10 / 43
冒険者ランクと報告と。
しおりを挟む
ギルマスのバルドは、自分の執務室に入ると、溜め息をついて槍を置いた。
「ったく。あんな殺気を浴びたのは久しぶりだぞ?ちょっとでも気を抜いたら気絶するところだったな」
「申し訳ない。つい、な」
「つい、でやられちゃ堪らねえよ。まあいいけどな。それにしても…お前さん、リョータとか言ったな。とんでもないのを従魔にしたもんだな。『そこにいる』、それだけで圧倒されちまうよ」
実際、バルドの額には玉の汗が浮かんでいる。
「ところで、リョータ。お前の冒険者ランクなんだがな。Cランクにしといたからな」
「?」
さっき登録した時はFランクだったのに、いきなりCランクと言われても…。
首を傾げていたら、
「レッドドラゴン、フェンリル、グリフォン、ユニコーン、エンペラースライム、バトルホースを従魔にしてる奴をFランクにしておけるかよ?本当はAランクかSランクにしたいんだけど、Cランク以上のランクにするためには帝都の本部ギルドの統括マスターの審査が必要になるんだ。まあ、特例でギルド支部長特権があるにはあって、『コレは!』って奴をBランクにまでなら上げられるんだがな。なら、何でBランクにしないんだって言いたいだろうが、まだ何の依頼も受けてない奴をBランクにするわけにもいかなくてな…悪いがCランクで我慢してくれ」
ギルマスから事情を聞いたリョータ達は「なら、仕方ないな」と頷いた。
「ギルマスとやらよ。ワイバーンの買い取りはしてくれるのじゃろうな?」
リルは、その事が一番大事だと言わんばかりだ。
「勿論、買い取らせてもらうさ。あれだけの大物は滅多に買い取れないからな。それ相応の色を付けさせてもらうぞ」
「ふむ。そうか。じゃがの、ギルマスとやら。肉は売らんぞ」
「…はい?え、え?肉は売らない?買い取らせてもらえないのか?」
「うむ。牙や羽、皮なんぞは好きなだけ買い取ればよいがの、肉だけはだめじゃ。のう、皆もそうじゃろう?」
すると、エレノア、クリフ、マーベラス、ティアが頷き、階下にいるバルザックも念話で同意した。
ギルマスは「そんな…」と項垂れた。
ワイバーンの肉は滅多に買い取れない上に、このザンギグラス帝国の皇帝の大好物なので、コレを献上しようと考えていたようだ。
だからか、その項垂れ方は尋常ではなかった。
何となく気の毒に思ってしまったリョータは、
「なあ、皆んな。一頭分くらいは良いんじゃないか?ブラックワイバーンは四十一頭もあるんだしさ。一頭分くらいなら分けてやっても、な?」
「「「「「『う~ん…まあ、一頭分なら…でも一頭分だけですよ(じゃぞ)?』」」」」」
エレノア達は渋々ながら頷いた。
するとギルマスは、
「そ、そうか!売ってくれるか!ありがとう!本当にありがとう!助かるよ!」
と満面の笑みを浮かべた。
「肉無しのブラックワイバーンが四十一体なら一体につき白金貨七枚で、合わせて二百八十七枚だが…切りが悪いから、二百九十枚で買い取らせてもらうぞ」
「分かった。こちらとしては問題ない」
「金などどうでも良い。大事なのは肉だけじゃ!約定違えたる時は…」
リル達が『威圧』の魔力を放った。
ギルマスは恐怖のあまり、息ができなくなり、魚のように口をパクパクさせていて、今にも死んでしまいそうだ。
「こら!イタズラが過ぎると飯抜きだからな!」
リョータが叱ると、
「「「「『ごめんなさい(なのじゃ)!』」」」」
一瞬で『威圧』を解いた。
「ギルマス。生きてるか?」
「な、何とか、な。死を覚悟したぞ」
「悪いな。飯の事になると、どうも自制心が働かなくなってな。いや、本当に悪かった」
「お、おう。頼むぞ?」
リョータがエレノア達に軽く説教をし終えると、「そう言えば」とリョータが何かを思い出した。
「ギルマス。俺達に何か訊きたかったんじゃなかったか?」
「ん?ああ!そうだった、そうだった!リョータ。お前はグライアス王国がやった『勇者召喚の儀式』で呼ばれた『勇者』なんじゃないか?」
「…それを知ってどうする気だ?」
「いや、別に?ただ確認したいだけだ。他国から流れてきた者が『勇者』だったら、嫌でも陛下に報告しなくちゃならないからな」
