LUF〜Connect Legend〜

ふずきまる

文字の大きさ
51 / 55
第4章

49 新しい技3

しおりを挟む
天照剣をゆっくりおろし、程よい距離感を詰める。
彼女は物理技を持ち合わせていない。だから相手が詰めてこれば一気にやれる。
しかし、僕も限界が近いように感じる。息の荒れ方も先程よりも荒くなってきているし、次がラストかなと思う。
全ては彼女を倒すため。その想いがまだ天照剣には宿っている。天照剣についている炎は潰えることを知らないように。
ふーっ。ふーっ。と深呼吸する。少しだけ、落ち着いた気がする。
僕は一度も動かない。彼女の動きを待つ。
「そっちがその気なら…!!」
僕に言い放つと、魔法陣を展開する。大きな、大きな魔法陣が僕の頭の上に映る。まさか新技…!?
「ストーム・アクアリアム!!」
しまった。まさか新技があるとは思わなかった!
降り落ちる、先の尖った水の塊を避けながら相手を見極める。
「ほらほらどうしたの!?ハンズ・アクア!!」
更に技名を唱えると水で作られた手が僕を襲う。
何かを犠牲にして手に入れるものだってあるはずだ…。考えろ…!
答えはただ一つ。ぶっ飛ばす。これにつきる!
だったら、最後なんだから飛ばして行こうじゃないか!!
僕は天照剣の柄をぐっと力強く握り、走り出す。勿論、ストームアクアリアムのダメージは入る。だけど、今交わす余地はない。
そして僕に向かってくるハンズ・アクア。
僕は炎に包まれた天照剣を横一振りする。
潰えると思われたその炎はむしろ、大きく増し、ハンズ・アクアを真っ二つにする。
龍が、神の手を噛みちぎったように、龍の炎が神の水を打ち破った。
そして、優香に向けて最後の一振りー。

「『天龍炎』!!」

龍の形を帯びた天照剣で優香に攻撃する。物理的なダメージと、龍の炎が優香に大ダメージが入る。
優香は驚いて吹っ飛ばされる。油断はダメだ。まだだ!
「まったく…!!なんで協力な!」
だけど、彼女は無傷だった。そう。僕は彼女のフェイクを完全に忘れていた。
その瞬間、一つの糸が切れたかとのように僕は集中力が切れた。それは自分でもはっきりわかった。
天照剣が消え、僕は派手にこけた。炎も完全に潰えて、アルマも解除されていた。
「謙信!?」
優香はすぐに僕のところへ来た。技など中止に決まっている。
「大丈夫だよ…。こけただけさ。」
「いや、ボロボロだよ!?」
「それはこけたからでしょ?」
「いや、手!真っ赤っか…。」
そう言われて見ると、痛みはこないがてが真っ赤っかになっていた。本当に痛みがこない。
「大丈夫だよ…。よっこらせ…!?」
僕は手をついて起き上がろうとしたが無理だった。脚がガクガク震え立つことができない。
「魔力も完全に使い切ったから、体がついて来れてないのかもね…。」
「はぁ…やばいわぁ…。」
僕はごろんと大の字になって天井を見た。先ほどの戦いで傷ついた真っ白い天井を。
「だけど…できたじゃん。新技。」
「天龍炎…。技のきっかけは集中力ってことか。」
「そうだよきっと…。あ、回復するね。」
優香が僕の胸に両手を当てて回復魔法をかける。
「申し訳ない…。…だけどこれで、少しでも君に近づけたらいいけどね。」
「そんなことない。充分凄いよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。人間界に変えれるよう、少しずつ頑張ろうよ。」
「うん!」
その一言を発した後の笑顔が、眩しく輝いていた。彼女も新技を手に入れていて、尚更負けてはいられないと気を引き締めるきっかけにもなった。
練習に付き合ってくれた彼女に、感謝だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない

みん
恋愛
精霊に護られた国ルテリアル。精霊の加護のお陰で豊かで平和な国ではあったが、近年ではその精霊の加護も薄れていき、他国から侵略されそうになる。戦いを知らない国王は、スネフリング帝国に助けを求めるが、その見返りに要求されたのは──。 精霊に護られた国の王女として生まれたにも関わらず、魔力を持って生まれなかった事で、母である王妃以外から冷遇されているカミリア第二王女。このカミリアが、人質同然にスネフリング帝国に行く事になり─。 ❋独自設定有り。 ❋誤字脱字には気を付けていますが、あると思います。すみません。気付き次第修正していきます。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

処理中です...