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模擬戦する事になりました。
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怒鳴り込んできた五人の女性冒険者パーティーを見たギルマスは、あまりの剣幕に一瞬たじろいだ。
「まあ、落ち着けよレイチェル」
「落ち着けだって!?どの口が言うんだい?え?随分とまあ舐められたもんだね私達も!依頼を受けたのは私達が先だったじゃないか!それをどこの誰とも知らないポッと出の新入り冒険者に掻っ攫われたとあっちゃあ、こっちの面子が丸潰れじゃないか!?この落とし前はどう着けてくれるんだい!?」
レイチェルという女性冒険者は、リョータの事を指差して怒鳴りまくる。
「あ~…ギルマス?こちらさん方は誰だ?できれば状況を説明してもらいたいんだがな?」
「あ、ああ。そうだな。コイツらは『赤い戦線』っていう冒険者パーティーでな。このレイチェルがリーダーで剣士、ネイリーが槍使い、パウチが弓使い、ニーナが斥候、マジェリカが魔法使いだ。それで、今回の依頼を先に頼んだんだが、ニ、三日考えさせてくれって待たされてたんだよ。でもなぁ、あんまり待たせるからお前に話しを持ち込んだってわけだ」
「成る程な。それなら何の問題もないな」
「だろ?そういうわけだ、レイチェル。ギルドからの依頼を待たせすぎたお前達が悪い。だからこの依頼はリョータに受けてもらう。分かったら帰れ」
正論で理詰めされたレイチェル達は、言葉に詰まる。
「で、でも、先に受けたのは「まだ受けてないんだろう?」あ"ぁ!?アンタは黙って「黙れ!!」ッヒィィィッ!!??」
リルの一喝で、レイチェル達は悲鳴をあげた。
「主らは依頼を受けるのを待たせたのじゃろうが!それで儂らの旦那様に話しが行った。ならば主らが文句を言うのは筋違いというものじゃろうが!ましてや儂らの旦那様を悪様に言うなど言語道断!無礼千万!事と次第によっては喰らい殺してやるぞ!!」
リルの…フェンリルの怒気を浴びたレイチェル達はとてもじゃないが、耐えられるものではなかった。
全員、恐慌状態に陥ってしまった。
執務室の隅に逃げて固まって怯えている。
そんな彼女達からちょっとした臭いがするのは女性の尊厳に関わるので敢えて触れない事にした。
リョータは、やれやれと溜め息をついて、
「【状態異常回復】」
をかけてやった。
すると、キョトンとした顔で周りを見回す。たぶん自分達に何が起きたのか分かっていないのだろう。
しかし、
「「「「「『ヒィィィッッ!?』」」」」」
怒れるリルの顔を見て悲鳴をあげた。
擦り込みかトラウマにでもなっているのだろうか。
あまりにも可哀想だったので、リルに怒りを鎮めるように宥めると、渋々ながら従ってくれた。
その代わりに、今夜のご飯にワイバーン肉のステーキを出すように注文されたのはご愛嬌。クリフ達もワイバーンステーキを食べたいと言うので、今夜はワイバーンステーキにする事に決定した。
と、話しを戻す。
「んで?どうするの?」
「ん?う~ん…この様じゃなあ…困ったもんだ。レイチェル。先に言っとくがな、このリョータはお前達よりも一つ上のランクだからな?言葉の選び方には気をつけろよ?」
という事は、このレイチェル率いるパーティーはDランクか。
「それは!?そ、そうか…あ、いや、そうですか…失礼しました」
冒険者として生きていく上で大事なのは上下関係がハッキリさせる事。ランクが一つ上でも下でも、そのランクに見合った行動をする事が半ば強制されているので、それに反抗するのはギルドの運営に対して反抗するのと同じ事と見なされるので要注意なのだ。
だから謝罪したのだが、弓使いのパウチは納得できていないようで、
「所詮は仲間頼りのヒョロ長じゃない」
