ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第五章 五国統一

第74話 夢見るユーキ(アイリス編)

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 暗闇の中、声が聞こえる。

「……ちゃん……マナちゃん……マナちゃん? ……ナナちゃん? ……バナナちゃん? ……バナナチョコレートパフェちゃん?」
「連想ゲームかっ!?」

「やっと気付いてくれましたね? ナナちゃん」
「マナだけど?」
「そう、マナちゃん」

「あれ? この声、猫師匠じゃない?」
「ええ、私はアイリス……アイリスオー○マです」
「企業名!?」
「いえ、ただのアイリスです」
「この世界の人ってみんなボケたがりなのか? てか、アイリスってカオスが言ってた? 確か2年前までトゥマールの女王様だったって、そのアイリスさん?」
「はい、そのアイリスです」
「それって本当なの?」
「本当ですよ」

「それで、そのアイリスさんが僕の中に居る?」
「そうです」
「でも、今まで一度も話しかけられた事無いよ? 猫師匠はよく来てたけど」
「猫師匠? ああ、テトの事ですね? 今まで話しかけなかったのは、力を封印されてずっとマナちゃんの中で眠ってたからです。まあ、カオスに無理矢理起こされましたけど」

「ち、ちょっと待って!? 色々聞きたい事はあるけど、今、猫師匠の事テトって言った? 猫師匠ってシャルって名前じゃないの? いやそれよりも、テトって名前、どこかで聞いた事あるような?」
「テトはこの魔法世界を作った3大神の1人、女神テトの事ですよ?」 
「へ!? め、女神? 猫師匠が? 女神テト?」

「姉ええええ様ああああああ!!」
「あらテト、いらっしゃい」
「いらっしゃい、じゃないニャアアアア!! 何サラッとあたしの正体バラしてるニャアア!!」

「ええ~? だって~、私とマナちゃんは今や1つの存在なんですから、別に隠す意味無いでしょ?」
「大ありニャア!! マナはまだ完全には記憶が戻っていないニャ。今なら色々おちょくり放題ニャ。このチャンスを逃す手は無いニャ!」
「おいっ!!」

「テトは相変わらずイタズラ好きですね~。だけどテト? マナちゃんをおちょくるって事は、私をおちょくる事にもなるんですけど、勿論覚悟の上で言ってるんですよね~?」
「フニャッ!? あ、いや、その~。べ、別にあたしはイース姉様をおちょくるつもりは無いニャ! 純粋にユーキ単体をおちょくって楽しんでるだけニャ!」

「私とマナちゃんが融合した姿がユーキなんですから、結局私をおちょくってる事になるわよ?」
「あ、いや! あたしはイース姉様をおちょくるつもりなんて一切無いニャ!」

「あの~」
「何ニャ!? 今イース姉様と大事な話をしてるニャ! ユーキはちょっと待ってるニャ!」

「いや~、それなんだけど……」
「もう! どれの事ニャ!?」

「今ここに居るのって、僕を入れて3人だけだよね?」
「そうニャ! イース姉様は元々ユーキの中に居るし、そこへいつもみたいにあたしがお邪魔してる状態ニャ」

「だからそれなんだけど、猫師匠がさっきから呼んでるイース姉様って誰?」
「フニャッ!? …………」

「あれ? 黙っちゃった? お~い! 猫さんや~い! 出ておいで~!」
「なななななな! 何を言ってるニャ!? ユーキ。あたしはイース姉様なんて、一言も言ってないニャ! ただの聞き間違いニャ!」
「いいえ~、ちゃんと言ってましたよ~!?」
「姉様は黙ってるニャアアア!!」

「ああ~! テトったら酷~い! そんな事言うなら、もう全部話ちゃうもん!」
「ちょ、ちょおっと待つニャアア!!」

「待ちませ~ん! テトこそ黙ってなさい!!」
「フニャッ!? ユ、ユーキとのリンクが……ふ、不安定に……」


 アイリスによって猫師匠がユーキの中から追い出された頃、闘技場では闘技場専属のヒーラー達、そしてパティやセラ等の治癒魔法が使える者達が、横たわったままのユーキの元に集まっていた。


「今、ヒーラー達によってユーキちゃんの状態が確認されようとしています。はたしてユーキちゃんは無事なんでしょうか?」


 闘技場全体が、しんと静まり返っていた。


「か、考えたくはありませんが、もし万が一、ユーキちゃんが死亡していた場合は、フィー選手は失格となりますので、おそらくは準決勝で敗れましたトト選手とパティ選手2人により再試合が行われ、改めて優勝者を決定するものと思われます。しかし、そんな事にはならないように祈るばかりです」