「報告してどうする?何か俺達に不利益があるんな「それはない!」…言い切る、か」
「当代の陛下は優しい御方だ。だが、『勇者』という最強戦力が自国にいるというのは、それだけで他国への牽制になるんだ。だからどうしても報告しなくちゃならないんだ。分かってくれないか?」
「…もしもの場合には…この国を更地にするからな。報告する時には必ず伝える事だ。出来ないなんて思わない事だな」
「わ、分かった。お前達には必要以上に干渉しない。させない。必ず伝える」
「頼むぞ」
「ああ。当代の陛下は賢明な方だ。国を滅ぼすよりも、国に利益をもたらす存在を大事にされる御方だからな」
そうかと頷いたリョータは、
「話しは変わるが、何処かに一軒家を買うか借りるかしたいんだが…良い物件はないか?」
「ふむ。一軒家か。予算は?」
「白金貨十枚から二十枚くらいだな」
「それは!?何とも太っ腹だな。とてもCランクの買い物じゃねえぞ?」
「『魔境の森』にいたんだ。それくらいは普通に持ってるさ」
「そりゃそうか。ちょっと待ってろ。詳しい奴を呼ぶからな」
「頼む。それから、商業ギルドの場所を教えてくれ」
「買い取り品か?分かった。ついでに案内させよう」
ギルマスは呼び鈴を鳴らした。
「ったく。あんな殺気を浴びたのは久しぶりだぞ?ちょっとでも気を抜いたら気絶するところだったな」
「申し訳ない。つい、な」
「つい、でやられちゃ堪らねえよ。まあいいけどな。それにしても…お前さん、リョータとか言ったな。とんでもないのを従魔にしたもんだな。『そこにいる』、それだけで圧倒されちまうよ」
実際、バルドの額には玉の汗が浮かんでいる。
「ところで、リョータ。お前の冒険者ランクなんだがな。Cランクにしといたからな」
「?」
さっき登録した時はFランクだったのに、いきなりCランクと言われても…。
首を傾げていたら、
「レッドドラゴン、フェンリル、グリフォン、ユニコーン、エンペラースライム、バトルホースを従魔にしてる奴をFランクにしておけるかよ?本当はAランクかSランクにしたいんだけど、Cランク以上のランクにするためには帝都の本部ギルドの統括マスターの審査が必要になるんだ。まあ、特例でギルド支部長特権があるにはあって、『コレは!』って奴をBランクにまでなら上げられるんだがな。なら、何でBランクにしないんだって言いたいだろうが、まだ何の依頼も受けてない奴をBランクにするわけにもいかなくてな…悪いがCランクで我慢してくれ」
ギルマスから事情を聞いたリョータ達は「なら、仕方ないな」と頷いた。
「ギルマスとやらよ。ワイバーンの買い取りはしてくれるのじゃろうな?」
リルは、その事が一番大事だと言わんばかりだ。
「勿論、買い取らせてもらうさ。あれだけの大物は滅多に買い取れないからな。それ相応の色を付けさせてもらうぞ」
「ふむ。そうか。じゃがの、ギルマスとやら。肉は売らんぞ」
「…はい?え、え?肉は売らない?買い取らせてもらえないのか?」
「うむ。牙や羽、皮なんぞは好きなだけ買い取ればよいがの、肉だけはだめじゃ。のう、皆もそうじゃろう?」
すると、エレノア、クリフ、マーベラス、ティアが頷き、階下にいるバルザックも念話で同意した。
ギルマスは「そんな…」と項垂れた。
ワイバーンの肉は滅多に買い取れない上に、このザンギグラス帝国の皇帝の大好物なので、コレを献上しようと考えていたようだ。
だからか、その項垂れ方は尋常ではなかった。
何となく気の毒に思ってしまったリョータは、
「なあ、皆んな。一頭分くらいは良いんじゃないか?ブラックワイバーンは四十一頭もあるんだしさ。一頭分くらいなら分けてやっても、な?」
「「「「「『う~ん…まあ、一頭分なら…でも一頭分だけですよ(じゃぞ)?』」」」」」
エレノア達は渋々ながら頷いた。
するとギルマスは、
「そ、そうか!売ってくれるか!ありがとう!本当にありがとう!助かるよ!」
と満面の笑みを浮かべた。
「肉無しのブラックワイバーンが四十一体なら一体につき白金貨七枚で、合わせて二百八十七枚だが…切りが悪いから、二百九十枚で買い取らせてもらうぞ」