と不満気に呟いた。
どうやら、リョータがCランクなのは仲間のリル達のお陰だと思っているようだ。
しかし、これを聞き逃さなかったリル達は我慢できずに吹き出した。
「腹を抱えて笑い転げる」という表現の仕方は間違いじゃなかったようだ。
リル達は文字通りに「腹を抱えて笑い転げて」いる。
「何と愚かな事を。我々が旦那様に付き従うは、旦那様に負けたからじゃ。弱者は強者に付き従うは世の常。それすらも分からぬとは救い難い愚か者じゃな」
マーベラスの呆れ返った台詞にリル達は「全くだ」と笑って頷く。
笑われ通しのパウチは顔を真っ赤にしてキレた。
「アンタ!仲間頼りじゃないって言うんなら、私と模擬戦で勝ってみなさいよ!私に勝ったら認めてあげるわ!どうせ無理でしょうけどね!!」
意気揚揚と言い放つパウチの様子に、リョータは、
「その模擬戦をするにあたって、俺のメリットは何だ?」
と訊いた。
「は?メリット?メリットは私がアンタの力を認めてやる事よ!そんな事も分からないの?」
「あ~…その、何だ。こういう事はあんまり言いたくないんだがな。格下の奴に認めてもらう必要があるのか?」
「は?」
「いや、だから、格下の奴が格上の者の力を認めてやるとか、何様のつもりだ?何でテメェは上から目線で喋ってやがるんだ?ナメてんじゃねえぞ?」
さすがのリョータも腹に据えかねたのか、随分と乱暴な口ぶりになっている。
「そんなに模擬戦がしたいんなら相手になってやる。だがな。ただの模擬戦じゃあ面白くねぇ。負けた方は勝った方に対して慰謝料として白金貨五枚を払うってのはどうだ?」
「白金貨五枚!?ふ、ふんっ!分かったわ。勝ったら白金貨五枚を貰えるのね。でも、アンタ白金貨五枚なんて持ってるの?」
「これでどうだ?」
リョータは革袋から白金貨五枚を取り出してテーブルの上に置いた。
「じゃあ、訓練場に行こうか」
リョータ達が一足先に訓練場に向かうと、その後ろでパーティーメンバー達が必死になってパウチを説得しようとしている気配がしていたが、そんな事は完全に無視して向かう。
「まあ、落ち着けよレイチェル」
「落ち着けだって!?どの口が言うんだい?え?随分とまあ舐められたもんだね私達も!依頼を受けたのは私達が先だったじゃないか!それをどこの誰とも知らないポッと出の新入り冒険者に掻っ攫われたとあっちゃあ、こっちの面子が丸潰れじゃないか!?この落とし前はどう着けてくれるんだい!?」
レイチェルという女性冒険者は、リョータの事を指差して怒鳴りまくる。
「あ~…ギルマス?こちらさん方は誰だ?できれば状況を説明してもらいたいんだがな?」
「あ、ああ。そうだな。コイツらは『赤い戦線』っていう冒険者パーティーでな。このレイチェルがリーダーで剣士、ネイリーが槍使い、パウチが弓使い、ニーナが斥候、マジェリカが魔法使いだ。それで、今回の依頼を先に頼んだんだが、ニ、三日考えさせてくれって待たされてたんだよ。でもなぁ、あんまり待たせるからお前に話しを持ち込んだってわけだ」
「成る程な。それなら何の問題もないな」
「だろ?そういうわけだ、レイチェル。ギルドからの依頼を待たせすぎたお前達が悪い。だからこの依頼はリョータに受けてもらう。分かったら帰れ」
正論で理詰めされたレイチェル達は、言葉に詰まる。
「で、でも、先に受けたのは「まだ受けてないんだろう?」あ"ぁ!?アンタは黙って「黙れ!!」ッヒィィィッ!!??」
リルの一喝で、レイチェル達は悲鳴をあげた。
「主らは依頼を受けるのを待たせたのじゃろうが!それで儂らの旦那様に話しが行った。ならば主らが文句を言うのは筋違いというものじゃろうが!ましてや儂らの旦那様を悪様に言うなど言語道断!無礼千万!事と次第によっては喰らい殺してやるぞ!!」
リルの…フェンリルの怒気を浴びたレイチェル達はとてもじゃないが、耐えられるものではなかった。