 そして再びユーキの意識の中。

「よく聞いてくださいね、マナちゃん」
「う、うん」

「私の名前はアイリス。でもそれは、人間界での仮の名前。本当の名前はイース! この魔法世界を作った3大神の1人、女神イースです!」

「えっ!? ア、アイリスさんも女神? 3大神の内の1人、女神イース?」
「そう、そしてパラス国の王カオスが、もう1人の3大神アビスです」

「んなっ!? ちょちょ、ちょっと待ってよ!! またどえらい事実が増えたけど、とりあえずは……何でその神様が僕の中に居るのさ!? 一体僕とどんな関係があるの!?」
「そうですね……まあ、口でいちいち説明するよりも、マナちゃん自身に思い出してもらう方が早いですね!」
「え!?」
「じゃあ、行きますよ~!」
「へ!? 何!?」


 闘技場ではヒーラー達により、ユーキが生きている事が確認された。


「皆様!! ご安心ください!! たった今、ユーキちゃんが生きていると連絡がありました~!!」
 

 それを聞いた瞬間、客席から大歓声が起こる。

「良かったああ!! ユーキちゃん!!」
「ユーキちゃん、生きてたああ!!」
「心配したよ~!!」
「いやでも、ユーキちゃんがこんな状態じゃあ、この試合ってフィーちゃんの優勝って事になるのか!?」
「バカッ!! 今は一刻も早くユーキちゃんを治療するのが先だろ!? そ、そりゃあ俺だってユーキちゃんに優勝してほしかったけど……」


「ユーキさんが無事だったのは嬉しいですけど、この試合はもう……」
「仕方あるまい……私だってユーキ君には優勝して王になってもらいたかったが、今はユーキ君が無事だった事が何よりだ」
「そう、ですね……」

 アイリスにより全てを思い出し、そしてその後の経緯を全て聞いたユーキ。

「そう、だったんだね……ごめんなさいアイリスさん、僕なんかの為に……」
「ダメですよマナちゃん、自分の事をなんか、なんて言っちゃあ」

「いやだって、アイリスさんは女神様なのに、人間である僕を助ける為に……」
「神とか人間とか関係無いですよ。私はマナちゃんの事が好きになった、だから助けた。それだけの事です。至極単純で当たり前の行動でしょ?」
「好きな人の為なら体を張って助ける……フフ、確かに分かりやすいね」
「でしょ?」


 闘技場では、試合の決着がつけられようとしていた。
 闘技場の端ではセラとパティが、試合が終わり次第ユーキを治療しようとスタンバイしていた。

「ほら、レフェリー!! 早くカウントを数えなさいよ!! すぐにでもユーキを治療したいんだから!!」
「わ、分かった! では、ユーキ選手の生存が確認されたので、ダウンカウントを取る!!」

 そう言って倒れているユーキの元へ駆け寄るレフェリー。


 そしてまたまたユーキの意識の中に、猫師匠がお邪魔していた。

「はあ……姉様、とうとう全部話してしまったのかニャ?」
「ぜ~んぶ話ちゃった」
「まあ、楽しいひと時もいつかは終わる物ニャ。ユーキをおちょくる事はもう諦めるニャ」
「ホント、タチの悪い神様だな~」

「ニャハッ! でもいいのかニャ? いい加減に起きないとユーキの負けになってしまうニャ。もう既にダウンカウントは始まってるニャ!」

「ええ~!! は、早く起きないと!! え!? これどうやったら目覚めるの!?」
「はわわわっ!? ああえと、私が強制的に起こしますから、目をつぶってくださいマナちゃん!!」
「分かった!!」

「でもいいのかニャ!? ユーキの魔装具は壊れてしまったニャ。このまま起きても、結局何も出来ずに敗北するのは目に見えてるニャ」
「ああああ~!! そうだったあああ!!」
「ええええ~!! そうなんですかあ!?」

「あ! 今カウントファイブニャ」

「どどどどど、どうしよどうしよどうしよ!?」
「おおおおお!! お餅ついて! いや、鐘突いて! じゃなくて、落ち着いてくださいカナちゃん!!」

「アイリスさんこそ落ち着いて~!!」




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