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第三章 愛と勇気の大冒険
第24話 黒い三連星ならぬ、黒い三兄弟
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倒れているノームに治癒魔法をかけるセラ。
程なくして、ノームが意識を取り戻す。
「何故、私を治療したんですか?」
「それは勿論、カギをもらう為とぉ、この部屋から出してもらう為ですぅ」
「それだけなら、完璧に治療する必要は無いでしょうに……」
「いくら敵でもぉ、死なせちゃったらぁ、私がユウちゃんに怒られちゃうんですぅ」
「甘い方なんですね、ユーキさんって……でも、とても優しい方……」
「ユウちゃんはぁ、昔から凄く優しい娘なんですよぉ」
「昔から? 私達の調査では、あなたがユーキさんと出会ったのはつい最近の筈ですが? それも私達の調査不足ですか?」
「ンフ! これは失言でしたぁ! 忘れてくださいぃ」
「あなたとユーキさんにはどんな関係が?」
「いいから忘れなさいぃー!!」
ノームの全身をくすぐるセラ。
「やあっ!! ひゃひゃひゃひゃ!! わ、忘れます! 忘れますからあ! ひゃひゃひゃ! や、やめてー!!」
ノームが負けた事が信じられないといった様子のリッチ。
「バカな!! 魔封じの結界で完全に魔法は封じた筈なのに!? 何故それで敗れる!?」
「バカね!! セラを甘く見るからよ! 完全にあんた達の調査不足よ!!」
「ぐくっ……おのれー」
(やたっ! セラも勝った! セラ、アイ君、早く帰って来てパティを助けてあげて……何でか分かんないけどパティ、魔装が出来ないみたいなんだ)
「あとはあんた達2人を倒せば、あたし達の勝ちよ!」
「倒せたらね!」
エストが投げたクナイを杖で弾くパティ。
「レベル5を2人同時に相手にして、勝てるつもりかい!? しかも魔装も無しで!」
ビストが投げた数本のクナイを、ウインドウォールで防御するパティ。
「うるさいわね!! 理屈なんて関係ないわ!! 何が何でも勝つのよ!!」
「根性論かい? スマートじゃないなー」
エストが弧を描く様に飛ばした複数のクナイを、ホーミングアローズで迎撃するパティ。
「ハハッ! それにしてもよく凌ぐねー、パティちゃん!」
「あんた達の攻撃なんて、全然ヌルいのよ!!」
(それにしても、顔も魔装具も声や喋り方まで全く一緒だなんて、全然見分けがつかないじゃないのよ……魔装ができたらまとめて一気に吹き飛ばしてやるのに)
「ヌルいかどうかは、この技を見てから決めてよね!」
「エスト!!」
「うん!!」
「無限飛びクナイ、嵐!!」
エストとビストそれぞれが投げた、風と水をまとった数十本のクナイが、パティの周りを囲む様に飛び回る。
「逃げ場の無い、全方位攻撃だ! かわせるものなら、かわしてみなよ!!」
「くっ……ストレングスアクセル!!」
白と赤のオーラが、パティの全身を包む。
全方位から襲いかかって来るクナイを、凄まじい速さで破壊して行くパティ。
「なっ!? 全部落とすつもりか!?」
「まさか!? 最後まで保つ訳がない」
だが、全てのクナイを叩き落としたパティ。
驚くエストとビスト。
「いやはや……恐れ入ったよ」
「まさか本当に全て落としてしまうなんてね」
「言ったでしょ! あんた達の攻撃なんてヌルいって!」
強い言葉とは裏腹に、苦痛に耐えているパティ。
(っつう~! この技ってば、肉体の強さとスピードを強制的に高める代わりに、体にかかる負担もめちゃくちゃ大きいから、出来れば使いたくない技なのよねー)
「さあ! 次はどんな手で来るのかしら?」
「あ、まだ油断しない方がいいよ!?」
「え? あぐっ!!」
エストがそう言った瞬間に、パティの背中にクナイが刺さり、前のめりに倒れるパティ。
「パティいいい!!」
ユーキの絶叫が響き渡る。
「だ……大丈夫よ、ユーキ」
ゆっくりと体を起こすパティ。
「そうか……君は確か治癒魔法も使えるんだったね」
「なら、そう簡単には終わらないかー」
