なメルク。



「それで……どうするの? いつまでもは持たないわよ? 彼」
「ふむ……メルクの魔力も戻ったのなら、クロスで行こう」
「分かったわ……じゃあ彼にも伝えないと」


 3人が作戦を話し合っていた頃、左足の魔石も破壊したヤマト。
 左足が消滅し、再び倒れこむワイバーン。


「ヤマト君!! こっちへ!!」
 パティがヤマトを呼ぶ。
 パティの元にやってくるヤマト。
「何だ? 今忙しいんだが?」


 ヤマトに事情説明をするアイバーン。
「私はアイバーンだ……ヤマト、と言ったな……ワイバーンを倒す為に、君の力を貸してほしい」
 ヤマト、少し考えてーー

「まあいいぜ……それで、俺はどうすればいいんだ? ワイバーン」
「おい!   私の名はアイバーンだ! 似ているが間違えないでくれたまえ!」
「アイバーンが起きてくるわよ!  ワイ君」
「乗るんじゃない!! パティ君!!」
「早くしてください!  ワイバーン様」
「メルク!! 君もかっ!!」

「フッ」
 3人が笑みを漏らす。

 アイバーンから作戦を伝えられ。

「では、行くとしようか!!」
「ああ」
「ええ」
「はい」



 魔力を高め始めるパティ。


「サンダー!!」
 大剣を抜き上へ掲げ、剣先に雷を落とすヤマト。
 帯電した剣を鞘に収め、背中に装着する。


「天地を貫く裁きの光よ」
 杖を縦に持ち構えるパティ。
 ワイバーンの頭上に巨大な光の柱が現れる。


「行きます!!」
 弓を構え、ワイバーンの頭上に放つメルク。
「エターナルレイン!!」
 ワイバーンの周りに雨が降り注ぐ。


「命育む悠久の風よ」
 杖を水平にするパティ  。
 光の柱と十字になるように、もう一本柱が現れる。


 剣先を上に向けて両手で大剣を掴み、上へ掲げるアイバーン。
「ダイヤモンドダスト」
 メルクの降らせた雨が氷の結晶に変わって行く。
 その結晶が付着した所から、徐々に凍り付いて行き、ワイバーンの動きを封じる。


「女神テトの名の下に」
「風の魔導士パトリシア・ウィードが命ず」
 杖を上に掲げるパティ。
 より強い光を放つ十字の柱。


 飛び上がり剣を抜き、ワイバーンの頭に突き刺し、呟くヤマト。
「雷光斬」
 ズバッ!!
 光の刃がワイバーンの頭を切り裂き魔石が砕け散る。


「我が刃となりて、彼の者を土へ還せ」


「グレイヴマーカー!!」


 巨大な十字の柱がゆっくりと下降し、ワイバーンの体を貫いて行く。
「グオオオオオオオオ!!」

 バキバキバキッ!!
 核となる巨大な魔石が砕け、ワイバーンの体が全て消滅して行く。


「やったわ!!」
「フッ」
「やりましたね!!」
「ふむ・・・」




 ワイバーンが消滅したその場所に十字架が立っている。



 まるで、雪の野に立つ墓標のようにーーーー

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