全員、恐慌状態に陥ってしまった。
執務室の隅に逃げて固まって怯えている。
そんな彼女達からちょっとした臭いがするのは女性の尊厳に関わるので敢えて触れない事にした。
リョータは、やれやれと溜め息をついて、
「【状態異常回復】」
をかけてやった。
すると、キョトンとした顔で周りを見回す。たぶん自分達に何が起きたのか分かっていないのだろう。
しかし、
「「「「「『ヒィィィッッ!?』」」」」」
怒れるリルの顔を見て悲鳴をあげた。
擦り込みかトラウマにでもなっているのだろうか。
あまりにも可哀想だったので、リルに怒りを鎮めるように宥めると、渋々ながら従ってくれた。
その代わりに、今夜のご飯にワイバーン肉のステーキを出すように注文されたのはご愛嬌。クリフ達もワイバーンステーキを食べたいと言うので、今夜はワイバーンステーキにする事に決定した。
と、話しを戻す。
「んで?どうするの?」
「ん?う~ん…この様じゃなあ…困ったもんだ。レイチェル。先に言っとくがな、このリョータはお前達よりも一つ上のランクだからな?言葉の選び方には気をつけろよ?」
という事は、このレイチェル率いるパーティーはDランクか。
「それは!?そ、そうか…あ、いや、そうですか…失礼しました」
冒険者として生きていく上で大事なのは上下関係がハッキリさせる事。ランクが一つ上でも下でも、そのランクに見合った行動をする事が半ば強制されているので、それに反抗するのはギルドの運営に対して反抗するのと同じ事と見なされるので要注意なのだ。
だから謝罪したのだが、弓使いのパウチは納得できていないようで、
「所詮は仲間頼りのヒョロ長じゃない」
と不満気に呟いた。
どうやら、リョータがCランクなのは仲間のリル達のお陰だと思っているようだ。
しかし、これを聞き逃さなかったリル達は我慢できずに吹き出した。
「腹を抱えて笑い転げる」という表現の仕方は間違いじゃなかったようだ。
リル達は文字通りに「腹を抱えて笑い転げて」いる。
「何と愚かな事を。我々が旦那様に付き従うは、旦那様に負けたからじゃ。弱者は強者に付き従うは世の常。それすらも分からぬとは救い難い愚か者じゃな」
マーベラスの呆れ返った台詞にリル達は「全くだ」と笑って頷く。
笑われ通しのパウチは顔を真っ赤にしてキレた。
「アンタ!仲間頼りじゃないって言うんなら、私と模擬戦で勝ってみなさいよ!私に勝ったら認めてあげるわ!どうせ無理でしょうけどね!!」
意気揚揚と言い放つパウチの様子に、リョータは、
「その模擬戦をするにあたって、俺のメリットは何だ?」
と訊いた。
「は?メリット?メリットは私がアンタの力を認めてやる事よ!そんな事も分からないの?」
「あ~…その、何だ。こういう事はあんまり言いたくないんだがな。格下の奴に認めてもらう必要があるのか?」
「は?」
「いや、だから、格下の奴が格上の者の力を認めてやるとか、何様のつもりだ?何でテメェは上から目線で喋ってやがるんだ?ナメてんじゃねえぞ?」
さすがのリョータも腹に据えかねたのか、随分と乱暴な口ぶりになっている。
「そんなに模擬戦がしたいんなら相手になってやる。だがな。ただの模擬戦じゃあ面白くねぇ。負けた方は勝った方に対して慰謝料として白金貨五枚を払うってのはどうだ?」
「白金貨五枚!?ふ、ふんっ!分かったわ。勝ったら白金貨五枚を貰えるのね。でも、アンタ白金貨五枚なんて持ってるの?」
「これでどうだ?」
リョータは革袋から白金貨五枚を取り出してテーブルの上に置いた。
「じゃあ、訓練場に行こうか」
リョータ達が一足先に訓練場に向かうと、その後ろでパーティーメンバー達が必死になってパウチを説得しようとしている気配がしていたが、そんな事は完全に無視して向かう。
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