背中の傷を治療しながら、先程の攻撃について考えているパティ。
(どういう事? あたしは確かに全てのクナイを叩き落とした……幻術? でも二人共、クナイを操っている様な素振りは無かった。自動追尾型にしては、投げてから時間が経ち過ぎている。空中に停止させておいて狙った時に動かす、なんて事が出来るの? となると、他に考えられるのは……)
パティが杖を床につき、何やらそっと魔法を唱える。
「考えはまとまったかい?」
「それとも、諦めて降伏しちゃう?」
「バカ言うんじゃないわよ! せっかく謎が解けたっていうのに」
「謎? どういうことだい?」
「こういう事よ!! ウインドソード!!」
突然何も無い壁に向かって、魔法を放つパティ。
「うわっ!!」
驚いた声と共に、いきなり空間から人影が飛び出して来る。
「いやー! 見つかっちゃったー!」
その人影は、エストやビストと全く同じ顔と魔装をした人物だった。
「また増えた~!」
ゾッとするユーキ。
「何やってるのさ、ミスト兄さん!」
「怪我は無いかい? ミスト!」
(ミスト!? 兄さん!? って事はつまり)
「双子じゃ無くて、三つ子だった訳ね」
「せいかーい!」
「僕達は黒い三兄弟って言われてる三つ子なんだ」
(黒い三兄弟? 何だか黒い三連星みたいだな)
「つまりメル君の時も、あんたがさっきみたいに隠れて攻撃した訳ね」
「その通り! 卑怯だって言うかい?」
「いいえ……試合ならともかく、実戦での事だもの……油断したメル君が悪いのよ」
「へえ、分かってるじゃないかパティちゃん……でもどうして僕の居場所が分かったんだい?」
「魔力探知をかけたのよ! いくら姿を隠そうと、魔力を完全に消す事なんて出来ないからね」
「なるほど、君ってホントに器用だねー」
「さて……それじゃあめでたく3人揃った所で、僕達のとっておきの技を見せてあげるよ!」
(ハッ! 黒い姿の3人が揃ったって事は……ま、まさかまさか!)
何かに期待してワクワクしているユーキ。
「エスト! ミスト! 行くよ!!」
「うん!!」
「うん!!」
「ジェットストリームアタック!!」
「来たあああああっ!!」
「何喜んでるのよ!? ユーキ」
程なくして、ノームが意識を取り戻す。
「何故、私を治療したんですか?」
「それは勿論、カギをもらう為とぉ、この部屋から出してもらう為ですぅ」
「それだけなら、完璧に治療する必要は無いでしょうに……」
「いくら敵でもぉ、死なせちゃったらぁ、私がユウちゃんに怒られちゃうんですぅ」
「甘い方なんですね、ユーキさんって……でも、とても優しい方……」
「ユウちゃんはぁ、昔から凄く優しい娘なんですよぉ」
「昔から? 私達の調査では、あなたがユーキさんと出会ったのはつい最近の筈ですが? それも私達の調査不足ですか?」
「ンフ! これは失言でしたぁ! 忘れてくださいぃ」
「あなたとユーキさんにはどんな関係が?」
「いいから忘れなさいぃー!!」
ノームの全身をくすぐるセラ。
「やあっ!! ひゃひゃひゃひゃ!! わ、忘れます! 忘れますからあ! ひゃひゃひゃ! や、やめてー!!」
ノームが負けた事が信じられないといった様子のリッチ。
「バカな!! 魔封じの結界で完全に魔法は封じた筈なのに!? 何故それで敗れる!?」
「バカね!! セラを甘く見るからよ! 完全にあんた達の調査不足よ!!」
「ぐくっ……おのれー」
(やたっ! セラも勝った! セラ、アイ君、早く帰って来てパティを助けてあげて……何でか分かんないけどパティ、魔装が出来ないみたいなんだ)
「あとはあんた達2人を倒せば、あたし達の勝ちよ!」
「倒せたらね!」
エストが投げたクナイを杖で弾くパティ。
「レベル5を2人同時に相手にして、勝てるつもりかい!? しかも魔装も無しで!」
ビストが投げた数本のクナイを、ウインドウォールで防御するパティ。
「うるさいわね!! 理屈なんて関係ないわ!! 何が何でも勝つのよ!!」
「根性論かい? スマートじゃないなー」
エストが弧を描く様に飛ばした複数のクナイを、ホーミングアローズで迎撃するパティ。
「ハハッ! それにしてもよく凌ぐねー、パティちゃん!」
「あんた達の攻撃なんて、全然ヌルいのよ!!」
(それにしても、顔も魔装具も声や喋り方まで全く一緒だなんて、全然見分けがつかないじゃないのよ……魔装ができたらまとめて一気に吹き飛ばしてやるのに)
「ヌルいかどうかは、この技を見てから決めてよね!」
「エスト!!」
「うん!!」
「無限飛びクナイ、嵐!!」
エストとビストそれぞれが投げた、風と水をまとった数十本のクナイが、パティの周りを囲む様に飛び回る。
「逃げ場の無い、全方位攻撃だ! かわせるものなら、かわしてみなよ!!」
「くっ……ストレングスアクセル!!」
白と赤のオーラが、パティの全身を包む。
全方位から襲いかかって来るクナイを、凄まじい速さで破壊して行くパティ。
「なっ!? 全部落とすつもりか!?」
「まさか!? 最後まで保つ訳がない」
だが、全てのクナイを叩き落としたパティ。
驚くエストとビスト。
「いやはや……恐れ入ったよ」
「まさか本当に全て落としてしまうなんてね」
「言ったでしょ! あんた達の攻撃なんてヌルいって!」
強い言葉とは裏腹に、苦痛に耐えているパティ。
(っつう~! この技ってば、肉体の強さとスピードを強制的に高める代わりに、体にかかる負担もめちゃくちゃ大きいから、出来れば使いたくない技なのよねー)
「さあ! 次はどんな手で来るのかしら?」
「あ、まだ油断しない方がいいよ!?」
「え? あぐっ!!」
エストがそう言った瞬間に、パティの背中にクナイが刺さり、前のめりに倒れるパティ。
「パティいいい!!」
ユーキの絶叫が響き渡る。
「だ……大丈夫よ、ユーキ」
ゆっくりと体を起こすパティ。
「そうか……君は確か治癒魔法も使えるんだったね」
「なら、そう簡単には終わらないかー」
背中の傷を治療しながら、先程の攻撃について考えているパティ。
(どういう事? あたしは確かに全てのクナイを叩き落とした……幻術? でも二人共、クナイを操っている様な素振りは無かった。自動追尾型にしては、投げてから時間が経ち過ぎている。空中に停止させておいて狙った時に動かす、なんて事が出来るの? となると、他に考えられるのは……)
パティが杖を床につき、何やらそっと魔法を唱える。
「考えはまとまったかい?」
「それとも、諦めて降伏しちゃう?」
「バカ言うんじゃないわよ! せっかく謎が解けたっていうのに」
「謎? どういうことだい?」
「こういう事よ!! ウインドソード!!」
突然何も無い壁に向かって、魔法を放つパティ。
「うわっ!!」
驚いた声と共に、いきなり空間から人影が飛び出して来る。
「いやー! 見つかっちゃったー!」
その人影は、エストやビストと全く同じ顔と魔装をした人物だった。
「また増えた~!」
ゾッとするユーキ。
「何やってるのさ、ミスト兄さん!」
「怪我は無いかい? ミスト!」
(ミスト!? 兄さん!? って事はつまり)
「双子じゃ無くて、三つ子だった訳ね」
「せいかーい!」
「僕達は黒い三兄弟って言われてる三つ子なんだ」
(黒い三兄弟? 何だか黒い三連星みたいだな)
「つまりメル君の時も、あんたがさっきみたいに隠れて攻撃した訳ね」
「その通り! 卑怯だって言うかい?」
「いいえ……試合ならともかく、実戦での事だもの……油断したメル君が悪いのよ」
「へえ、分かってるじゃないかパティちゃん……でもどうして僕の居場所が分かったんだい?」
「魔力探知をかけたのよ! いくら姿を隠そうと、魔力を完全に消す事なんて出来ないからね」
「なるほど、君ってホントに器用だねー」
「さて……それじゃあめでたく3人揃った所で、僕達のとっておきの技を見せてあげるよ!」
(ハッ! 黒い姿の3人が揃ったって事は……ま、まさかまさか!)
何かに期待してワクワクしているユーキ。
「エスト! ミスト! 行くよ!!」
「うん!!」
「うん!!」
「ジェットストリームアタック!!」
「来たあああああっ!!」
「何喜んでるのよ!? ユーキ」
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