「分かった。こちらとしては問題ない」
「金などどうでも良い。大事なのは肉だけじゃ!約定違えたる時は…」
リル達が『威圧』の魔力を放った。
ギルマスは恐怖のあまり、息ができなくなり、魚のように口をパクパクさせていて、今にも死んでしまいそうだ。
「こら!イタズラが過ぎると飯抜きだからな!」
リョータが叱ると、
「「「「『ごめんなさい(なのじゃ)!』」」」」
一瞬で『威圧』を解いた。
「ギルマス。生きてるか?」
「な、何とか、な。死を覚悟したぞ」
「悪いな。飯の事になると、どうも自制心が働かなくなってな。いや、本当に悪かった」
「お、おう。頼むぞ?」
リョータがエレノア達に軽く説教をし終えると、「そう言えば」とリョータが何かを思い出した。
「ギルマス。俺達に何か訊きたかったんじゃなかったか?」
「ん?ああ!そうだった、そうだった!リョータ。お前はグライアス王国がやった『勇者召喚の儀式』で呼ばれた『勇者』なんじゃないか?」
「…それを知ってどうする気だ?」
「いや、別に?ただ確認したいだけだ。他国から流れてきた者が『勇者』だったら、嫌でも陛下に報告しなくちゃならないからな」
「報告してどうする?何か俺達に不利益があるんな「それはない!」…言い切る、か」
「当代の陛下は優しい御方だ。だが、『勇者』という最強戦力が自国にいるというのは、それだけで他国への牽制になるんだ。だからどうしても報告しなくちゃならないんだ。分かってくれないか?」
「…もしもの場合には…この国を更地にするからな。報告する時には必ず伝える事だ。出来ないなんて思わない事だな」
「わ、分かった。お前達には必要以上に干渉しない。させない。必ず伝える」
「頼むぞ」
「ああ。当代の陛下は賢明な方だ。国を滅ぼすよりも、国に利益をもたらす存在を大事にされる御方だからな」
そうかと頷いたリョータは、
「話しは変わるが、何処かに一軒家を買うか借りるかしたいんだが…良い物件はないか?」
「ふむ。一軒家か。予算は?」
「白金貨十枚から二十枚くらいだな」
「それは!?何とも太っ腹だな。とてもCランクの買い物じゃねえぞ?」
「『魔境の森』にいたんだ。それくらいは普通に持ってるさ」
「そりゃそうか。ちょっと待ってろ。詳しい奴を呼ぶからな」
「頼む。それから、商業ギルドの場所を教えてくれ」
「買い取り品か?分かった。ついでに案内させよう」
ギルマスは呼び鈴を鳴らした。
98
あなたにおすすめの小説
七億円当たったので異世界買ってみた!
コンビニ
ファンタジー
三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。
ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。
「異世界を買ってみないか?」
そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。
でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。
一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。
異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。
チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -
花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。
魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。
十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。
俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。
モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる