4 / 17
4
しおりを挟むその不穏な知らせは、全ての仕事を終え自宅に帰る時に来た。
「ネイ様!!」
急いで走ってくるのは幹部。ネイの元へ着くと息切れしてるからか、膝に手をついた。
「どうしたのだ?そんなに慌てて。」
「そ、それが!」
「もったいぶらず早く言わんか。」
ネイに促されたからか、幹部は口を開く。その事を知ったネイは背中には、嫌な冷や汗がついた。ついに、この世界に革命が起きてしまうのではないかと。
「大和楽帝国が、大ロータヴェル帝国に急接近しました!!」
「そこにお座りください。」
珍しくフェルダリオが丁寧な言葉使いを使って大和楽帝国女帝、クアを座らせる。
彼は自分の国と同じ強さでなければ敬語は使わない。ただ今回は別で未知な存在。だから彼からしたら「一応」、敬語を使ってるわけだ。
「感謝します。」
「さてと…今日のご用件は?」
早速、フェルダリオは話を持ち出した。フェルダリオは何かあればということで扉の向こうには護衛兵として何人か連れてきている。
「うちと手を組みませんか?」
クアも早い結論を出した。
「それはこちらとしても思っていた次第であります。どのようにして?」
「私達、大和楽は陸海空全てにおいてトップクラスの実力を誇ります。その軍全てがロータと手を組んだら強くなる。鬼に金棒と言うわけです。」
この時、フェルダリオは少し気難しい顔をする。まさか、クアは我が誇り高きロータヴェル軍が、大和楽もりも下なのではないかと。
しかしこの考えは次の一言で無くなってしまう。
「私たちは、大ロータヴェル帝国への軍事通行許可証を発行しようかと思います。」
「!?いいのですか?」
軍事通行許可。つまり、大ロータヴェル帝国は大和楽帝国の大陸内へ自由に軍事行動ができることになる。
彼からしたら不意打ちのような言われようだろう。
ただこの女、物凄く肝が座っている。
「私はこの軍事通行許可を我ら大和楽にとって有意義なものになると思います。先程鬼に金棒と申し上げましたが、それはそちらにもなるかと思われます。各軍のレベルアップに貢献するでしょう。私は許可してもよいと思います。
さて話は変わりますが、現在アスバリチアがタンミリアと会議をしていることでしょう。おそらく私たちの行動の監視の話し合いかと思われます。」
「何…あいつらも会議しているのか。」
「その通り。私達が何かしらのアクションを起こせば彼らは間違いなく戦争に持ち込むでしょう。だからこそ、私達も同盟を結ばないか。というわけです。」
「なるほど…。」
「有名ではありませんか。ロータ第一帝国時代を取り戻す野望は。」
「…そうなのか。」
彼は自国のこと以外はそこまで興味がない。貿易も昔から交友のある国のみしか行っていない。
「私達もその野望の手助けになればと思います。私達もアジアを平定した後、ヨーロッパにでようかと思っていまして。」
「何!?まさか世界統一でもするのか!?」
ガタッとフェルダリオは立った。怒りではない。驚きでの意味だ。たった一島国が世界統一など馬鹿げた話を…。
「私は本気です。」
この一言が彼を納得させると同時に、フェルダリオ自身もクアを未知の存在から「信用」へと変わった。
彼女の眼に、迷いの眼はなかった。
会議前にフェルダリオはゼーベから軍についてと国土、文化について聞いた。数十年で大帝国へ育てたことと先ほどの一言が、納得させる結果となった。
彼は座らなかった。隣に座る陸軍大将マライアは心配そうにフェルダリオの顔を見た。しかし、心配する必要は無かった。
「大ロータヴェル帝国は只今より、大和楽帝国との同盟関係を認める。名は…
『革命連合国』とする!」
その瞬間、大きな拍手が上がった。クアも立ち上がり彼と握手する。
大きな軍事同盟が、今。ここに現れたのである。
「もうお前らは帰れ。クアと呑んでくる。」
「いいんですか!?護衛兵も無しに!」
会議終了後、フェルダリオはゼーベに言った。ゼーベは驚いた顔をする。当たり前だ。国の総統が護衛兵無しに出歩くなど前代未聞だ。
「アホ言え。何かあったら俺がなんとかするし俺ら2人で情報を共有することもあるんだ。極秘でな。」
「…わかりました。」
そういうと、ゼーベは出ていき、官邸にいた全員を帰らせた。
「さて…いきますか。おすすめのバーがある。」
「それは嬉しいですね。早速行きましょう。」
「それなりの情報はくださいよ?」
「当たり前です。」
バーにつき、荷物を置き二人でカクテルを頼み乾杯する。
「世界に、乾杯。」と。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる